ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第1.5章 夜は助言をもたらす ~La notte porta consiglio~

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「The Story of the "Clash and Zero"」

第1.5章 


とても静かな闇の中、男は音も立てずに階段を下りる。

昨日は気持ち良~く気絶していた間に、ルイズの部屋に運ばれ、その後はご存知の通り。
あまりにも手持ちの情報が無い。

スクアーロは眠気覚ましと調査を兼ねた、「ちょっとした散歩」を楽しんでいた。
当分はここが”拠点”になるだろう。
さすがに広さや建物の構造・配置ぐらいは把握しとかないとまずい。
いざという時の逃走経路、罠を仕掛けやすい場所。
そして”水”のあるところ……。知っておきたいことは数多くある。
「…そんでもって、恋愛したい盛りの娘たち……」
別にルイズの目の前ではないのだから、”スケベな軟派男”を演じなくても良いのだが――。
「今日はどんな娘と出会うかな~♪」
――どうやら”元々”らしい。 それにしてもこの男、ノリノリである。
「こっちじゃ『組織の仕事』とか『任務』だとか、いろんな”しがらみ”がなくて気が楽だ♪」
”仕事とプライベートは別”の考え方は、ヨーロッパ、特に”イタリア人”は当たり前のようだ。(コイツだけか?)
よく親衛隊に選んだな…… ディアボロさん……。
「そう…。 この世界じゃ、オレは”一人”だからな…」
……先ほどまでの元気は無く、足取りも重くなっていた。

まだ起きた人間の気配は感じられない。
ここは学生寮だったな。と規則正しく並ぶドアを見ながらルイズの話を思い出す。
どうやら他のメイジどもは”ちゃんとした”使い魔を召喚しているようだ。

「ぐるる…」
「…アギ…」
「メメタァ!」
「ミューミュー…]
「…ぽるぽる…」
「…WRYYYY……」
「ンゴォおおおおおおおぉぉ――――ッ!!」
「……ンまぁ~い!… ……味に目覚メメタァ!…」

時々、色々な鳴き声と「いびき・寝言」が聞こえる。
寝る子は育つ。できればオレも眠りたい。 …でも”地の利”を知らなきゃ命に係わる。
下調べなんぞ、何度もやってるし、むしろ得意だ。
少しでも水があれば、クラッシュで簡単にチェックできる。
視覚などの感覚もリンクしているため、かなりの情報量を得ることができるのである。
(スタミナも、スピードも自信はある。器用さだって、自慢じゃねえがスゲーと思う。だが…)
要は作戦・駆け引き、「戦い方」なのである。
確かにスタンド能力は重要であるし、無視できるはずも無い。
だが、数多のスタンド使いが己のスタンドにうぬぼれ、小さなミスで敗北した。
明らかに格下のやつが「作戦勝ち」することだって、よくあることだ。
しかし逆に、完璧と思える作戦を真正面からブチ破るヤツラもいる。
僅かな『精神力』の差が、勝負を決めるといっても過言じゃない。
どうやらスタンド使いは、ほとんどが”太く短い”人生を歩むようだ。
「…オレらもその一員になっちまったな…。 …ティッツァーノ」
足を止め、深呼吸してから再び足を前へ動かす。
(今は情報収集が先だよな…)

確かに女性は好きだ。
いくら好きといっても、異世界で「狩り」をするほど、性欲を持て余してはいない。

まどろみ、少しだけ眠るがすぐ目が覚める。
起きていると、相棒と元の世界のことを考えてしまう。
考えてもどうにもならないことがある。
わかってる。 わかってはいるが―――。
何度も同じことを繰り返し、気分が悪くなる。
気晴らしに、夜の散歩を試みる。
ついでに、建物ン中を調べてみるか……。


真夜中の散歩が早朝の冒険に変わった頃、スクアーロはひとつの考えに辿りつき、心に決める。

―――決めたぞ! オレは決めたッ! 
考え込む前に本能のまま動くッ! やりたいことをやるッ!
美女を口説くッ! 美女じゃなくても口説くッ! とにかく口説くッ!
食事を楽しむッ! 仕事は極力サボる! いい言いたい事を言う!
ここまできたら、『男は度胸!何でもためしてみるもんさ!』

…それぐらいの気持ちじゃ無ければ、精神が消耗するだけだ。
ここで精神力を消耗させるのはまずい。 焦りは禁物。 
気を楽に。楽しみながら、乗り切る。 消去法で行こう。 確実に……。 
ひとつずつ! …ひとつずつ……!


――『ゆっくり歩む者のほうが、息長く遠いところまで進んでいける』―― イタリアの諺

一通り建物の中を回り、屋外へ出る。
意外と時間が経っていることを、朝の輝きが目に訴えてくる。
(今朝はこんなとこか…。 さて、戻ってお嬢様を起こしにいくか!)
ルイズの部屋へ向かうため、まだ薄暗い廊下を戻る。 
明るい希望の道へ一歩踏み出すために。 足取りは軽い。


…彼は一つ忘れている。
これからは、”ルイズ御主人様”という最強のしがらみに囚われることを……。



「The Story of the "Clash and Zero"」

第1.5章 夜は助言をもたらす ~La notte porta consiglio~ 終了


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