たとえ何もかも怖くたって

「E la mia casa qui.Giochiamo!」

甲高い耳障りな声で騒ぎながら、簡単に人を押しつぶせそうな車輪がマミに迫る
右手をさっと振ると、まるで手品のように4丁の銃が出現した。
白金と樫の木で出来た装飾過多のアンティークライフル。
殺傷力などたいして望めないその装飾品は、迫った車輪を撃ち砕き爆散させることで
観劇者たちの不当な評価を乱暴に訂正させた

「Faccio quello che e giochera?」

目を見張るような手品だった。ただ問題があるとするならば、本当に「種も仕掛けもない」ことだ
―――――魔法。母が一向に寝静まらない子供に語って聞かせるその幻想が
今まさに目の前に現出していた

「Alcun genere di richiesta e cordiale benvenuto♪」

車輪がさらに怒涛のように迫り来る。
見上げるばかりの大きさのバームクーヘンが幾重にも重なったようなその異形は
魔法と同じく、しかし脅しつけるために母が語る「魔女」だった
外周部をいくら破壊しても、回転する車輪が重なる瞬間に影絵のように復元してしまう
3次元世界にありえてはならぬ騙し絵であった
だったら照らしてあげましょう。影は光の中に消え行くもの。魔法も魔女も夜が生み出す奇跡
夜が明けるまで童話をせがむような悪い子は、もう子供じゃないの!

「Lei e il mio primo visitatore!」

はじめての戦いの興奮がずっと冷めていき、一度は経験した死の恐怖が悪寒となって甦る
自分の中にある「死」を形にする。畏れをこめて、華美を取り繕い、孤独の弾丸を込める
あの眠りの安らぎと寂しさを、全力で責任転嫁する

「C'e per sempre il tempo」

車輪の回転が目に見えぬほどに高速化し、突如停止する。
次々と折り畳まれていき、異様な円錐と化す
影で影を隠す螺旋階段。永劫水が流れ落ちる視覚の矛盾。中世の退屈な数学者が生み出した物笑いの永久機関

「Noi siamo l'eternita♪」

不死不滅と成り果てた魔女に対し、少女は艶やかに笑う
知的を勇する愚者は、彼をさらに上回る奔放な愚者によって論破されたのだ。
いつでも母は、子供を見捨てられるのだと 
その言葉を発する。「発砲」を意味する言葉

「TIRO FINALE!!」



     レ .|/ /| /ヽ/ /        ./   // / /     ヽ      l         ヽ  / /}///
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          |/i .| |l,   | .! レ'                  |l   ヽ |        ///-i-'///
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      / / ,| |   |ヾ \ v   `ヾ、             ム`ヽ、     |   /   /ヽ /  /
     /   l/ | |  |   | \{     `            r' {///リミ  /  /   ∧ }  /
  // / /  | l  |  ヽ .|  ヽヽヽ              { `´ リ  /   /   /}  /| '´   /
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最終更新:2011年02月25日 22:53