No.07 きみこさんからの依頼


昼休みのお誕生日会 ~きみこさんへ捧げる~

静かに晴れ渡った小笠原の空に午前の授業のベルが鳴り響いた。
授業への呪縛から解放された学生達が思い思いに活動を始めた。学食に走る者、中庭で弁当を広げる者、校庭で遊ぶ者など様々だ。

それとは別に今回の主人公であり、凄い体験をする事になるきみこ@FVBの事について簡単に触れておこう。始めはにゃんにゃん共和国の大国FEGという藩国で内政の仕事をしていた。おっとりした笑顔と大好きな料理で皆を和ませていた人物でした。ただ、ふと何かを思いつき他の国への移動を決意した。そして、色々と迷って選んだ藩国はFVBという藩国でした。FVBは四季折々の花が咲き乱れる麗しい藩国であり、国民もその自然を楽しむ感覚とその厳しさに耐え受け入れる事ができる国民性であったからこそ移動してきたきみこ@FVBを受け入れる事ができたのだ。

きみこは終業のベルが鳴り終わりを聞いて「お昼だ!!」と声を上げると一瞬、みんなの注目を集めたがみんなも慌しく動き出した。一緒にお弁当を食べる相手を探しながら「お腹すいた!」と言っていると午前の授業をさぼっていたのであろう同級生の青の厚志が教室に入ってきた。遅れて芝村舞が同じく教室に入ってきた。だが、きみこは芝村舞が教室に入ってきたよりも青の厚志の顔を見て心臓の動きが一気に跳ね上がっていた。そう、きみこは青の厚志のファンなのだ。だが、青の厚志はすでに芝村舞という公然の恋人がいたのだが、それでも青の厚志が近くにいるだけで興奮して顔が火照っているのが自分でわかった。

きみこの魂が別世界いっている間に青の厚志は机を集めて白のテーブルクロスを広げて食事の準備を進めていた。ただ、少しおかしいのは二人用にしてはかなり大きめだった。青の厚志は「舞もみんなもこっちにおいで」と声をかけて食器の準備を始めた。そう、ここに残っている全員分の食器を手際よく並べ始めたのだった。きみこを含めて教室のみんなはあっけに取られていたが自分達の分もあることを知ると一気に盛り上がって慌しくなった。勿論、きみこも「わーい!ありがとう!何かお手伝いしていいですか?」と少し興奮気味話しかけた。しかし、青の厚志は「ありがとう 今日は座ってて」と優しく言われてきみこは必要以上に大きな声で「はい!!」といって火照っていた顔が真っ赤に染まってお行儀よく椅子に座った。

すでに並んである料理はローストビーフがメインで前菜はアスパラの冷たいスープが並んでいた。青の厚志が誰にも邪魔をさせない勢いで色々やっていく度に芝村舞の顔は怪訝そうになっていった。青の厚志は機嫌がいいのか少し涼しい風が入る窓をあけ白いカーテンが揺れている窓の枠にも料理を置いた。そこには続々と鳥たち、猫たち、ネコリスたちが集まってきた。

きみこが動物達に目をやっていると、青の厚志が両手を叩き、注目を一身に集まって笑顔で「今日は、舞の誕生日なんだ。」と言った。それを聞いた本人は机に突っ伏した。周りは一斉に誕生日おめでとう!!の声の嵐になった。暫くして、芝村舞が起き上がって青の厚志と余人の立ち入る事のできない会話が行われていた。途中に青の厚志が涙目になって最後の芝村舞の台詞が止めの一撃を言い放った「良いというか。やりすぎだ。誕生日など。そなたが祝えばいいだけの話だ。他になにがいる。だいたい…(少し優しく)私が先に死んだ時、そなたはどうするのだ。」これを聞いたきみこは青の厚志がどうなるのかを正確に予測していた。そして、その結果は当たっていた。青の厚志は滂沱の涙を流し始めたのだった。そして、「舞が死んだら生きていけない。世界滅ぼして僕も死ぬ。」と言ってふりふりエプロンで顔を隠していた。この瞬間、きみこは青の厚志なら本当に世界を滅ぼして死ぬのだろうなと冷静に思うことができたがそんな事されても困ると目をグルグルさせていたら芝村舞が普通に「世界を滅ぼすな。世界は世界のものだ。そなたのものでも私のものでもない。」と言って青の厚志を諭してくれた。

その後、静観していたブータが乱入して場を混乱させたりして色々あった。だが、きみこは一生忘れないであろうやり取りがあった。芝村舞が「青の厚志。そなたがなりたいものは、なんだ?」と問うと青の厚志は間髪入れずに「お嫁さん……」と言い放った。うん、そうなのだ。この台詞を言える青の厚志だからこそきみこは素直にファンになれるのだった。後は、芝村舞が青の厚志を頬を全力で引っ張ったりしたが雨降って地固まるという格言の如く誕生日会は恙無く進んでいった。

きみこはこの日、この時、この場所に居た奇跡に感謝した。

                           END




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引渡し日:2007/


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最終更新:2007年09月25日 12:03