高原鋼一郎@キノウツン藩国 様からのご依頼品


「犬、でか!!」

 隣の友人が唐突に声を出した。

「どしたの? 急に?」
「いや、アレ、見てみろよ」

 友人の指さす方を見るとでっかい白犬がいた。っていうかデカ! 

「……なによ、あんなのがいるのわかってたらカメラ用意してたのに」

「いやいや、いきなりカメラって、それはマナー違反じゃないか」

 友人の言葉は聞き流し、その犬を見る。犬にもたれている少女の持ち犬なのだろうか? なんか少女もボーとしてるし、何か気になるなぁ

「あ、連れがいたみたいだな」

 友人の言葉通りにラブラブカップルとその子供らしい男の子が犬と少女に近づいてきて何か話しかけている。

「子供って……あれは別に子供じゃないんじゃないか」

「……なんで、そんなことあんたにわかんのよ?」

「いや、だって似てないし、子供の前でラブラブしないでしょ」

 ん、確かに、奥さんの方がキスして子供は相変わらずな二人とジト目で見てるカンジよね。

「あ、指輪見せてる。あれはきっと新婚さんよね。ラブラブってカンジだし。あ、でもそのうち倦怠期に入ったり子供産んだり、子供が反抗期迎えたり」

「って、一体どこまで小笠原するんですか」

 友人のつっこみ気にせずに、ジッと見つめていると少女が目が覚めたかのように急に叫んだ。

「おお。なんか、頭のもやが溶けて。忘れかけていた美少女への情熱が戻ってきたー!」

 少女は急に元気になり、子供な男の子と話している。


「なに? あれはいわゆる片思いなロンリーボーイ?」

「って何勝手に分析して、あだ名つけてるんですか? ってゆうか、好きだねそういうの」

 友人の言葉をスルーして観察。きっとロンリーボーイは犬使いな少女に一目ぼれしてサーカスの弟子入りの為に日々特訓をしてるのネ。

「……無視っていうかそういうのってつらいよなぁー」

 友人がなんか呟いているのはまたもやスルー。


「あ、動き始めた。追うわよ」

「……ってなんで追うの!」

 友人スルーで土産物屋に入っていったカップル新婚ズと犬使い少女と犬とロンリーボーイのに気付かれないように逆側から土産物屋にこそっと入ることにした。

「私に、貴方以上の何が必要だと思って?」

 カップル奥さんの声が聞こえた。っていうか、 仲いいわね。

「まあ、何か家に飾る小物とか欲しいなと思ってはいました」

 カップル夫の声。うん、やっぱり新婚さんでしょ、これは。

「はぁ、色々考えて誘ったのになぁ」

 ……友人がなんか呟いてるけどこれもスルー。誘われて小笠原には風景撮りに来ただけだけど、こんな面白ネタ放っておく手はないわ。

「コガの首につけたら涼しいかな」

 犬使いの少女はイルカ風鈴を見て呟いてる。あの犬はコガって名前なのね。

「火焔さんは何か欲しいものありますか?」

 ロンリーボーイが少女に話しかけてる。うん、さっきから少女もとい火焔少女ばっか見てるみたい。やっぱり片思いでロンリーボーイね。

「……あんまり、ここにいて気づかれるのもなんなんで、外で様子見ません? 店員さんが気づいたらこっちにも話しかけてきて面倒になりますよ」

 友人の言葉にも一理あるので一旦店から離れることにした。コガは外にいるし、感が良い人いたらバレるだろうしね。

 店から少し離れた場所で様子を見ていると、ロンリーボーイが火焔ちゃんに何か買ってあげてるのが見えた。カメラ持ってたら望遠で何買ってあげてるのか見えたんだけどなぁ。

「あ、犬が……」

 犬使い少女火焔にコガが追いかけられまくっている。火焔少女の手を見ると紐とペナントがある。どうもあれをコガに付けようとしている様子。

「待てぇー、コガー!」

「おおーい、お昼にしますよー!」

 ロンリーボーイの言葉もなんのその、火焔少女はコガへと疾走! 嫌がるコガも大疾走!! 


「あれは、早くて追いかけれないなぁ」

 ついでにカメラ持ってきてないしなぁ。

「しくしく、所でそろそろ僕らもお昼にしませんか」

「う~ん、風景じゃなくて、しばらく小笠原で面白観光客を撮りまくるのもいいかも」

 友人の言葉スルーで考え込む。お昼かぁ、何食べようかなぁ。


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引渡し日:2007/10

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最終更新:2007年10月11日 20:07