夜中――日本なら丑三つ時というであろう時刻。
当たり前だが、ルイズは眠っていた。ちょっと上品とはいえない格好ではあったが。
「・・・ムニャ、チェックメイトってやつよ・・・キュルケぇー・・・」
なにやらいい夢を見ているようである。
そしてルイズの頭の上には、ちょこんと帽子が乗っかっている。
ルイズの寝相はお世辞にも良いとはいえないのだが、
帽子は寝返りのたびに離陸と軟着陸を繰り返し、安定したポジションを維持していた。
そんな安らかに眠る一人と、そもそも睡眠が必要なのかわからない一帽子に、
カチャ・・・
忍び寄る邪悪な影が・・・
当たり前だが、ルイズは眠っていた。ちょっと上品とはいえない格好ではあったが。
「・・・ムニャ、チェックメイトってやつよ・・・キュルケぇー・・・」
なにやらいい夢を見ているようである。
そしてルイズの頭の上には、ちょこんと帽子が乗っかっている。
ルイズの寝相はお世辞にも良いとはいえないのだが、
帽子は寝返りのたびに離陸と軟着陸を繰り返し、安定したポジションを維持していた。
そんな安らかに眠る一人と、そもそも睡眠が必要なのかわからない一帽子に、
カチャ・・・
忍び寄る邪悪な影が・・・
『変な帽子みたいな使い魔』
・・・カチャ・・・カチャ・・・カチャカチャ・・・カチャ・・・
金属同士がこすれる音が、ドアノブからわずかに聞こえる。
何者かが鍵を非合法的な手段で開けようとしているようだ。
・・・カチャ・・・カチャ・・・カチリ!
鍵が開き、
・・・キィ・・・
ゆっくりと。慎重に。音をたてないように。ドアを開いて黒い影が入ってきた。
そしてその火トカゲはドアと鍵を元通りに閉め、
ベッドの上のルイズ(&帽子)を見て、ニヤリと笑った。
金属同士がこすれる音が、ドアノブからわずかに聞こえる。
何者かが鍵を非合法的な手段で開けようとしているようだ。
・・・カチャ・・・カチャ・・・カチリ!
鍵が開き、
・・・キィ・・・
ゆっくりと。慎重に。音をたてないように。ドアを開いて黒い影が入ってきた。
そしてその火トカゲはドアと鍵を元通りに閉め、
ベッドの上のルイズ(&帽子)を見て、ニヤリと笑った。
そのとき!雲の隙間から月影が差し込み、闖入者の姿を照らした!
「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・カワイイ・・・」
やっぱり厨房付きのメイド、シエスタであった。
セミロングの黒髪、ソバカスの残る頬、そしてメイド服。
一部の特殊嗜好の方々以外の目には、彼女は某有野並に地味な少女としか映らないし、
実際彼女もなるべく目立たないようにこの学院ですごしてきた。
性格も穏やかでおとなしく、心優しく世話好きである以外、特に特筆すべきところはない。
一部の特殊嗜好の方々以外の目には、彼女は某有野並に地味な少女としか映らないし、
実際彼女もなるべく目立たないようにこの学院ですごしてきた。
性格も穏やかでおとなしく、心優しく世話好きである以外、特に特筆すべきところはない。
だが、そんな彼女にも、普段はおくびにも出さない『本性』(どっかの手フェチのような)があった。
それが、
それが、
『惚れてるモノの前ではとことん大胆になれるッ!!』
昼食の時間にルイズ&帽子を見かけたシエスタは、恋のスト○ック・アウト、9枚抜きッ!
ルイズがいなくなった後も、表面上は平静を保っていたが、
(もう一度!ミス・ヴァリエールの可愛らしい帽子姿をもう一度見たい!)
しかし不幸なことに夕食の時間、シエスタは厨房の手伝いでフロアには出れず、
結局その日ルイ・帽を再び見ることはなかった。
(ちなみにシエスタがルイズの名前を知っているのは、すでに学院中で
『帽子を使い魔にした女、その名はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール』
という話題で持ちきりだからだ)
ルイズがいなくなった後も、表面上は平静を保っていたが、
(もう一度!ミス・ヴァリエールの可愛らしい帽子姿をもう一度見たい!)
しかし不幸なことに夕食の時間、シエスタは厨房の手伝いでフロアには出れず、
結局その日ルイ・帽を再び見ることはなかった。
(ちなみにシエスタがルイズの名前を知っているのは、すでに学院中で
『帽子を使い魔にした女、その名はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール』
という話題で持ちきりだからだ)
次の日の朝食の時間にチャンスはやってくる。しかしッ!
恋に萌える少女シエスタに朝まで我慢できるだろうか・・・?
さん、はいっ『できるわけがないッ!』×4
と、いうわけで彼女は大胆にもルイズの部屋への不法侵入を試みたのであった。
恋に萌える少女シエスタに朝まで我慢できるだろうか・・・?
さん、はいっ『できるわけがないッ!』×4
と、いうわけで彼女は大胆にもルイズの部屋への不法侵入を試みたのであった。
・・・いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
『大胆』ってレベルじゃないだろう。
平民が貴族の部屋に侵入するなんて、見つかったら速攻縛り首ですよ。
『ピッキングは犯罪じゃよ、シエシュタァァァァァァ・・・』
社会のルールもひいおじいちゃんの天からのメッセージも華麗にスルーし、
シエスタは眠るルイ帽の姿に魅入っていた。
「・・・ほう・・・本当にカワイイです・・・ヴァリエール様・・・」
シエスタはため息をつく。
月光に照らされたすやすやとあどけない顔で眠っているルイズ、そして帽子。
シエスタが夢にまでみた光景である。(ルイズを見てから一度も寝てないが)
『大胆』ってレベルじゃないだろう。
平民が貴族の部屋に侵入するなんて、見つかったら速攻縛り首ですよ。
『ピッキングは犯罪じゃよ、シエシュタァァァァァァ・・・』
社会のルールもひいおじいちゃんの天からのメッセージも華麗にスルーし、
シエスタは眠るルイ帽の姿に魅入っていた。
「・・・ほう・・・本当にカワイイです・・・ヴァリエール様・・・」
シエスタはため息をつく。
月光に照らされたすやすやとあどけない顔で眠っているルイズ、そして帽子。
シエスタが夢にまでみた光景である。(ルイズを見てから一度も寝てないが)
「よく眠っていらっしゃいますね・・・」
そう、よく眠っているのである。
心焦がれた少女&帽子が今、目の前に無防備な姿をさらしている。
恋に大暴走少女シエスタはただ『見てる』だけで我慢できるだろうか・・・?
せーの、『NO!NO!NO!NO!NO!NO!』
そう、よく眠っているのである。
心焦がれた少女&帽子が今、目の前に無防備な姿をさらしている。
恋に大暴走少女シエスタはただ『見てる』だけで我慢できるだろうか・・・?
せーの、『NO!NO!NO!NO!NO!NO!』
「ウフ、ウフフフフフフフフ」
シエスタは静かに笑いながら、ポケットから何かをズルリと取り出し、
ルイズの方へゆっくりと近づいていった。
シエスタは静かに笑いながら、ポケットから何かをズルリと取り出し、
ルイズの方へゆっくりと近づいていった。
・・・シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ
「・・・ムニャ・・・ろーど・・・ろーらー・・・」
シュッ、シュッ、シャシャシャシャッ、シュッ、シュッ
別にファブってるわけではない。
シエスタは寝ているルイズのスケッチを始めたのだった。
そりゃもう時計のようになめらかな動きで。
さっき話したように、ルイズの寝相は良くない。
約五分おきに寝返りをうつのだが、その一つ一つのポーズを、
シエスタは機械のように素早く精密な動きでスケッチしていった。
シエスタは寝ているルイズのスケッチを始めたのだった。
そりゃもう時計のようになめらかな動きで。
さっき話したように、ルイズの寝相は良くない。
約五分おきに寝返りをうつのだが、その一つ一つのポーズを、
シエスタは機械のように素早く精密な動きでスケッチしていった。
・・・そして2時間後、スケッチブックがいっぱいになったので、
「ごちそうさまでした」
とシエスタは部屋をあとにした。
もちろん鍵はきちんとかけなおして。
「ごちそうさまでした」
とシエスタは部屋をあとにした。
もちろん鍵はきちんとかけなおして。
シエスタが出て行ったあとの部屋には、
「・・・ムニャ・・・ラッシュの速さ比べか・・・
キュルケ・・・ボコボコにしてやんよ・・・」
シュッ、シュッ、と寝ぼけてシャドウボクシングしているルイズと、
そのパンチをヒラリヒラリと舞い遊ぶようにかわし続ける帽子だけが残された。
「・・・ムニャ・・・ラッシュの速さ比べか・・・
キュルケ・・・ボコボコにしてやんよ・・・」
シュッ、シュッ、と寝ぼけてシャドウボクシングしているルイズと、
そのパンチをヒラリヒラリと舞い遊ぶようにかわし続ける帽子だけが残された。
第五話『よし、俺のシエスタにスケッチさせてみよう』完ッ!
バ―――――z______ソ!