月光ほろほろ@たけきの藩国様からのご依頼品


 太陽の下で素敵なランチを

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 たけきの藩国は、たけきのこ女王が治める帝國に属する藩国である。
 そして、眼鏡と褌とソックスハンターと。国民的には認めたくないのだが、恋愛に呪われた国家として知られている。
 恋した相手が悪いのか。駆け引きの読みが甘いのか。ACEやPCに落度がなくともトラブルが足を生やしてやって来るのか。
 ともかく、この藩国の人間は何故か恋愛苦戦者が多かった。本当に、何か憑いているんじゃなかろうか、て感じである。
 そんな国に1人の男がいた。
 もしかしたら、この訳の分からない呪いの突破口になるやも知れない。そう国民達から熱い期待を寄せられている男が。


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 月光ほろほろが夏の園からたけきの藩国に戻って来た時。顔がとけていた。気のせいか体中から湯気が立ち上っていたりもする。
 うわ、凄い締まりがない。
 誰かからのツッコミが振って来たが、月光には聞こえなかった。

 一旦政庁城に顔を出して雑務をこなしてから、すぐ自宅に戻る事にした。
 今日の夕飯は味の薄いものにしよう。酒は………癖のない日本酒。
 家の残り物で今晩の献立を考えていると、夏の園で食べたサンドイッチの味を思い出して、唾液で口の中が満たされていくのを感じた。あの甘さを抑えた柑橘系のジュースの味も。
 美味しいものを食べた時、何故かはっきりとその時の光景を思い出せるのが不思議だ。

 そして、自分にご馳走してくれた素敵な女性の事も。
 米が主食のたけきのだと新鮮なサンドイッチの味と一緒にはっきりと思い出せた。
 エキゾチックで豊満な肢体に、汚れを知らない純真な心の女性。
 太陽のように、温かで眩しい人。

「まだ、会ってそんなになってないのになぁ……」
 目元が垂れ下がるのを、何とか耐えてみる。また知り合いに遭遇してからかわれたら敵わない。

『また、あってくれたら・・・きっとつぶさなくても、笑えるデス』

 深くて、しなやかな綺麗な褐色の肌。彼女はその肌の事を海だと目立たなくていいと言っていたのが、妙に引っかかったのを覚えている。
 彼女が誰にどんな事を言われたのか分からない。多分触れられたくない事だろうから、自分からその事は突っ込まない方がいいのだろう。
 でも、彼女のふと漏らした言葉で。心から彼女を守りたいと思ったのも、彼女のあの笑顔を阻害する全てをつぶしたい。そう思ったのも、紛れもない事実だった。 

 繰り返すようだが、まだ出会って本当に間もないけれど。あの夏の園での出来事が、脳裏にはっきりと焼き付いている。

ヤバい、前より好きになったかもしれない。

 そして、あの時の彼女の戸惑いも。かろうじてリードできていたとは言え緊張で手に汗握って内心テンパりまくっていた自分自身の事も。

 たしかに自分の為にドギマギしてくれるのも、ちょっとだけ嬉しいけれど。
 できれば次は、もっとお互い。自然に振る舞えたらいいと思う。

 その為にも、もっと交流を重ねよう。

 次は、どこでどんな事をしようか。
 その時、彼女はまた新しい表情を見せてくれたらいいな。

 また、夏の園で会った女性を想いながら。月光は再び夕飯について考えた。

 あ、ヨーコさんもしウチの国来たら気に入ってくれるかなぁ。ウチ、米とじゃがいも豊富だけど彼女だったらどんなもの作るのかなぁ。

 少々、気が早いけれど遠くない未来を想像しながら。


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作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)

  • 心をそのまま読まれたような感覚です。感応系能力者?ありがとうございましたー -- 月光ほろほろ (2008-06-23 22:44:23)
  • いえいえ、そのような技能は・・・・・(笑い -- 芹沢琴 (2008-06-25 08:02:07)
  • あ、間違えた。喜んでもらえる事が1番嬉しいです。感想ありがとうございました、ヨーコさんとの進展お祈りしています -- 芹沢琴 (2008-06-25 08:03:43)
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最終更新:2008年06月25日 08:03