ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの予報図-2

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匿名ユーザー

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「わ…ワケわかんないこと言わないでよ! しかも『誰だ?』って
 また質問で返してるじゃないの!」
目の前の少女が怒っている。確かに、ワケがわからない。自分でも、そう思う。
混乱してるのかもしれない。冷静に考えてみよう。
ダメだ。何も思い出せない。

何もすることがないし、わからないので、ボーっと少女の行動を見ていた。
頭頂部の寂しい男となにやら言い争って、こっちに戻ってきた。なんだか顔が赤い。
「感謝しなさいよね、貴族にこんなことされるなんて、普通一生ないのよ!?」
どんなことしてくれるって言うんだ?
そして何かごちゃごちゃしゃべりだした。
『我が名はルイズ……』だとか言っている。この子の名はルイズというのか。
少女、ルイズが手を動かしている。しゃがんで、と言いたいのだろうか。

多分そういうことだろうと推察し、しゃがんでやる。

キスをされた。唇が柔らかい。一瞬だけの口付けの後、ルイズは俺から離れた。

「ぐおっ!?」
突然、左手に猛烈な痛みが走る。
「心配しなくても、すぐに痛みは引くわ」
本当だ、もう痛くない。
気付いたらさっきの男が傍にいた。俺の左手を見ている。
「ふ~む、珍しいルーンだね」
その男は『る~ん』とやらから目を離して、俺の頭をちらちら見ている。
帽子がほしいんだろうか?

それからその男が浮いた。名残惜しそうに帽子を見ている。
「すごいな……」
オレは思ったままを口に出した。
周りの奴らも、ルイズ以外が全員浮いた。人間って浮けたのか。
「なに? 魔法がそんなに珍しいわけ?」
「まほう?」
「魔法見たこともないわけ? こりゃ飛んだ田舎モン召喚しちゃったわ。飛んでないけど」
なんだ、魔法だったのか。人間って、魔法が使えたのか。
俺も飛んでみよう。
ダメだ、飛べない。
「どうやって飛ぶんだ?」
「聞いてなかったの? 魔法よ。でも平民のアンタにゃ一生無理ね」
へいみん? 平民ってどういうことだろう。
「飛べないのはお前も一緒だろ~? 『ゼロ』のルイズなんだからな!」
「飛べない同士、歩いて帰ってくるんだな!」
そんなことを言って、上の奴らは飛んでいってしまった。

「ほら、ボーっとしてないで、ついて来なさい!」
ルイズが俺を呼んでいる。特にすることはない。ついていくことにする。
原っぱの中をふたりで歩いていく。
ルイズは飛ぼうとしない。ひょっとして、オレが飛べないからだろうか。
ルイズは前を歩きながら平民がどうの召喚がどうのと呟いている。
「大体アタシ、ファーストキスだったのよォ~~!?」
「ルイズ」
「へ!?」
突然名前を呼ばれて驚いたようだ。立ち止まってこちらを振り返っている。
「いい天気だな…」
空を見上げる。ルイズも空を見る。
「…ええ…そうね………」

素敵な青空だった。

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