矢上ミサ@鍋の国さんからのご依頼品


夕飯時の平和な食卓

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つかの間の平和な日々
腕によりをかけて作った料理
嬉しそうに食べる相手がいるからこその幸せ
『夕飯時の平和な食卓』
全ては愛おしい彼の為に

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食卓にはすでに料理が並べられ美味しそうな湯気を漂わせていた。
キミは満足そうに頷いて
「ごはんだよーごはんー」
と必ずどこかで聞いている彼に向って声をかけた。気がつくとすでに彼は食卓の前に立って、楽しそうに料理を眺めていた。
「和食はそのうちね」
「ああ」
とキミがニコニコしながら席についた。そして、彼が一言
「どこで買ってきたんだ?」
キミは少しむっとして笑いながら
「冗談なら許したげる」
彼は目を彷徨わせて
「怒れ! …愛してる」
と言うとキミはまんざらでもないように条件をだした。
「んー」
「まあ、嫌いなもの入ってても全部食べたらそれでよしとするー」
彼は頷きながら
「俺が食べれないものは意外にあるぞ」
「そうなの?何が嫌い?」
「カリフラワーとブロッコリー、パセリあとパクチー」
「よし、残さず食べるといいよ」
と野菜のチーズ焼きの具材のなかにブロッコリーがバッチリ入れていたのだった。
キミは彼の目を彷徨わせている姿をみて嬉しそうに笑うと彼は苦笑いをして
「ま、この歳なら食えるかもな。知恵者がうらやましい」
「泣くほどいやだったらおいといて。私があとで食べるから」
彼は神妙な顔をして
「泣くほどじゃないな。マヨネーズを死ぬほどかけるくらいで・・・」
「あ、そうなんだ。うん、それマヨネーズ結構入ってるから、食べやすいかもね」
「ああ。知恵者は何でも食べれる。嫌味なくらいに」
「嫌味って!?」
というと野菜のチーズ焼きに箸を伸ばし、食べ始めた。そして、不思議そうな顔をして微笑んだ。
「意外だな。拍手していいか?」
キミは得意げに胸を反らせて
「あはは、盛大にするといいよ」
彼は複雑な顔をしながら小さく拍手をし、一言呟いた。
「意外に俺は幸せじゃないか」
「よかったじゃない」
と嬉しそうに彼の食べている姿を見ながらキミは言葉を繋いだ。
「私ももともとブロッコリーとか好きじゃなかったからねー」
「反対にあんたの好きな食べ物ってなに?私のレパートリー増やすのに協力してよ」
彼は箸を止めて少し考えながら
「そりゃもう……鮭だろ、次に蕎麦だ。しゃぶしゃぶもいいな…。あとはトマトだな トマト」
キミはフムフムと彼の言葉を覚えながら
「トマトは生に限るとか言わなければ、なんか新しいのに挑戦してみよっと」
というと彼は
「ピザも好きだぞ」
と箸をとり、再び食事を始めた。キミは少し笑って
「ピザかー、なんか面白いね、なんとなくだけどね」
そう、キミがピザのトッピングを考えていると
「おかわり」
と言う声が聞こえた。意外な一言にキミは
「お、がんばるのね、ムリしなくていいのよ」
彼はお椀を受け取りながら
「じつのところそろそろお前が食事もってくるとおもって、腹をすかせていた」
キミは彼のそういった所が嬉しくて
「あは、ありがと」
「でもわたし気まぐれよ?タイミング外すとつらいよ?」
彼は少しむきになって
「本当だぞ」
「うん、そこはちっとも疑ってない。」
彼は複雑そうな顔をして
「外すか・・・」
「結構あてる自信あるんだが」
「例えば次は……なんでもない」
キミは何時になく饒舌な彼をみて嬉しく思いながら
「ん?言ってみるといいのよ。次。」
「あたってたからって変更したりはしないから安心して」
「ちなみに当てられるという予感もあるので実は地味にくやしい」
「ソレが結構楽しいし嬉しいからいいんだけど。」
というと彼は盛大に照れながら
「結婚式の前に何か」
というと、今度はキミが盛大に照れた。そんなキミを見た彼は
「あら。はずれた・・・すまん。ああ、いや」
「すまん・・・・・・」
と言い訳している間にキミは恥かしさを誤魔化す為に机の下に潜り込んだ。
「悪かった。嘘だ。俺のやりたいことでした」
と言うとキミは机から顔をだして彼を見上げてにっこりと微笑んだ。
彼は一手先ではなく、二手先を読んだのだった。
ただ、彼が自分と同じ未来を考えてくれていたのだという事実がとても嬉しかったのだった。今日はとても良い日とキミは思わずにはいられなかった。

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作品への一言コメント

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  • お忙しい中ありがとうございました!なんだか不思議で面白い視点のSSで新鮮でした。かわいらしく書いてくださってありがとうございましたー+.ヾ(´∀`*)ノ。+.゚ -- ミサ@鍋 (2008-08-01 02:15:59)
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引渡し日:2008/07/31


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最終更新:2008年08月01日 02:15