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長門有希の暴走:エピローグ

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hiroki2008

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長門有希の暴走

エピローグ:



「・・・朝倉涼子、今は何と呼べばいい」

── わたしはいつでも朝倉涼子よ。

「・・・今回のことは、本当にすまない」

── いいのよ。つらかったのね。

「すべてわたしの責任。こうなることは分かっていた。回避できなかった」

── 恋愛とはそういうものよ。自分の意志ではコントロールできないわ。

「わたしはもう、誰とも特別な関係にならない」

── それはどうかしら。未来に何が起こるか、誰にも分からないわ。

「わたしは感情処理能力が低い」

── それぞれ得手不得手があるわ。つらいことがあったら喜緑さんに相談なさい?

「あなたの代わりはいない」

── そう言ってくれて嬉しいわ。でもわたしがいないという事実も受け入れて。

「・・・分かった。努力する」

── そろそろ行くわ。今回は特別だから。

「向こうの朝倉涼子が記憶をわたしに埋め込んでいた。アップロードする」

── ありがとう。保存しておいてくれたのね。

「呼び出してすまなかった。上司に礼を言っておいてほしい」

── 分かったわ。あなたの処遇にも口添えしてもらうわね。

「・・・すまない。でも罰を受ける覚悟は出来ている」

── 自分を責めないで。あなたが殺したわたしは、このわたしの一部になるから・・・。



 リンクが切れた。いつか、もう一度会ったとき、ちゃんと謝ろう。

 わたしの手には、どこで手に入れたのか一本の口紅があった。
 鏡の前で自分の薄い唇に塗ってみた。
 何だかわからないこの気持ち。
 この派手な紅色は朝倉涼子とのなにかを思い出す・・・。

                                        END
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