ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第十四章 土くれと鉄Ⅱ ~ 誉れなき戦い ~

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アルビオンから脱出した一行は直接、トリステインの王宮へと飛んだ。
トリステインはレコン・キスタ侵攻の噂に殺気立っており、王宮へ突然やってきたルイズたちもあわや捕縛されるところだったが、そこにアンリエッタ王女が通りがかり、一行を招きいれた。
「そうですか……。ウェールズ様はやはり、父王に殉じたのですね…」
王宮内の王女の居室。キュルケとタバサ、それにギーシュは謁見待合室に残し、ルイズとリゾットは疲労に耐えながらもアンリエッタに事の次第を説明した。
キュルケたちの合流や空賊に化けたウェールズとの出会い。亡命の拒絶。ワルドとの結婚式の最中におきたワルドの豹変。
そしてウェールズの最期。
ルイズが主に説明し、足りない部分はリゾットが付け加えた。
話している間、アンリエッタの顔をどんどん曇っていく。ルイズは王女の心中を思い、身を切られるような思いを味わった。
任務は達成され、手紙は取り戻され、ゲルマニアとの同盟は守られるとわかっても、アンリエッタの心は晴れなかった。
「あの子爵が裏切り者だったなんて……。まさか、魔法衛士隊に裏切り者がいるなんて……」
アンリエッタは手元に戻った恋文を見つめ、はらはらと涙をこぼした。自らの選んだ護衛が恋人の命を狙ったことがショックだった。
「あの方は、私の手紙をきちんと最後まで読んでくれたのかしら? ねえ、ルイズ」
「はい、姫様…。ウェールズ皇太子は、姫殿下の手紙をお読みになりました」
「ならば、ウェールズ様はわたくしを愛しておられなかったのね」
アンリエッタは寂しげに首を振った。
「では、やはり……、皇太子に亡命をお勧めになったのですね?」
「ええ。死んで欲しくなかったんだもの。愛していたのよ、わたくし」
溜息をつき、放心したように呟く。
「…………わたくしより、名誉の方が大事だったのかしら」
「ウェールズも王女を愛していただろう。表現が違うだけだ……」

のろのろと、アンリエッタがリゾットに視線を移した。
「『ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいった』。皇太子からの伝言だ」
そしてポケットから風のルビーを出す。フーケにでも渡そうかと思ったが、やはりアンリエッタが持つのが一番いい気がした。
「形見だ。最後に渡された」
「これは…風のルビーではありませんか。ウェールズ皇太子から、預かってきたのですか?」
「ああ………」
詳しく話せば自分が五万の敵を足止めしたことを話さなければならなくなるため、リゾットは頷いた。
アンリエッタはそのルビーを嵌め、呪文を呟く。リングが縮み、ちょうどいい大きさになった。
「勇敢に戦い、勇敢に死ぬ。殿方の特権ですわね。残された女は、どうすればよいのでしょうか」
風のルビーを愛しそうに撫でると、アンリエッタは寂しそうに微笑んだ。
「死んでいった者たちから何を受け継ぐかは残された者次第だ。ウェールズの死が無駄になるかどうか、それで決まる……」
「まるでご自分も残されたことのあるようなことを仰るのね……」
一瞬、アンリエッタの視線が射るような光を帯びた。
「………」
リゾットは答えない。ただ、視線を受け止めた。事実、リゾットは死に引きずられ、仲間の死を無駄にしかけた。
引き止めてくれたのは昔の、そして今の仲間たちだ。
リゾットにとっての仲間のような存在は、アンリエッタにはおそらく、ルイズしかいない。
「私がもっと強く、ウェールズ皇太子を説得していれば……」
あまりに落胆した様子のアンリエッタに、ルイズがうつむく。アンリエッタはそんなルイズの手を取った。
「いいのよ、ルイズ。貴方は立派にやってくれました。
お役目の通り、手紙を取り戻した以上、貴方が気にする必要はどこにもないのよ。亡命をお勧めしたのは、私の一存なのですから」
ルイズを元気付けるようににっこりと微笑み、努めて明るい声で語りかける。

「わが国とゲルマニアは無事同盟を結ぶことが出来るでしょう。そうなればアルビオンも簡単には攻めてはこれません。
危機は去ったのですよ、ルイズ・フランソワーズ」
ルイズはポケットから、水のルビーを取り出した。
「姫様、これ、お返しします」
「それは持っておきなさいな。せめてものお礼です」
「こんな高価な品を頂くわけにはいきませんわ」
「忠誠には報いるところがなければなりません。いいから、とっておきなさいな」
二人が退出しようとすると、アンリエッタがリゾットに声をかけた。
「あの人を、最後に送り出したと、仰いましたね?」
リゾットは頷いた。
「何故あの人を……。いえ、何でもありません」
一瞬、アンリエッタが憎しみの宿った目でリゾットを見た。
(俺が人を信用するように助言したようなものだからな……)
リゾットはそれに気付いたが、胸にしまっておいた。恨まれるのは慣れている。
『恩には恩を、仇には仇を』。アンリエッタがリゾットを憎むなら、リゾットにはその憎しみを受ける義務がある。

王宮から魔法学院へ向かう空の上、キュルケはしきりに任務について尋ねてきたが、二人は何も喋らなかった。
キュルケは酷く残念がってギーシュにも尋ねていたが、ギーシュも中身を知るわけがない。
悔しがったキュルケが暴れたせいで風竜がバランスを崩し、ギーシュが落ちたりしたが、それは本編には関係ないので割愛する。

第十四章 土くれと鉄Ⅱ ~ 誉れなき戦い ~

魔法学院に着く頃には既に夕方だった。風竜から降りた四人は、黙ったまま部屋へ戻る。
この数日の旅は移動と戦闘の繰り返しだったため、誰も彼もを激しく疲労させていた。
タバサなどは学院につく少し前からうつらうつらし始め、ほとんど眠ったまま夢遊病のようだ。
キュルケに掴まり、なんとか部屋へ戻っていく。部屋に入り際、半眼のまま手をぷらぷらと振った。意識はあるらしい。
「じゃあね…」
キュルケもあくびをかみ殺しながら自分の部屋に入る。
この中でもっとも体力に優れるリゾットも最後にガンダールヴとスタンドの力を全開にしたせいか、疲労が身体に蓄積し、体中に鉛を入れられているように重かった。
「しかし相棒、寝る前に怪我の手当てしたほうがいいんじゃねーか?」
一人疲労を感じないデルフリンガーに指摘され、身体を確認する。
ニューカッスルで最後に『治癒』をかけられたものの、術者が疲労していたこともあり、完治にはほど遠かった。
特に一定期間放置していた右腕の火傷はまだ少しひりひりと痛い。
治癒をかけてもらうほどのこともないので、厨房で常備薬を都合してもらうことにした。
「確かに……包帯くらいは替えたほうがいいな…。ルイズ、俺は少し厨房に行く」
「ん……分かった……。あ、でも、待って……」
ルイズに呼び止められ、招きよせられる。近づくと、手を握られた。
「何だ?」
「何となくよ……」
呟いて、ルイズは布団を頭から被る。赤くなった顔を、リゾットにそれを見られたくはなかった。
「あんたも、早く寝なさいよ……。仕事は…明日からで……いい…か…ら…」
ルイズは手を握ったまま告げ、次の瞬間には疲れによって眠りの世界へと旅立った。
リゾットは完全にルイズが眠るまで、そこに立っていた。

厨房に行くと、夕飯を出し終わったところらしく、マルトーたちが隣接する控え室で一時の休憩を取っていた。
リゾットに気付いて、気軽に声をかけてくる。
「よう、我らが剣よ! 久しぶりだな。どこ行ってた?」
何がそんなに愉快なのか、笑いながらバシバシと背中を叩いて来る。悪気はないのだろうが、そこそこ痛い。
「ああ。少し…ルイズのお伴でな……」
「あの我が侭嬢ちゃんのお付か。そいつぁ大変だったな。今日はどうした? 飯でも食っていくか?」
「いや……包帯を貰おうと思ってきたんだが……持ってないか?」
「包帯…? 何だ。怪我でもしたのか? よし、待ってな。……あれ? シエスタならどこにおいてあるか知ってたんだろうが…」
控え室に入り、そこら中をひっくり返しながらマルトーがぶつぶつ言う。そういわれてみれば、シエスタを見かけない。
「シエスタはどうした? 休んでるのか…?」
途端に控え室が静かになった。ただならぬ気配に、いやな予感が胸をよぎる。
「どうした…?」
「シエスタは……辞めたよ。モット伯って貴族に、急遽仕えることになってな。本人は、嫌がってたんだがな……。
ちょうど今朝早く、馬車で連れて行かれちまったよ」
マルトーがそれがシエスタにとって良くないことであるかのように言った。
(貴族に召抱えられるならば別に悪い話ではないと思うが……!)
リゾットはそこである可能性に思い当たった。
「それは…………妾として、ということか…?」
マルトーが気まずそうに眼をそらす。その表情に浮かぶ罪悪感と恐怖でリゾットは自分の考えが正しいことを知った。
貴族が嫌いのマルトーではあるが、それでも貴族を恐れている。逆らうことは出来ないのだろう。
「所詮、平民は貴族の言いなりってことさ……」
そういって、リゾットに包帯を渡す。軽いはずの包帯が、酷く重く感じた。

日没後、包帯を巻き直したリゾットは、武装を整えて部屋の外に出る。
ルイズはあれから死んだように眠っており、とても起こすことができなかった。
念のため、タバサ、キュルケの扉もノックしたが、やはり出てこない。
ギーシュも戻ってこないので、後は足の着かなさそうな情報源というと一人しかいない。
「モット伯ぅ?」
やってきたフーケはその名を聞くと、露骨に顔をしかめた。
「あまり……いい印象はないようだな」
「そりゃね。ここでオスマンの秘書やってたときに王宮の勅使として何回か来たけど、私の身体を嘗め回すように見るんだよ。
怖気が走ったね」
その視線を思い出したのか、フーケは嫌悪感に身体を大きく震わせる。
「で、何でモット伯なの?」
「シエスタが連れて行かれた……」
フーケは頭の中で盗賊時代に調べたこの学院勤務の人間たちのリストを検索する。学院勤めのメイドだったはずだ。
「あの子ね……。そういえばモット伯はとっかえひっかえ平民の女を連れ込んじゃ手篭めにしてるって聞いたよ。本当だったみたいだね」
リゾットはその言葉にしばらく考えるような仕草をした。
「モット伯の屋敷はどこにある?」
「それなら知ってるけど。まさか、行くつもり?」
「……モット伯との交渉は可能だと思うか?」
「無理だね。奴に限ったことじゃないけど、モット伯は平民を見下してる。あんたが行っても会えるかどうかも分からないよ。
 ましてシエスタって子を連れて行ったのは一応、手続きは合法だろうし。抗議したところで聞く耳なんて持たないだろうね」
リゾットはこの瞬間、穏便に済ませる選択肢を削除した。そこにデルフリンガーが口を挟む。

「なぁ、相棒よぉ。俺は相棒が好きだから忠告するぜ。モット伯のところに乗り込むなんてやめときな」
「なぜだ…?」
「相棒の今の状態じゃあ、強力なメイジには勝てねえよ。まだ疲れが尾を引いてるだろ?」
「モット伯は水のトライアングルメイジだよ。クラスとしては私と同じさ」
だが、それを聞いてもリゾットは首を振った。
「彼女にも恩がある…。苦しいときに受けた恩は他の恩よりもさらに価値がある」
「はぁ…。相変わらず義理堅いねえ」
フーケが溜息をついた。既に諦めているようだ。だが、デルフリンガーはなおも言葉を紡ぐ。
「せめて明日でいいじゃねえか。一晩ゆっくり寝りゃあ、あの貴族の娘っ子だって起きてくるし、相棒だって回復する」
「遅すぎる……。シエスタが心に傷を負うには一晩あれば充分だ」
シエスタの屈託のない笑顔を思い出す。リゾットはその笑顔が苦手だった。だが、苦手であることと嫌いであることは違う。
あの笑顔を汚したくはなかった。
「……貴族の妾になるのだって悪くないぜ? 食うには困らないしな。家族にだってそれなりに手当てが出る。
俺らの価値観で図るのはどうかと思うのよ」
「それをシエスタが望んでいるのならばな……」
デルフリンガーは何とかリゾットを思いとどまらせようと、ありとあらゆる理由を並べる。だが、一方で無理だということも分かっていた。この鋼鉄のような意志こそ、デルフリンガーがリゾットを見込んでいるところの一つなのだから。
見かねたフーケが口を出す。
「あんたが行くなら止めないけど、貴族の屋敷に乗り込んで剣を抜いたなんて知れたら、あんたのご主人様にも累が及ぶんじゃないの?」
それはリゾットも最初に考えたことだった。ルイズに迷惑をかけることだけは、あってはならない。
「問題ない……。変装する」
「だけどよぉ……」
さらに言い募ろうとするデルフリンガーの柄に、リゾットは手をおいた。

「『敵が強い』、『体調が万全じゃない』……。それはただの言い訳だ。
 俺がいたチームの奴なら、与えられた状況で最善を尽くす。……諦めが悪いんだよ、俺たちは……」
もっと困難な任務など幾らでもあった。だが、リゾットたちのチームは常にそれを果たしてきたのだ。
リーダーたる自分がどうしてここで尻込み出来よう。
フーケはその言葉に、リゾットの、今はいないチームへの絶大な信頼を感じ取った。
そして近くにいる自分はまだそれほどには信頼されていないということも。
「状況が万全でなければやれない、なんて奴は………『覚悟』のないマンモーニだ」
「やれやれ……うすうす感づいちゃいたけど、相棒は馬鹿だね。しかもかなり重度の馬鹿だ」
「そうだね……。私、何でこんな馬鹿に付いてるんだろ……」
デルフリンガーが溜息混じりにいった言葉にフーケはぼんやりと同調する。
馬を出すため、厩舎へ向かうリゾットの背を、フーケはじっと見つめていた。

リゾットは馬に鞭を入れ、街道を疾駆する。
スタンドを利用すれば馬よりも速く移動できるが、スタンドパワーは向こうに着くまで温存したかった。
途中、もう一頭の馬が併走してきた。乗っているのはフーケだった。
「一緒に行くよ。そのシエスタって子を助けるのを手伝おうじゃないか」
「何故だ?」
「……言っとくけど、金は要らない。私は貴族が嫌いなのさ。モット伯みたいに権力で平民を好き勝手するような貴族はね。
一緒に行ってもいいだろ?」
「馬鹿なこと……なんじゃなかったのか?」
その言葉に照れたように、フーケは月へと顔をそらした。
「まあ、たまには馬鹿になってみるのも悪くない、と思ってね」
二頭の馬が暗い夜道を駆け抜ける。フーケは自分で思う以上に心が躍っているのに驚きながら、馬を走らせた。

モット伯の館から少し離れた森の中に、二人は馬をつないだ。ハルケギニア製の服(厨房からのお下がり)に着替えたリゾットは遠くから館を見て呟く。
「……犬がいるな」
背中に蝙蝠の翼を生やした犬を連れた衛兵が何組か邸内を巡回していた。犬は厄介だ。メタリカによる隠密も匂いは誤魔化せない。
「庭は広く、遮蔽物は…噴水くらいか……。準備に時間があればともかく、現状では気付かれずに潜入するのは困難だな……」
「どうする?」
フーケの問いに、リゾットはしばらく考える。
「二手に分かれる。俺が正面から乗り込む。お前はその隙に警備を掻い潜って中へ入り、シエスタを連れ出せ」
「待ってよ。それなら、私のゴーレムを使って正面から殴りこんだほうが目立つし、陽動効果が高いよ」
だが、リゾットはそれを否定した。
「だめだ。官憲に、取り逃がした土くれのフーケがこの辺りにいることを教えることになる。ラ・ロシェールに現れたことで、アルビオンに向いている捜査の眼を内側に向けさせるわけにはいかない」
「おや、気を使ってくれてるわけだ?」
「………」
いたずらっぽく笑うフーケを、リゾットは無表情に見返す。
「分かったよ。そういうことなら、潜入の方は任せて。あの屋敷の中ならよく知ってるから」
「よく……?」
不思議そうに尋ねるリゾットを見て、フーケは愉快そうに笑う。
「あはは、私が誰だか忘れたの? 貴族専門の怪盗、土くれのフーケだよ?
 モット伯の屋敷もターゲットとして調べてたのさ。ゴーレムで壊すにしたって、お宝の位置に見当つけないと壊しようがないからね」
「なるほどな……」

納得するリゾットに、フーケはもう一つ質問をしてみる。
「ところで、仮に私がメイドの子を連れ出したとして……そこからの宛はあるのかい?」
「路銀を持たせて田舎にでも返そうかと思っていた…。俺が騒ぎを起こせばメイドどころではなくなるしな……」
最悪の場合はモット伯を暗殺する、それでなくても脅すという手は考えていた。しかしそれも状況を見てだ。
「そうかい。まあ、あまりヤバイようだったら、私に任せて。一応、匿う場所に心当たりがないわけじゃない」
「……何から何まで、すまない」
自分の独断に仕事抜きで手伝ってくれるフーケに、リゾットは心から感謝した。長年鍛えられた無表情のせいで伝わったかどうか怪しいが。
「気にしないでいいよ。何しろあんたには会った時から優位に立ったことがないからね。偶には私が頼りになるところを見せないと」
「お前は頼りになるさ……」
「う……あ、そう? そう思ってくれてるなら、いいんだけど…」
言いながら、フードを深く被って顔を隠し、リゾットに背を向けた。
「じゃ、頼んだよ」
去っていくフーケを見送りながら、リゾットは貰った包帯を左手に巻いてルーンを隠す。
「デルフ、ここからは喋るな。インテリジェンスソードを使うという証拠も残したくはない」
「はいよ。……って、相棒、顔変わってねえ?」
「変装する、と言っただろう」
そういうリゾットの輪郭は骨ばったものに変わり、目の色も普通の人間の色に戻っている。
メタリカの磁力によって体内の鉄分を顔に凝縮し、骨格の整形を行ったのだ。
眼の色は元々メタリカの影響なので、スタンドを使えば一時的に元に戻すことは容易い。
(ただでさえ残り少ないスタンドのパワーを使ってしまうことになるが、仕方ない……)
リゾットはデルフリンガーを抜き、屋敷へと進み始めた。

モット伯の屋敷前の門を預かる二人は、その夜も無聊を囲って雑談していた。
「そういや、モット伯はまた新しい女を連れ込んだらしいな」
「へぇ? そうなのか。初めて聞いたが」
「ああ、ちらっと見たけど、黒髪の、メイドっぽい服着た女だったぜ?」
「け、別にメイドとして雇ったわけじゃないんだろ。どーせ」
「まあな……今夜はお楽しみってわけじゃないか? あのスケベ……ん? おい! 止まれ、何だ貴様は!」
門番の一人が門に男が一人、近づいてくるのに気が付いて誰何の声を上げる。闇の中から姿を表した男は右手に剣を携えていた。
「何奴!? 武器を捨てろ!」
槍を構え、二人の門番はじりじりと距離をつめる。あと少しで槍の穂先が触れる、というところで、男は忽然と姿を消し、門番のすぐ横に現れる。門番の一人が膝から崩れ落ちた。気絶している。
「く、曲者! 曲者だー!」
残った一人は笛を鳴らし、屋敷中の衛兵を呼び集め始めた。

(始まったようだね……)
フーケは笛が鳴り響き、大勢の衛兵が門へと駆けつけるのを森の樹の上から見ていた。もっとも、全ての兵がいなくなったわけではなく、裏口には翼を生やした犬を連れた兵が一人残っている。
(…あの一人と一頭は私が何とかするしかないか……)
フーケは杖を構えると、人の腰ほどしかない小さな土のゴーレムを相手の死角になる場所に作る。それが終わると、『サイレント』の呪文を詠唱し始めた。
『サイレント』は『風』系統なので得意ではないが、比較的簡単で泥棒稼業には有用なため、フーケも覚えている。
呪文が発動し、音がなくなると同時に樹から飛び降り、加重と加速をつけた膝を入れる。秘書時代、オスマンがセクハラをする度に試してきた体術は見事に決まり、衛兵は声もなく倒れた。
気付いた犬が襲い掛かってくるが、間一髪かわし、その首につながれている手綱を取り、ゴーレムに渡す。ゴーレムは近くの樹にそれを括り付けた。その上でゴーレムに犬を締め落とさせ、ゴーレムを元の土に戻しておく。

(さて…さっさとシエスタを助けなきゃ……)
衛兵を音もなく倒したフーケはそそくさと裏口から中へと入った。
足音を殺しつつ、扉を一つ一つ開けていく。宝の場所は検討が着くが、どこにシエスタがいるか分からないからだ。
(モット伯の手の早さなら奴の寝室かな………)
そう考えながら進むと、ある部屋の前にいることに気がつく。以前、フーケがこの屋敷を調べた際、謎の部屋が一つだけあった。それがこの部屋なのだ。
早く行かねばと思いつつも、盗賊の血がうずいた。決心すると、フーケは杖を取り出し、素早く『アンロック』を唱える。鍵をはずして中に入り……フーケは目を丸くした。

リゾットは衛兵たちに取り囲まれていた。もともと陽動を目的としているのだから、計算どおりの結果ともいえる。ただ、思ったより人数が多い。
先ほど、一人をあっという間に気絶させた手際を警戒してか、衛兵たちは遠巻きに見るだけでなかなか前に出てこない。
まずは犬がけしかけられた。一頭が翼を羽ばたかせて空から、他二頭が地上から襲ってくる。
先頭の一頭が襲ってくるところをかわし、デルフリンガーで胴を斬る。ほぼ間をおかずに空を飛んでいた一匹がさながら猛禽のようにリゾットの首に喰らいつこうと降下する。
リゾットはデルフリンガーを手放すと、右手の拳を犬の大口に叩き込み、左手で下あごをつかむと、顎を上下に思い切り引き裂く。いやな音がして、絶命した犬が地に落ちた。
だが、このとき既に、残った一匹はすでにリゾットの腕に迫りつつあった。牙が肉に食い込む。だが、その力はすぐになくなった。地面から突如現れた無数のメスに串刺しにされたからである。
「な、何だ……あれは…?」
「魔法……?」
「いや、しかし杖を持っていない……」
突然の出来事に騒然となる衛兵たちに、あえてリゾットは嘘をついた。
「先住魔法だ」
「な、何!?」
衛兵たちはとたんに弱腰になり始める。

「まさか、あいつ、エルフなのか?」
「いや、エルフにしては耳が普通だ」
「だが、アレを見ただろう? 先住魔法の使い手が相手ではとても我々では…」
「モット伯をお呼びしろ!」
(やはり、一般の人間は先住魔法を恐れているのか……)
先日戦ったワルドはスタンドを見て、先住魔法といった。その時の表情からして、ハルケギニアの人間にとってそれが忌まわしいものであるということを悟ったのだ。
(このまま、時間を稼げば作戦は半ば成功だな……)
そう考えつつも、リゾットは疲労を実感していた。先ほど、最後の犬への対応が、普段よりもほんの少し遅れたのだ。もしもこの場の人間に一斉にかかってこられたら、少々分が悪い。
(急げよ……、フーケ)
じりじりと遠巻きにしている包囲の輪を見ながら、リゾットはデルフリンガーを拾った。

モット伯の館の奥深く、モット伯の寝室の扉の前に、シエスタは立っていた。
湯浴みが済んだらモット伯の寝室に来いといわれ、諦めていた筈がやはり躊躇ってしまう。
だが、ここで断れば下手すれば故郷の家族にまで罪が及ぶ。貴族というのはそれだけの力があり、ましてモット伯は王宮とつながりがあるのだ。
(父様、母様、許して。私は、あんな好きでもない変な眉毛に奪われてしまいます…!)
心の中で血涙を流しながら父母に侘び、意を決して扉を開ける。
「遅かったな」
ゆり椅子に腰掛け、本を読んでいたモット伯がいらいらとした口調で話しかける。
「は、はい…。申し訳ございません」
その手にある杖を見て、シエスタは萎縮してしまう。貴族というのは平民にとって支配者であり、恐怖の対象なのだ。怒らせれば命がない。
そんなシエスタを見て、モット伯は一転していやらしい笑みを浮かべた。
「まあ、良いだろう。夜は長いのだ。私がゆっくりと教育してあげよう。ゆっくりとね……」
そういいながら分厚い本を閉じ、書棚にしまい始める。シエスタは自分の運命を呪った。しかし、そこでふとある人物を思い出す。
その人物とは何週間か前のこと、ヴェストリ広場で素手でメイジと決闘し、そして勝利を収めた平民である。
(彼は……リゾットさんはミスタ・グラモンの理不尽な言い掛かりにも決して引かなかった…)
その一件はシエスタも含め、学院勤めの平民たち皆が希望を抱いた。『貴族の理不尽に何の手もなく従うだけが道ではない』。その希望をリゾットの中に見たのだ。
それを思い出したとき、シエスタは反射的に飾ってあった花瓶を手に取り、眼を閉じると、モット伯の後頭部に向けて渾身の力で振り下ろした!
派手な音が響き、花瓶が割れる。シエスタがおそるおそる眼を開けると、モット伯は床に倒れ伏していた。
(やってしまった……。これから……どうしよう…)
とにかく、ここに留まっては命がない。逃げるのだ。

そう決断すると、扉を開けて外に出る。と、扉の外で中をうかがっていた人物にぶつかった。
「きゃっ!?」
「ひゃっ!?」
悲鳴が二つ重なり、両者は尻餅をつく。だが、シエスタは必死だ。この館にいる以上、今ぶつかった人物もモット伯の配下なのだろう。すぐさま立ち上がって、走ろうとする。そこで、腕を掴まれた。
「ちょっと待ちなよ! あんた、シエスタだろ?」
振り返ると、目深にローブを被った女性がシエスタの腕を掴んでいる。
「だ、誰ですか…? 貴方…?」
なんとなく声に聞き覚えがあるような気もしたが、訊いてみる。
「私はリゾットの…あー…部下さ。あんたを助けに来た」
「リゾットさんの!?」
女性はシエスタの言葉に反応せず、部屋の中を覗き、倒れているモット伯を発見し、クスクスと笑い始めた。
「貴族には何も出来ないお嬢さんだと思ったら……結構やるね、あんたも」
「は、はあ……。貴方、もしかしてミス・ロ…」
シエスタがフーケの正体に気づき、声を上げようとしたが、フーケに人差し指を口元に立てられ、遮られた。
「それは言いっこなし。今はあんたの味方さ。さ、警備を彼が引き付けてくれているうちに、逃げるよ。リゾットも助けに来てる」
『リゾットが助けに来ている』。その言葉に、シエスタは脱出の希望を見出した。リゾットなら何とかしてくれそうな気がしたのだ。
「はい!」
シエスタが元気よく返事をした直後、地獄の底から響くような声がした。
「……許さん……」

二人が恐る恐る振り返ると……額から血を流したモット伯が起き上がり、憤怒の形相でこちらに杖を向けていた。
花瓶からこぼれた水が浮き上がり、鞭のように宙を旋回し始める。
「貴族の私を傷つけた罪、絶対に許さん…。平民が! なぶり殺しにしてくれる!」
水の鞭が蛇のように素早く伸びる。だが、その一撃はシエスタには届かなかった。フーケがシエスタの手を引いて駆け出したからだ。
フーケもまたトライアングルメイジ。戦えば互角以上の戦いを繰り広げられる自信があったが、ここは屋内で、自分の得意な土がない。
さらに自分の正体を知られるわけには行かない以上、さっさと逃げるに限ると判断したのだ。
(あっちが冷静なら、さっきのアレで説得できるのだけど……)
どうみても後ろから追ってくる男はキレている。聞く耳持つとは思えない。
と、廊下を曲がったところで、ここの衛兵らしき男にぶつかった。リゾットの先住魔法に見せかけたスタンドに恐れをなし、主人を呼びにきた男だった。
「何だ、お前たちは!?」
説明する暇すら惜しいと横を通り抜けようとしたところで、また水の鞭が襲ってくる。
「シエスタ、伏せな!」
間一髪、水の鞭は頭上を通り過ぎ、哀れな衛兵はもろに顔面に水の鞭を受け、血を吹きながら倒れた。
「危ない……。まだ走れるね?」
「は、はい! 頑張ります」
「ん、良い返事。もう少しよ」
再び二人は駆け出す。出口を目指して。

リゾットは先住魔法を警戒して遠巻きしている衛兵たちと戦っていた。
先ほどの脅しが功を奏したのか、敵はたまに2~3人及び腰で向かってくるだけだった。
もうすぐモット伯が呼ばれてくるという。リゾットにとって、これはむしろ好都合だった。
モット伯に直接、接触できるなら脅し、交渉、殺害、どれを取るにしてもやりやすくなる。
そのとき、正面玄関の扉が開き、フーケとシエスタが飛び出してきた。それに続いてモット伯が走ってくる。
リゾットはモット伯の顔を知らないが、杖を持っていることと、魔法で作り出したらしき鞭状の水を浮かべていることでモット伯だと検討をつけた。
その瞬間、リゾットは走り出していた。瞬時に距離をつめ、包囲していた衛兵の一人を蹴り倒す。
隙を突かれた兵士たちだが、すぐさまリゾットに向けて槍を突き出すが、その穂先は不自然な軌道を描いてリゾットを逸れた。
「メタリカ……」
反発磁力によって槍を回避したリゾットは減速せずにモット伯へと迫る。
「何だ、貴様は!」
モット伯は呪文を唱え、鞭にしていた水を凍らせると、矢のようにリゾットへと射ち出した。
リゾットはそれを回避しようとして……眩暈に襲われた。
無理やりガンダールヴを発動させ、スタンドまで使ったつけがここに来たのだ。
(しまった!)
ダメージを覚悟したリゾットだったが、氷の矢は突如盛り上がった土の壁によって防がれる。フーケが杖を構えていた。
「何と!?」
驚くモット伯の前で土の壁が崩れ、その向こうにいた男が再び駆ける。
だが、まだ距離がある。これならば近くの噴水からもう一度水を巻き上げ、攻撃可能だ。
「メタリカ、力を振り絞れ!!」
ロォォォォドォォォォオォォ……。
男が何か叫んだが、モット伯は気にせず呪文を唱え、迎撃しようとして……口の中に鋭い痛みを感じた。
何か鋭い、硬い物が口の中に入っている。
(いつの間に?)
思考がよぎるのもつかの間、反射的に口の中のものを吐き出す。舌と頬の内側を傷つけながら、無数の刃物が出てきた。
「ひっ!?」
恐怖と痛みで怯むモット伯だったが、正しく事態を把握する前に接近したリゾットに殴り飛ばされる。
「うぉっ!?」
気がつくと、杖をフーケに奪われていた。

「お、おい…やばいぜ……。モット伯が……」
「勝ち目ねえな…」
「冗談じゃねえ……。これ以上、メイジや先住魔法の使い手の相手なんてやってられるか!」
衛兵たちの決断は早かった。主を残して逃げ出したのである。
もともと金で雇われているせいか、得体の知れない先住魔法らしき魔法の使い手とメイジに戦いを挑む気概はなかったようだ。
「ふぉ、ふぉい、ふぉまえひゃち!」
モット伯は逃げ散る衛兵たちを引きとめようとしたが、舌を傷つけられたため発音がままならず、喉に剣の切っ先を突きつけられているため、追うこともできない。
「さて……こいつをどうするかな……」
「ああ、こいつに関しちゃ、私に任してくれないか?」
「何か名案が?」
リゾットの問いにフーケは口元に微笑を浮かべて答える。
「き、きひゃまら、このわらしにひょんな真似をしてひゃびゃでしゅむとふぉもうなよ!(訳:き、貴様ら、この私にこんな真似をしてただで済むと思うなよ!)」
わめくモット伯を安心させるようにぽんぽんと肩をたたくと、フーケは懐からいくつかの小瓶を取り出した。
「ねえ、ジュール・ド・モット伯爵様。お屋敷の中で、こんなの見つけたんだけど」
それらを見た途端、モット伯の顔が蒼白になる。
「惚れ薬に媚薬、痛みを快楽に変える薬、その他色々……。
よくもまあ、シモ関係のご禁制の薬ばかりこれだけそろえたものだね。感心するよ」
フーケが開けた謎の部屋。そこはさまざまな薬品が調合・保管されている部屋だった。
その中にはご禁制のものも多くあったため、脅すネタとして持ってきていたのだ。
「自分で作ったのか買ったのかは知らないけど、これを持ってることが王宮にバレたらどうなるか、賢い伯爵様はわかるよね…?」
「わらしのもにょなどというひょうこはらい!(訳:私の物などという証拠はない!)」

「そんなこと言っていいのかい? きちんと調べればこれらの原材料や、薬そのものの入手ルートを洗って、特定できると思うけどね…。まあ、別に提出してもいいって言うなら提出しようかな……」
「ま、待ひぇ! ひゃらしを聞こうじゃらいか! 目的は金か? わらしのからびゃか!?(訳:ま、待て! 話を聞こうじゃないか! 目的は金か? 私の身体か?)」
直後、モット伯の杖が持ち主の股間を強打した。モット伯は口から血の泡を吹いて悶絶する。フーケは思わずロングビル時代のノリでツッコミを入れてしまった。
「誰がお前の身体なんかを狙うんだい!? 自分を知りな!」
そこから一転、声を落ち着かせて語る。
「何、別に大したことじゃあないんだよ。ただ、これからはもう心根を入れ替えて、女遊びはやめるんだね。あのメイドも学院へ戻すよ? あと、私たちについてはもちろん、詮索しない。いいね?」
「わ、わらった(訳:わ、分かった)」
「はい、交渉成立。とはいえ、証拠の品は押収しておくよ。あんたが妙な動きをしたら、即座に届けるから、そのつもりで」
モット伯は何度も頷いた。フーケはそれを確認して、モット伯の股間にもう一撃入れる。モット伯は低く呻き、気絶した。モット伯の杖は邪魔なため、へし折って捨てておく。
フーケは薬をしまいかけ、ふと、リゾットと以前交わした『トリステイン内で盗みをしない』という約束を思い出した。
「…この薬、貰うよ。あんたと交わした約束の違約になる?」
「……いや、好きにしろ。行こう、シエスタ」
不安そうに見ていたシエスタを促し、馬をつないである所まで歩いていく。
「あ、あの……貴方…ひょっとして……」
シエスタがリゾットにおそるおそる話しかける。
「ん……ああ、そうか……。まだ変装したままだったな……」
能力を解除し、元の顔に戻ると、シエスタにいきなり抱きつかれた。
「やっぱり、リゾットさん!」
「ちょっと待て……」
疲れていたのと不意をうたれたので支えきれず、リゾットはそのままばたりと倒れた。
「す、すいません!」
リゾットはシエスタに押し倒される格好になり、シエスタは顔を真っ赤にして退く。
「はっはっはっ、相棒、モテモテだね」
「本当、何で私、こんなのについてるんだろ」
デルフリンガーが冷やかすと、フーケはため息交じりにぼやいた。

フーケとは途中で別れ、学院へと戻る。フーケの存在とリゾットのスタンド能力については、シエスタに簡単に説明した上、口止めをする。
「それにしてもすごいですね、リゾットさん。ミス・ロングビルを改心させるなんて!」
ますます憧れと尊敬の目で見られ、リゾットは非常に居心地が悪い。
「ああ……。そうかな…」
などと曖昧な返事をしている。
そうこうしているうちに、学院へついた。学院へ戻るころには明け方になっていた。

馬を厩舎に返し、シエスタを水汲み場で別れる。別れ際、呼び止められた。
「リゾットさん! あの、その……」
もじもじしている。何かいう気はあるようなので、リゾットはその場で足を止めて待った。
「今はお疲れのようですから、後で! また今度、改めてお礼をさせてください!」
だが、それにリゾットは首を振る。
「気にするな。俺はお前から受けた恩を返しただけだ」
「いえ、でも、お礼したいので! お願いします!」
「お礼なのにお願いされるのか」
「え、ええ!? そうですね。えええっと、じゃ、じゃあ…」
何気なくしたツッコミに、シエスタはあたふたとあわてた。
「いいじゃねえかよ、相棒。ああまで言ってんだぜ? お礼の一つや二つ受け取ったって罰当たらねえよ」
「そうか……。分かった。では楽しみにしている…」
デルフリンガーの助言に、リゾットが頷くと、シエスタは屈託のない笑顔を浮かべてお礼を言い、帰っていった。
別れ際の笑顔に、リゾットは自分のしたことに間違いはないと、再認識するのだった。

部屋に戻ると、ルイズはもう起きていた。窓の外を見ながら、ぼそりと呟く。
「見てたわよ」
「……? 何をだ」
リゾットが問い返すと、ぐるりとリゾットの方を見た。
「ご主人様が疲れてお休みのときに、自分はメイドと朝帰りってわけ……? いいわねー、元気で……」
顔は笑っているが、目は笑っていない。リゾットはその表情に『不機嫌』を通り越して『怒り』のサインを見つけた。
内心、ため息をつく。どうせ報告するつもりではあったが、この状態のルイズを落ち着かせて説明するのは骨が折れそうだ。
「覚悟はいい?」
「信じないだろうが、言っておく。誤解だ」
「問答無用! このっ、馬鹿犬ーっ!!」
薄暗い朝の学院に、ルイズの魔法が炸裂した。

リゾット
 →二時間かけてルイズを落ち着かせ、事の次第を説明した。その後、疲労とダメージで倒れる。
ルイズ
 →一瞬、デレ期が到来するも、今回の事件で頭に血が上り、再びツンに戻りかけた。勝手に動いたことが気に入らなかったが罰だけは下さなかった。
土くれのフーケ
 →証拠のご禁制品を一部、裏で流して一儲けする。儲けはある場所に送金された。
シエスタ
 →学院つきのメイドに戻った。リゾットの世話を前にもまして熱心に焼くようになる。
デルフリンガー
 →魔法吸収機能覚醒で、リゾットにより扱ってもらえるようになり、ご機嫌な毎日。
モット伯
 →玉が潰れた。以来、清廉潔白な貴族として知られるようになる。
ギーシュ
 →この日の朝、学院に到着。数日間留守にしたうえ、朝帰りとあって、またモンモランシーから誤解を受け、殴られた。
  その後、周囲の証言で誤解は解け、モンモランシーに看護してもらう。

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