蒼のあおひと@海法よけ藩国様からのご依頼品
『ナースVSナース! 宰相府夢の頂上決戦!』
作:1100230:玄霧弦耶
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熱砂の匂いがする砂漠の国、宰相府。
だが、今は熱砂の匂いよりも強烈な香りが立ち込めていた・・・
………
……
…
「さすが、メイドイン・ジャパンなだけあるわね」
「そちらも、なかなかのクオリティですよ」
忠孝と空麟眼が顔の高さで手を組みあい、対峙している。
顔が、近い。
すでに二人のナース姿の名残はナースキャップとスカートを残すのみである。
二人の背中に、鬼の顔が浮かび、しっとりと汗ばむ。
そんな(一般的には)地獄絵図を、きらきらした瞳で眺める女が一人。
蒼のあおひとであった。
気分的にはそもそも前だけスーツの時点で最高だったが、そこに久方ぶりの高機動善行発動。
その上、相手の空麟眼まで脛毛完備ということもあり、もう極楽であった。
ちなみに、子供たちは柘榴先導の元、かなり離れて昼食をとっている。
他人の振りを決め込む事にしたようだ。
「ブランクがあるという話だったけど、やるじゃない」
楽しそうに、空麟眼が言う。
「久方ぶりでしたけど、やっぱり、今でもいけますね」
ノリノリで、忠孝が答える。
相変わらず手を組み合いつつ、そんなやり取りをして二人してニヤリと笑う。
やはりどうみても、地獄絵図である。
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そんな時間が10分近く過ぎた頃、場が、動いた。
二人のナースが、がっしりと組み合っていた両手を同じタイミングではずしたのだ。
距離をとって対峙する。その距離、10m。両者の間合いが触れ合う距離である。
(注記:何の間合いかは二人にしか分からない)
「力比べは同等、といったところね」と、空麟眼。
「ええ・・・癪ですが、認めざるをえませんね」と、忠孝。
次の瞬間、二人は飛んだ。
壁を蹴り、屋根をかけ、宙を舞う。
力比べから、機動戦へ。平面の戦いから、三次元戦闘へ。
そして、被害の拡大へ。
学校中で巻き起こる悲鳴、逃げ惑う足音、倒れる人々。
そんな中、ナースの二人は
「ついてこれるとは驚きね」
「いえいえ、まだまだこれからですよ」
と、やっぱりノリノリであった。
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そして更に数分後。
すでにナースキャップを被っただけの二人が、あおひとの前に佇んでいた。
カットされた間の出来事を、語るものはいない。
あえてここに書くとすれば。気を失っていた人々がもう一度気を失ったとだけ、書こう。
閑話休題。
佇む二人の間は、相変わらず10m。間合いである。
フッ、と空麟眼が笑う。
忠孝が、崩れ落ちた。
「私の勝ちね。高機動善行」
膝を突きながら、忠孝がニヤリと笑う。
「いいえ、私の勝ちですよ」
空麟眼のナースキャップが、弾けた。
「ナースの魂というべきナースキャップを失った貴方に、勝利はありません」
「そうね・・・私の負けよ。流石だわ」
どこかから『えっ、これそういう勝負だったの?』という声があがったが、二人は盛大に無視した。
背を向けて去ってゆく空麟眼に、忠孝が声をかける。
「行くのですか」
「ええ。また、会うこともあるかも知れないわね」
「金輪際勘弁願いたいですね」
その言葉に楽しそうに笑いながら、空麟眼は振り向き、言った。
「私は高機動クーリンの中でも一番の小物。必ずや第二第三の私が」
「そういうのは、番長だけでいいですから」
こうして、戦いは終った。
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すがすがしい顔で、高機動善行もとい蒼の忠孝があおひとの元に戻る。
ほぼ全裸だった姿はいつの間にか、ナース服をピシッと着こなしている。
「いやぁ、なかなかの強敵でした」
「凄かったです!もうほんと、最高でした!」
既に回りは気絶した人か家族しかいないため、人目を憚らずキャッキャするあおひと。
そして、両親の姿を見て、(いつの間にか戻ってきた翡翠も含め)微笑む子供たち。
柘榴あたりはぶつぶつと「僕はならないぞ。ならないんだ・・・」と言っていたが、ほかはおおむね、楽しんだ(?)ようだ。
本当に楽しんだかは疑問だが。
ふいに、何かを思い出したコーラルが声を上げた。
「ところで、おとうさん、おかあさん。これ、どうするんですか?」
あたりを指差す。もちろん、泡を吹いて倒れていたりしている人々をさしている。
時間がたったからか、ざわざわと人だかりが出来てきた。
「忠孝さん」
「ええ、みんな、いきますよ」
言うが早いか、あおひととひなぎくを抱えて忠孝が飛ぶ。
翡翠に至ってはとっくの昔にテレポートしている。
「絶対、絶対だからね!」
「そうですよ、絶対ですからね!」
「じゃあ、そういうことで」
順に、ひなぎく、あおひと、忠孝が柘榴とコーラルに叫び、飛び去る。
後には、阿鼻叫喚の図と、柘榴・コーラルだけが残った。
「僕は、あんなふうにはならないからな!」
と、叫ぶ柘榴を眺めながら、コーラルはこの状況をどう説明するかを考えていた。
とりあえず、『敵襲を柘榴が撃退した』という事に決めたコーラルは、一言つぶやいた。
「ともかく、指揮官をなだめるところから、かな」
なんとも微妙な顔をしていたが、どこか楽しそうなコーラルであった。
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おまけ。
「ナース空麟眼がやられたそうよ」
「ふっ、やはりね。やつは我らの中で一番の小物」
「次は私に行かせて貰うわよ」
「貴方は・・・バニー空燐願!」
「そうね、貴方なら・・・」
「期待しているわよ」
「そう、我ら・・・」
『高機動クーリンガンの名の下に!』
次回、ナースVSバニー 高機動頂上決戦にご期待下さい!
なお、この番組予告は嘘が99%であり、実現の可能性は極めて低いことをご了承下さい。
って言うか実現したら恐ろしいと思います、まる
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引渡し日:2010/01/02
最終更新:2010年01月02日 17:44