影法師@ながみ藩国様からのご依頼品


時間はゲーム中。比嘉と影法師が殴りあいを初めて、逃げ出した時。
場所は逃げてすぐの場所で。


アララは笑っていた。それはもう、爆笑に近い物であった。
スイトピーはそれを迂遠な目で見ている。というか、何故いきなり呼び出されたのか、今一事情も良く判らない。

アララの爆笑の様子を怪訝に思いながらも、スイトピーは口を開いた。

「それで……銃で脅されてたって本当?」

唯一彼女の言葉の中で気になった一言。本当にそうだとしたら絶対に許せるものでは無い。

「ん、冗談に決まってるでしょ? 貴方が呼び出しにおうじなくて、彼が面白い事を言ったから呼んだだけ」

「…………」

流れる沈黙。スイトピーは少し思案する。

……実際、あまり面白くなかったが……。

「ほら、ホッペにヒマワリの種を一杯にして、とっとこ比嘉太郎とかみたくない?」

「全然見たくありません」

そんな下らない思いつきの為に呼び出されたのかと思うと、思わず溜息が出る。
しかもきちんとした格好ではなく、寝巻きだ。いきなりパジャマ姿で登場……良く考えなくてもおかしい格好で。

「…………」

「あら、スイトピー? 顔が怖いわよ、どうしたの?」

「……貴方にも、彼等にもあきれているだけです」

はぁ、と溜息を漏らす。アララとスイトピーはその基本的な精神構造が全く違うせいか、どうにも不機嫌な時は相手を見ているとそれだけで相手にマイナス感情が生まれてしまう。

「でも、良かったでしょ? 実際、彼のこか」

「それ以上言うと怒るわよ?」

何でこう、この人は、あぁ、もう……。

「……そういえば、寝巻き姿というのはいいかもしれないわね」

さっきは二人をからかう事が楽しくてあまり見ていなかったがアララは改めてスイトピーを見てみる。
流石は元貴族の出か、きちんとした寝巻きというのは普段と違う魅力(みりき)が溢れている。

「そうよ、スイトピー。今度彼に呼び出されたらその格好で行ってみなさいよ」

「……何を言ってるのかしら、貴女は?」

「ダメかな? 彼、ドキドキして真っ赤になって訳が判らなくなって面白い事してくれそうじゃない」

スイトピーは溜息をついた。どうにもこう、他人の迷惑を完全に省みずに下らない冗談を飛ばされても、この状況だと全然笑えないのだ。

「それとも、もうちょっと露出を多くして……ほら、ぺったんこだから、もっと別のあいたっ」

ゴツン、と大きな音。

「それでは、私は帰りますから」

スイトピーがなれない拳骨を落とした。手が痛いのか、ちょっと震えてる。

「今度からは、三人で楽しんでください。呼ばれていかないという事は、そういうことなんですから」

「うぅ……スイトピー、いたいー。貧乳はステータあいた」

ごつん、と追加の拳骨。

「余計なお世話よ」

あきれた様子で帰っていくスイトピー。その場にうずくまるアララ。

「ちょ、大丈夫ですか!? 冷やすものーっ(ぐるぐる」

ちょうどスイトピーが居なくなった時、影法師がやってくる。

所詮はスイトピーにごつん、されたくらいだから実はそれほど痛くないのだが……。

「タオルと水、タオルと水(ぐるぐる)」

彼は滑稽なほどに慌てていて。

「どこか横になれる場所ーっ!?(ぐるぐる」

「落ち付け……医務室がある……(ふらふらと歩いてくる)」

対照的な二人が余りにおかしくて、もう少し見ていたいなー、とか思う。

「あのー、アララさんー!? 大丈夫ですか? 動けますか? おぶりますか? このままがいいですか?(ぐるぐる」

こういわれると、もう少し困らせたくなるのがアララの本質か。

「お姫様抱っこ……(ボソ)」

とか言ってみるのだが。

二人は自分が無事だと判ると、また自分の事になってしまった、残念。
折角なら少しはお姫様抱っこネタでからかいたかったのに。

若いわねー、どっちも。うん。

アララは三人について、少し考えてみる。あまりにおかしい。

周囲が見えなくなると暴走する比嘉。
おろおろしながらも、周囲を大事にする影法師。
そして、あの堅物ちゃん。スイトピー。なんであそこまで不機嫌なのか。

色々気になるといえば気になる。だが、それ以上に面白いのだ。

後はもうちょっと大人になってくれればなー、とか思いながらも。

影法師 の発言 :
「ええっと……。固いとかの前にやっぱりタイミングが悪かったんじゃ…」

比嘉劉輝 の発言 :
「そういえば、スイトピーはどこに?」

比嘉劉輝 の発言 :
「あの格好で帰ったんだろうか……大丈夫かな……」

……む、なんだか面白くない、というかこら、影法師。あなたまでスイトピーを気にするの?

ちゃんと私を見なさい。私を特別視しなさいよ。さっきも言ったでしょ?

だからちょっとわがまま言ってみたら。

比嘉劉輝 の発言 :
「そうも行きません、僕は追いかけますよ。(ふらふら)」

比嘉劉輝 の発言 :
「これ以上、あの子に迷惑はかけられない」

影法師 の発言 :
「駄目です。けじめはつけましょう。最後まで」

むー、なんだかなぁ。この子達も真面目すぎ。

あんな冗談、それこそ笑って流せるくらいじゃないとダメじゃないのかな?

あと、影法師。ちゃんと私を呼んだなら、私を最優先にしなさいよ。ぶーぶー。

仕方ないので正直な感想を言ったら、比嘉に怒鳴られた。おのれー。


結局、勉強会という名目で呼ばれて勉強など何一つしてないのは参加者の胸のうちに秘められる事になる。


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最終更新:2008年02月16日 14:02