夜國涼華@海法よけ藩国さんからのご依頼品


『冬の月見』
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夜。
月が、出ている。
涼華はそっと、寮を抜け出した。
晋太郎と待ち合わせているのだ。
向こうからは、晋太郎が歩いてきている。
涼華は、待ち合わせ場所に急いで向かった。
手荷物を、揺すらないよう気をつけながら。
待ち合わせには、ほぼ同時についた。
「真夜中のデートだね」
晋太郎はそういって柔らかく笑った。
涼華は照れながら、
「晋太郎さん…、はい!えへへ、デートです!」
晋太郎は笑った。
涼華は手荷物を見せながら、
「和菓子を持ってきたから、晋太郎さんと一緒に食べたくて」
晋太郎はそれを聞いて微笑み、
「どこに行こうか。もっとも山の中なんだけど」
涼華は和菓子を紐といて見せた。
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(和菓子はこちら)
晋太郎は和菓子を見て、
「いいね。じゃあ、少し上まで歩こうか」
月夜の晩で、足元まで見える。
ゆっくり二人で、歩く音だけが、かすかに聞こえる。
涼華は、
「はい!」
と答えて、そっと晋太郎の腕に手を添えて一緒に歩く。
涼華は、なんだか幻を見ている気分になりながら、
「綺麗な月ですね、明るい…」
と晋太郎の顔と夜空を見た。
晋太郎も空を見上げ、
「そうだね。いい月だ」
そしてふと、
「眠くない?」
涼華は、目を輝かせて華やぐように笑い、
「えへ、大丈夫です。晋太郎さんとデート!って思ってたら嬉しくなって、目も冴えてます!」
そして晋太郎を心配した。
「晋太郎さんは、眠くないですか?大丈夫?」
晋太郎は微笑んだ後、大丈夫と言った。
涼華は、そっと晋太郎さんの顔を見上げる。大丈夫と聞いて、ほっと息をはいて微笑みを浮かべた。
と、見晴らしのいい場所に出た。
木々が切れている。
下の方にいくつか建物が見える。
寮。
校舎も。
自然、ふたりの歩みも止まる。
涼華は、白い息をはきながら、
「すごい、いい見晴らしですね!学校も寮も見える!」
と子供のように景色を見ていた。
晋太郎は、いたずらっぽく、指でしーっとした後、
「声が遠くまで届くから注意してね」
涼華は、
「はい。」
少し微笑んで声の高さに注意することにした。
晋太郎は笑った後、座ろうかと言った。
涼華は、
「はい。」
涼華と言って辺りを見渡す。
座れるベンチなどはない。
晋太郎は大きめのハンカチをしいて貴方にすすめた。
涼華は、一緒に持ってきたらビニールシートを地べたに引こうと取り出す。
そして晋太郎のハンカチを見て、
「わわ、ありがとうございます」
晋太郎は笑ってる。
「用意がいいんだね」
涼華はビニールシートは出さず、ハンカチに座った。
晋太郎は、
「あれ?」
と不思議そうな顔をした。
涼華は、ビニールシートのことをぼそぼそと、
「付近に、何もなかったら、って思って」
涼華は、ビニールシート出すことにした。
立ち上がる。
「そっか」
晋太郎はハンカチを見た後、ポケットに入れた。
涼華は、
「何もなかったら、お花見気分で、と思って持ってきました。」
と、苦笑いして
「ありがとうございます。」
そっとポケットにハンカチをしまった手を取った。
晋太郎は微笑んで、
「いえいえ。どういたしまして」
涼華は手を離し、ビニールシートをしきおえて、
「和菓子、食べますか?」
晋太郎は嬉しそうに笑って、涼華のとなりに座り、
「うんっ」
と言った。
涼華は返事を聞いて、嬉しそうに微笑んだ後、和菓子とお茶を用意する。
晋太郎は微笑んでお茶を受け取りながら、
「中々いい雰囲気だね」
その受け取ったお茶を見ながら、
「湯気が」
涼華は和菓子を広げながら、
「道明寺以外は、ちょっと和菓子のお名前を覚えていないのですが…可愛かったから」
晋太郎は、お茶の香りを楽しみながら、
「お寺といえばこの学校も昔はそうだったんだよ」
涼華もお茶の湯気を見ながら、
「温かいほうじ茶は、いいのですー」
その湯気ごしに晋太郎を見た。
晋太郎はお茶を乾杯するように、うやうやしく上げて、
「いただきます」
そして笑いながらお茶をすすった。
涼華は、
「どうぞ、です。ここは建った時から学校ではなかったのですか?」
晋太郎は、
「うん」
とうなずき、
「最初は修道院だね」
そして、
「そのうち、貴族の学生もいれるようになった」
涼華は、やっと、知りたかったことを口にする。
「晋太郎さんはなぜ、この学校へ…?」
晋太郎は、お茶をもう一口飲み、
「なんとなく、かな」
そして、
「勉強したかったしね」
涼華は、晋太郎のすこししんみりしている表情を見た。
友達とも別れ、何より大切な涼華や弟と離れることを選んだことを思い起こしているのだろうか。
涼華は、晋太郎に少しよりそうように座り直した。
晋太郎は、
「?」
不思議そうに、でも嫌ではなさそうに、
「どうかした?」
涼華は、
「晋太郎さんを、ここで探すまで「なんで、どうして」って不安ばかりでした。でも…」
いま思えばわずかだった離れていた時間のことを気にしていた。
晋太郎は、涼華を不安がらせていたことを知り、
「勉強のためだって言ったはずだったけど・・・ごめん」
と謝った。
涼華は続ける。
「一緒にいれて、晋太郎さんの見ているものを、自分の目線で見れた。あたしがここにきたのも、意味があるって」
追いかけてきたことに、意味はあると告げながら、
「謝らないでください。あたしも一緒に、勉強したい。色々」
晋太郎は笑った。
涼華は、上体を動かして、晋太郎の横顔の頬にキスをした。
晋太郎は少し照れながら、
「そうなの?」
笑った。
「ありがとう。覚えておくよ」
涼華は、自分の決めた道を晋太郎に言う。
「晋太郎さんを不安に思うのではなく、晋太郎さんと共に行くんだ、って。だからあたしはここにいます。」
少し照れて笑いながら晋太郎を見た。
晋太郎は、月明かりに照らされた涼華を見つめながら、目を細め微笑み、その唇に目がいってしまい、
「ありがと」
と言い、月を見上げた。
そして月を見ながら、「これからもよろしくね?」
涼華は嬉しそうに、
「はい!あたしこそ、よろしくお願いいたします」
と、頭を下げたあと、微笑んだ。
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作品への一言コメント

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  • 感想遅くなってしまいましたが、ログをいい雰囲気のあるものにしていただき、ありがとうございました!く、唇に~のとこで、ちょっとドキドキしてしまいました!ありがとうございました! -- 夜國涼華@海法よけ藩国 (2009-02-27 22:42:15)
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最終更新:2009年02月27日 22:42