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NDフィルターについて
明るい日中など光量の多い場合、川の流れなどをスローシャッターで表現したいとき
色彩にほとんど影響を与えずに光量を減らす効果を持つのがND(減光)フィルターです。いわばサングラスのような役割です。
概観
NDフィルターの最大の特徴は、その色です。
上の写真を見ても分かるように、フィルターは黒い色をしています。
NDの数字が、色の濃さをあらわしていて、数字が大きくなればなるほど濃くなります。そして、濃くなればなるほど、光を取り込む量が少なくなります。
なぜ、光が少ない方がいいのか…というお話は、これから説明していきますね。
ところで、よく似た外観のフィルターにPLフィルターがあります。
並べてみましょう。
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NDフィルター |
PLフィルター |
パッと見、似てますよね?濃い色が付いていて…
PLフィルターは二重構造になっていて、回転させることが出来るのに対し、ND回転させるような部分はありません。また、側面に「PL」とか「ND]などとも書いています。
よく似ているので、間違えないようにしてくださいね。
どんなときに使うのか?
NDフィルターを使う目的は、暗くする…つまり、入ってくる光を少なくする…ということです。
入ってくる光が少なくなればどうなるのか?というと、大きな用途として、次の二つのパターンがあります。
シャッタースピードを遅くしたい
シャッタースピードが遅くなると、動いているものがいわばブレて映りこみます。
ブレる?それではだめじゃないの?と思うかもしれませんが、実は、水の流れのように、ブレによって美しい表現をすることも出来るんです。
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NDフィルターなし F6.7 シャッタースピード1/90秒 通常に撮影した写真、水が止まって見え、あまり面白みのない感じがします。 |
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NDフィルターあり(ND8) F6.7 シャッタースピード1/10秒 シャッタースピードが遅くなったため、水の動きを感じられるようになりました。 |
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NDフィルターあり(ND8) F19 シャッタースピード1/2秒 さらにシャッタースピードを遅くしてみました。より水の動きが滑らかになっているのがお分かりでしょうか? |
実は川の水などが流れるような写真はNDフィルターがなかったとしても、シャッタースピードを極端に遅くすることで一眼レフを使い始めた方にも比較的、簡単に撮ることが出来ます。
ただ日中の明るい場所でのオート撮影だと、明るすぎてシャッター速度を遅くすることが出来ず、水は止まって写り思ったような写真にはなりません(上のフィルターなしの写真)。
(無理にシャッタースピードを故意に遅く設定すると光がたくさん入りすぎて露出オーバーの真っ白けの白とび写真になってしまいます。)
NDフィルターを装着すると、もっと速度を遅く設定することができるようになり
人間の目では感じることのできない表現で水の流れを描写できます。
絞りを開放にしたい
絞り…とは、背景のボケ具合を調整する光の通る穴のことです。この穴が大きければ大きいほど、背景はボケます。同時に、大きいと光はいっぱい入ってきます。
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NDフィルターなし F9.5 シャッタースピード1/125秒 通常に撮影した写真。下の写真と背景を見比べてみてください。 |
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NDフィルターあり(ND8) F3.5 シャッタースピード1/125秒 絞りを開放に出来たので、背景がボケました。 |
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NDフィルターなし F3.5 シャッタースピード1/125秒 もし、同じ絞りでフィルターなしだと、こんな風になってしまいます。 |
このレンズはF3.5が絞り開放ですが、もっと明るいレンズの場合、
日中の屋外で明るすぎて開放に出来ないことがあります。
そんな時、NDフィルターで光量を調節すると、背景のよりボケた写真を撮ることが可能になるわけです。
種類
NDフィルターにはND2、ND4、ND8、などの種類がありそれぞれ1/2(1絞り分)、1/4(2絞り分)、1/8(3絞り分)、光量を調節(減光)します。
ということで、NDフィルターを装着するとレンズに入る光が減少しますから
適切な写真の明るさを保持するためには、シャッター速度を遅くして撮ることになります。
例えばND2を「絞り優先モード」で「シャッター速度」が1/250秒のとき装着すると
光の量が半分になるので「シャッター速度」は1/125秒となります。
つまり光を取り込む時間が2倍になります。
ND4だと光を取り込む時間が4倍になるので1/60秒、ND8だと8倍で1/30秒といった具合です。
未装着 |
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1/250秒だとすると… |
ND2使用 |
時間は2倍 |
1/125秒 |
ND4使用 |
時間は4倍 |
1/60秒 |
ND8使用 |
時間は8倍 |
1/30秒 |
また、フィルター未装着でF値が4だったとすると、ND2をつけると1絞り分でF5.6、
ND4をつけると2絞り分でF8、ND8を付けると、3絞り分でF11となります。
未装着 |
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F4だとすると… |
ND2使用 |
絞り1絞り分 |
F5.6 |
ND4使用 |
絞り2絞り分 |
F8 |
ND8使用 |
絞り3絞り分 |
F11 |
「絞り優先モード」や「シャッター速度優先モード」を使うとその設定でカメラが自動で適正露出を判断してくれるので、失敗は少なくなります。
冒頭でもお話しましたように、この数字によって種類が変わってきて、ND400とかND100000みたいなとんでもない数字のものもあります。ちなみに、ND100000は太陽(日食)撮影用です。
使用時の注意点
シャッタースピードを遅くする場合は、かなりの確率で手ぶれを起こしてしまいます。ですので、三脚は必要です。撮影準備の一番最初はまず三脚でカメラを固定しましょう。
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手持ちだと、こんな風になりかねません。 |
もう一つお勧めなのが、レリーズやリモコンです。つまり、テレビのリモコンのように、カメラに直接触れずにシャッターを切ることができます。シャッターを押す時、気をつけていても、押す反動でカメラ本体が揺れることがあります。レリーズを使うことで、カメラ本体に触れることなくシャッターが切れるので、ブレ対策になります。
(レリーズやリモコンの例:カメラによって異なります)
また、光が入ってくる量が少なくなる…つまり、暗くなるわけですから、ピントが合いづらくなります。マニュアルフォーカスで撮るか、あるいはフィルターを装着しない状態でピントあわせをしたうえで、フォーカスを固定し、フィルターを装着する…という手順が必要な場合もあります。
購入時の注意
購入する際にはフィルターのサイズ(口径)に注意しましょう。
レンズの先にはめ込みますので、レンズと同じ直径でなければなりません。
詳細は、保護フィルターのページを見てみてください。
また、冒頭でもお話ししましたように、PLフィルターとよく似ていますから、間違えないようにしましょう。
どの種類のものを買えばよいか迷うかもしれません。
まずは、ND8が汎用性が高い…と言われていますので、試してみるといいかもしれません。
ただND8はちょっと暗いので、(先述の通りピントあわせが難しい場合もあり)そういう意味では、ND4の方が扱いやすいかもしれません。
ぜひ、NDフィルターでいろいろ撮ってみて、あなただけの1枚を見つけてみてください。
筆:栗山
Last update:2014-07-14 20:56:51 (Mon);
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最終更新:2014年07月14日 20:56