さよなら

少女は全力で街を走り抜けていた。
息が上がり、胸は締め付けられるように苦しい
それでも足は止めない、夕焼けに染まりつつある都市で、
ほむらの焦燥だけが、その疾走を止めることを許さなかった。

豪風をともなう斬撃が、路上の車両も街路樹も街灯も一切合切かまわずにぶった斬り
巻き上がる衝撃波によって宙に放り上げ、それらが墜落する轟音を街路に響かせた。
振り下ろした際に割れ爆ぜたコンクリートに減り込んだ剣を、ゆったりと引き抜く
強引極まりない戦法で魔女に止めを指したさやかは、不敵な表情でサーベルを肩に担いで振り返る。

眼を閉じて優雅に立つ少女の周囲は、無数の使い魔によって包囲されていた
一斉に少女に向かって飛びかかる使い魔に、黄金の雷が降り注ぐ。
空中に展開していたアンティークライフルの斉射は、正確に乙女の肌に触れようとする無粋者を貫く
穏やかな空からどこからともなく舞い降りた紅茶に優雅に口をつけ、マミが可愛らしくウインクを送った。

今まで幾度と無く繰り返されてきた魔女との戦い。
魔法少女マミとの出会い、ほむらのためを願って魔法少女となったまどか、さやかの苦悩と絶望の末の決意
長き戦いの日々、挫折と前進の記憶、己の身を投げうって願う少女達
ここではないどこか、いまではないいつか
だがしかし、かつて確かにあった魔法少女達の物語。

無数の十字架がデタラメに組み合わさった姿の魔女が宙に浮く
ゆったりと回転を始めたその魔女の体が突如、鎖でつながれた鞭のような姿に弾けて分離し
小さな嵐となって街路に猛威をふるう。剣を構えて防御するさやかと、飛び退いて回避するマミ
デタラメにビルのガラスや道路に叩きつけられる鞭には、およそ明確な意思というものが感じられない。
元来、魔女とはそういうものだ。暴れたいから暴れるのだと言わんばかりの無秩序な猛攻

マミとさやかは一瞬だけ目配せを交わし、正反対の方向へと飛び跳ねる
マミは後方、敵を銃砲生成で取り囲み、敵の行動を抑制して致命打を与えられる場所へ。
さやかは前方、持ち前の治癒能力で避けられる攻撃をあえて回避せず、魔女の眼前へ突貫する
魔女の攻撃目標を自分ひとりに釘付けにして、かつ相手の視界を塞ぐ。剣士の壁としての本分。
前衛と後衛、敵からの攻撃を受けて味方を守る使命と、味方を盾にする罪悪感に耐えて勝利を掴み取る使命
幾度と無く経験した戦いは、心優しい少女達に無慈悲な行動選択を誤らせなかった。

突進するさやかを囲み込むように襲いかかる鞭を、正確な射撃でマミが叩き落す
進路は開けた、その瞬間勝ちを確信したさやかは、今日はじめてのミスを犯す
そのまま突き進み、魔女にとどめを指そうと長剣を振りかかぶったのだ。
状況判断としては間違ってはいなかった。戦闘を早期に終了させることは無益な負傷と突発的なアクシデントを防ぐ
しかしそれも殺し合いの戦場においては、自分達が予想もしない事態が起きないという保証の上での皮算用でしかない

さやかが魔女に向けて振り下ろそうとした長剣が、目標を大きく外れ、
彼女自身の左足に深々と突き刺さっていた。驚愕するさやかとマミの立つ地面が、凄まじい激震を始める
突如、見渡す限りの地面から生えた樹木の槍が二人の魔法少女に襲いかかった
魔法で織り上げたリボンを街灯に繋げて巻き上げ、間一髪マミは街路に生まれた槍から脱するものの、
左足を著しく負傷しているさやかは、さらに樹木の槍に身を貫かれながら、それらを剣で斬りばして活路を開く

次々と地面から生えていく樹木は一向に収まるところを知らず、ついに地面が完全に掘り起こされる
宙に浮かぶ枝葉の槍の塊が、まるで植物の成長を逆行させたかのように収縮していき、
植物の葉を翼として風を掴んで飛翔する、羽根の生えた宝石の姿をした魔女の姿を現す。
空を飛び回るような魔女の相手はマミの得意とするところだ。さやかはマミにその相手を任せてもう一体に走りだそうとして
背中からいきなりの砲撃を受けて、慌ててその場を飛び離れる。三体目の魔女の姿を探して振り向いた先には
驚愕の表情を浮かべるマミの姿。彼女が手にするアンティークライフルからは発泡済みであることを示す魔法の火花
共に疑問と驚きに混乱する二人の魔法少女の頭上から、宝石の魔女が振りまく葉樹の葉が舞い落ちる
その光景にまるで深緑の森の中にいるような安らぎを感じて、慌ててマミは頭を振って意識を集中する
何が起きているのかわからないが、何かの精神を撹乱する魔法の影響を受けているようだった

そのとき、この異界の舞闘の場に、魔女でも魔法少女でもない人影が姿を現す
息を切らせるほむらは、先程のさやかの自傷とマミの蛮行を目にして、唇を噛む
精神支配魔法、人の意識に介入して感情や行動を操作する能力
それはかつて、彼女が選定して魔法少女に仕立て上げたクラスメイトの力だった
友人の想い人に恋したその少女は、その相手に告白するに際して、確実に恋を実らせる手段を欲したのだ。
友達の好きな人を横取りしようとしておいて、告白する相手に受け入れられなかったら、
友達も愛する人も両方を失った哀れな女になってしまいますわ。そんなの嫌ですものね?
そう言って笑う少女の姿を思い出して、はっと気付いて今度は十字架の魔女に目を向ける

精神を掻き乱されながら、幾重にも分裂する鉄鎖を掻い潜って攻防を繰り広げるさやかとマミの姿が見える
十字架と、分裂して襲いかかる武器。その符号はあっさりと彼女の脳裏の推測と繋がって形を取る
自分が出会ったときにはすでに魔法少女となっていた少女。理知的で、好戦的で、しかし人の温もりに餓えている少女
出会った時点で彼女の有能さを早期に見抜き、自分も魔法少女であると騙してその心に近づいた相手
その人に媚びない態度の裏に隠された、自分以外の誰かを求める本心を見抜き、彼女が求める「親愛」を提供したのだ
その少女はとてもよく動いてくれた。時にはほむらの嘘をそのまま鵜呑みにして命をかけることすらあった
その彼女がどうして魔女になってしまっているのか。理性ではすでに理解している、しかし感情がそれを認めない。

呆然と立ち尽くすほむらの後ろから、すべてを知る白の妖精が現れる。
彼はまずほむらに向かってあどけなく笑いかけることで、彼女の絶望と愚かさを肯定した。

もはや狙いすら付けずに猛打される鉄鎖の鞭は、さやかの全身の肉を裂き、骨を砕く。
彼女には前衛戦士としての瞬間加速の技能が用意されていた。一瞬で距離を付けるその力は青い光としか目に止まらない
しかしすでに全身のあらゆる場所がまともに動かせない程に「破損」している。
痛覚遮蔽によって痛みは感じないものの、それは余計に体の動きを鈍くしてしまい、そのうえ敵の機動力は決して低くない
もはやスピードで勝負を付ける段階になかった。遠距離攻撃を担当するマミももう一体の魔女の相手で手一杯だ
さやかは唇を釣り上げて笑う。絶体絶命だ、もはや勝ちの目は限りなく低くなっている
全ては自分自身の失敗、マミに何度も注意されたことを思い出す。戦い方が雑すぎると。
なんども失敗したり落ち込んだりして、それでも諦めずにがんばったが、結局はこのザマだ
だからさやかは、心のなかで尊敬するマミに謝り、諦めることにした・・・・。

舞い落ちる木の葉がマミの視界を塞ぎ、彼女の心を閉じ込める。
視界が晴れたそこにあるのは、黒煙と火花を上げる高速道路。巴マミの悲しみと孤独が始まった場所。
ふと自分の体を見下ろすと、とても小さな頼りない少女のものになっていた。
声を上げて誰かを呼ぶが、誰も応えない。誰もいなかった。誰も生きていなかった
声無き声がマミに語りかける。死ぬのは怖いかと、死を恐れるのかと。
だったら魔女になってしまえと語りかける。魔女になってしまえば恐れるものなど何も無いと
ふと、その声が誰のものなのかわからない理由に思い至る。それはとても聞き慣れた声
いつも聞いている自分の、巴マミ自身の声だった。
死ぬのは怖い、消えるのは怖い、忘れられるのは怖い、一人ぼっちになるのは怖い、
彼女は何もかもが怖いのだ、その恐怖をどうにかして追い払おうと心のすべてを傾け
それが不可能なことに、彼女はようやく思い至った・・・・。

その瞬間、世界は蒼穹と黄金の二つの色彩で爆発した

さやかが両手で握りしめた長剣を振りかぶる。その刀身は蒼かった。魔力で創造した10メートルを超える光の刃
後ろに振りかぶったため、地面に深く突き刺さり、異様なモニュメントとしてそびえ立っていた
間違っても剣ではありえない、斧でもなかった、馬ごと御者を叩き切るという斬馬刀でも足りない。
それはただの柱だった。城の支柱を引っこ抜いて侵略してきた敵兵を叩き潰す、
暴虐の騎士の姿がそこにはあった。

回避に移る魔女の頭上から覆い込むように魔法剣を振り下ろす。魔女はあっさりと捕らえられ、剣が街路に叩きつけられる
蒼い光の風が吹き荒れる、街路樹が吹き飛び、車両がバラバラに潰され、ビルのガラスが一斉に割れ爆ぜる
光が止んだその後には、放射状に大穴が開き、どのような屁理屈をもってしても道路とは呼べない有様と化していた
さやかは剣を肩に担ぎ、頬についた埃を落とそうと手で擦って、余計に汚れてしまい憮然とする。
そしてすっきりした晴れかやかな表情で空を見上げ、心のなかで尊敬する先輩であるマミにもう一度謝る
いろいろ丁寧に注意して、心配してくれてありがとうございます、マミさん。
でも、やっぱり私には、そういう小難しい戦いとかって向いてないんですよ。だってマミさんだってわかってるでしょ?
さやかは誇らしげな表情で胸を張って笑う。


「やっぱり私って、バカだからさ♪」


視界すべてを黄金の輝きが吹き荒れる。空のあたり一面のあらゆる場所に数えきれないほどの光が生まれていた
それは白木と黒耀で彩られた瀟洒なアンティークライフル。貴種の誇りと使命を具現化した雅な銃器
魔女の背後から銃撃が襲いかかり、即座に魔女は枝の槍の包囲網を放つが、何も捕らえられずに空ぶる
すると今度は正面から、右上方から、直下から、左背後から、直上から、ありとあらゆる場所から銃撃が放たれる
敵の位置を捕らえられない魔女の正面に浮かぶアンティークライフルに、優雅にマミが降り立つ
空中に生成したライフルを足場として次々と飛び移り、全方位から急襲を仕掛けたのだ。
魔女が思念波を叩きつける、死ぬのが怖くないのかと、恐怖を払拭しないまま、なぜお前は戦えるのかと
ええ・・・そうよ、私は全てが怖いのよ。何もかもが怖くて、全てに怯える弱い女の子が私
そんな私が一番怖いことはね?生きることなのよ。私は今この瞬間が一番怖い。だから・・・・。

マミの目の前に優美で、華麗で、それでいて破滅的な「恐怖」が顕現する
何もかもを怖がり、その恐怖を他人に押し付ける、傲慢なる一撃。彼女の存在そのものの化身
――――TIRO FINALE
魔女の本体である宝石に着弾した光は、周囲に弾けて魔女を包み込みこみ、金色の爆発を花開かせた
降り注く黄金の残光のなかで、マミは胸に想いを秘める。
未だこの世の全てが怖い、大切な人たちがそばにいても、今度は彼女たちを失う恐怖がマミを苛む。
でも、今この瞬間、私が胸に抱く恐怖が何者よりも優っている自信がある。
まどかやさやかを、自分と共にいてくれる人を失うことに勝る恐怖はない。
だったら私は前に進めるはずだ。私の恐れるものが今感じている全てだというのなら


「みんなと一緒に居られる私は・・・・・もう何も怖くない」


静寂が戻った街並みの中にあって、ほむらの胸中はざわめきで満たされていた
キュウべいから語られた真実。それは彼女の冷徹な心を崩すのには十分だった
その時、地面に転がる二つのグリーフシードから、闇が爆発する
それはドロドロとした不気味な汚泥となって這いずって融合し、薄気味悪い蠕動を繰り返す
そしてそれが完全に停止した次の瞬間、一瞬で黒一色に染められた人形を作り出す
長く細い四肢を持つ、影のようなその人形は、紫電を弾けさせる無数のあらゆる武具を生み出す
さやかとマミが驚愕の表情で振り返る先で、数えきれない量の武具がほむらに向かって放たれた

魔法少女ではないほむらには一切の抵抗の余地が無い。思わず目をつぶって身構える
しかし覚悟した衝撃も痛みも死の安らぎも、一向に訪れない
その代わりに感じる、ふわりとした淑やかな香り。
なぜか宙に浮遊して白いヴェールで包まれる彼女の目前には、
目を閉じて、淡い微笑を浮かべながら、ほむらを抱きしめるまどかの姿がそこにあった。

まどかの手に清楚な装飾が施された弓が出現する。
ほむらを守りながら弓を構えたため、それはまるで二人で一つの矢をつがえて放とうとしているかのような
侵しがたい神秘的な美しさがあった。
放たれた矢は光の洪水となって魔女を飲み込む。光の風が吹き荒れ、周囲の景色が溶け崩れていく
それはとても酷薄に、そしてとても慈悲深く、魔女を一片の欠片すら許さず消滅させた。
まどかの魔法の名残が薄桃色の光の雪となって街に降り注ぐ。
その幻想的な光景に目を奪われながら、ほむらはキュウべいから告げられた真実を思い出す。


『世界にはね、人の願いを叶える力が本来備わっているのさ。日々の時間の中でささやかにその力を使いながら生きていく。でも人によって一度に叶えられる願いの大きさも、一生に使用できる総量も、叶えられる、叶えたい内容もみんな違うんだ。場合によってはとても不公平な事態にさえ起こりうる』

『だから魔法少女という本来いなかった子たちを生み出したんだ。普通の人が一生をかけて少しずつ消費していくはずの「願いを叶える力」を、たった一瞬で全部使いきってしまう子たちを』

『ボクが思ったとおり、世界はちゃんとみんなのことを考えてくれていた。願いの力を、魔力を消費し切った魔法少女は魔女に変化するような仕組みになっていた。何もおかしな話じゃない。ごく当たり前のバランス調整だよ。誰かにだけえこ贔屓するのは、やっぱり良くないからね』

『世界が満遍なく配布する絶望ではもう追いつかないんだ。一定周期で集めに集めた絶望を世界中にばら蒔く必要がある。でも世界中のみんなから集めたんじゃ意味が無い。だからさ、だから魔法少女がいる。魔女を生み出すために、普通なら叶うはずがない願いを叶えた代償としての大きな絶望を生み出す為の、卵としてのキミ達がね?』

『ボクはキミに出会えて本当によかった。キミは人を困らせる魔女をやっつけるために、ボクに協力してたくさんの魔法少女を生み出す手伝いをしてくれたね?キミ自身は魔法少女としての素質はなかったけど、キミには本当に感謝しているんだ。何も思い悩む必要はないよ。だってキミと一緒に魔法少女にした子達は不幸になるけど、そのかわり世界は幸福で満たされるんだから』

『そしてもうすぐ来るよ。キミが大好きなまどかのために創りだした終焉の魔女が』

戦いが終わったはずの夕焼けの街に、異形の絶叫が響き渡る。
すでに夕闇に沈んでいる地平線の空で、膨大な無念が凝縮するさまを感じ取った
まるで世界の空気が何倍にも重くなったように感じられて、ほむらは思わず地面にへたりこみかける
一息付いていた魔法少女達が、何事かと驚いて、すぐに戦いの凛々しい表情に切り替わる
確かに戦えば勝てるだろう。しかしもうそういう問題ではないのだ
まだ願いの半存在の一部が凝縮しただけだ。王が生まれるまでにはまだ猶予がある
しかしもう戦いではこの状況を望む結果で終わらせることは不可能なのだ
この状況からでは、もうどうやっても彼女を悲しませる終焉にしか辿り着けない。
全てはこんな自分を想って契約を結び、魔法少女になってしまったまどかが大好きだったからだ
何の価値もないと思っていた自分を、それでも大切だと言ってくれた少女
彼女を守りたかったが、そのために自分も魔法少女になるという選択はまどかの願いに反するものだった
だからこそまどかに知られぬよう、彼女の心を傷つけぬよう、何人もの魔法少女を戦力として用意したのだ

今、その行動が明白な裏目としてほむらに付きつけられた
己のしでかした致命的な失敗に、目の前が真っ暗になり倒れそうになる。
そんなほむらの背中を、そっとやさしく、まどかが支えた。
呆然と見つめるしかないほむらに、まどかは明るく笑いかけた。
その後ろで淑やかでいて貴婦人の頼もしさを崩さないマミと、任せておけとでも言うように快活に胸を叩くさやかが目に映る。
彼女たちは知らないのだ。その身に課せられた残酷な運命を。
それを無知故のものと嘲笑うこともできるが、それでも笑って黄昏に歩み行く少女たちの姿は
深く胸に焼き付けられるほどに美しかった

ほむらは俯いていた顔を、正面に向けて決意する
その横顔は、先程の彼女たちの美しさとは対極の覚悟を秘めていた

「・・・・乗ってあげるわ、その契約。こんな役立たずでもよかったら、もう一人愚か者を増やしてあげる」

彼女の名前のような夕焼けが街を真っ赤に染め上げ、続く夕闇がほむらを追い越した。
暗がりに覆われた薄闇の中から、まるでそれらの影を一点に集めたような人影が浮かび上がる
光の反射を許さない黒、夜の闇にあってなお目に焼き付く黒、まるで己の心そのものを纏うが如き黒
あらゆる技能を捨て去り、ただひとつの異能、ただ唯一の目的のために特化した、全てを飲み込む漆黒。
暁美ほむらという名の魔法少女の、いつでも過去を求めるしかない心の、彼女の有り様の証
ほむらは歩き出す、先を往く彼女たちの前に、裏切り者として立つ為に。

戦いの轟音と異形の咆哮が響き渡り、無数の魔女で空が埋め尽くされつつある
もはや隠れる必要もないのか、結界の外を堂々と闊歩するワルプルギスの魔女達
おそらく王は生まれないだろう。その前にほむらが全てを台無しにする
魔法少女としての素質のない彼女が、他の全ての能力を切り捨てて得た力が。
キュウべいは想いを馳せる。彼女たちはこの危機を乗り越えられるのか、それとも踏み砕かれるのか
いずれにしても、これでまた世界には均衡が訪れる。彼女たちがどのような選択をしようとも
結果として、世界は幸福なのだ・・・・。

退屈そうにキュウべいはあくびを漏らし、ころりと丸まる
こんなことは何度も繰り返されてきたことだ。人という願う者たちがいる以上、何度でも起きることなのだ
そしてふと、これで何度目だっただろうかと、自分が生贄にしてきた魔法少女たちの数を思い浮かべかけ・・・・
その記憶のほとんど全てをどうでもいい事と忘れ去っていることを思い出して、
それでもあえて一言だけ、もう二度と会わない少女達に心のなかで別れの言葉を告げて
退屈そうに眼を閉じて、夢など見る筈もない眠りに落ちた。

ここではないどこか、いまではないいつか。
しかしかつて在り得た魔法少女達の世界の、これはその物語・・・・。



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最終更新:2011年04月22日 06:07