榊遊@え~藩国さんからの依頼


耳をひこひことうごかしながら、日向の側を歩きながら、子猫のあごをいじいじとなでる。

 猫が何とも言い難い顔をして、我慢しているのが可愛らしい、いぬだから警戒されるかとも思ったが、別にそんなことはないようだ。

 日向は別段気にすることもなく、すたすたと歩いている。
 「あの、アイドレスって、ご存じですか?」
 榊は、前からの疑問を尋ねた。
 日向は軽く首を振って、否定
「秘密結社みたいだな」

 なんと返したらいいか、まさかゲームでみんながあなたを救うために命をかけたんです。

 そのことをいったらきっと頭の変な人だと思われる気がする、さすがにそれはいやだなあ、少し聞くことを変えてみよう。
 猫の顎から頭に手を写す、耳の間をくりくりといじる

 猫がうんざりとした表情をしていて、何とも可愛い

「金髪の日向さんって、覚えてます? それと戦ったこと」
 日向にとっては、あまり思い出したくないのだろう、けどこれだけは確認しておかなきゃ、そう思ったが
「ああ、俺はそこで殺されたな」

 あっさりといわれて、ぎゃくにあわてる、どうしてしってるんだ? そうききたげな日向に、人づてに聞いたことを伝えると、

 日向の顔がこわばる、ふっと、立ち止まって、こちらを見つめてくる。
 しまった、地雷を踏んだか? 
 どうごまかそうかと考えている、榊の目をすっと、あわせると右のまぶたを閉じた。
「まあ、ゲームの中の話だ」
 ニヒルに帽子を治して歩き出す、格好つけている
「金貰ってゲームというのは、中々いい体験だったが、猫探しのほうが性にあっている」

「………ん、酷い人ですねえ。みんなで頑張って、玄乃丈さんを助けたから、それで私がきたんですよ」

 後ろに来るように歩調を落とす、背の後に指を乗せて押してみる
「しってるよ」
 あ、照れてる、照れてる。
 耳が少し動いた気がする、犬妖精でよかった、ちょっと見えないところが見えてくる。

「で、日向さん、その猫、届けるのが仕事なんですか?」
「笑うなよ、まじめだ。古い仲間に頼まれたんだ」
「探偵としては、至極まっとうなお仕事だと思いますよ? それに、お知り合い………、ご一緒してもよろしいですか?」

 否定も肯定もせずに日向が角を曲がる。
 相変わらず背中を向けている、日向の背につくような感じで歩く。

「面白くない、事はないな。意外に笑える………、戦友に見せてもいい」

 戦友、誰のことだろう? やっぱり金さん? 順番に式神のキャラを数えていくと、交差点を越えた辺りで、日向が向かってる先に気づいた、商店街だ。

 しばし、会話が止まった、何となくすることがないので

「あの、その方はゲームのことはご存じなのですか?」
「? 噂程度にはな」

 日向が立ち止まった、道の先に、二人の男性を連れたペンギンが居た。
 日向がペンギンに子猫を渡す、その瞬間を榊は食い入るように見た。

 あのペンギンの手で、どうやって、つやつやで滑る手であの猫をだくのか、いやそもそも、ペンギンに猫は抱けるのだろうか、やはり小脇に抱えたり、足の間に入れて運んだり………
 想像を絶することではなかったが、確かにペンギンは丁寧に子猫を抱いていた、あんなやり方があるとは
 よけ藩の藩王が居た気がするが、それよりも日向に聞きたいことがある。

「ペンギンさんとのご関係、やっぱり、興味がありますが、探偵には守秘義務がありますから、お聞きしません」
「そんなことを聞きたい訳じゃないだろ、本題をきこう」
 さぐりにはほとんど反応しないで、日向がつっこんでくる、心なしか緊張する

 「・・・後ほねっこ男爵領でお亡くなりになられてから復活されるまで玄乃丈さんの認識ではどういう状況だったのでしょう? ゲームだといっているところから、何かあったわけではないようですが」
 そんなことか、日向は少し気が抜けたような感じがでた
「いや、別に普通に探偵をやっていた。そのあと、破廉恥なカップルが来て、またゲームをしてくださいといってきた」

 それでOKしてここだ、日向の手が軽く地面を示す

 予想より悪くない答えだ
「そうですか、皆様心配していたので、………私もですが」
 少しほほえんで榊は言った、破廉恥なカップルさん、それは
「やはり、不法侵入してイチャイチャしていたんですか?」
 ちょっとたのしそうだなあ、真夜中の探偵事務所で、二人っきり、ふいふいと、耳を動かしながら、榊は想像してみた
「そんなところだ、まあ、夜中に忍び込んでセックスでもしてるかと一瞬どっきりしたが、さすがにそこまでではなかった」

 あっさりと生々しいことを告げる日向にやはり、ゲームとは少し違うなと感じた榊は、コレで全て分かったとうなずく

「不思議なこともあるものですね。、玄乃丈さんが復帰してくださったという事で安心致しました。・・・また会うこともあると思いますので今後ともよろしくお願い致しますわ」

 すっと、美しく頭を下げる
「ん。ああ」
 少し遅れて、日向も軽く頷いたのが、見えた気がする。


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引渡し日 2007/



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最終更新:2007年12月16日 18:35