ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのパーティ-7

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匿名ユーザー

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「参ったな」

かれこれ30分は散策しているが、一向にそれらしい場所は見つからない。
壁に書いてある文字は読めないし、場所を聞こうにも相手がいない。この近くではないのだろうか?
僕はぽりぽりと頬をかいた。

「これじゃどうしようもないな……」
「あの、どうなさいました?」

唐突に声をかけられた。僕は渡りに船と、声をかけられた方へと向く。
そこにはメイド服の格好をし、銀のトレイを持った、そばかすの、素朴な感じを受ける少女が、僕の方を心配そうに見ていた。
黒い髪と黒い瞳に、何となく親しみやすさを覚える。

ふとメイド服の上からでも自己主張する物体が、目にとまる。

「……りんごだな」
「はい?」
「あ、いや、忘れてくれ」
何を口走っているんだ、僕は。朝の興奮がまだ抜けていないのか?
僕が何を言っているのか、彼女には解らない様子なのが、せめてもの救いだ。
ともかく、さっきの事を追求されない内に、僕は彼女から必要なことを聞くことにした。

「僕はつい昨日、ここに来たばかりでして、屯所の場所が解らなくて…… すみません、教えていただけますか?」
「あ、ミス・ヴァリエールの推薦で入った衛兵さんって、あなたのことだったんですか。
えっと、屯所でしたら、案内させていただきますが?」
銀のトレイを持った少女は、親切にも案内してくれるという。僕はその厚意に甘えることにした。

「すみません。お願いします」
「こっちです。どうぞついてきてください」
そういってメイドは中庭の方へと歩き出す。僕も急いで、その後を追いかけた。


「ここです」
案内された先は、校舎から少し離れた場所にあった、門の近くの城壁と一部くっついている建物だった。
どうやら僕は、かなり見当違いな所を探していたらしい。
僕はここまで連れてきたメイドに、軽く頭を下げて礼を述べる。

「どうもすみません。仕事中に」
「いえ、お仕事がんばってください」
メイドの方も丁寧懇切に礼をし、元来た校舎の方へと戻っていった。
……っと、忘れる所だった。

「名乗るのを忘れていました。僕は花京院典明と言います」
「ノリアキさん……、ですか。変わったお名前ですね。私はシエスタっていいます」
「何か困ったことがあったら言ってください。力になりますので」
「じゃあ、何かあったらお願いしますね。それでは、また」
校舎へと戻る彼女の背中を見送る。素朴な、可愛い感じの子だったな、と思う。ルイズとは大違いだ。
恋をするなら、あんな気持ちの女性がいいと思います。守ってあげたいと思……
「何をしてるんだ?」

後ろからかけられた声で、僕の思考は中断した。
屯所から鎧を着た、人間離れした容貌の男が、こっちをのぞいている。ここの衛兵だろう。
僕はこのこれから先輩になるであろう、この男に軽く頭を下げる。くさり水の様な臭いが鼻についた。
「これからここでお世話になる、花京院典明です」

男はしばらく、いぶかしそうに僕を見つめていたが、そのうち何かを思いだしたように、手をぽんと叩いた。

「ああ、そういや新入りが来るってきいたな。……俺の名前はジョーンズだ」


その化け物のような外見とは裏腹に、彼は意外にいい人だった。僕に衛兵の仕事を、一つ一つ丁寧に説明してくれる。
ただ体臭がひどく、僕は幾度と無く鼻を押さえた。
とりあえず説明が一通り終わると、壁にかけてあった槍と、軽い板金の胸当てを僕によこした。
丁度いいサイズの鎧がないので、しばらくこれを着るらしい。
しかし、学ランのままでは胸当てがつけられない。僕は仕方なく学ランを脱いだ。

「いい感じなんじゃねぇか?」
やや大きめだが、胸当ては多少動いた程度ではずれそうにはない。
槍も持ってみて、他の人の鎧に映った僕の姿を眺めた。意外と似合っていると思う。

着ていた学ランの方はというと、私服置き場はあったが、ここの臭いがつくのはいやなので、外にかけておく事にする。

着替え終わった僕の姿を確認し、ジョーンズさんは今日の仕事内容を考える。

「そうだな。まぁ、今日は何が起こるかわからんし、しばらく待機だな。俺は門衛の仕事があるから。後で」
そういって彼は素早い動きで屯所を出ていった。生徒達が怖がるため、彼の仕事は専ら門衛だそうだ。


さて、僕は暫くここで待機との事だが。
辺りをちろちろ見回す。壁には面積の1/2を占める、この学園の見取り図。
そして余った場所に、所狭しと槍やら剣やらがかけられている。
部屋の中央には、今僕の座っている椅子と、大きなテーブルが一つ。
部屋の端には、他の衛兵の私物が乱雑に積み上げられている。その奥の部屋にはベットが見えた。そこが仮眠室、もしくは宿舎だろう。
城壁に上る階段は、そのベットの部屋の対角の位置にあった。

「しかし、少し息苦しいな」
どうも石造りで囲まれている所為か、圧迫感を受ける。
少し外の空気を吸おうと、中庭へと出た。
20分ほどしかいなかったのに、外の風が気持ちよく感じる。

と、そこでこちらに向かって、ジョーンズさんと同じ鎧をつけた、眉毛と鼻が以上に長い男がかなりのスピードで走ってくる。
彼も衛兵だろうか?
彼は僕の前で立ち止まった。

「お前がノリアキか?」
「はい。あなたは?」
「俺の名はペイジ。宜しくな新入り。……ミス・ヴァリエールからの伝言だ。『教室の片付け手伝え』だとさ。確かに伝えたぞ」

そういって彼はまた校舎の方へと走っていった。しかし、先ほどのジョーンズさんといい、ペイジさんといい、凄い脚力だな。
ま、それはともかくいわれたからには手伝うしかないだろう。
ぱんぱんと身体を持ち上げ、僕も校舎の方へと向かった。

To be contenued……

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