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涼宮ハルヒの経営I 仮説4 その後

最終更新:

hiroki2008

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仮説4 その後

現代に戻ってきてその後の話を書こうとしていたのだが
文章量を大幅に削ったために使われなかったシーン


ハルヒの古墳だけ離れている 磐之媛陵 奈良県
夜中の3時


ハルヒは人差し指を突きつけたまま固まっていた。創設者の剥製としてこのまま職場に飾ってもいいかもな。なんてことを考えてると、ハルヒが突然喋りだした。
「、覚えておきなさいよ」
その前のセリフはなんだったっけ、と千六百年前の出来事を思い出そうとしていたのだが、ハルヒに遮られた。
「あれれ!?あたしたち戻ってきたの?」
「そうだ。無事生還したぞ」
「あっけなかったわね。もっと仰々しい魔法みたいな映像が見られると思ってたのに」
仰々しかったのはお前自身だ。
 まあとりあえずは五人揃ったわけだし、俺たちの現実世界に戻ろう。
 時間を聞くと午前三時をまわっていた。新川さんの車でそれぞれの自宅に送ってもらい、とりあえず解散ということになった。ハカセくんが心配してるだろうが、まあ連絡は明日でいいだろう。タイムマシンの実験中に失踪したやつらに捜索願を出したりはしまい。

 とくに疲れてるわけでもなかったんだが、時差ぼけらしく昼頃ようやく目が覚めて出社した。

 新聞を読んでいると、地方欄に思いがけないものを発見した。
「おい古泉、これ見ろ」
「どうしました」
記事には仁徳陵の近くにある博物館のことが書かれていた。
「あのへんには小さな古墳がたくさんありますから、珍しくはないでしょう」
「そうじゃない。この壁画を見ろ」
「女人像ですか。こんなものありましたっけ」
日本画っぽい壁画の仙女のような人物が黄色い帯らしきものを頭に巻いている。
「この頭についてるの、どう見てもカチューシャだよな」
「え……」
俺と古泉は原因としてもっとも怪しいハルヒのほうを見た。
「おいハルヒ、いつものカチューシャどうしたんだ?」
「国依姫にあげたわよ。それがどうかしたの?」
「い、いやなんでもない」
歴史が変わっちまったと言ったところでいまさらどうしようもあるまい。
 ハルヒは珍しく本を読んでいた。溜息をついてはページをめくり、めくっては溜息をついていた。それ、幼馴染みが遠くに引っ越してしまって恋焦がれてる感じで頼む、などとどうでもいい突っ込みをしようとしたのだが、ハルヒの顔をちらと盗み見ると目が潤んでいた。
「やっとあきらめられるかと思ったのに……」
「なにを諦めるんだ?」
まさか本気であの時代で一生を終えるつもりだったのか。ハルヒは上目使いにジトっとした目で俺を見つめ、それから机に突っ伏した。
「なんでもないわよ」
「ああそうだ、息子四人がよろしくと言ってた」
「知ってるわよ」
ハルヒの手から机の上にペタっと置かれた本を見ると、万葉集だった。あいつらの和歌が残っていたらしい。養母とはいえ、残してきた息子たちが急に恋しくなったのか。
「また会いにいってやればいいさ。お忍びで」
「どうやってよ」
「俺たちがやってんのはそのための研究事業だろ」
「ま、まあそうだけど」
「ハカセくんと長門ががんばって完成させてくれるさ」
ハルヒは顔を上げて長門を見た。ややうつむき加減にぼそりと言った。
「有希、あのときは八つ当たりしてごめんね」
「……いい」
長門はいつもの表情でとくに気にした様子はなく、顔を上げてハルヒをちらと見ると、本に目を戻した。表紙を見ると『日本書紀』らしい。
「……歴史に与えた影響を検証している」
なるほど。こっちはメランコリーではなさそうだ。どっちかというと楽しそうではある。
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