むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様からのご依頼品


 幸せは小さなつみかさね





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 大好きな人の匂い、大好きな人のぬくもり。

 元気になってよかった、またこうしてぎゅーぎゅー抱き合えて本当に良かった。


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 しばらく寄り添いながら仔猫達のヤンチャぶりを堪能してから数時間後。

 むつきはカールと共に外に出ていた。藩国の友人達へのおすそわけのパウンドケーキを届けに行った帰りだ。ブラウとブルはどうしようかと考えた末、出かける時に軽く羽織った上着のポケットに。カールがブラウ、むつきがブルを入れて連れて行く事にした。仔猫達はみゃーみゃー最初はけたたましかったが、ねずみのおもちゃを与えるとがじがじかじっておとなしくなった。

  2人でこうしてのんびり歩くのも随分久しぶりかもしれない。体調を崩していたせいもあるけれど、元気なうちは元気なうちで藩国の事とか、戦争とかでバタバタしていてのんびりどころではなかったから。乾いた風と照りつける太陽も、どこか心地よかった。

 友人達の喜ぶ顔を思い出し、顔をほころばせながら。帰る足で夕飯の材料を求め市場に向かう事にした。

 さすが夕飯時なだけあって市場は賑わいを見せていた。仔猫達は魚屋の前を通るとみゃーみゃー再びけたたましく鳴いていたが。まだ3ヶ月の子達に魚は早いだろうから我慢して貰う事にし、替わりに果物屋でキウイを買い、与えてやった。ブラウとブルはそれに鼻をヒクヒクさせながらごろんちょした。

「凄いな、散々暴れてたのに」

 カールは自身の上着のポケットの中でキウイを弄ぶブラウを軽くつつきながら呟くのをむつきは苦笑しながら答えた。

「うん。キウイってマタタビと種類同じだからマタタビみたいになるかなぁ、て思って」

 ブラウと同じくキウイで遊ぶブルを指でそっと撫でてやりながら、むつきは夫と腕を組んで八百屋で野菜を見繕う事にした。腕を組むのは、イチャつきたいのもあるけれど何分人が多いからうっかりはぐれない為も兼ねている。

 艶々した野菜を手に取り晩ご飯のレシピを頭で組み立てていると、両親と手を繋いではしゃぐ子供が目に入り。むつきは目を細めた。

『そろそろ子供作りませんか?』

 数時間前、自宅でした会話が頭の中で再生され。ちょっと照れ臭くなった。

「ねえ、カール。私達の子供、どんな子になるのかな?」
「また、早い話だな」
「にゃー・・・・・・、確かにそうですけどー。想像くらいしたっていいじゃない」

 視線の先の子供は母親の手を離すと父親に抱えられ肩車をされてきゃっきゃと喜んでいる。

「男の子だったらカールみたいに戦闘機が好きな子になるのかな」

 むつきの頭の中に、度々自宅に遊びに来ては夫と戦闘機の話をして帰って行く少年が思い浮かんだ。

「じゃあ、女の子だったらお前みたいになるのか?」
「体調崩しやすいところとか似ないといいんだけど」

 ウチの子になるのは男の子かしら、それとも女の子?
 双子かもしれないし、三つ子かもしれない。
 ああ、でも男の子でも女の子でも。1人でも子沢山でも可愛いウチの家族になるのだ。

「生まれてくる子は、あなた達の弟か妹になるんだからね。生まれてきた時は、一緒に遊んであげてね」

 キウイにごろんちょして、いつの間にか眠ってしまったブルに小さく囁いて。カールと目を合わせ、一緒に笑った。

「今晩の用意買い終えたら一応おもちゃ屋にも行ってみるか?」
「カールだって気が早いじゃない。ちょっと荷物になるかもだから、また明日にしましょ?」
「2匹に作ったみたいに作ってみるのも悪くないかもな」
「うん、じゃあ赤ちゃんのお洋服にも挑戦しましょうか」


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 本当に、本当にまだ先になるだろうけど。

 こうやって、また貴方と幸せを少しずつ少しずつ積み重ねていけたらいいな。なんて。



作品への一言コメント

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  • 素敵なお話しをありがとうございます。うちのにゃんこかわいいよかわいいよ(おやばか)。ものすごく照れますが、こんな風に暮らしていたら幸せだなあ、と思いました。  -- むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦 (2010-03-28 21:02:17)
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ご発注元:むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様
http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=2572&type=2516&space=15&no=


引渡し日:2010/03/28


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最終更新:2010年03月28日 21:02