エアコンDIYサポートサービス

2012年11月22日
エアコンの設置やメンテを自分でやりたいのだが、WEB上の知識だけで、ポンプダウン以外全く経験がない。
初めてなので、とりあえず教えてもらおうと思ってセントラルサービス
http://www.c-svc.com/eakon.html
のエアコンDIYサポート サービス(5,000円/90分)を利用した。

ご自身でエアコンを設置したいとお考えの方に、工具一式持参のうえサポート致します。
サポートなのであくまでも作業の中心はお客様です。
設置場所の選定や穴あけのポイントなど現地できめ細かにサポート致します。
90分間(標準工事で1台分の時間です)のサポートと工具の使用料が含まれます。

ということ。京都の会社なので、周辺の人は利用を検討してみても良いかもしれない。とりあえず電話で聞くと、月末までほぼ一杯ということ。むむ?、やりたくないのかな。
「内機、外機の据付はこちらでやっておきますから配管のフレア加工と接続と真空引きのエアパージだけ道具を使わせていただいて、やりたいのですが…。」
と食い下がると、日程を調整してみるので折り返し連絡しますということだった。
半分あきらめていたが数時間後連絡があり、フレア加工せず、加工済みの配管を接続するだけなら何とかOKということだった。余った管はとぐろ巻きだ。下手にフレア加工するよりよほど確実だと言う。しかしねえ。見栄えが…。時間がかかるのがいやらしいな。まあ、いいか。ミドリ電化がやったあともとぐろ巻きだったしな。

注.2015年1月現在エアコンDIYサポートサービスはやっていないようです。

というわけで、サポートの日までに予め古いエアコンをポンプダウンしてはずしておいた。これは無料で引き取ってくれる業者があるのでそちらに渡した。さらに新しいエアコンを通販で買って内機と外機を据え付けて電源ケーブルのつなぎ込みをやり、2分3分のフレア加工済み配管や保護テープ、ドレン、パテなども用意しておいた。あとは配管の接続と真空引きだけじゃないか。

当日、僕は何をやったかというとコーナンで買った管つけてテープ巻いただけ。真空ポンプの操作はやっていない。見ていただけ。下手に触らせて逆流やら真空ゲージ壊されたりしたら大変だって感じ。でも、真空引きなんて、難しくも何ともない。肝心要の勘所はフレア加工の管を確実に接続する事。これが全てだ。そのところが大事だということだけは叩き込まれた。それだけでもこのサービスを利用した価値はあったと思う。僕はそのところを甘く見ていた。特に室内機側の3分管の接続。これが最も高いハードルだ。それが全てと言ってもよい。そのハードルさえクリアできればあとのことはどうと言うことはない。

セントラルサービスの人は愛想も良く、言葉遣いも丁寧だった。ここではプロ氏と呼ばせてもらうことにする。しかし、僕はプロ氏に丁寧におこられっぱなしであった。プロ氏は「ダメです。」の連発だった。僕は駄目出しばかりされていた。できるだけ思い出して書いておきたい。

まず、内機からの配管にコーナンで買った配管を接続しようとしたら、

「それダメ!ダメだめです。形作ってからつないで下さい!」

接続する前に配管を曲げてほぼ100%形を作っておく。接続してから曲げると接続部に力がかかり漏れの原因となるからだ。管は徐々に曲げる。曲げは本当に少しずつ。折れたら終わり。さらに接続部の前後10cmは曲げないで直線とする。とにかくその部分周辺が変形していると漏れの原因になる。

次のダメ出しはエアコン内機からの配管を接続する部分の3分管の方の22mmの袋ナットの締め方。確かにこれが最大の難所。先ずは管のフレアが垂直にピッタシ当たるように手で締められるだけ締めて次にトルクレンチでやろうとしたら、

「あ、あ、あ!ダメ!ダメ!ダメ!両手、両手!」

内機側のナットを固定せずにいきなり袋ナットを締めようとしたのを見て、素人は何するんだって感じでものすごい勢いで言われた。ダブルスパナだな。それ、わかってたんだけどあわてて忘れてた。ロウ付けなんて弱いもんだしね。ロウ付けされている雄ネジの方をモンキーで固定し、袋ナットをトルクレンチで締めるのだ。モンキーは左手で持って雄ネジを固定し、トルクレンチは右手で持って袋ナットにはめて両手で締める。ところが袋ナットが自分より遠い側だったために締める向きが腕を外へ広げる方向だった。何かうまく力が入らん。やたら力いるじゃねーか。ぜんぜんトルクレンチがカクンとならん。力入って痙攣状態。ブルブルブル。なんじゃこりゃああ?そしたら、

「あ、あ、あ!ダメ!ダメ!ダメ!××××××」

へっ!今度は何だよ。オレ、そんなにひどいことしてる?何が悪いのかわからんぜ。

「えっ?、何か…。」
「管が曲がってるんですわ。回転する向きだけに力かけんと曲がったらあきません。」

ははあ、力いっぱいだから回転軸がぶれるって感じだな。だから真っ直ぐ直線だった管が曲がる。意識しないでやると軸がぶれて管が曲がるのだ。何とかナットに回転モーメントだけを加えようと意識して力を入れたが、

「ダメです。」「ダメです。」「あーこわい、こわい、こわい。」

プロ氏、目を覆いたくなるような口調で激しくダメ出し。ここまで言われたら、いくら丁寧に言われてもめげる。めげながらもここはやるしかないだろ。頑張れ。40N・mだ。俺、力、弱いほうじゃないだろ。腕力だ。腕力いるなあ、えい!

「あーこわい、こわい、こわい。」
「だめだめ、やめてください、そこのところはもう、わたし、やりますわ。」

プロ氏、見てられないという感じ。僕はうなだれて、モンキーとトルクレンチをプロ氏に渡す。プロ氏は袋ナットを自分に近い方に持ってきてそのポジションからクッと一瞬内向きに閉めてイチコロで終了。

「えーーーー!」
「私ら年間1000台つけてますけどね…。3分管みたいなもんはましですわ。トルクレンチは締めすぎんように使うんです。4分管やら、業務用の5分管になったらこんなもんやないですよ。」
「さすがですね。やっぱり経験が必要ですか。」
「だいたいこうやってついて教えて1000台つけてやっとプロとしては使えるぐらいになります。10台や100台ではまだまだあきません。」

プロ氏曰く、

「情報ばっかり頭に入れてもね、腕力がなかったら一生できひんしね。」

(オレに言ってんのかよ。)
と思ったがそこはプロのプライドを立ててこらえて言わず。そりゃね。そうだろ。言いたい気持ちはよくわかる。

ともかくここで学んだこと。接続部の前後10cmは直線。この部分は何があっても絶対曲げない。接続の時も接続してからも、その部分に曲げの力を加えない。


次に保護テープを巻くように言われたのでその作業に入る。非粘着テープの端を粘着テープで止めて巻き始める。非粘着性の保護テープは普通と裏表逆で巻くと巻きやすい。裏表がある製品もある。そんな基本中の基本もしらねーのかよとは言われずともそんな感じ。巻いてる最中にプロ氏、僕が予めつないでおいたケーブルを見て曰く、

「だいたいこの電線使い回しでしょ。それにこの太さは使えないですよ。」
「エアコンの取付説明書に2スケって書いてありましたね。これ1.6スケだしだめなのわかってるけど…。」と、僕。
「スケってのはね、より線ですよ。」と、プロ氏、何言ってんだという表情。
「ああそうですか。1.6ミリですね。」と僕。あーまた情けないこと言っちゃった。
(このど素人が、聞きかじりの知識で、いいかげんなことやるんじゃねーよ。)

とは、プロ氏言わずとも嘆かわしい表情。もう、僕は何をする気力もなかった。プロ氏は黙々と充電式の真空ポンプを出してきて真空引きをやり始めた。ポンプさわらせてくれなんていえる雰囲気じゃない。10分もしないうちに真空引きも終わり、ポンプ側のバルブを閉じ、ポンプを止めて漏れがないか放置する。その間約5分。短いんじゃねーなんて言える雰囲気じゃない。自分でやるときはじっくり時間をかけよう。

「漏れてませんね。」

プロ氏、高圧バルブを開きガスを入れてサービスバルブのホースをはずした。チャージバルブは使ってないのでプシュッとガスが出たが、そこは一瞬だ。慣れた手つきでさっさとポンプなどの片付けに入る。

「バルブ開けといてください。」
「はい、どちらも全開ですね。」

あと、僕がやったことと言えば六角レンチで高圧と低圧のバルブを最後まで開けただけ。それもちゃんと開け切れてるかプロ氏確認。不完全だった。クッと力を入れるぐらいに開けきらないといけないらしい。そんなことさえも満足にできない。さて、試運転。ところがブレーカー上げたらすぐ落ちた。エアコンのコンセント、予め取替えといたやつが何と、あろうことか、同じ端子につながる穴に2本とも差し込んでショートの配線。僕としたことが、プロ氏の前でどうしてこんなに情けない初歩的ミスを露呈してしまったのか。確か中学生の頃同じミスを犯してそれ以来そんなバカなことやらなかったのに…。

「おんなじとこにつないだんですか?」
「その、…。すみません。」
「いや、あやまってもらうことないですけど、」

僕がコンセントの配線なおそうとすると、

「このコンセント、もうだめです。使えません。絶対使わん方がいいですよ。どうなってるかわからんし。一度ブレーカー切ったら絶対交換です。延長コード持ってきてください。それで試運転しましょ。」
「はい。」

僕は延長コードを持ってきて

「どこに差しましょう?」
「そんなもん、どこでもいいですよ。」(何言ってんだよ、この間抜け。)

で、その辺にさして、必死でリモコンの電池入れてたら、もう動いてる。プロ氏曰く、

「強制運転しました。」

どこ押すんだろう。見てなかったな。バカなのはオレだけどさ…。

ともかくまいった。後で思い切り言われてるだろな。
(できもしないのに。ど素人が!)
ってね。もちろん実際には言われませんでしたよ。丁寧な人でしたよ。でも、どう考えてもそんなふうに思われてたと思う。

「1000台つけてやっとプロとしては使える」

ってね。わかる。わかりすぎる。プロ氏がそう言いたくなる気持ち。
僕は喫茶店のオヤジだ。他人には趣味でやってると思われているかも知れないが、僕としては仕事でやっているつもりだ。コーヒーを入れることに関してはプロのつもり。自家焙煎、サイフォン、一杯立てということで、たまにコーヒーマニアみたいな人がコーヒー談義をしたりする。僕はそういうのが苦手だ。あるとき、結構若い人だったが初めて来てカウンターに座って、

「確かにおいしいですけど、この店のコーヒーはもっとおいしくなりますよ。」

と言った。僕は逃げたね。厨房の奥に引っ込んだ。これ以上顔を合わせたら間違いなく出て行けって怒鳴ると自分で思ったからだ。オレは年間何千杯ってコーヒー淹れてんだよ。これまでに何万杯ってコーヒー淹れてきたんだよ。おいしくする方法ぐらいいくらでも知ってるさ。プロだから採算考えてんだ。商売として成り立ちうるBESTでやってるんだ。ど素人がわかったようなこと言うんじゃないよ。

何が言いたいかって、プロにはプロのプライドってものがあるんです。まあ、エアコンDIYサポート、こんな感じでした。これで5000円払いました。安い授業料です。しかし、このまま終わる俺じゃないよ。

さて、次は素人の僕が最低限必要と考えた道具について書く。
一体、いくら出せば真空引きでエアコンの設置ができたりガスを入れたりできるのか。
最終更新:2015年02月03日 00:09