ネタバレ考察 > 台詞集 > 各話別第09話

杏子「あっ…」
さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね」
さやか「あたしって、ホントばか」
杏子「さやかっ!」
杏子「何なんだよ、テメェ一体何なんだ!?さやかに何をしやがった!?」
ほむら「下がって」
ほむら「掴まって」
杏子「何を?」
ほむら「いいから」
杏子「こいつは…」
ほむら「私から手を離したら、貴女の時間も止まってしまう。気をつけて」
杏子「どうなってるんだよ、あの魔女は何なんだよ?」
ほむら「かつて美樹さやかだった者よ。貴女も、見届けたんでしょう?」
杏子「逃げるのか?」
ほむら「嫌ならその余計な荷物を捨てて。今すぐあの魔女を殺しましょ。出来る?」
杏子「ふざけるな」
ほむら「今の貴女は足手まといにしかならない。一旦退くわ」


まどか「あっ」
まどか「さやかちゃん!?さやかちゃん、どうしたの?」
まどか「ね、ソウルジェムは?さやかちゃんはどうしたの!?」
ほむら「彼女のソウルジェムは、グリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ」
まどか「え…」
まどか「嘘…だよね」
ほむら「事実よ。それがソウルジェムの、最後の秘密」
ほむら「この宝石が濁りきって黒く染まる時、私達はグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる」
ほむら「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」
まどか「嘘よ…。嘘よね、ねぇ」
まどか「そんな…どうして…?さやかちゃん、魔女から人を守りたいって、正義の味方になりたいって、そう思って魔法少女になったんだよ?なのに…」
ほむら「その祈りに見合うだけの呪いを、背負い込んだまでのこと」
ほむら「あの子は誰かを救った分だけ、これからは誰かを祟りながら生きていく」
杏子「テメェは…。何様のつもりだ。事情通ですって自慢したいのか?」
杏子「何でそう得意げに喋ってられるんだ。コイツはさやかの…。さやかの親友なんだぞ」
ほむら「今度こそ理解できたわね。貴女が憧れていたものの正体が、どういうものか」
ほむら「わざわざ死体を持って来た以上、扱いには気をつけて」
ほむら「迂闊な場所に置き去りにすると、後々厄介な事になるわよ」
杏子「テメェそれでも人間かっ!?」
ほむら「もちろん違うわ。貴女もね」


キュゥべえ「入っていいかい? 話があるんだ」
まどか「生きてたのね」
まどか「ほむらちゃんが言ってたこと、本当なの?」
キュゥべえ「訂正するほど間違ってはいないね」
まどか「じゃあ、あなたはみんなを魔女にするために、魔法少女に?」
キュゥべえ「勘違いしないで欲しいんだが、僕らは何も、人類に対して悪意を持っている訳じゃない」
キュゥべえ「全ては、この宇宙の寿命を伸ばすためなんだ」
キュゥべえ「まどか、君はエントロピーっていう言葉を知ってるかい?」
キュゥべえ「簡単に例えると、焚き火で得られる熱エネルギーは、木を育てる労力と釣り合わないってことさ」
キュゥべえ「エネルギーは形を変換する毎にロスが生じる」
キュゥべえ「宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ」
キュゥべえ「だから僕たちは、熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た」
キュゥべえ「そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ」
まどか「あなたは…一体…?」
キュゥべえ「僕たちの文明は、知的生命体の感情を、エネルギーに変換するテクノロジーを発明した」
キュゥべえ「ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかった」
キュゥべえ「そこで、この宇宙の様々な異種族を調査し、君たち人類を見出したんだ」
キュゥべえ「人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、一人の人間が生み出す感情エネルギーは、その個体が誕生し、成長するまでに要したエネルギーを凌駕する」
キュゥべえ「君たちの魂は、エントロピーを覆す、エネルギー源たりうるんだよ」
キュゥべえ「とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移だ」
キュゥべえ「ソウルジェムになった君たちの魂は、燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、膨大なエネルギーを発生させる」
キュゥべえ「それを回収するのが、僕たち、インキュベーターの役割だ」
まどか「私たち…消耗品なの?あなたたちのために…死ねって言うの?」
キュゥべえ「この宇宙にどれだけの文明がひしめき合い、一瞬ごとにどれ程のエネルギーを消耗しているのか分かるかい?」
キュゥべえ「君たち人類だって、いずれはこの星を離れて、僕たちの仲間入りをするだろう」
キュゥべえ「その時になって、枯れ果てた宇宙を引き渡されても困るよね?」
キュゥべえ「長い目で見れば、これは君たちにとっても、得になる取引のはずだよ?」
まどか「バカ言わないで。そんなわけのわからない理由で、マミさんが死んで、さやかちゃんがあんな目に遭って。あんまりだよ…ひど過ぎるよ」
キュゥべえ「僕たちはあくまで君たちの合意を前提に契約しているんだよ?」
キュゥべえ「それだけでも充分に良心的なはずなんだが」
まどか「みんな騙されてただけじゃないっ!!」
キュゥべえ「騙すという行為自体、僕たちには理解できない」
キュゥべえ「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね」
まどか「あなたの言ってること、ついていけない。全然納得できない」
キュゥべえ「君たち人類の価値基準こそ、僕らは理解に苦しむなあ」
キュゥべえ「今現在で69億人、しかも、4秒に10人づつ増え続けている君たちが、どうして単一個体の生き死ににそこまで大騒ぎするんだい?」
まどか「そんな風に思ってるなら、やっぱりあなた、私たちの敵なんだね」
キュゥべえ「これでも弁解に来たつもりだったんだよ?」
キュゥべえ「君たちの犠牲が、どれだけ素晴らしい物をもたらすか、理解して貰いたかったんだが、どうやら無理みたいだね」
まどか「当たり前でしょ?」
キュゥべえ「まどか。いつか君は、最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう」
キュゥべえ「その時僕らは、かつて無い程大量のエネルギーを手に入れるはずだ」
キュゥべえ「この宇宙のために死んでくれる気になったら、いつでも声をかけて。待ってるからね」


キュゥべえ「そうまでして死体の鮮度を保って、一体どうするつもりだい?」
杏子「コイツのソウルジェムを取り戻す方法は?」
キュゥべえ「僕の知る限りでは、無いね」
杏子「そいつは…、お前の知らないこともあるって意味か?」
キュゥべえ「魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれ程の不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない」
杏子「できるんだな?」
キュゥべえ「前例はないね。だから僕にも方法は分からない」
キュゥべえ「生憎だが、助言のしようがないよ」
杏子「いらねぇよ。誰が…テメェの手助けなんか、借りるもんか」


仁美「まどかさん。今朝は顔色が優れませんわ。大丈夫ですの?」
まどか 「うん…。ちょっと寝不足でね」
仁美「それにしても、今日もさやかさんはお休みかしら?」
仁美「後でお見舞いに行くべきでしょうか。…でも私が行っていいのか」
仁美「今ちょっと、さやかさんとはお話しづらいんですが」
まどか「仁美ちゃん。あのね…」
杏子「昨日の今日で、のんきに学校なんて行ってる場合かよ」
まどか「あっ?」
仁美「まどかさん?」
杏子「ちょっと話があるんだ。顔貸してくれる?」
まどか「仁美ちゃん。ごめん。今日は私も…学校お休みするね」
仁美「え?そんな、まどかさん、ちょっと」


まどか「あの…話って」
杏子「美樹さやか。助けたいと思わない?」
まどか「あっ…助けられる…の?」
杏子「助けられないとしたら、放っとくか?」
杏子「妙な訊き方しちゃったね。バカと思うかもしれないけど、アタシはね。本当に助けられないのかどうか、それを確かめるまで、諦めたくない」
杏子「アイツは魔女になっちまったけど、友達の声ぐらいは覚えてるかもしれない。呼びかけたら、人間だった頃の記憶を取り戻すかもしれない。それができるとしたら、たぶん、アンタだ」
まどか「う…?」
まどか「うまくいくかな?」
杏子「わかんねぇよそんなの」
杏子「わかんないからやるんだよ。もしかして、あの魔女を真っ二つにしてやったらさ、中からグリーフシードの代わりに、さやかのソウルジェムがポロッと落ちてくるとかさ」
杏子「そういうもんじゃん?最後に愛と勇気が勝つストーリー、ってのは」
杏子「アタシだって、考えてみたらそういうのに憧れて魔法少女になったんだよね」
杏子「すっかり忘れてたけど、さやかはそれを思い出させてくれた」
杏子「付き合いきれねぇってんなら、無理強いはしない。結構、危ない橋を渡るわけだしね」
杏子「アタシも、絶対何があっても守ってやる、なんて約束はできねぇし」
まどか「ううん、手伝う。手伝わせてほしい」
まどか「私、鹿目まどか」
杏子「ったくもう、調子狂うよな、ホント」
まどか「え?」
杏子「佐倉杏子だ。よろしくね」
まどか「う…うん」


ほむら「すみません。気分がすぐれませんので、保健室へ」
先生「このクラスの保健委員は誰かね?」
生徒「鹿目さんは今日、休みです」
先生「では学級委員が付き添いに」


まどか「ほむらちゃんも、手伝ってくれないかな?」
杏子「アイツはそういうタマじゃないよ」
まどか「友達じゃないの?」
杏子「違うね」
杏子「まあ利害の一致っていうか。お互い一人じゃ倒せない奴と戦うためにつるんでるだけさ」
杏子「あと何日かしたら、この街にワルプルギスの夜が来る」
まどか「ワルプルギス?」
杏子「超弩級の大物魔女だ」
杏子「アタシもアイツも、たぶん一人じゃ倒せない。だから共同戦線っていうか、まあ要するにそういう仲なのさ」


杏子「ここだな」
まどか「ホントにさやかちゃんかな?他の魔女だったりしないかな?」
杏子「魔力のパターンが昨日と一緒だ。間違いなくアイツだよ」
杏子「さて、改めて訊くけど、本当に覚悟はいいんだね?」
まどか「何かもう、慣れっこだし」
まどか「私、いつも後ろから付いてくばっかりで。役に立ったこと一度もないけど。でもお願い、連れて行って」
杏子「ホント変な奴だな、アンタ」


まどか「ねぇ、杏子ちゃん」
まどか「誰かにばっかり戦わせて、自分で何もしない私って、やっぱり、卑怯なのかな」
杏子「何でアンタが魔法少女になるわけさ?」
まどか「何でって…」
杏子「ナメんなよ。この仕事はね、誰にだって務まるもんじゃない」
まどか「でも」
杏子「毎日美味いもん食って、幸せ家族に囲まれて、そんな何不自由ない暮らしをしてる奴がさ、ただの気まぐれで魔法少女になろうとするんなら、そんなの、あたしが許さない。いの一番にぶっ潰してやるさ」
杏子「命を危険に晒すってのはな、そうするしか他に仕方ない奴だけがやることさ。そうじゃない奴が首を突っ込むのはただのお遊びだ。おふざけだ」
まどか「そうなのかな」
杏子「アンタだっていつかは、否が応でも命懸けで戦わなきゃならない時が来るかもしれない。その時になって考えればいいんだよ」
まどか「うん」


まどか「杏子ちゃんはどうして…あっ」
杏子「気づかれた、来るぞ!」


杏子「いいな、打ち合わせ通りに」
まどか「う…うん」
まどか「さやかちゃん。私だよ。まどかだよ。ね、聞こえる?私の声がわかる?」
杏子「怯むな。呼び続けろ」
まどか「さやかちゃん。やめて。お願い、思い出して。こんなこと、さやかちゃんだって嫌だったはずだよ。さやかちゃん、正義の味方になるんでしょ?ねえお願い、元のさやかちゃんに戻って!」
杏子「聞き分けがねぇにも、程があるぜ、さやか!」
まどか「杏子ちゃん!?」
杏子「大丈夫、この程度、屁でもねぇ。アンタは呼び続けろ、さやかを」
まどか「やめて!もうやめて!さやかちゃん!私たちに気づいて!」
杏子「ハッ、いつぞやのお返しかい?そういえばアタシたち、最初は殺し合う仲だったっけね」
杏子「生温いって、あの時アタシがもっとぶちのめしても、アンタは立ち上がってきたじゃんかよ」
杏子「怒ってんだろ?何もかも許せないんだろ?」
杏子「わかるよ…それで気が済んだら目ェ覚ましなよ、なぁ」
まどか「さやかちゃん…おねがいだから…」
杏子「さやかっ!!」
杏子「アンタ、信じてるって言ってたじゃないか!この力で、人を幸せにできるって」
杏子「頼むよ神様、こんな人生だったんだ。せめて一度ぐらい、幸せな夢を見させて」


ほむら「杏子」
杏子「…よう」
ほむら「貴女……」
杏子「その子を頼む。アタシのバカに付き合わせちまった」
ほむら「あ……」
杏子「足手まといを連れたまま戦わない主義だろ?いいんだよ、それが正解さ」
杏子「ただ一つだけ、守りたいものを最後まで守り通せばいい」
杏子「ハハハ、何だかなぁ。アタシだって今までずっとそうしてきたはずだったのに」
杏子「行きな。コイツはアタシが引き受ける」
杏子「心配すんなよさやか。一人ぼっちは…寂しいもんな。いいよ、一緒にいてやるよ。さやか」


ほむら「杏子……」


ほむら「佐倉杏子には、本当に美樹さやかを救える望みがあったの?」
キュゥべえ「まさか、そんなの不可能に決まってるじゃないか」
ほむら「なら、どうしてあの子を止めなかった」
キュゥべえ「もちろん、無駄な犠牲だったら止めただろうさ」
キュゥべえ「でも今回、彼女の脱落には、大きな意味があったからね」
キュゥべえ「これでもうワルプルギスの夜に立ち向かえる魔法少女は、君だけしか居なくなった」
キュゥべえ「もちろん、一人では勝ち目なんてない」
キュゥべえ「この街を守るためには、まどかが魔法少女になるしかない訳だ」
ほむら「やらせないわ。絶対に」

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最終更新:2015年08月08日 20:35