川原雅様からのご依頼品


晋太郎は一人で家に帰っていた。日差しが照りつけていたが、それも気にならないようだった。
先ほどの出来事のことで、彼は怒っていた。

晋太郎は学校で高渡たちと一緒にパスタを作った。ネギが入っているごまだれ冷やしパスタだった。
高渡(晋太郎が好き)はネギがだめだった。自分の分のネギを川原にこっそり処分されようと試みられるほどだった。

現場は晋太郎に抑えられ、ネギは高渡の手元に舞い戻ってきた。
高渡ははんなきだった。
結局、ネギが嫌いと言うことを晋太郎に告げることができずにネギ入りパスタを平らげた。

そして、倒れた。
わざとではない。高渡はそれほどまでにネギが嫌いだった。
晋太郎にネギが嫌いなことを言わなかったのは、高渡が晋太郎を好きだからだった。

そして、高渡は保健室で晋太郎と二人きりになった。気をきかされたのかもしれない。
このとき晋太郎は高渡に隠し事(ネギが嫌い)をされて少し、怒っていた。

少しの会話の後、晋太郎は高渡を気遣って家に送ろうとした。
晋太郎が二人分の荷物をもったところ、高渡に阻止された。
そ、そんな!悪いのは私だから、と遠慮された。
そして、晋太郎は一人で帰ることにした。

家についた晋太郎は料理を作り始めた。
それはもう大量の。

「うわ、兄貴なんだよこの量」
犠牲者(?)予定の弟の光太郎。ふつーに驚く。
「え? ああ、作りすぎちゃった」

量がとてつもなかった。兄と弟の夕食とはとても思えない量だった。
中でもコロッケは見た目が同じだが、実は4種類あった。
カニカマ、卵、普通の、夏野菜。
晋太郎が自らジャガイモを濾して作った4種類のコロッケはとても美味しそうなのだが、
カロリー的に丸くなることは必須だった。多い。とにかく量が多い。

「うそだ、絶対嘘だ!どうすんだよこんなに」
「コウ、育ち盛りだよね」

そんなほのぼのした会話を聞いている人たちがいた。
高渡と川原(付添)。
高渡は今日のことを謝りにきていた。
高渡が千葉昇に助言をもらってここまできたのだった。

高渡は玄関前で聞き耳を立てている。
晋太郎が落ち込んでいることに気付いて、おろおろした。
高渡は晋太郎が落ち込むと、大量の料理を作ることを知っていた。
とりあえず庭に回ると千葉昇が家に入っていくのが見えた。

高渡、意を決してピンポンする。
「あ、兄貴の同級生じゃねえか」光太郎が出てきた。
緊張気味の高渡。

兄貴ー、と光太郎は晋太郎呼ぶ。
晋太郎は風邪だっていって、と玄関にいる光太郎に聞こえるように言った。
高渡は晋太郎がものすごい元気な気がした。実際元気だった。

「いま、千葉さんが来ませんでしたかー?」
川原がぐるぐるしている高渡に代わってそう、聞いてみた。
きてるよ、と答えて打算中の光太郎。
川原に抱きつくように離れる。
「なにやったんだよ、うちの兄貴に」
「あ、そのー・・・たかとさんが怒らせちゃったみたいで」
「うちの兄貴、怒ると3年は……」
高渡は最後にごめんなさいしにきたんだけど…、と付け加えた。
すごい泣きそうな顔で。

光太郎はちょっと考えるとわかったと言って走って家の中に戻った。
「やいやいやい、バカ兄貴、女泣かせてんじゃねえ!」
速攻で殴った。

「僕は別に」
「死ね悪党!」
大ゲンカ勃発。

高渡は素早く靴を脱いで家に入った。律儀にお邪魔します、と言った。
そして二人の間に割り込んで殴られた。
そして晋太郎に顔を殴られて倒れた。


このあと高渡は晋太郎と夏祭りに行くことに成功する。
高渡はすごく嬉しそうだった




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最終更新:2008年01月08日 20:32