風野緋璃@宰相府藩国様からのご依頼品


ニャンズとロボと夫婦



”ニャーンでゆ”
”ニャー”
”ちゃっちゃっちゃ”


リズムだ、リズムを掴め。ダンスはリズムだ。
自分の心臓の音を聞け。呼吸をあわせろ。

”にゃーんでゆ”
”にゃー”

”ロボットの猫じゃらしに注目するな。今やるべきことをしろ”

”でも猫なんでゆ”
”猫ですー”

”……”

ママに見せようとニャンコダンスを踊る練習をしている子猫二匹とペンギンとロボット






 宰相府藩国に一軒の家がある。大きな樹の横に建てられたその家にはたくさんの本と機械。そしてそこには女とペンギンと猫とロボットが住んでいました。

「ママを驚かせるでゆ」

「ですー」

「なのでパパ、教えてくださいでゆ」

「教えてくださいですー」

 二匹のにゃんこ、つまりアリアとネーヴェはそう鳴いた。ペンギンににゃんこーずの潤んだ目が注目する。

「……ダンスの道は険しい。おまえたちには無理だ」

「そんなことないでゆ」

「そうですー」

 ハードボイルドペンギンは溜息をついた。

「パパー、ダディー、オヤジー、チチー」

「教えてくださいですー」

「……オヤジはやめろ」

 ペンギンは「長くなるな」と呟くと懐からタバコを取り出し……かけてやめた。








 エンジニアの家、そう呼ばれる家の中はいつもより少しだけそう、少しだけ騒がしかった。


「ニャーンでゆ」

「ニャーー」


 ちゃっちゃっちゃ

 踊るペンギンロボに合わせて動くアリアとネーヴェ。





ペンギンロボットが右に行けばアリアとネーヴェも右に

ペンギンロボットが左に行けばアリアとネーヴェも左に


ペンギンロボットがその場でクルクル三回転すればアリアとネーヴェもクルクル二回転

ペンギンロボットが前に出ればアリアとネーヴェは座り込む




「ニャー」

「ニャー」

「……飽きたか」









 赤い屋根、真っ白な壁のそのお家の中では今日もちゃっちゃっちゃとペンギンロボットの踊る音がします。


「ニャーでゆ」

「ニャーですー」

 ちゃっちゃっちゃ

 ペンギンロボットの持っている猫じゃらしに合わせて踊るにゃんこーず。






ペンギンロボットが右に行けばアリアとネーヴェも右に揺れる

ペンギンロボットが左に行けばアリアとネーヴェも左に揺れる


ペンギンロボットがその場でクルクル三回転すればアリアとネーヴェもねこじゃらしを追って目をクルクルさせる

ペンギンロボットが前に出ればアリアとネーヴェもねこじゃらしを追って一歩前に進む






「……ダンスはムリ、だな」






足を踏ん張れ、足を踏ん張れ、歌い終わるまでな。
歌う時は盛大に鳴け。近所迷惑? うるさい? そんな言葉に従うような大人になるな。
反逆しろ。お前たちは猫だ。猫が人に従う道理はない。
反逆しろ。お前たちが好かれたい者のためにも格好よく。
結果を考えるな。勝つ時もあれば負ける時もある。それが歌だ。
天が決めたルールでも気に入らないのなら、わが道を通せ。勝つか負けるかはその後だ



「にゃー!」

「にゃー!」



ちゃっちゃちゃーちゃー ちゃっちゃちゃー♪


にゃーにゃー、にゃのにゃーにゃー

にゃにゃにゃーのにゃーのにゃーにゃーにゃー
にゃんにゃんにゃー、にゃーにゃーにゃんにゃー

にゃんにゃーにゃー にゃーにゃんにゃー
にゃ、にゃーにゃーにゃー
にゃうんにゃー、にゃんにゃんにゃー

にゃー、にゃ、にゃーにゃーにゃー

にゃにゃにゃー にゃ、にゃにゃん

にゃーにゃー にゃ、にゃーにゃーにゃー

にゃ、にゃん にゃにゃー にゃにゃにゃー
にゃごにゃーにゃー にゃごにゃー

にゃん にゃー にゃーにゃ

にゃにゃにゃ にゃー
にゃにゃ

にゃにゃにゃにゃー

にゃごにゃにゃにゃー

にゃんにゃんにゃんにゃんにゃー

にゃんにゃにゃー、にゃー
にゃんにゃんにゃーん
にゃんにゃんにゃー
にゃにゃにゃ、にゃ

にゃにゃんにゃんにゃん
にゃんにゃ

にゃーんにゃーんにゃー

にゃーんにゃーんにゃー




#猫語翻訳版




それはにゃんこの正義のお話

絶望と悲しみに人が包まれた時
にゃんこ達の中から生まれ出た

人を友とし 友を人とし
情で編んだ鎖を握り
じゃらしで鍛えたニャンコパンチを振るう

どこかの誰かの未来のために

心に希望を 家に夢を置き

われらは そう やりたい事をするために

それは子猫のころに聞いた話 誰もが笑うおとぎ話
でもままは笑わない ままは信じぬく

みんなの横顔を見ているから

幸せの未来への階段を駆け上がる
今を信じぬく

みんなの作る未来目指し

ままの差し出す手を取って

みんなで一緒に駆けあがろう


幾千万の世界を超えようと
運命の枝に打ち勝とう
どこかの誰でもなく未来のために
希望を歌おう

どこかの誰の為にも
この歌を歌おう

にゃーんにゃーんにゃー

にゃーんにゃーんにゃー






 ペンギンはにゃにゃと喜ぶアリアとネーヴェ、祝福の踊りを踊るペンギンロボットを順番に見た後、言った。

「まぁ、こんなところだな」

「わーい、ごうかくでゆ」

「ごうかくですー」







アリアとネーヴェの日常



 お日様ポカポカ、陽気で呑気な昼気分。


 アリアとネーヴェは今日、冒険に出る決意をしていた。


「ぼうけんですでゆ」

「ぼーけんですー」


 二匹が今日、冒険をする事を決めたのに深い意味はあった。今日はペンギンもままもいないのである。二人は今日、砂漠の方へ”りょこう”に出かけている。

 その為、アリアとネーヴェは今日こそはと決めていたわけではないが、気になっていた場所へ向かう事にした。


「かいだんでゆ」

「かいだんですー」


 二人が向かった先は二階へと続く階段であった。今までに二階へ上がった事がない訳ではない。しかし、二階には二人が気になる部屋があった。

家にお客さんがやって来た時にその部屋からいつも不思議なにおいがしてくるのである。

お客さんがいない時でも時折その不思議なにおいはする。しかし、お客さんがやってくるとかならずそこで不思議なにおいがする事をにゃんずは発見した。しかし、お客さんがいる時、アリアとネーヴェはいつも一階に連れてかれる。

「なので、そのおへやをぼうけんするでゆ」

「ぼーけんですですー」


そんな二匹の前に立ちふさがるのは大きな階段である。階段が何段あるのかもわからない。しかし……。

「みちへのこうきしんにはかてないとゆうでゆ」

「のぼるものがあるならばのぼるのがねこですー」

 お喋りしながら階段の方へと向かうアリアとネーヴァ。

「ままもぼうけんしたときいたことあゆでゆ」

「しょうらいのためにぼうけんですー」

 仲良く階段まで歩くアリアとネーヴァ。

「のぼるでゆ……」

「のぼるですー……」








お休みスヤスヤアリアとネーヴェ。


今日は今日でお休みタイム。



「ただいまー、アリア、ネーヴァいい子にしてた?」


明日は明日でお休みタイム。



「あれ? アリア、ネーヴェ?」



昨日ももちろんお休みタイム。


「……階段前で寝ているな」


良い子は寝て育つ。




















「にゃ?」

「にゃー……」


「あ、おはようアリア」

「にゃにゃー」
#「あ、ままー、おはようでゆ」

「……」(ハードボイルドペンギン)

「スー」(ネーヴェ)

「にゃにゃにゃ?」
#「あ……このにおいはなんでゆか?」


「ん? どうしたのアリア?」

「お茶が気になるらしい」

「ごめんね。アリア、これ暑いから飲めないと思う」

「にゃにゃにゃう?」
#「ダメなのでゆか?」


「……飲みたいらしいな」

「うん。子猫用のお茶も入手した方がいいかも……」

「スー……」



 アリアとネーヴェの日常 終わり







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引渡し日:2009/05/13


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最終更新:2009年04月05日 22:56