ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第二話『困惑のち使い魔』

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第二話『困惑のち使い魔』

「・・・・・・信じろと言うのか?それを」
「信じるもなにも本当のことなんだから当然じゃない」
少女――ルイズが言うにはここはトリステインという国の魔法学校らしい。
連れていかれたルイズの部屋の窓からは青白い月が二つ顔を出している。それにここに来る前に他の奴らは空を飛んでいた。スタンドではない『何か』の力でだ。
にわかには信じられないが・・・どうやらマジで異世界らしい。
「信じられないっていうならわたしだってアンタが別の世界から来たなんて信じてないわよ。神父様と追いかけっこしてたら死んじゃったなんて、わけわからないもん」
そう言われてはどうしようもないがな。ちなみにプッチ神父のこととかは隠しながらの説明だ。
しかし異世界・・・か。徐倫たちはどうなっただろう。俺のDISCは届いただろうか?能力の一部とは言えプッチ神父との闘いで力になればいいが・・・
「ちょ、ちょっと!何急にしゅんとしてんのよ!」
「・・・・・・・・・」
ここでこの小娘に喋ったところで現状は動かないのだろう。いや、動かすならば別の方法で、だ。先の話で俺がメイジという魔法使いに召喚されたのはわかった。ならばそのまた逆もしかりだろう。
「・・・おいお前」
「平民が貴族に向かって『お前』ですって?もっと敬ったものの言い方があるでしょ?あと急に顔近づけて話さないでよ!」
「俺を元の世界に戻せ」
ウェザーは華麗にスルーした。
「無理よ」
ルイズはあっさり否定した。

「なぜだ?俺を呼び出せたのだから当然帰せるだろう・・・?それをするだけでいいんだ」
ルイズは一瞬悩んだがすぐに首を振った。
「・・・やっぱり無理よ。『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけだもの。帰す方法なんて知らないわ」
「知らんだけで可能性はあるのだろう?ならやってみろ」
「だから無理なのよ・・・『サモン・サーヴァント』は現在の使い魔が死なない限りできないもの」
「・・・・・・」
それを聞いたウェザーはイスにドカリと腰を下ろした。
俺は敗れて死んだ。それは事実だ。人に天気が操れないようにどうしようもない事実だ。
「だから諦めて使い魔になりなさい。わたしも諦めてるから」
「・・・・・・」
「わかったの?」
だるそうに座り、黙りっぱなしなウェザーを見て、ルイズは「ようやく観念したか」と勘違いした。本当は元来ウェザーが無口なだけであるのだがもちろんルイズはそんなことを知るはずもなかった。
「・・・俺はすでに死んだ身だ。だが生きている。どーゆーわけだかな。だから、まあ気まぐれにその・・・『使い魔』だったか?になるのも一興だ」
「本当?」
「ただし、タダじゃあ働かん。第一俺は何かに囚われるつもりは毛頭ないからな。俺はお前の使い魔になる。お前は俺に情報を与える。つまり、ギブアンドテイクの形になるな・・・」

確かに俺は死んだ。だが生きて帰れるのならばそうしたい!帰って、みんなともう一度でいいから話がしたい・・・。そのためには情報が必要で、それにはコイツとは『対等』がいいだろうと言う打算があった。
だがその考えはすぐに訂正されてしまった。
「あら、そんな心配しなくともとっくにギブアンドテイクじゃない?『あなたはわたしに使える』。『わたしはあなたに寝床と食料を与える』。これって挟み撃ちかしら?」
人差し指をたてて勝ち誇るルイズ。なるほど一理ある。だが、脇が甘いな小娘。
「お前は俺を勝手に呼び出した」
「あら、わたしはあなたの命を救ったのよ?」
そう言われてはグゥの音も出ない。まあいい。幸いここは学校らしいからな。図書館もあるし教師だっているだろう。そう言った知識の泉から金の斧を引っ張ってくればいい。
「・・・具体的に何をすれば?」
「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるんだけど・・・ダメね、あなたの見てる映像が流れてこないのよね。なんでかしら?」
「さあな」
「次に秘薬とかの原料集めなんだけど・・・異世界からきたっていうなら無理よねぇ?」
「まあな・・・」
「最後にこれがメインと言ってもいいんだけど・・・使い魔は主人を守るのよ!その能力で敵から守るんだけど・・・平民じゃあねぇ・・・」
「そうだな・・・」
ルイズもこの三つは予想していたのか特に言及しなかった。なので、
「そこで護衛が出来ようが出来まいが関係のない仕事を与えてあげる」
するとルイズは部屋の隅に置いてあるカゴを指差した。そのカゴからは白い『何か』が見えている。
「青ざめたなッ!勘のいい貴様は気付いたようだな!そうだッ!洗濯物だッ!あなたには掃除洗濯と言った雑用をしてもらうッ!」
実際ウェザーは青ざめてなどいなかったのだがルイズは一人で『ハイ』になっていた。そんなに平民呼び出したのがショックだったのだろうか。
「・・・・・・わかった」
こういう手合いは相手にしてるとムキになって収拾がつかなくなるからな。
「わかったならいいわ!」

案の定話しはまとまった。
「疲れたから今日はもう寝るわ」
「俺の寝床はどこだ?」
ルイズは床を指差した。
「・・・『グリーン・ドルフィン』だってまだベッドだったぞ」
「しかたないでしょ。ベッドはひとつしかないんだから」
ルイズはそれでも毛布を一枚投げてよこした。さらにその場で服を着替えだしたのだ!
「・・・何してる?」
「寝るから着替えるのよ」
「俺がいるのにか?」
「使い魔に見られたって、なんとも思わないわ。しかも、平民」
      • さっきからやたらと貴族平民にこだわるな。時代的には中世か?
「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しといて」
足下に投げられたのは下着だった。
「・・・・・・」
着替え終えたルイズはベッドに潜り、指を弾いた。ランプの灯りが落ちる。
「『魔法』か・・・」
ウェザーはそう呟くと壁を背に座り毛布を引き寄せて目をつぶった。
俺はこれからどうなる?
徐倫、アナスイ、エルメェス、エンポリオ・・・ウェザーは仲間たちのことを思い浮かべながら眠りに落ちていった。


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