室内暖房用自作ロケットストーブ

2017年12月12日(月)
このところYouTubeに製作記事をUPするようになりました。
こちらのページで2017年シーズンバージョンの動画をご紹介します。

2016/12/5 に公開
ロケットストーブの心臓部と言えるヒートライザーは内部が高温になるほど性能が良くなるので、断熱性と耐熱性が期待できるパーライトモルタルを材料にして作りました。点火実験では良い手ごたえを感じました。構造や製作工程を詳しく記録します。

2017年シーズンバージョンロケットストーブ3号機の製作をしました。
自作派の方々と情報を共有できるよう、できるだけ細かい作り方の内容を記録します。とりあえず実験段階ですが、今シーズン中に住宅街でも使える排気のきれいな小型の室内暖房用ロケットストーブに仕上げるつもりです。昨年まで高温になるバーントンネルやヒートライザー下部に赤レンガなどを使っていましたが耐火性・断熱性に問題がありました。耐火レンガはピザ窯の製作などでよく見かけますが、断熱が必要なロケットストーブにはあまり適しません。珪藻土レンガなどの断熱レンガを使うことも考えましたが費用の点で断念しました。動機が節約なのでお金はかけたくありません。いろいろ検索しているうちにパーライトモルタルという素材は試してみる価値があると思いました。費用も安く、断熱性や耐熱性も期待できます。三井パーライトのホームページでは、パーライトモルタルで断熱レンガを作ることもできるように書いてありました。この素材でロケットストーブができれば、アウトドアでのキャンプや料理で活用できることはもちろん、室内の暖房用にも実用できるのではないかと思います。また、断熱性が良いということはヒートライザーの能力が高くなるということなので、吸い込みが強くなり懸案であり越年の課題であった廃油の完全燃焼もできるかもしれないと期待しています。もしかすると、自然吸気の廃油ストーブがロケットストーブで実現できるかもしれません。今シーズンはパーライトモルタルという素材にじっくり向き合って色々な実験や検証をしたいと思っています。とりあえず、点火燃焼実験までの動画をUPします。

ヒートライザー、バーントンネルは9cm角です。
小さいように感じますが燃焼の規模を抑えることで完全燃焼を実現しようというのがロケットストーブの基本的な考え方だと思うので、屋外煙突とほぼ同じ断面積にしました。
燃焼の規模は火床の長さで調整できればやろうと思います。即ち前の方まで燃やせばそれだけ火力が強くなるという算段です。焼肉も複数人でできるのではないかともくろんでいます。
燃料タンクは上部の蓋はしないで逆焚き火を眺められるようにしたいです。前シーズンまでは長い筒に蓋をして立てていましたが、視聴者の方には上に燃え広がるのではないかという不安感を多分に多分に与えていたと思いますので今シーズンは炎が見える形にしたいと思います。
空気口は前面に設けません。原則として焚口から空気を取り入れる事にします。それでは空気が不足する時、例えばおがくずなど、吸入口が燃料で塞がれてしまう場合はバーントンネル前方の蓋をずらしたりはずしたりして空気を取り入れることにします。
火床部分は9cm角のバーントンネルとします。熾火を蓄えるために火床部分だけを掘ると灰を出しにくいので掘りません。火床部分を掘り下げ、ロストル(網)をしいて灰をためるような構造のものもあります。それはとても良いとは思いますが、灰の取り出し口を下部に設けるとなれば相当複雑な構造になるので今回は見送ります。
しかしそれを設けなければ燃焼を中断して灰を掻き出すという非常に手間のかかる作業を強いられます。では、何処から灰を取り出すか。逆転発想で前面からではなく、背面から行なうことにします。そうすると燃焼中もヒートライザー下部あたりにたまった灰を取り出せるかもしれません。熱気の流れはヒートライザーに向かうので、灰もストーブの背面に向かうはずであり前面よりも奥にたまりやすいはずです。背面から灰が取り出せれば燃焼を中止することなく燃焼は常に良い状態に保つことが可能なのではないかと思ってそのように作りました。効果のほどは今後検証します。
断熱層の厚みですが、ヒートライザー側面は10cmとしました。その他は基本的に12.5cmとしました。これは断熱レンガの横幅114mmを上回ります。底面のU字溝は重くなると思いますが一人で持てる重さにします。
ヒートライザーの高さは、断熱レンガを用いた製作記事で、ヒートライザーは9段がよかったという内容を読んだのでそれを参考にしましたが根拠はありません。仮に9段とすると65mm*9で約60cmの高さです。
今シーズンのロケットストーブの目玉は、材料としてパーライトモルタルを採用したことです。
三井金属
https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/project/perlite/product/kenchiku.html
によればパーライトコンクリート(モルタル) 特徴と性質は
軽 い・・・・・普通セメントモルタルの2分の1以下。
耐火性・・・・・普通セメントモルタルの約4倍。
耐熱性・・・・・普通セメントモルタルの約8倍。
吸音性・・・・・普通セメントモルタルよりすぐれています。
施工性・・・・・普通セメントモルタルと同様で容易です。
パーライトコンクリート(モルタル)を使用することにより、軽量、耐火、耐熱及び吸音性などすぐれた効果を発揮するということです。
施工要領
https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/project/perlite/pdf/concretemoltar.pdf
耐火モルタルと言えば定評のあるアサヒキャスターが良いと思われます。骨材としてパーライトを使うにしても、アルミナセメントを使う必要があると思われます。しかし、三井金属によれば、混ぜるセメントはただのセメント=ポルトランドセメントでOKということです。
それで本当に耐熱性が8倍になるのでしょうか。
断熱レンガにもなるということらしいです。それが本当ならすごいです。
アサヒキャスターやアルミナセメントは高価なのであきらめていましたが、三井金属のパーライトは100リットルで1600円ぐらい、セメントは25㎏で数百円なので安価に製作できます。試してみる価値は十分あります。
パーライトモルタルの作り方です。
容積混合比で セメント:パーライト 1:4 とします。
AE剤ヴィンゾールはセメント重量の0.04%

セメント:25kg(17リットル)
パーライト:2/3袋(66リットル)
水:23リットル
AE剤10ccまたはハイメトローズ45g
合計練り上り量:約50リットル
乾燥比重:0.95
熱伝導率:0.16kca/mh℃
実際には練りこむ船の大きさに制限がったので
三井金属パーライト:20リットル
セメント:4.8リットル
水:7リットル
混和剤:1/5袋
としました。
又は
園芸用パーライト:10リットル
セメント:2.4リットル
水:3.4リットル
混和剤:1/10袋
という配合もやりました。
いずれにせよ、水は適当に入れると入れ過ぎになりやすいので規定量を守る方が無難です。
セメント:パーライト 1:4 としましたが断熱性は十分ですが強度はあまりありません。
断熱性を取るか、強度を取るかで混合比を模索する必要があります。
何度か練りましたが
パーライト、セメント、水(規定量の80%)の順に投入し、攪拌しながら残りの水20%を加え、適当軟度(極力硬練りが良い)に練り上げるのが良いと思います。
練りはじめは軟度不足のように見えますが、だんだん練っていくうちに水がにじみ出てきて、規定量でちょうどよい硬さになります。過度の加水にならないように注意します。
型に流し込む時、気泡ができるだけ入らないように徐々に丁寧に打込む必要があると思います。僕は気泡がたくさん入りました。
型を外したあとでさらにパーライトモルタルを少量作って表面の気泡などの穴を塞いで仕上げました。
参考ページ
★パーライトモルタルで作るロケットストーブ
http://mainennetaro.blog.fc2.com/blog-entry-627.html
配合比は上記三井パーライトページを参考にしたということです。
★パーライトモルタル・ロケットストーブの製作
http://inakalib.com/practice/1457
配合比は上記三井パーライトページを参考に1:3の容積配合比。
AE剤のマーボローズエースを加える。
★とこなめ土管ロケットストーブ 工房ないしょ話
http://tokonamedokan.tumblr.com/post/120260282555/%E3%81%A8%E3%81%93%E3%81%AA%E3%82%81%E5%9C%9F%E7%AE%A1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%96-%E5%B7%A5%E6%88%BF%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%97%E3%82%87%E8%A9%B1-4-%E8%80%90%E7%81%AB%E6%9D%90%E3%81%A8%E6%96%AD%E7%86%B1%E6%9D%90
パーライト 6リットル
水     3リットル
キャスター 2リットル
モルタル  1リットル
キャスターとモルタルをよく混ぜ合わせて、水に浸したパーライトをザルですくって加えます。すると、浸透圧が働いてパーライトの気泡に含まれる水が吸い出されるらしく、ふっくらと仕上がります。
後から水を加えた場合、セメント粒子が逆に気泡に吸い込まれてしまうようで、断熱効果を低下させないよう工程にも配慮しています。
最終更新:2016年12月12日 08:54