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喜緑江美里からの手紙

最終更新:

hiroki2008

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喜緑江美里からの手紙:

「長門さん、ケーキを買ってきましたわ」
「……おかえり。お茶を入れる」
「紅茶が合うと思いますわ」
「……分かった」
「ティーカップ3つ?誰かお客様いらっしゃるの?」
「あ……」



前略

朝倉さん、お元気ですか。地球上では、あれからいろいろありましたわ。

大規模な閉鎖空間が発生して真夜中に叩き起こされたり、
ずっと眠っていた情報生命体の先祖が目覚めたり、と、涼宮ハルヒの周辺では休む暇もありません。

でも、それがわたしには楽しいです。人間が右往左往しているのを見るといつも微笑んでしまいます。
ええ、これが世界を揺るがす事象だというのは、理屈では分かっていますの。でも傍で見ているのは楽しいんです。

涼宮ハルヒはこのところ安定しているようです。閉鎖空間でキョン君となにがあったのでしょうか。
ああでもないこうでもないと、皆の憶測が飛び交いましたが、実のところはキョン君しか知らないみたいですね。
なにもないのはいいこと。人間は昔から、触らぬなんとかに、と言いますよね。

長門さんは元気です。あなたがいない生活にまだ慣れていない様子を見せることも、しばしばあります。
ときどきぼんやりしている長門さんを見かけます。話し掛けると我に返るのですが、
あれはキョン君のことを考えているのか、朝倉さんのことを考えているのか、どちらかでしょう。
ハッと頬を染めるときはたぶん、キョン君のことを考えているのね。

こんな生活が、きっとこのまま、涼宮さんが天寿を全うするまで続くのだろうな。

あなたもお元気で。また、会える日まで。
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