お姫様と黒耳猫




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むかしむかし、あるちいさなくにに

それはそれはかわいらしいおひめさまがおりました

おひめさまはちいさなくにでいちばんえらいひとです

そのうえ、とてもあたまがよくて、きがきくおんなのこだったので

ちいさなくにのひとたちは、なんだかきおくれして

おひめさまにちかづきにくいのでした

そんななので、おひめさまにはともだちがいません

いっしょにおべんきょうをしたり、あそんだり

そんなことがうまれてからいちどもないのでした

でも、おひめさまはうまれたときからそうなので

べつにそれをふしぎだとは、おもいませんでした

そのころ

とおいとおい、にしのさばくのしたにあるという

これもちいさなくにに

くろみみねこ、というなまえのねこがすんでおりました

くろみみねこはいつもしっぱいばかり

どうしてわたしはこんなにしっぱいばかりなんだろう

それに、けのいろははいいろできれいじゃないし

あたまだってよくない

そんなふうに、まいにちをなげいてくらしておりました

そんなあるひ

とおいかぜのうわさで

くろみみねこはとおいとおいところにある

ちいさなくにのおひめさまのうわさをみみにしました

なんでも、とてもあたまがよくて、かわいらしいおひめさまがいるらしい

そのおひめさまはおべんきょうや、おとながするようなむずかしはなしや

そのほかにもなんでもじょうずにできるそうだ

そんな、うわさです

くろみみねこはおもいました

このよのなかにはそんなにりっぱなひとがいるのだなあ

わたしも、そんなりっぱなひとになれるだろうか

くろみみねこは、そのおひめさまのうわさをきくのがたのしみになりました

まいにちまいにち

おひめさまのうわさをきいて、いつしかくろみみねこはこうおもいはじめました

そうだ

わたしはだめなねこだけれど、いつかはおひめさまのようなりっぱなひとになりたい

くろみみねこはがんばることにきめました

くろみみねこにはひとつだけ、とくいなことがありました

それはものがたりをかくことです

まいにちまいにち

くろみみねこはちいさなペンをもって、たくさん、ものがたりをかきはじめました

そうするうちにいつしか、りっぱなひとになりたいというくろみみねこのおもいは

りっぱなひとになろう、にかわっていきました

まいにちまいにち

くろみみねこはちいさなペンをもって、たくさん、ものがたりをかきます

くろみみねこさん、がんばりなさい

きれいなマントをはおった、えらいおにいさんがいいました

くろみみねこはうれしくなりました

そしてりっぱなひとになろう、というおもいはやがて

りっぱなひとになる、にかわっていきました

まいにちまいにち

くろみみねこはちいさなペンをもって、たくさん、ものがたりをかきました

くろみみねこさん、すてきなものがたりをかいてね

ながいかみをした、ようせいのおんなのひとがいいました

くろみみねこはげんきになりました

そうして、くろみみねこはきめました

そうだ、あのおひめさまにあいにゆこう

いつしか、くろみみねこのものがたりを

おかねをだしてかってくれるひとがあらわれました

がんばれ。おうえんしてますよ。おもしろかった

ありがとう。ありがとう。ありがとう

みんなになでられて、くろみみねこはゆうきひゃくばい

みんなからもらったおかねをたいせつにもって

ついにくろみみねこはひがしへたびだちました

とことこ、とことこ

とおいとおい、ひがしにあるちいさなくにをめざして、くろみみねこのたびはつづきます

あめのひも、ゆきのひも、かぜのつよいひもありました

それでもくろみみねこはげんきいっぱいです

ちいさなみみとしっぽをぴんとのばして、むねをはってあるきます

ひがしへ、ひがしへ、ちいさなくにの、おひめさまにあいに

のぼるおひさまをまっすぐみつめて、あるいて、あるいて

そうしておつきさまがまんまるにみちたころ

ついに、ついに、くろみみねこはちいさなくににたどりつきました

そこはあたたかい、みどりあふれる、きれいなおにわ

そこで、くろみみねこは、おひめさまにであいました

こんにちは、こんにちは、おひめさま

わたしはあなたにあいに

とおいとおいにしのさばくからやってきた

くろみみねこです

あおいかみのとてもかわいらしいおひめさまはいいました

なあに、そのへんななまえ

わたしはこのくにでいちばんえらい、おひめさまなのよ

もっとちゃんと、ごあいさつなさい

ああ、おひめさま、ごめんなさい

くろみみねこはかなづちであたまをなぐられたよう

わたしはやっぱり、しっぱいばかりのだめなねこなんだ

とてもとてもかなしくなって

しっぽとみみをたれさがらせてしまいました

そんなとき、まるでかぜのように

くろみみねこがあるものがたりでかいた、おうじさまがあらわれました

ものがたりのおうじさまがとつぜんあらわれて、くろみみねこはびっくり

おひめさまもおこるのをやめてびっくりです

おうじさまはくろみみねこに、にっこりわらうと

このくろみみねこはおひめさまとなかよくしたくて

ながいながいたびをしてきたのですよ

そういっておひめさまに、くろみみねことおはなししてくれるようにたのんでくれました

ありがとう。ありがとうとう。ありがとう

このごおんはきっといっしょうわすれません

そうしてまた、かぜのようにいってしまったおうじさまに

ちいさくおじぎしたくろみみねこと

きげんをなおしたおひめさまはなかなおり

くろみみねこがもってきた、あまくておおきなきいろいおかしをたべます

それはおかあさんねこが

くろみみねこにつくりかたをおしえてくれた

ちいさなまほうのかかったおかし

たべればおなかいっぱい

きっとしあわせになれるまほうのおかし

おいしいね

うれしいなあ

おかしをたべてよろこんでいるおひめさまに

くろみみねこはにこにこ

とてもしあわせなきぶんです

おひめさま、おひめさま、わたしはおひめさまとおともだちになりたいです

こんなにしっぱいばかりの、はいいろできれいじゃない、あたまだってよくない

わたしとおともだちになってくれませんか

おひめさまはくびをかしげてかんがえます

おともだちってなあに

それはいっしょにないたり、わらったり

ちかくにいたらたのしい

とおくにいってしまったらさびしい

そんなひとです

くろみみねこはこたえました

おひめさまはずいぶんながくかんがえて、くちをひらきました

くろみみねこ・・・

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という

おはなし

如何でしょう

石田隊長

さて

黒耳猫と

お姫様は

お友達になれるのでしょうか

このおはなしの終わりは・・・

石田隊長

あなたが

決めて下さい
最終更新:2008年01月18日 20:30