ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-3

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匿名ユーザー

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目の前の超異常事態に多少放心気味のルイズであったが男がこちらに近付いてくる事に気付き我を取り戻す。
「これは・・・アンタがやった事なの!?」
だがプロシュートは何も答えずルイズにさらに近付く。
「ちょっと・・・ご主人様が聞いてるんだから答えなさいよ!」
「テメー・・・一体何モンだ?オレに何をした?」
「平民が貴族に向かってそんな口の利き方していいと思ってるの!?」
「2秒以内に答えろ……オレに何をした?」
「質問に答えなさい!」
ルイズが怒鳴り散らすがプロシュートは全く動じない。
「ウーノ!(1)」
「ひ、人の話を聞きな――」
「ドゥーエ!(2)」

ルイズは魔法成功率0とはいえメイジ…つまり貴族だ。
平民という存在より圧倒的に上の立場にいると言ってもいい。
だが組織の暗殺チームの一員とし幾つもの死線を潜り抜けてきたプロシュートから見れば「良いとこのボンボン」つまり「マンモーニ」にしか見えない。
そして、その百戦錬磨の暗殺者としてのプロシュートの「スゴ味」が自然とルイズに質問の答えを答えさせていたッ!

「……アンタを召喚したのよ」
「召喚だと…?」
「そうよ、本当ならアンタみたいな平民なんかじゃなく
    皆が召喚したようなドラゴンとかを使い魔にするはずだったんだけど何処を間違ったかアンタが召喚されたってわけ」
「その左手のルーンがアンタが私の使い魔になったって印よ」
「左手…さっきの左手の痛みはそれの事か」
だがプロシュートがある違和感に気付く。

(待て…さっきの左手の痛みはいい、それは納得できる…)
(だがオレはその左手を何で押さえたッ!?)
プロシュートがその答えを得るべく疑問の先へ視線を向ける。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
「何ィーーーーーーーーーーッ!!」
「ちょっと…そんなに大声出さなくてもいいじゃない。それに貴族にキス……って何言わせんのよ!」
使い魔の儀式のアレを思い出しルイズが顔を真っ赤にさせるがプロシュートにとっても問題は左手ではなかった。
そう、左手にあるルーンなどどうでもいい。問題は「左手」ではなく「右手」だった。
(バカなッ!?ブチャラティのスティッキィ・フィンガースに切断されたはずの右手がなぜ『付いて』いるッ!?)

「まったく…弟分がお前を引っ張ったその『糸』に救われたぜ」
記憶に映るのはあのフィレンツェ超特急でのブチャラティとの闘い。
「バカなッ!! ブチャラティィイッ!」
(オレの右手はペッシのビーチ・ボーイの糸を殴ったブチャラティの攻撃で確かに『切断』されたはずだッ!)
そこまでだ。プロシュートにはそこまでの記憶しかない。いくら記憶を探ってもそれは同じ事だった。
だが地面に激突する瞬間何かの光に包まれたような気がする。
思考を中断し視線をルイズに戻す。
「……テメーの言ってる事はどうやらマジのようだな」
「理解できた?じゃあ早くこの老化を解いてちょうだい」
「断る」
「アンタ…平民、それも使い魔が貴族に逆らえると思ってるの?」
「平民か貴族なんてのはオレたちにとってはどうでもいい、何より使い魔ってのが気に入らねぇ」
「貴族を敵に回してここで生きていけると思ってるの…!?」
「それに使い魔って言っても奴隷とかそういうのじゃなくて主人を守り忠誠を誓うある意味平民にとっては名誉なものよ?」

ルイズが使い魔の事について説明を始める。
が、当のプロシュートは殆ど話を聞いていない。

プロシュートが再び思考を巡らす。だがそれは使い魔になるかならないかという単純なものではなかった。
(どうするか…)
思考の末プロシュートは三つの選択肢を作り出す。
(一つはこいつを殺しここから離脱する事だが…これは駄目だな。
     もしこいつの言うとおりここが全く違う世界なら地理が分からねぇしどういうわけか言葉は分かるようだが文字が分からないってのが致命的だ)
(二つはこいつを人質にしここから離脱する…これも却下だ。
     チビとは言え人一人を無理矢理担いで移動するのは限界があるし何より目立ちすぎる。)
(三つは使い魔とやらになったふりをし情報を集める…今の状況下ではこれが最善か…?
     殺す事は何時でもできるしやはり何より今は情報が欲しい。それにこいつ…メイジとか言ったがスタンド使いではないようだな。)
(スデにグレイトフル・デッドで殴りかかってみたが動揺一つせず汗すらもかきやしねぇ)

自身の状況を正確に把握し最善の策を見出す。それが暗殺者としてプロシュートが生き抜く為に身に付けた事だ。これは当然他のヤツらも持っている。(ペッシ以外だがな)

プロシュートのかなり物騒とも言える思考を知らずにルイズが「早くルイズ様の使い魔になるって言いなさい」という視線を送ってくる。
「……大体の状況は理解した」
「そう、それじゃあ早く皆を元に戻してちょうだい!」
「使い魔とやらになってはやる、だが…オレを他の連中と同じと思わねぇ事だなッ!」
ズキュン!
グレイトフル・デッドの能力が解除され倒れていた生徒達の老化が解除されしばらくしてコルベールが起き上がる。
「うう……一体何があったのだね?ミス・ヴァリエール。」
「もう大丈夫ですミスタ・コルベール」
「そうか……他の生徒達も大丈夫なようだね、各自教室に戻りなさい。」
生徒達が多少ふらつきながら戻っていく。だがプロシュートは空を見据えたまま動かない。
「ほら、早く戻るわよ!」
(ペッシ…メローネ…ギアッチョ…リゾット…すまねぇな、ボスを倒すと誓ったはずなのにしばらくそっちに戻れそうにねぇ)
プロシュートにとって昨日まで一緒に居た仲間が急に遠くに感じられたが、今は状況を少しでも良くする為に前に突き進むしかなかった。


予断だがコルベールのU字ハゲが進行した事は言うまでもない。

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