No.08 高原鋼一郎さんからの依頼


“アララさんが先生で、エステルさんが後輩。夢のようですにゃあ”
―デモゲームログ閲覧者の呟き 日時不定

燦々と煌く白き太陽、眼下に広がるは青き水面。
ここ、(ほぼ)常夏の島、小笠原では
小笠原解放記念の無料小旅行が行われようとしていた。
無料というお手軽さか、それとも憧れのキャラに出会えるという高揚感からか、
この無料イベントは大盛況のうちに二日目を迎えていた。
そして本日のゲストNPCは、
前日に引き続いての登場となるアララ・クランと、
絢爛舞踏祭では強い人気を誇るエステルの両名である。
以下、魅力的な女性2名に翻弄される男女(とくに男共)の一幕をご覧頂こう…。

アララ(先生) :みなさーん。準備運動しますよー。
(今回は)先生役のアララが教え子たちを呼び集める。
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「海の色が違う…島だとこういうものなのかなあ」
月空 :「何が取れるかなぁここは(海を見渡して)」
初めての小笠原バカンスにどこか気もそぞろな生徒たち。
だが、その緩んだ気持ちはアララ先生の大胆かつ強引な行動によって、
一気に引き締まり、それどころかもうどうにかなってしまいそうな状態に陥るのだった。
具体的にはそう、アララ先生は着ていた服を引きちぎり、
水着姿に早替わりしてしまったのだ!
虎さん :「ブハッ!!!」
雅戌 :「お、落ち着け僕。BECOOL」

動揺を隠せない生徒たち。
「服を破いたくらいでなぜそんなに驚いているんだ?」
そう思う方々もいるかもしれない。
しかしそうした方々は物事の本質を捉えていない、と主張させていただこう。
服を破いたという行為が扇動したのではない。
大切なのは、その服が破かれたことによって露になった中身、
ありていに言ってしまえばアララ先生の肢体の方である…!
アララ先生は服を着た状態でもそれとわかるほどプロポーション抜群である。
エステルの「なにか新しい寄生体の生き物が!!」というセリフからも
想像は出来ることだろう。
だが、物事をさらに加速させる事象を、アララ先生は備えていた。

「それ」に気付かぬ者はいなかっただろう。
しかし「それ」を口に出してしまえば自らの理性や尊厳や本能や血や
まあとにかく色々なものが暴走してしまいそうだったがゆえに、
誰もそのことについて指摘できずにいた…のだが。
エステル(後輩) :なんで先生の水着が紐で、なんでみんながそれを無視しているんですか?
その一言で、全ての均衡はもろくも崩れ去った。

紐水着。ひもみずぎ。ひも。
神室想真 :「…なるほど。目の錯覚だと思ったが本当だったか(目を逸らしつつ)」<紐
一度言語としてその事実を認識してしまうともう押さえはつかない。
那限逢真 :「失血死の恐れがあるからじゃないかな……」<エステル
脳内物質は溢れかえり激流となり、
メビウス :「遠い世界に人に見えるんです。何か近づかないほうが良いオーラ?」 <何故無視するのか
血脈は体中を駆け巡り熱を上げる。
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「エステルさん、地球には浪漫というものがあるんだ」
その行き着く先、反応の臨界点は1つしかなかった。
虎さん :「ブハッ!(鼻血どころか泉の如く血を噴出す)」
彼らの反応を誰が責められようか?否。
これは男として生まれついたからには抑えようのない衝動、
生きてゆくための活力の奔流なのだ。
高原氏の言葉を借りれば、そう、「浪漫」。浪漫なのだ。あ、そこの女子引かない引かない。

まあそんなこんなで男たちをひとしきり挑発した後、
アララ先生は目的地を告げた。
アララ(先生) :取りあえず今日は、あの浮かんでいる船(夜明けの船)までいって、ミズキ・ミズヤをさらいます。
アララ(先生) :いくわよ! 野郎ども! ちょっとくらい若いからって! いい気になってる女に! むくいを! むくいを!
そんな理由でですか、と言いたい気持ちを抑えつつ、
あるいは悩殺され端から言葉が耳に入らないのでアララ先生の後を追うことしかできずに、
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「ガンホーガンホーガンホー」(続いて飛び込む。鼻血は継続中)
庄津K太郎@キノウツン :「先行する先生を見ると鼻血を吹きそうだから平泳ぎは避けるんだ!」
続けざまに海へと飛び込んだ。
那限逢真 :「アララ先生は充分若いと思いますけど……(呟き)」
同感である。

さて、果敢に海へ泳ぎだした野郎共の後方では、
エステルがまだためらっている最中であった。
夜明けの船の位置は2km先であり、エステルには少々きつい。
辻斬燕丸 :「エステルさん、みんなで一緒に泳ぎましょう。疲れても楽しいものになりますよ、絶対」
神室想真 :「…浮き輪なら何個か持ってきてはいるが…いります?」
周囲の説得が功を奏したのか、
エステル(後輩) :(エステルは、おっかなびっくり水につかった。浮き輪+スク水だ)
なんとかエステルも向かう気になったようだ。
しかしスク水とはかなり狙ってきたチョイスである。
筆者宅のあるどこかの砂漠とメイドの国では歓喜狂喜乱舞する国民がいることだろう。

さて、先行するアララ先生組では、またも浪漫全開な光景が繰り広げられていた。
いや、ただ単にアララ先生が平泳ぎをしていただけなのであるが。
しかし効果は絶大であった。なにしろ紐水着で、
しかも足を大きく開く平泳ぎなのであるから…いや、この先は筆舌に尽くしがたい上に
口に出してしまうと浪漫が薄れる。よって読者の想像にお任せしよう。
代わりにその光景を目の当たりにしたなんとも羨ましく、役得で、、
そのまま戦線送りにしてしまいたいような連中…おっと口が悪かった失礼。
とにかく幸福な方々の反応から推察していただこう。
庄津K太郎@キノウツン :「みんな、前を見ちゃ駄目だ!出血多量で死ぬぞ!」
虎さん :「ブクブクブク・・・(沈)」(あまりの刺激に沈んでいく)
雅戌 :「ガボガボガボガボガボ」 (アララ先生を見て沈む。理由は聞かないで下さい)
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「馬鹿野郎!ここで前を見ないでどうするんだ!」(鼻血どころか目を充血させつつ)
なんと言ったら良いのだろう、この野郎!代わってください!

前方で流血大惨事が起こっていることは露知らず、
エステル組はのんびりとした進行をしていた。
メビウス :「エステル。ゆっくりと体を水に浮かべてみて? 気持ち良いよ」
那限逢真 :「エステルって水泳苦手?(浮き輪に乗ってのんびり移動)」
エステル(後輩) :なんですか、これ、しょっぱい……
よんた :「そりゃ、海水だし。地球のは塩分はいってるから」<しょっぱい
神室想真 :「海、というものだ。ポイポイダー殿とかは元々ここにいたらしい」
エステル(後輩) :(まずそうな顔をしている)ポイポイダーは辛くないんでしょうか。
辻斬燕丸 :「エステルさん、彼は慣れてますから。じきにあなたもきっと慣れます」
エステル(後輩) :(那限逢真にひっぱられている)あの……
那限逢真 :「なに?」<エステル
エステル(後輩) :あしが、つかかかかない……んですけど
辻斬燕丸 :「エステル大丈夫。浮きます。怖がらないで」
エステル(後輩) :(蒼白な顔でしがみついている)
よんた :「不安ならここにいる連中、俺含めて一緒にいるから。きっと大丈夫」
エステルの弱い面を見るというのもまたよし!エステルかわいいよエステル!
という感想しか出てこなかった汚れきった筆者には、
彼らの温かい言葉をそのまま載せることが一番の表現になる、としか言えないほど美しい光景だった。

そんなこんなでアララ先生組は、夜明けの船にたどり着こうとしていた。
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「あれが夜明けの船か…名前は聞いてたがあんなにでかいのか」
庄津K太郎@キノウツン :「そろそろ到着かな?後ろは…なんだか楽しそうだな」
アララ(先生) :(夜明けの船に到着)(がばぁとあがった。)
と、その時。
これ以上やったら血液がなくなってしまうのではないかというほどの衝撃が
勇敢なる浪漫の求道者たちを襲った!
よくわからない?つまり、

アララ(先生) :(水着が、ない)

アララ(先生) :(何も言わずに海中に戻った)
アララ(先生) :授業終了……
月空 :「!!?(うわ、あれで船の中に入るのはテロだ!)」<水着無い
テロどころの騒ぎではない気もするが、
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「ぐはぁ!先生とりあえず着るものを確保してまいります!」
雅戌 :鼻血を噴いて派手に卒倒します
雅戌 :「(父さん、僕は世界の真実を垣間見たよ……)」
虎さん :「おし、追いつい・・・ボハッ(鼻血)」
神室想真 :「…何か赤いものが流れてきているようだが…血?」
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「先生!とりあえず借りてきましたのでこれを使ってください!」
アララ(先生) :ありがと。
いち早く事態を察知した高原(役得)の活躍により、
アララ先生の(浪漫の自主規制)は護られた。
だが犠牲も大きかった・・・。
アララ(先生) :(ああ、恥ずかしい)なれないことはするもんじゃないわね。
どうでもいいがアララ先生の予想外に恥ずかしがる姿は素敵だと思った方、
怒らないので手を挙げなさい。
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「いえ、その、…言葉が思いつきませんが、き、きれいでした申し訳ありません!」(己をぶん殴る)
虎さん :「いや・・・アララ先生・・・ナイスでした・・・ぜ(力尽きる、手は親指を立てている)」
よし、君らは後で体育館裏に来なさい。

さて、人間爆弾テロin夜明けの船が行われかけていた最中、
海ではもう1つの危機が迫っていた。
芝村 :(黒い三角形、雅戌のほうへ全力移動開始)
神室想真 :「何か、動いてないか?(滝汗)」(エステルの近く)
月空 :「あ…」<黒い三角形?
庄津K太郎@キノウツン :「…サメだ!」
芝村 :雅戌、の血で大きな魚が集まりだした。
雅戌 :餌になる。食われるー!
小笠原にサメは出るのかという疑問はこの緊急事態では当然のように無視される。
エステル(後輩) :あ。
何かに気付いた様子のエステル。
あれほどためらっていた海中に進んで戻っていく。
だが同時に、先生業に戻ったアララは、生徒たちを助けるべく呪文詠唱に入っていた。
アララ(先生) :(細い腕を伸ばして呪文詠唱に入った) 先生ごっこ続行。みんな、どきなさい!
慌てて離れていく生徒たち。巻き添えを食らったらバカンスどころではない。
それこそあの世行き無料ツアー片道切符プレゼントである。
呪文の威力は皆知っているようだった。
張り詰める空気。

だが、その空気はエステルの発した言葉によって打ち破られるのだった。
エステル(後輩) :ポイポイダー!
ポイポイダー:「ピィピィ!」(ジャンプ)
ポイポイダー。バンドウイルカ知類の彼にとって、
小笠原の海はいわばホームグラウンドのようなものであった。
月空 :「ポイポイダー!」
雅戌 :「イルカの友!」
神室想真 :「(ぷはっ)なんと!彼もいるのか」
よんた :「ああ。ポイポイダーか~・・・。はっ絶技まって~~~~!!!」
黒い三角形の正体がポイポイダーだと分かった以上、
なおさらアララ先生の絶技をうたせるわけにはいかない。
アララ(先生) :最神……雷撃!
よりにもよって雷の呪文。
喰らえば海中にいるものは全滅しかねない。
芝村 :ナレーション:天が、まっくらになった。
雅戌 :「らいげ……ってちょっと先生!?」
神室想真 :「雷はヤバイ!陸へ、陸へ!」(エステルを最優先)
高原鋼一郎@キノウツン藩 :「動ける連中は海から上がるんだー!」
那限逢真 :「皆でエステル引っ張れ!」
エステル(後輩) :だ、だめです!
月空 :「先生すとっぷー!!(と叫ぶ)」
エステル(後輩) :(ポイポイダーごと船にあがった)
必死の形相でアララ先生を止めにかかる生徒たち。
地獄の片道切符を受け取るのはご免であった。
陸へ揚がったことで思うように動けずぴちぴちとはねるポイポイダー。愛らしい。
だがその鰭に弾かれ高原が海中へと落下した。
哀れ高原。やはり人間いい目を見た後には悪いことが起こるものか。
人間万事塞翁が馬。人生荒綯える縄の如し。ゴッドスピード浪漫の漢。

と。
アララ(先生) :(詠唱やめ)うわ、弱いサメ……
助かった。
直前に詠唱はストップし、雷撃は放たれること無く収束した。
エステル(後輩) :(良かった……)
アララ(先生) :(そらは晴れた)(頭をかいて)あー。えーと。みんな。
アララ(先生) :もどろっか(照れながら)次はお昼ご飯で。
アララ(先生) :(幼くみえる笑顔をみんなにむけた)
生徒たちはそれぞれの返事をし、今回の小旅行は一応の終了を迎えた。

【旅行講評:キノウツン藩国イベント評論家・ブルー=ラクーン氏】
結局終始アララ先生に振り回されっぱなしであったが、
思い出には残るバカンスであったことだろう。
国許へ帰り同国民たちに土産話をする姿が目に浮かぶようである。
今回のバカンスに登場したアララ・クランは、
式神の城において一度転生することとなったため、
大儀式魔術アイドレス本編では幼い子供として登場している。
だが、小笠原バカンスでは大人の魅力溢れるアララ先生としても登場してもらうことができるのだ。
今回のイベントではそれが功を奏していたということが出来るだろう。
やはり紐水着はBON☆KYU☆BONな女性に着てもらわなければなるまい。
それに子供アララはエステルと嗜好が被ってしまうので幅広いニーズに対応できない。
その点でも今回のバカンスは非常に「男性向け」にバランスのとれたものだったということが出来る。
開放的でおおらか、かつ恥じらいも見せるアララ先生と、
人見知りで引っ込みがち、だが子供らしい無邪気さも見せるエステル。
これは甲乙付けがたい。(何に?)
またプロポーション的にも巨と虚(何のかは決して明かされないだろう)、
これはまさに完全なる一から分かたれた至高の両極、
陰と陽とが相克しお互いを高めあう、これぞまさに男の浪漫!
かような機会に恵まれた参加者たちは、そうそう見つけることは出来ない、
そう私は断言しよう!
反面アララ先生の直接的なお色気描写は女性向きではないと思われるが、
なあにNPCの希望からして男の票が集まった結果、
文句は言われまいて!
水着万歳!ちょっとエッチなハプニング万歳!
(編集部注:ラクーン氏の逮捕直前の評であるため、あえて原文のまま掲載しました)


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引渡し日:2007/



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最終更新:2007年09月25日 12:07