ジャバニーズ誕生の軌跡



「フ~ム、ヤハリ新型ニハどりるデショウ、どりるニシタ方ガオ洒落デスヨネ~?」
「こいつにドリル系のオプションないの!? ドリルミサイルとか、ドリルバズーカとか、いっその事ドリルアームとか~!」

どげしどげし。
鉄拳制裁。
懲りずに血の海に沈められるホードーと真輝。  200807XX




第一章 ジャバニーズの母体機たち



バーミーズ開発の影でいくつか日の目を見なかった機体が存在する。
それらは採算が合わなかったために採用が見送られたり、致命的な問題を抱えて使い物にならなかったりした物だ。
バーミーズ開発権は藩王の衝動買いだったが、それを聞きつけた藩士の間で各自主義主張を張り合うようにプランを提出した為に国内でトライアルが起きたのである。
結局、バーミーズはそれらトライアル機から良い所取りしてサターン藩王が手ずから図面を引いた。
こうして正式作用されたバーミーズが就役するとかつてのバーミーズ・トライアル機はAnotherバーミーズとして商藩国のID開発室に眠ることになった。。
以下に簡単に紹介しよう。


○アナザーバーミーズ

~開発コードスプリンター開発時にトライアルとして提出された試作機の数々~

01 多脚型:
のっけからこのアイディアが上がってくる所にこの国の色物具合が出ている。
砂漠を走破するためのアイディアなのだが移動が遅いのと、他の地形への適正が低い事から不採用にされる。
当然のようにドリル装備だったが誰も疑問を投げかける者は居なかった。
ちなみにナニワの自走対空砲はこのタイプの技術が流用され、実際に就役している。

02 四足型:
四足の上に胴体部が載り、両手を持つケンタウルスの様なタイプ。
機構上機体が巨大化してしまい、隠れるのが困難なのが難点。
伏せている格好が非常に愛らしかったが偵察機には不向きと判断、不採用となった。

03 蜘蛛足型:
上半身が360度回転してどちらの方から攻撃を受けても対応できると言うのがこのタイプ。
断崖に貼り付けるという特技を持っていた。
近寄った際に見つかって格闘戦を仕掛けられると対処できない為不採用となった。

04 バーニア駆動型(ジャバニーズ・アーキー)
後にジャバニーズと呼ばれる機体の原型。
加速性、機動力は素晴らしいものを持っていたがいかんせんバーニアの燃焼音がうるさく隠密とは無縁の存在。
両手両足を切り離して高速モードに変形できると言う機能があったが量産化する際に資源の消費が馬鹿にならないと封印された。
拳にバリアをはって格闘戦闘をやりたかったとは開発提案者の言。
 隠密性の観点から当然不採用。

05 ホバー型:
正確にはホバーと二足歩行を併用して悪路を踏破する設計の機体。
ホバーの轟音を逆波形の干渉波を出して中和する事で規定値をクリアしてのけた恐ろしい機体。
十分な砂対策、塩対策が確立できず部品しか作られていないため実機が存在しない。
この機体の検討結果は遠征時のカスタムに一役買っている。

06 鉤爪型(バーミーズ・アーキー):
驚くべき事に歩行試験用はセンサーが未搭載でバーミーズのような不気味な外観ではなかった。
更に驚くべき事にこの機体にははじめからドリルの採用は考えられていなかった。
実は光学迷彩起動時の余剰熱で鉄板が加熱しすぎるのを利用して秘密裏に焼肉が行われた。
光学迷彩のテストで未踏査地域8時間耐久隠れんぼが実施されたが野生の怪獣たちには通用せず五分も経たずに鬼ごっこ(走行試験)へと移行した。
 実機試験後ブラッシュアップを重ねて正式採用。

07 角付き:
くろがね摂政が持ってきた図面。
スプリンターの図面が出来上がり評価中に持ち込まれたため実機は存在しない。
試作機すら作らせてもらえずドナドナされる(バーミーズ設定文章参照)。
角が付いていてドリルを装備しており趣味全開の方向に突っ走っている。
特筆すべき事は図面どおりドリルを作ってみた所、性能がやたら良く土木作業をやらせたら陣地構築に一役買っていたであろう事は想像に難しくなかった。
(ここから商藩国におけるドリル作りの熱が過熱化をはじめる事になる)
 実機試験に間に合わず不採用。
▲TOP


第二章 ジャバニーズの起源



軽やかに宙を蹴る様からジャバニーズと名付けられた元Anotherバーミーズはバーニア駆動機である。
開発提案者をうさぎ氏という。
この男、腕は良いのだが肝心な所が抜けていて偵察機を作ろうと言われてあろう事かバーニア駆動を提案する有様である。
トライアルに応募された4番目の機体なのでNo.4と呼ばれたそれは、足で地面を蹴ってバーニアで飛翔すると言う設計がされていた。
飛行ではなく飛翔というところが要諦で、一度のバーニア噴射時間を限定して速度に緩急をつける事で機動パターンを読まれにくくすると言うアイディアが盛り込まれている。
バーミーズの爪に代わり足の裏に加速用のバーニアが仕込まれており、これを接地インパクトの瞬間に吹き上げる事で他に類を見ない加速を実現している。
空中で軌道を変えたい時は空中を「蹴って」方向転換をするのだが、やはり初速の問題から何かを「蹴って」加速する事が推奨されている。
正式仕様のバーミーズと比べて四肢も尾も細く作られており、地上機にしてはやや大きすぎる姿勢制御翼が付いている。
明らかに高速戦闘を意識したデザインで作られており、必要に応じて低空を滑空して移動する事も出来た。
顔は長くて鋭角なV字形で、センサーを詰め込んだ大きな耳が広がってシャープさを強調するようデザインされた。
下方をフォローする為に両足にセンサーカメラアイが追加されており相変わらずの不気味さに拍車が掛かっている。
このデザインは敵に恐怖を与え戦意を失わせ、必要以上の戦闘を回避しようという意図によるもので、ナニワアームズでI=Dを設計する際の基本方針となっている。

この機体が不採用とされた理由は数あれど、地面や空中を蹴ってあちこちに跳び回るという特殊な機動が他の開発提案者に受け入れられなかったことが主たる要因である。
『スピードは力だ』
うさぎ氏の理論は間違ってはいなかったが明後日の方向を向いていた。
大前提として、そもそも必要条件を満たしていない。
確かに独特の機動を行う彼のプランは踏破性、速度、機動力に優れてはいたのだ。
しかしそのメリット以上にピーキーで扱いが難しく、燃焼剤が燃える音がうるさく隠密性に欠ける、という評価が下されNo.4は開発室に封印されたのである。
この機体は偵察には使えない。 
これが当時の開発陣の一致した見解であった。
▲TOP


第三章 復活のジャバニーズ 開発秘話



こうして一度は眠りに就いたジャバニーズが日の目を見るのは強化新型ホープ出現後の事である。
つまるところ常人が乗っても紙装甲で激走する動く棺桶なのだが曲芸飛行が出来て強烈なGに耐えうるパイロットが居ればこの無茶苦茶なプランの機体が使えてしまうのである。
そう、隠密索敵には不向きと判断されたこの機体であるが、隠蔽することを選択肢から外してしまえば…つまり強行偵察を前提に運用するならばまったく問題ないのであった。
一度は封印されたanother No.が封印を解かれたのはこれが初めての事であった。

こうしてAnotherバーミーズNo.4はジャバニーズ(ジャバの踊り子)という開発コードを得、最新技術と予算を投入されて更に凶悪に生まれ変わったのである。
ます手始めにゴテゴテつけた消音機、迷彩装置の類はデットウエイトとしてすべて外され、ヴァリエーション豊かに用意された数々の武器プランもハードポイントも加速の邪魔になるとしてすべて破棄された。
もののついででコパイロットも減らされた。人一人分の重量も惜しいのである。
ますます軽くなった機体重量はすさまじい機動性を生んだ。
代わりに付けられたのはバーニアとジャイロと放熱機であった。
大事なのはその初速であり、速度こそが最大の武器という軽量化魔人うさぎ氏の本領発揮であるとともに、この改良案が通ってしまう思い切りの良さ、ナニワアームズ商藩国の面目躍如である。
結局残ったのは大口径のレーザービーム砲一本のみである。

シルエットこそ似ているが機能面では発想からして違うジャバニーズにバーミーズの名残のようなものを探すとすれば唯一、サイベリアンB(通称サイバミ)の電磁波吸収素材が装甲素材に取り入れられている事であろう。
普通に考えればこれだけ目立つ機体に隠蔽装備などゴミ以外の何者でもないのであるが、これは対電子的ロック装備である。
電磁波吸収素材で電磁波センサーをごまかし、強力な放熱装備と緩急をつけて使われるバーニアで赤外センサーと音響センサーを混乱させ、迎撃の弾幕に穴を開ける事で偵察を敢行し、後は圧倒的機動力で生還するのがコンセプトである。

これだけ騒音を撒き散らしてレーダーには映らない事がなんになるか、という批判も在るには在ったがこの声は試作1号機のプレゼンでぴたりと納まった。
ジャバニーズという機体は、目視や音響で捕捉する事が難しい機体だったのである。
指摘するまでも無いが凶悪なスピードで機動を行うので視認する事が難しい。
そのスピードたるやテストパイロットを務めた当国が誇る強化型ホープを尽く打ちのめしたほどである。
おかげで練習機のコックピットは酸っぱい匂いが染み付いてしまったという不名誉な伝説が残ってしまった。
 かくして極端から極端へ、隠蔽と白兵しかできないバーミーズの姉妹は派手な機動と強力な槍を携えて鮮烈なデビューを果たすこととなった。
▲TOP


第四章 ジャバニーズの装備



1 各種補助装置

試作機テスト当時、テストパイロットの中には加速力の化け物のような機体を素のままで乗りこなせるものはほとんど居なかった。
本機は慣性Gなどと言うものが考えられていない…もといあえて踏み倒した機動を行う事が前提となっておりパイロットの処理能力が追いつかないのである。
結果、動かす事は出来ても想定どおりの戦術機動を取れるパイロットは片手で足りる事になってしまう。
これは兵器として現実的ではない。
そこでパイロットサイド、メーカー、整備班サイドで討論の結果、新式対Gスーツを始めとした各種補助装置の開発が決まった。


○耐Gスーツ
激しい機動を要求されるパイロットにとって急加速、急旋回時のGは非常に厄介だ。
身近な例で言えば、自動車に乗っているときカーブに差し掛かると姿勢が外向きにずれてしまうあれである。
もう一例は、戦闘機乗りなどの間ではよく知られる、慣性Gの影響から手や足などの心臓から遠い位置に血液が溜まってしまい、ひどい時には意識不明になってしまう「ブラックアウト現象」がある。
こういったGが及ぼす操縦者への悪影響を防ぐ為、身体をがっちりハーネスベルトで固定したり、手足をギュウギュウに締め付けて血液が末端に溜まらないようにしているのが一般的な耐Gスーツである。
下肢に空気袋を着け、Gに対応して空気圧を調整し、ポンプのように血液が溜まるのを防ぐ装備なのであるがこれが通常時には非常に動きづらい。
頭部への負荷対策も重要である。人間の頭は重く、重要な器官である。
個人差はあるものの頭の重さは6kg程度、10Gの慣性Gが掛かった場合実に60kgの力が操縦者の首に襲い掛かる事になる。

対して、ジャバニーズに採用された耐Gスーツは半ばコックピットと一体化している。
パイロットシートに備え付けられた円筒形のスレイブアームに手足を通し、これ越しに機体を操るのである。この中にはブラックアウト対策として前述した様な身体の末端に圧力を加えて血液を送り返す機構が仕込まれている。
 頭部の保護についてはゲル状の衝撃吸収剤を充填したヘルメットと襟巻き様のパッドを備え、ヘルメット内機構のHUDと併せて頭部の動きを局限し対策とした。
 これらの機構は搭乗時に従来よりも比較的簡素な装備でよいことから、主に女性パイロットに好評なようだ。

○筋電位伝達パワーアシスト
コンセプトはGに攪拌されるコックピット内でパイロットの意思を正確に機体に伝え、いち早く機体を駆動することである。
 前述の耐Gスーツ機構はパワーアシストの機能を併せ持っており、ナショナルネット端子が無い人間にも動かせるように表面筋電位(筋肉を動かす為の微細な生体電流)を感知するインナースーツと併せて使用する。
 インナースーツにより検知された信号は手足を通したスレイブアームに伝わり、実際のパイロットの挙動を模倣、動力補助しフライバイワイヤ方式の操縦桿に伝える。
 これによりパイロットはシートにがっちり固定されてGに耐えつつ、ほぼ手首足首から先のみで操作を行えるようになった。
ちなみにこれはあくまで入力補助の為の装置であり、何らかのトラブルがあった時の為にこれらの補助を全オフし、完全手動で動かせるように予備系統が組まれている。
 皮肉にも革新を求めた最新鋭機が最も信頼性を確実視しているパーツが人間だったわけである。

○猫士専用シート
 軽量化を追求する余り一度はコパイロットすら廃した当機ではあるが、パイロットが単独で運用するには多くの問題を抱えていた。
 パイロットは容赦なくGに攪拌されるコックピット内でこのじゃじゃ馬そのものの機体を御すのに精一杯であり、司令所との連絡、敵機の捕捉、機体のモニタリングその他諸々の雑事まではとても手が回らなかったのである。
 機体制御を司るアビオニクスの性能向上も図られたが、既存の技術のみではそれにも限界がある。
 これは兵器の近代化・複雑化に対する制御系進歩といういたちごっこの歴史でもあるが、当機の場合はそれにピーキーな機体特性が加っていたのだ。
 そこでまず始めに有力視されたのが支援AIの搭載であった。
 当国は複雑かつ高速な水中戦機動を実現するAI知類、BALLSを搭載した希望号を保有しており、ここから解析・複製したBALLSに機体制御を任せようというものである。
 しかしながら複雑を極めるBALLSの解析には莫大な時間を要することや、彼等の特徴である自己増殖機能、或いは暴走に陥った際の抑止手段の無さから採用は見送られることになった。
 もちろん純国産技術による機体作成に強く拘った技官達の声があったことも忘れてはならない。

 次善策として打ち出されたのが専属猫士の搭乗である。
 シーズン1の往古から藩士たちの良きパートナーとして歩んできた彼等であるから、当然機動兵器の扱いにも詳しく、その小柄な体型は当機の搭乗員として最適であった。なにしろ体重が人間の1/10以下なのでGの影響もそれだけ軽微なのである。三半規管も頑丈であった。
 こうして当国の開発による機体では初めて、猫士と人間という限定的な組み合わせによるコックピット設計が為された。
 パイロットの後方上段に彼等のスケールに併せて半身を埋める様な形のシートが設えられ、戦時情報処理を一手に行えるよう強化された入力系と他面HUDが配された。
 猫士と人間、二人三脚で運用される当機は生還性(パイロットがブラックアウト時には猫士が作戦中断コマンドを下し、セミオートで速やかに帰還する)、即応性の向上が認められ、兵器としての完成度を増したのである。
▲TOP


2 外装

 ジャバニーズが革新的であったのはその機動だけではない。
 当機を単なるアクロバット機に留めず、軍事的に意義のある機体へと昇華させる数々の試みが為されているのだ。
 主な特色としては当国の伝統を受け継いだ装甲材と、後にそのシルエットから運用法までを決定づけた特徴的な大口径砲があった。


○大口径レーザービーム砲
実の所ジャバニーズには攻撃のタイミングと言うものがあまりない。
ジャバニーズ(ジャバの踊り子)の名前にふさわしく相手を翻弄するかのように空間を舞い踊る機体を捕らえるのは大変むずかしい。
しかしものすごいスピードで相手を撹乱している機体が相手をロックするのはやっぱり難しいのである。
そのような機体が少ないチャンスをものにしようとする場合いくつか方法があるが、開発陣が提示したのは命中率の良い武器を持たせてやる事である。
数を撃てば当たるというわけでミサイルなど半自律的な兵器をばら撒くというのも選択肢にあったが、試算した結果搭載重量が許容積載重量を上回ったことで不採用とされた。
代わりに採用されたのは攻撃のタイミングの無さは威力でカバーするコンセプトである。
つまり最低限の装備の重さで相手を撃破する事が求められた結果、掲げられた目標は【1ショット1キル】なのであった。

目標達成のためまず砲身を長く取って高機動時のブレを押さえ込んだ。
当国が誇る最新鋭センサーの数々は狙いをつけるには十分な精度があったので照準器には特に手を加えていない。
その上で許される重量の中でギリギリまで口径を大きくしてエネルギーはI=D本体から直接取り込む設計である。専用のカートリッジを使わない分、軽量化が図れる。
砲身本体は過酷な機動に耐えられるよう、堅固な構造と重量のギリギリのバランスを求められた。散々頭を悩ませた末、出され答えは使い捨て、である。
 どのみち連射した砲身は加熱により精度を落として使い物にならなくなる。ならば離脱時に投棄して、身軽になってから逃げ出せばよい。
 流石に高価な発振部を棄てることは主計部方面から許可が下りなかったため、砲身のみをパージする方式が採用された。
 機動速度に物を言わせた強行偵察、一撃必殺、一撃離脱。
 組み上がってみれば何とも当国らしい出来映えの武装ではあった。

○特殊装甲
ジャバニーズの装甲素材にはサイバミーズに採用された電磁波吸収素材がそのまま使われている。これは開発費の削減と、装甲材の仕入れ値低減が主な目的である。
開発元はナニワアームズ兵器研究機関、カボチャ研究所(通称カボ研)。
サイバミーズの開発の際に熱による特性変化という問題点が露呈したが、バーミーズに使われた繊維強化プラスチックと通常装甲材の3重構造にする事で解決を見た。

○放熱板
精密機械にとって熱は天敵である。
大量のバーニアやジャイロ、複合センサーを持ったジャバニーズには熱処理問題をクリアする事は必須項目であった。
特に特殊素材というのは熱によってその特性を変えるため高度な熱管理が必要となる。
ジャバニーズは液冷式でバーニアや各部アクチュエータに溜まった熱を熱伝導の高い特殊な液体金属で排出する仕組みだ。
さらに放熱板は各部が開閉し放熱のタイミングを設定できると言う機能が付いている。
バーニア点火する直前に放熱を行う事で熱センサーに対する残像のようにはたらき、赤外センサーによる対ロック機能として効果を上げている。
また、この開閉機構は寒冷地や宇宙で過剰放熱を防ぐ効果があり、大気が無い(=レーザーの威力が高い)宙域戦闘での活躍に期待が高まっている。

○ジャイロ
完全な地上機と違って空中まで飛び上がる事を前提とした機体の姿勢制御というのは難しい。
実は、ナニワアームズのI=D開発陣はこの辺の所をなめていた。
『すげぇよキノウツンのI=D開発室、マジ尊敬する』とはうさぎ氏の談である。
ジャバニーズの運用が想定されるのは地上と海上(水面を蹴って飛ぶ)、それに加えて大気圏外とされている。
空中戦自体は全く想定されていなかったが、跳び上がって空中から地上に襲い掛かる空対地奇襲は検討項目に入っているし、翼を使って滑空し中距離を移動する機能獲得も目標とされている。
開発担当がバランスの悪いI=Dを空中で安定させる為に出した回答は独楽だった。
いわゆるジャイロである。
回転する物体は回転面を傾けるような外力が加わると、元の状態を維持しようとするため慣性力が発生する。
また、この回転する物体に加わる慣性力を検出することで、外力によって発生した物体の角速度(=ジャイロを仕込んだパーツの動き)を検出できる。
これを機体の各パーツに組み込み、回したり止めたりしてバランスの悪い機体を空中で安定させる理屈だが、初期のジャバニーズはこの所為でパイロットの三半規管に少なくないダメージを与えていた。
この問題に解決を示したのは回転物の申し子ホードーであった。
彼はプログラムにファジー制御を組み込む事でこれの回答とした。
空中で方向転換するタイミングでジャイロの回転力を落とすのである。
このアイディアを聞かされた時、開発陣は実機でのデータ採りを何遍やる事になるかと覚悟を決めたのだが、予想に反して彼は一発で制御プログラムの開発に成功した。
その背景にあるのは緻密に組み上げられたシミュレータープログラムの存在である。
実機と同様の挙動を行えるモックアップを用意し、これにパイロットを放り込んでデータを採ったのである。
この成果以降、I=D開発におけるシミュレーションの重要性が大幅に見直されることとなった。

○センサー系及び通信機能
 武装を一本に絞ったことで生じる余剰出力と機体余裕はナニワのお家芸であるセンサー系に回される。
頭部を始め、機体各所に熱光学系、音響系、電磁波系、アクティブからパッシブまであらゆるセンサーがサイバミーズから踏襲、強化し搭載されている。
 これらは強行偵察機として必要にして十二分な性能を発揮し、ECM対策を強化された通信系によって後方へと送信される。
▲TOP
/*/

原設定文:うさぎ
改稿:久遠寺 那由他
最終更新:2008年12月23日 00:54