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働くTFEI

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hiroki2008

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働くTFEI


2008年3月ごろから貼った保守ネタ


長門不動産


「すいません、先ほどお電話差し上げた者なんですが」
「……用件を聞こう」
いきなりヒットマンみたいな対応だな。って長門かい!
「こんなところでなにしてんだ」
「……食費を賄うためのバイト、もしくはそれに準ずる労働」
「そうか。ヒューマノイドもいろいろと大変だな」
「……用件は」
「ああそうだ、卒業したら一人暮らしするんでアパート探してるんだ。いい物件あったら教えてくれないか」
「……分かった。希望する条件を尋ねたい。部屋数、階数、木造・鉄骨、家賃そのほか」
バイトにしちゃ堂に入ってるな。宅建とか持ってるのかもしれんな。
「んーそうだな、ゼイタクは言わん。駅にできるだけ近くて1LDKくらいのアパートで、造りは木造でも軽量鉄骨でも構わん。足音が気になるからできれば二階な」
「……予算は」
「家賃5万くらいかな」
「……4件のファイルを抽出」
「おう早いな、見せてくれ。南向きの2階か、これ明るそうでいいな」
「……推奨しない。1階の住人が夜中に大声で怒鳴るという報告がある」
「こ、怖いなそれ。じゃあ中学校の向こうのこれなんかどうだ。こぎれいなハイツだぜ」
「……その物件は3年前、泥棒が入ったことがある」
「じゃ、じゃあやめとこう。祝川公園の近所とかどうだ。環境よさそうだ」
「……一人暮らしには妥当。でもオーナーが神経質すぎて店子が頻繁に入れ替わる傾向にある」
「そういうのもいやだな。引っ越すようなことになったら敷金がもったいない。築15年とか、ちょっと古いがこれなんかどうだ」
「……それは、ダメ。精神衛生上お勧めできない」
「なんだその精神衛生って」
「……向かいに同年齢の独身女性が住んでいる」
「いいじゃないか、むしろ歓迎したいくらいだ」
「……ダメ、ぜったい」
な、なんだそりゃ俺は別に薬物乱用するわけじゃないぞ。
「気を使ってくれてるのは分かるんだが、多少のことなら我慢するぞ」
「……一件だけ、お勧めがある」
「おう、それそれ。長門オススメってのは」
「……光陽園駅から歩いて5分。コンビニ近し。敷金礼金、管理費なし」
「いいじゃん。部屋の広さは?家賃は?」
「……74平米。家賃は5000円」
「74平米って……うちより広いじゃねーか。それまじで5000円?もしかしてヘンなのが出るとかじゃ」
「……ヘンなの、とは」
「いやいろいろとアレだ、超常現象的な」
「……そういう現象は見たことがない」
「まあいいや、一度見に行ってみよう。どこなんだそれ」
「……光陽園パークサイド、708号室」
「ってそれお前んちだろ!」

*

ナガドナルド

「……来店を歓迎する。現在、シャカシャカチキン、てりたまバーガーのキャンペーン中。高コレステロール高血糖、高塩分で非常に不健康な食品で不本意だがわたしは立場上販売の義務を負っているのでやむをえず、」
「ちょっと長門さん、その回りくどい説明は客が引いてるからやめて」
「……払え、食え、帰れ」



「……ご注文は」
「てりたまバーガーのスペシャルで」
「……あなたは、卵アレルギーの兆候がある。卵抜きを推奨する」



「……ご注文は」
「プレミアムローストコーヒーがおいしいらしいね」
「……あなたは寝不足。まず、客席で2時間ほど休憩を推奨する」



「ななな、長門さんが勤めてらっしゃると聞いてやってきましたハァハァ」
「……そう。ご注文は」
「ビッグマックセットとマックラップとマックフルーリーを2セットお願いします」
「……推奨しない。あなたは、体脂肪率が高すぎる」
「じゃ、じゃあ極力ヘルシーなメニューでお願いします」
「……水」



「……ご注文は」
「スマイルひとつください」
「……?。もう一度」
「ゼロ円のスマイルください」
「……」
「スマイルくださいよ~」
「……エマージェンシーモード。店長、シフト交代を申請する」



「……ご注文は」
「おっ、かわいい子じゃん。バイトふけたらお茶しない?」
「……爽健美茶なら、セットメニューにある」
「ねえねえ、30分くらい付き合いなよ」
「……次の客が待っている。注文しないなら退出を要請する」
「つれねえなあ、うんと言うまで俺帰らないぜ」
「……このマックシェイクを食べることができたら、検討する」
「ほんとだな!?じゃあチョコレートのマックシェイク」
「……オーダー、チョコシェイクワン」
 … … …
「ウボアアアアあの女!シェイクにマスタード入れやがった!!」



「最近ハンバーガーも飽きたわねぇ、味もマンネリ化したわ。これほんとに牛肉なのかしらね」
「……このハンバーガーに使用されている牛肉は、オーストラリアカウラ地区で人工種付けされて2006年5月8日に生まれたヘレフォード種肉牛第6722号。18ヶ月間牧場で飼育された後、脳を麻痺させて電気屠殺され皮と肉に解体加工され、冷凍輸入された。あなたが食べているのは、その一部」
「な、長門さんお客さんもう帰っちゃったから」



「よっ長門。バイトの調子はどうだ」
「……順調」
「そうか、がんばれよ。じゃあビッグマックのセットをひとつな」
「……今なら、ハッピーセットがお勧め」
「それ薄っぺらいハンバーガーかチーズバーガーのセットだろ」
「……NARUTO螺旋眼ボールで遊べる」
「おもちゃはいらないからふつうのセットでいいよ」
「……なかむらくんムービーカメラも付ける」
「俺は腹減ってるから」
「……ハナちゃんジュエリーコンパクトも付ける……グスン」
「分かった分かった、ハッピーセットにするから泣くな」

バーバ朝倉


カランコロン♪
「いらっしゃいませ~真ん中の椅子にどうぞ」
「あどうも」
日曜は混んでると思ってたが、ありがたいことに空いてるようだ。
「あのぉ、お客様。今度入った研修生がいるんですけど、その子でよろしかったら無料でカットさせていただきますが」
「えっ、タダでいいんですか」
俺は少しだけ考えた。理髪師の研修生ってどんな人だろ、専門学校の学生か出立てくらいのお姉さんだろうか。いくら新人とはいえ丸刈りにされたりはせんだろ。
「じゃあお願いします」
最近寒い財布の中身も体温並には落ち着くだろうし。
「涼子ちゃん、ご指名よ」
いやあご指名だなんて未成年の俺が聞いたら赤面するじゃないですか、って今なんて言いました、誰ですって?
「あら、キョンくんじゃない。珍しいわね。やっとその鬱陶しいモミアゲ切る気になったの?」
「って朝倉!なんでお前がここにいんだよ」
それにこのモミアゲは俺のトレードマークだ。武士のちょんまげ並に俺の命だ、誰にも渡さん。
「なんでとは失礼ね、わたしだって散髪くらいできるわよ」
いやそういう問題じゃ。なぜここで働いてるのかというそこはかとない素朴な疑問が。
「いくらヒューマノイドでもバイトくらいはしないと、ご飯も食べられないでしょ?」
ヒューマノイドインターフェイスって思念体から給料出てないのか。生活かかってんのな。
「それはいいが、大丈夫なんだろうな。腕のほうは」
「任せて。これでも上達したのよ。そうね、確かあなたで三人目ね」
三人って上達するほどの頭数じゃないでしょうが。
「最初の二人はマネキンだったけど、ふふっ」
なんだかすごく悪い予感がしてきた。悪寒もしてきた。隣のシートに置いてある部分的に禿げたゾンビみたいになってるマネキンがもしかして最初の二人ですか。
「大丈夫よ、後ろで店長も見てくれてるから」
「あんまり切りすぎるなよ。散切り頭になったりしたら学校中でネタになりかねん」
「人間はさぁ、やらなくて後悔するよりやって後悔したほうがいいっていうよね」
ここでそんな末恐ろしいセリフ吐くな。あのー、朝倉さん。そのミリタリナイフはなんなんでしょうか。
「あ、これ?これはミリタリナイフじゃなくてカット用のナイフよ。こっちのクシみたいなのはスキ刈り用で、こっちは仕上げ用ね」
「って全部ナイフじゃねーかよ」
「そんなことないわ。ちゃんと顔剃り用のカミソリもあるわ」
それもナイフだから、一種のナイフだから。
「じっとしてないと眉毛を落としちゃうわよ」
お前の眉毛がそれなのは何度も落としたせい、うわなにするやめ今のはただの妄言だゆるせ。
「ナイフだと落ち着かん。せめてハサミにしてくれ」
「ごめんね、ハサミはわたしの担当じゃないのよ。ハサミの子を呼ぶわ、妹ちゃーんご指名よ」
「キョンくーん、ハサミで切らせて」
「おい!なんでお前がここに!」
だいたい小学生を働かせるなんて児童福祉法に抵触してんだろ!シャミセンがほんとに円形脱毛症になっちまったのはもしかしてお前のせいか。うわお前らハサミとナイフで俺をどうしよってんだ、寄るな触るな近寄るなこっちくんな。
「ねえ、あきらめてよ。結果はどうせ同じなんだしさぁ」
これが抵抗せずにおれるか。丸刈りどころか店を出たらクビがなくなってましたなんてことになりかねん。って店長、あんたも笑ってないで助けて。か、体動かねえ、ありかよ反則だ。
「無駄なの。今この店長はわたしの意のままに動く」
「キョンくーん、じっとしてなくちゃ切れないよー」
「妹ちゃん、長門さんが来る前に早く頭をヒモでしばって!」
「うんっ分かった」

もはや拷問以外のなにものでもない。俺もうお嫁に行けん。



谷口の話


 このところ谷口の頭がおかしい。いやあいつがおかしいのは元々で、さらに輪をかけておかしくなったというか。
 谷口の奇矯な頭は徐々に片鱗を見せていたというべきだろう。というわけで片鱗その一。髪型が毎日変わる。月曜日には整髪料で適度に固めてまともだった髪型が、火曜日にはモヒカン、次の日にはチョンマゲ、その次の日には赤サビ色のロングヘア、なんとなく眺めていなくてもおかしいのは一目瞭然だった。金曜日にとうとうトゲトゲのパンクヘアになっちまったその頭は、ハルヒの奇矯さを上回り学校中の笑いのネタになった。
「って朝倉、お前だろ、谷口の頭で遊んでんのは」
「えへっ、分かった?」
「えへじゃないよ、まともなヘアスタイルに仕上げてやれねえのか。同じ男として見ちゃおれん」
「いいじゃない本人が気に入ってるんだし」
「き、気にいってんのか谷口」
「キョンよお、お前みたいなスキンヘッドよりはマシだと思うぜ。どうよこのパツンパツン」
うっさいわ!これは金縛りをかけられて俺が気絶してる間に妹と朝倉が人体実験しやがった結果だ。この頭のせいで空手部やら柔道部やらから勧誘されまくって困ってるところだ。

「谷口、いくら朝倉に気に入られたいからって男としてのプライドを捨てることはないと思うぞ」
「そ、そうかな」
「邪魔する気?この人間の髪を切れば間違いなく涼宮ハルヒにウケる。たぶん大きな情報爆発が観測できるはず。またとない機会だわ」
公衆の面前でなにを言っとるんだお前は。まあ確かに頭は爆発してるようだが。
「朝倉、お前のためなら頭のひとつやふたつ、いくらでも提供するぜ」
「ありがとう、やさしいのね谷口くん。そういう献身的なところスキよ」
青春ドラマみたいなセリフを吐きながらそのプルプル震わせてる口元はいったいなんだ。
「次はパツキンなんかどうかしらね」
「おうよ!なんでもやってくれい」

レム睡眠というやつをご存知だろうか。
「谷口、実は俺ポニーテール萌えなんだ」
「はぁ?何言ってんだよバッカじゃねえのお前……はうッ」
うあああ、なんつー悪夢だ。

働かない喜緑さん


初期スレ的な流れで

「喜緑さん、あなたはどうやって生活費を稼いでるの?」
「……わたしも、疑問。喜緑江美里には労働の記録がない」
「わたしもちゃんと働いていますわ。あなたたちのような肉体労働ではありませんけどね、ふふ」

「お邪魔だったかな。江美里いるかい?」
「あら会長さん、いらっしゃい。お待ちしてましたわ」
「江美里、今月の分だ」
「お世話かけてごめんなさいね。あら、いつもより多くありませんか」
「いいんだよ。キミのためならどんなことでもしてやれる」
「おやさしいのね会長さん。そういうところ、好きですわ。*chu*」
「わーははは。じゃ、私は生徒会の会議があるんで失敬する」
「またいらしてね、"わたしの" 会長さん」

「喜緑さん今のはいったいなに?」
「お手当てですわ」
「あなたまさか会長さんに貢がせてるんじゃ」
「とんでもございませ……あら、お客様がいらしたわ」
「喜緑くん、久しぶりだね会いたかったよ」
「部長さんお久しぶり。ずっとお顔をお見せにならないから寂しかったですわ」
「ごめんよ。近頃SOS団にパシリをさせられてて忙しくてね」
「いいんですわ。部長さんがわたしのことを想ってさえいてくだされば、わたしはいつまでも待ちつづけますから」
「え、えみりん……そこまで僕のことを信じてくれてるんだね」
「泣かないで部長さん」
「これは少ないけど取っておいてくれたまえ」
「あらあら、いつもごめんなさいね。一人暮らしでたいへんでしょうに」
「いいんだよ。僕のえみりんのためなら一週間食わなくたって平気さ」
「お気持ちはとても嬉しいのですけれど、体こわさないようにしてくださいね」
「じゃ、僕は部活があるから」
「またいらしてね、"わたしの" 愛しい人」



「喜緑さんってば、それ絶対カツアゲでしょ」
「人聞きがよろしくないですわ。みなさまからの善意の寄付と言っていただけませんかしら、オホホ」
「あなたまさかほかにも、」
「WAWAWAこんちわー谷口です」
「どうも国木田ですぅ」
「岡部だが」
「新川でございます」
「ミャ~」

「喜緑さん……あんたは鬼や、人の仮面かぶった鬼や……」

翌日

「すまん長門、少ないがこれ今日の分だ。本でも買ってくれ」
「……そう。ニヤリ」
「長門さんまで悪魔の真似しちゃダメ!!」

END

カレー屋ゆきちゃん


「キョンくーん、おなかへっちゃったよ」
「まあ待て、今日はおふくろがいないから俺が作る」
珍しく両親がそろっていないんだが、晩飯の材料はとりあえず冷蔵庫に入ってるらしい。ちょっと渋めに回鍋肉にでもするか。
「ピーマンきらーい」
そんなことを言ってると朝比奈さんの胸みたいにおっきくなれませんよ、って俺なに不純なこと言ってんだ。

「キョンくーん、家の前に変な車が止まってるよ」
「なんだ右翼の黒塗り街宣車でも来たのか?」
窓から外を覗いてみると道のど真ん中に妙なかっこうをした小屋みたいなものが建っていた。なんだありゃ、モソモソ動いているところを見ると車か、などと思っていると、懐かしいラッパの響きがパララーララと聞こえてきた。ってチャルメラかよ!今どきそんな懐古趣味は流行ってねえだろ。
「ねえねえキョンくん、晩御飯はラーメンにしようよう」
お前これがラーメン屋の屋台だって知ってるのか。まあ適度に腹は空いてておかずを作る手間も省けるな。しょうがない、俺は財布を握って家のドアを開けた。
「すいません、ラーメン二人前おねがいします」
「……これは、ラーメン屋ではない」
って長門さん、人んちのまん前でなにしてはるんですか。道路往来妨害もいいとこですよ。
「ラーメン屋じゃないって、そのリヤカーの家みたいなのは何だ?」
「……家じゃない。屋台」
いや、それは分かってるんですが。
「あれっ、ユキちゃーん。新しく家建てたの?」
だから家じゃないらしい。
「いいにおいがするー」
「こっ、この匂いは食欲をそそる!」
「……カレー屋ゆきちゃん、はじまります」

「じゃあ晩飯はカレーにするか」
「さんせーい!」
「……いらっしゃい。お二人様?」
「ま、まあ見てのとおり二人しかいない。なんの偶然か親が晩飯作ってくれてなくてな」
「……店内でお召し上がり」
店内って青天井だろここは。長く垂れ下がったのれんのこっち側が店内ってことか。
「……禁煙席、喫煙席がございます」
未成年なのに吸うわけねー、なんて突込みどころを間違えている俺である。リヤカー屋台で禁煙席って効果ねえだろ。
「……風上が禁煙席、風下が喫煙席」
いや、どっちでもたいして変わらんから。まあその木の長椅子に禁煙マークを貼った細かい配慮は認める。
「カツカレーあるか?」
「じゃあ、あたしコーラ」
そんなもんじゃなくてちゃんとカレー頼め。
「……ペプシとコカ、どっち」ってあんのかい。

「辛さレベルとかあるのか?」
「……レア、ミディアム、ウェルダン」
それは味じゃなくて肉の焼き加減だから。
「じゃあ俺辛いの好きだから、最高に辛いやつで」
「……推奨はしない。ハバネロ入り」
いくら辛党でもハバネロは死ぬって。

「……注文が入った、カツカレー二人前。……あいよ」
ウェイトレスとシェフをひとり二役でか、たいへんだな。
「……お湯で暖める。十分待って」
ってボンカレーかよ!確かに簡単でローコストだが。
「……これは、わたし用。客用はこっち」
長門はずいぶんと年季の入った寸胴鍋を指した。それ長門の家にあったやつだろ。家庭の味をそのままって感じか、これはこれでありかもしれん。
「……できた。甘口と辛口」
「おう、うまそうだな」
「いただきまーす」
「……福神漬けは、オプション価格」
ふつータダだから。らっきょもタダだから。
「うむ。うまいな。これ自分で香辛料を調合したのか」
「……そう」
なるほど。いつも工業用缶カレーしか食ってないようなイメージだったが、ちゃんと本場のカレー粉っぽい。子供にはけっこうな辛さらしく妹がハヒハヒ言いながら水を飲みつつ食っている。卵の黄身を落とすと辛さが多少まろやかになるぞ。

「うまかったぜ。いくらだ?」
「……二人で1200円。……あ」
「なんだ」
「……今日はサービスデー。タダ」
そんなんじゃ赤字になっちまうだろ。
「……あなたは、特別」
「そ、そうか。じゃあいつかなにかの形でお礼するわ」
「……そう」

「そりゃそうと、この屋台お前が経営してるのか」
「……そう。生活費は自ら稼ぐ」
情報統合思念体は意外に厳しいのな。
「儲かってるのか」
「……ぼちぼち、でんな」
誰もやんないような商人の挨拶を勉強したらしい。

重たいリヤカーを引いて帰っていく長門の後姿がえらく寂しく見えたので、俺も魔が差したのだろう。
「おーい長門ぉ、また来いよ。今度は親にも食わせたい」
「……分かった」
振り向いた長門が少しだけ微笑んでいたのは見間違いではあるまい。


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