NO.50 くまさんからの依頼



小笠原……鍋にとって馴染み深い場所である。なんといっても、小笠原分校を公共事業として受け、完成させたのは鍋の国である。そしてアイドレスが終了する際に鍋の岩田が復活。イワッチ大好きっ子三人衆やっと小笠原に参加できることになったのである。

 今回小笠原に出発するのは鍋のおとーさんの藤崎おとーさんと鍋の国では護民官ガールとして有名なくまお嬢さんである。出発が決定した後、二人はしっかりと小笠原旅行計画を練った。やっと会えるイワッチなのである。ああ、イワッチ、イワッチと巡るメイクラブ……と思ったのかどうかはわからないが、二人がはりきっていたのは確かな話である。

「ふ~ん、コーチとくまねぇさん、小笠原でバカンスかぁ」

「バカンス……というかコントでもしにいきそうなカンジじゃないのかしらねぇ?」

「まぁ、なんにしても帰還鍋だよな」

 鍋の国は相変わらずのほほんとしているのであった。いちおう、なんだかんだとハプニングとかサプライズとか鍋具ゲットとかアイドレスでは色々あったんだけどねぇ


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「くっくっく、さて、サプライズパーティの開始ですね、さて始めますか」

 その男の笑いは見る者によってはとても愉快なように、また別の者には悲しげな笑顔に見えるのであった。男は電話ボックスなどの位置を再確認した後、聞こえてきた声に静かに耳を傾けた。


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 電話ボックスに気づいた男女が電話ボックスに近づく、傍目から見ると一瞬カップルか? と思うかもしれない。しかし、よく見るとカップルという初々しい関係、ラブラブな関係のように手をつなごうとしたり、互いの視線が合って恥ずかしがるような素振りもなく、ただ、同士のように仲良く歩いて来た。

 予想通りに似合っている水着を見つめ、以前の私ならばクルクル回ってブリリアントでエレガントな登場を……とふと思ってしまった彼は昔の約束と想いを胸に秘めつつ行動を開始した。

 電話ボックスに近づいた男は受話器を取ると女にも聞こえるように二人の間に受話器を持っていき、音量を上げた。女はなんだかなーという風に気が抜けたようなのがココからでも見える。男の自慢そうなセリフが聞こえていなくてもとても自慢そうなえっへんブリに知らず微笑みを浮かべつつも彼は行動を開始した。

「こ、こらー!隠れてないででてこーい!」

 女が叫んだ声が周りに響く。しばらく応答した後に電話ボックスを蹴りつける女を見、ああ、私はこれはこれで楽しんでいますよ……と彼はひそかに想いつつも、心のどこかでは正面に出れない事……もとい、出るべきでないとはいえ、二人が小笠原ライフをエンジョイできるようにと想った。

 彼の作戦通りに反応してくれる二人を眺めつつも、彼は嘘の中にほのかな真実を口にし、二人の行動を楽しく見ていた。そんな心の油断からか二人に見つかる彼。彼は何もかもを隠した。

「ククク、騙されましたね?」

 彼は色んな嘘をつきつつも、後、どれだけ……いや約束を……と思い、そして男と女と彼の小笠原は一旦幕を閉じるのであった。


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最終更新:2007年10月18日 20:27