ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-9

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匿名ユーザー

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そいつの名はキュルケ①

―※―
「これで・・・いいんだ・・・。全ては・・・元に・・・戻るだけだ・・・。」
ブチャラティは天に召されていた。
肉体はすでに冷たくなり、もうすでに魂は後戻りできない所まできていた。
「オレのするべき事は・・・もう終わった・・・。心残りなんてもうない・・。
あとはきっと・・・ジョルノが終わらせるはずだ・・・。」
ブチャラティは最後、ジョルノの手に『矢』が渡ったのを確かに見ていた。
そして彼の心はもう、ジョルノの勝利を確信していた。
「あいつなら・・・。きっと『矢』は認めるはずだ・・・。ジョルノの黄金のような『覚悟』を・・・。
きっと鎮魂歌(レクイエム)を我が物として・・・ボスを・・・ディアボロを倒すはずだ・・・。」
ブチャラティは下を見た。もう彼らの姿は見えない。だがもうブチャラティには不安なんて物は
砂漠の砂のたった一粒ほども残ってなかった。
「なんだか・・・空の向こうに光が見える・・。あれが・・・『あの世』なのかな・・・。
      • あの光は・・・、オレの『終わり』を告げているということか・・・。オレは・・・今、終わる・・・。」

「『終ワリ』・・・ナドト言ウ言葉ハ・・・言ッテホシクナイナ・・・。ブチャラティ・・・。」
「・・・!?」

―※―
数日前・・・。イタリア。
すでに事切れていたブチャラティの周りに二人の男がいた。
やがてヘルメット状の帽子を被った男がブチャラティのそばにいる金髪の少年に話しかけた。
「な、治った・・!やったぜジョルノ・・・!コレでブチャラティは・・・!」
だがジョルノと呼ばれた彼はうつむいたままだ。
「・・・・・・・・・・・・。」
「お、おい・・・。なに黙ってんだよ・・・ジョルノ・・・。わかってんだぜ。お前の"ゴールド・エクスペリエンス"は確かに傷を治したッ!あともう少しすれば目は覚める!そうなんだろ!?」
しかしジョルノは・・・静かに首を振った。
「・・・おい・・・。」
「・・・・ダメもとで一応やっては見ました・・・。ほんのわずかしかない希望に賭けて・・・。
しかしミスタ。やはり無理だったんです・・・。ぼくのゴールド・エクスペリエンスには・・・。終わった命を呼び戻すことはできない・・・。
ブチャラティも逝ってしまったんです・・。ぼくらの手の届かないところへ・・・。」
ミスタはそう聞き、がっくりと腰を落とした。

「バカヤロウ・・・。あんたはやっぱりバカだぜブチャラティ・・・。
なんでアンタみたいな奴が・・・こんな結末を迎えるんだよ・・・。オレは!アンタみたいな
どこかお人よしな奴こそ生き延びるべきだと!・・・そう思ってたのに・・・。」
ジョルノはうなだれたミスタに言う。
「ミスタ・・・。もうぼくらに出来る事は、彼らを・・・ブチャラティ達を永遠に忘れないことしかありません・・。アバッキオと言う・・、ナランチャと言う・・、そしてブチャラティと言う自分の正しいと思った
道を最後まで生き続けた人間を・・。永遠に覚えておく事です・・・。
彼らの意思はぼくらの心に焼き付けられた・・。そしてその受け継いだ意思を忘れない事は・・。
彼らが生き続ける事に繋がる・・・。そう思うんです・・・。
『忘れる』・・と言うのが一番いけません。去ってしまった者たちから受け継いでいくと言う事が・・・。そしてさらに『先』に進めることが・・。最も大切な事だとそう思っているから・・・。」
ミスタは・・・ブチャラティの亡骸を見て・・・そしてやりきれない気持ちになった。
「・・・・『受け継ぎ先に進める事』・・・か・・・。」

「ジョルノ!ミスタ!ブチャラティは助かったの!?」
トリッシュだ。こっちに駆け足で向かってくる。
「トリッシュ・・・。残念ですがブチャラティは・・・。」
だがトリッシュは見回してから言う。
「・・・?ブチャラティがどこにいるって?」
「だからブチャラティは見ての通り・・・!?」
ジョルノは目を疑うッ!ブチャラティの死体がない。

「バカなッ!ブチャラティの『死体』は・・・どこに行った!?・・ミスタッ!!」
「お・・オレは知らねぇッ!!オレはちょっと目を離しただけだぜ・・!だが走ってここから立ち去ったにしては不自然すぎるッ!!まるでこつぜんと存在が消えちまったみたいだッ!!」
ジョルノとミスタはあたりを探し回るッ!!
「ブチャラティ!ブチャラティ!?」
「おい!どこに行っちまったんだよブチャラティ!?フザケてるのか!?ブチャラティ!!」
トリッシュがジョルノに預かった亀・・。―――の中のポルナレフに話しかける。
「ポルナレフさん・・!まさかブチャラティは・・!」
「よくわからない・・・。だが彼らの言っている事から察すると・・。
ブチャラティは今・・。『何者かにこつぜんと別の所に移された』と言う事か・・・。
瞬間移動か何かで・・・。ブチャラティを何処かに呼び出した・・・そう考えられる・・。」
「ブチャラティ!どこですブチャラティ!」
「おーい!ブチャラティ~!!返事してくれぇっ~~!!」
しかし二人はブチャラティを見つけることはできなかった・・・・。

―※―
「こいつは・・・何が起こった!?」
ブチャラティはあの世を前に・・・混乱していた。
「『消エル』ナンテ・・・ソウ簡単ニ言ワナイデホシイモノダナ・・・。
正直ナトコロワタシハ・・・アンタガ死ヌナンテ・・・モッタイナサスギルト思ウンダ・・・。」
自分に話しかけている存在・・・。そのデザインは、まるでスタンドを思わせる姿だった・・・。
「お前は・・・スタンドか?誰かの『スタンド』なのか!?」
『それ』はブチャラティに話しかける。
「否。ダガ『ワタシ』が何ナノカナド・・・。ドウデモイイ話ダ・・・。『ワタシ』ガ『スタンド』デアロウガ・・・。ソレトモ誰カノ『使い魔』ナノカ・・・。オマエニトッテ部屋ノ中ニ目デモ見エニクイ『チリ』ヨリモ
ドウデモイイコトダ・・・。」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・

「シイテ言ウナラバブチャラティ、ワタシハ『望ム者タチ』ノ怨念ノカタマリ・・・。
オマエノ物語ノ次ノページヲ見タイト望ム者タチノ願イソノモノナンダ・・・。」
「何を・・・言っている!?」

「ワタシの役割ハ・・・ソウイウ願イヲ見エナイ形デ具現化シ、『オマエタチ』ト『彼女』ノウチノ誰カトノ
絆ヲ取リ持ツ事デアル・・・・。」
そして『それ』は目の前を指差す。
「サア・・・。前ヲミロ・・・・。ソコニオ前ノ『次の運命』ハスデニ待チ構エテイルッ!!」
「あ・・・あれは!?」
目の前にあった光・・。それは『鏡』だった。そして・・・その目の前に・・!
「鏡の前にいるのは・・・・オレだ・・!」
「オ前ハイッタイドノヨウナ物語ヲ紡ギダスノカナ・・?ソレヲ知リタイト思ウノモ・・・。マタワタシナノダ・・・。」
刹那、ブチャラティは見る・・。暗殺チームの姿、見覚えのある人物の姿、そしてボスの姿も・・。
だがブチャラティはここで気を失う・・。
―※―
「ハッ!!」
気がついた時ブチャラティが見たのは・・・。まだ沈んでいないふたつの月と・・。今なお気持ちよさそうに眠っていたルイズの寝顔だった。
「ム~。あ、ダメ、それ以上はらめぇ・・・。」
「・・・・・夢・・・だったのか・・?」

ブローノ・ブチャラティが死に、召喚、蘇生されてからすでに20日が経とうとしていた。
「ウーン・・・。ムニャ・・。」
ブチャラティの朝はルイズを起こす事から始まる。
「おい・・。起きろルイズ・・。もう時間だぞ・・。」
「ムゥ・・。あと5分・・・。」
ブチャラティは半ば呆れ顔である。いつもこうやって遅刻ギリギリなのだ。
「・・確か昨日、『どんな手をつかってもいいから起こしてくれ』と言ってたよな・・。」
ポケットからあるものを取り出した。
「こんなところでフーゴの持ち物が役に立つとはな・・・。」
ブチャラティが『それ』をいじってルイズにそっと投げる。
「んん・・。」
パァ―――――z______ン!
「ふみゃあッ!!な、何すんのよいきなり!?」
「落ち着け。ただのかんしゃく玉だ。」
叩きつけるとどデカイ音をたてて破裂するイタズラアイテムだ。
ちなみにこれの持ち主だったフーゴはこれを今は亡きナランチャの勉強中、
居眠りしているナランチャをたたき起こすために使っていた。
「・・・確かにどんな事しても起こしてと言ったけど・・。もう少し安全な起こし方をしなさいよッ!!」
「・・・だったら早く起きろ。」
      • ブチャラティの朝はこの後着替えや洗顔の手伝いから始まる・・・

午前の授業も終わり、昼休みが始まる頃。
「ブチャラティ元気ィ?」
「ようブチャラティ。」
「昼飯かいブチャラティ?」
ブチャラティの皆からの評価は来たばかりとは違い、大きく変わっていた。
多くの『信頼』を得ているのだ。
「ブチャラティ!この間は手伝ってくれてありがとな!いつか礼はするよ!」
「ああ・・。覚えておく・・。」
「ブチャラティ・・。私のブローチまだ見つからないの・・。」
「まだ探してないところはあるか?後でもう一度一緒に探してやるよ。」
「ブチャラティ!絶対悪いのはコイツだよなッ!?」
「いいやッ!コイツが悪いねッ!ブチャラティからもなんとか言ってくれよッ!!」
「落ち着け・・。まずお互いの言い分を聞かないと話にならん。」
この数日のうちに、ブチャラティは皆から頼れる存在になっていた。
「ずいぶんしたわれているわね・・。」
「まあ・・。おかげさんでな・・。」
戦闘においては冷徹で理にかなった一面を見せるが、基本的に優しく気のいいブチャラティは日を追うごとに一人、また一人と、友好関係を結んでいた。

まずシエスタ達学院で働いている人たちだ。
特にシエスタにはかなり世話になっているだろう。
よくルイズの服の洗濯を手伝って貰ったり、ルイズの怒りにうっかり触れて食事を抜かれたりしても、彼女たちは助けてくれた。
そしてその礼をしようとまたブチャラティが手伝ったりしているうちに、ほとんどの人たちと意気投合していた。
だが一番驚いたのは料理長マルトーである。
「・・・一つ・・聞きたい。お前さんはメイジなのか?それとも平民か?」
それはブチャラティがいつものようにシエスタを手伝っていた時のことであった。
マルトーがブチャラティを威嚇するように睨んだような目で言った。
「・・・・・・・・・・。」
「どうなんだ?言ってもらおうか?」
シエスタが冷や汗をかく・・。マルトーはメイジ嫌いだ。おそらく彼はギーシュに使ったスタンドのことを言っているのだ。
もしマルトーがスタンド=魔法で、ブチャラティ=メイジと認識したら・・・。
二人に仲良くなってほしいシエスタとしては不安で胸いっぱいだった。自分でも最初
説明してもらうまで新種の魔法だと思っていたのだ。おそらくマルトーも・・。
「・・・魔法を使う奴らの事を『メイジ』と指しているのなら否定できない・・・。」
ブチャラティは真っ直ぐ向かって言う。
「でも、その一族の家柄に生まれた人間のことを『メイジ』というのなら、私は『平民』です・・。魔法・・・によく似ていてもこれは魔法ではないし、
今まで一度だって貴族と名乗った事はない・・。
あなたは・・・どちらだと思います?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

しばらく重々しい空気が続くが・・・・。
「・・・・クッ。」
「・・?」
「・・・・ガッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!こりゃまた素直に言ってのけたぜコイツめッ!!」
突然のマルトーの豪快な笑いに流石のブチャラティもたじろいだッ!
「自分をメイジだとか言っていい気になってるような器の小さい成り上がり野郎だったら
今すぐ叩き出してやる所だったが!なかなかどうして謙虚な男・・。
そしてお前がッ!あのグラモンとやらの性根を叩きなおしたってんなら俺はあんたを
好評価せざるを得ないぜッ!」
ブチャラティはシエスタのほうを向き、その顔が安堵と喜びに満ちている事から、
どうやら彼とは打ち解けることができた事に気がついた。
「・・・でもこんな簡単に信じてもらっていいのですか?もしや騙してるなんて事も・・。」
「なぁ~に。ウソをついてないって事くらいなんとなくわかるさ。お前さんがいい奴だって事とかもな。」
とまあ見てた者があっけらかんとなるほどあっさり打ち解けたマルトーは
今やブチャラティを『我らの剣』と呼んで称えている。

続いて他でもないギーシュ・ド・グラモンだ。
マルトーから聞いた通り、あの戦い以来彼の人間性がだいぶ成長したらしい。
平民をぞんざいに扱ったり、高慢な態度をとったりすることが無くなったとのことだ。
そして彼はほかの誰よりもブチャラティを信頼するようになった。
あの戦いで通じるものがあったのだろうか。信頼関係は多いほうがいいと判断した
ブチャラティは彼とも仲良くやっていた。
だが彼は人間的に成長しても女癖の悪さは直らなかったらしい。グラモンの血からは逃れられないようだ。
「いや、僕くらい女性に優しい人間になると、どうしても断りきれない事も
あるにはあるんだよ。僕はね、ブチャラティ。多分一人の女性だけを愛すると言う事は
永遠にないと思うな・・・。」
「・・・何のために決闘でボロボロになったんだろうな・・・。」
ブチャラティはもはやこの話題につっこむ事をやめることにした。
「全くそろそろ身が持たなくなってきているんだ・・。どうにかできないかなブチャラティ?」
「・・・・・・・まあ・・。いいんじゃあないか?お前がそれでいいなら・・。」
ブチャラティはこれが無ければだいぶ一人前に見えるのにと思った。
―――――余談だが、ブチャラティはあの決闘の日以降、ギーシュがケガを負ってない所を見たことがなかった。つまり一日一回はモンモランシーに傷を負わされているという事になる。
「ここまで来ると褒めるしかないな・・・。」

さて、彼は昼休み、昼食や手伝いなどを終えると広場でくつろぐことが多い。
そこには2年生の使い魔たちが羽を伸ばす場としても使われているので、
ブチャラティ自身も魔法生物には興味があったので、昼休みにそれらと触れ合う機会に
ちょうどいいと思っていた。
その日は日当たりのいい所で休んでいた時だった。
モコモコモコモコ・・・・。
ポコッ
「あれは・・・モグラか・・?」
それにしても大きい。少なくとも自分の世界で見ることはかなわない種だろう。
「・・・・そういえばあのモグラ・・。確かギーシュの・・。」
そう。これはギーシュの使い魔、ジャイアントモールの『ヴェルダンテ』である。
(どうだいブチャラティ!僕のヴェルダンテは美しいだろう?僕は多分この子こそが
使い魔の中で一番美しいと言う自信があるくらいだからね。ハッハッハ!)
そう言ってギーシュが親バカっぷりを見せていたのを思い出した。
「・・・・美しい・・か?確かに愛らしさのある姿はしているが・・。」
そう言った時、ヴェルダンテがこっちに甘えたいと言わんばかりに寄ってきた。
「人懐っこい奴だな・・・。」

「きゅるきゅる。」
寄ってきていたのはヴェルダンテだけじゃあない。
大き目の赤っぽい体のトカゲも寄ってきた。――――――気のせいか今口から火が出た。しかも尻尾に火が灯っている。
「これは・・・サラマンダーって奴か?」
サラマンダー・・・。そういえばコイツは・・・。
ルイズが嫌っていた、赤髪にグラマラスな体格のメイジ、キュルケの使い魔『フレイム』だ。なぜかコイツも寄ってくる。
ブチャラティは二匹の頭を撫で、ふと空を見る・・・。
(―――――――オレがこの世界に来てもう20日・・・。
そろそろ向こうじゃ完全に死亡扱いされて葬式やってるかもしれないな・・・。
これ以上時間をかけると、帰ったとき驚かれそうだ・・・。)
ダランと力を抜き、壁にもたれる。
(・・いずれイタリアに帰ることができたら・・。何しよう・・・。
まず仲間に顔出して・・。久々に故郷の料理を食べて・・。墓参りもやって・・・。
あと・・・見届けたい・・。ギャング・スターのその輝かしい姿を・・。)
その時、ブチャラティの目を引いたのは空を翔る大きな青い竜だった。

「・・・空を・・・飛んでいる!?」

バサッバサッ!
「きゅいきゅい~♪」
スタッ
「風竜・・・。そうだ・・あれは風竜ッ!!」
ブチャラティはその上に誰かがいることに気づく。
小柄な体に青い髪、眼鏡をかけ、大きな杖を持った少女だ。
「・・・・・・・・・・。」
「あ、お前はッ!」


話はここで4日遡る。

BITE THE DUST 『バイツァ・ダスト』!!(負けて死ね)

図書室。
4日前ブチャラティはここに来ていた。
「ここは学校・・。やはりこの世界の資料は大量に用意されている・・・。
オレはこの中に、『帰る方法』があると考える・・・だが・・。」
だがブチャラティは、『召喚・空間転移系』の資料を探そうとして留まってしまった。
「・・・・・・。」

近くにあった椅子に座り込む。
「やっぱりそうだ・・・。オレはあくまでルイズの契約の影響で喋れるだけで、
字は読めるはずがない・・・。」
そう。普段ルイズと難なく会話できているせいで気付かなかったがルイズはイタリア語を喋っているわけではないのだ。
試しに英語も話してみたのだが、ルイズにはそれも通じていた。
「だがいくらどんな言葉でも通じるとしても、そこに書かれた文字までイタリア語に翻訳されるわけではない・・。
マズイ。これでは資料を探すどころではない・・・。」
いつだったかパッショーネにいた頃、かつてのチームメイトからも「戦いとは情報を得ることから始まっている。」
と言う言葉を聴き、そのためには多国語を喋れることが何より重要だった。
だからほとんどの本は読むこと自体は苦労しなかった。
だがコレはまさにその次元の問題。情報を読むこと自体が困難なのだッ!!
そういって頭を抱えていると、ふと本に没頭している少女を見た。

「・・・・・・・。」
お茶を飲みながら本に没頭している彼女を一目見てブチャラティは
その鋭い洞察力で即座に彼女の高い実力を見抜いたッ!!
(コイツが発しているこの感覚・・・。死地を経験した人間特有の殺気だ・・・。
日常を生きていても、そんな世界に生きてきた人間は一目でわかる。
だがこんなルイズよりも年下に見える奴が何故これほどの殺気を・・・。)

だがブチャラティはそれは後回しにする。彼女から確かに感じられた高い実力、『知性』のほうに目を向ける。コイツならもしや・・?

「君・・・。話があるんだがちょっといいか?」
だが話しかけても無反応である。よほど本に集中しているらしい。
「聞こえているか・・?ちょっと字を・・。」
だが彼女にはよほど集中して聞こえていないのか、まったくブチャラティに興味を示さない。
「・・・どうした物か・・。このまま待つか・・?」
そう言った頃だった。
「あら、タバサじゃない。またその本読んでたの?」
キュルケだ。タバサの友人なのだろうか。少しだけタバサの視線が逸れる。
「ゴメンゴメン。用はないの。ちょっと借りたい本が・・。あら?あなたルイズの・・。
何?この子に用があるの?」
「ああ、ちょっと字を・・。」
「タバサは一度本を読み始めたらほかの事にほとんど興味示さなくなるから
話しかけるには少し時間がかかるわよ。それより・・。」
キュルケが寄ってくる。
「あなたこの間の決闘・・・。凄くかっこ良かったわ・・。もう心臓が大噴火を起こすくらいにね・・。」
「・・?」
「私はね・・。えっと、ブチャラティって言ったわよね・・。ああいう戦いの場で魅力を
引き出す男って奴にとても興味を持っているの・・。そのうちゆっくりお話したいわ・・。
それじゃあ、待たせてる人がいるから・・・。」
そう言ってキュルケが立ち去る。
「・・・・何だったんだ・・?」
そして改めてタバサに向き直り、
「………仕方ない。ここで…待たせてもらうか。読み終わったら話を聞いてくれ…。」
そう言ってしばらく待ち、眠りこけているうちにいなくなっており、さらにルイズにしかられたのを良く覚えている。

―※―
「そうだ、あの時の!確かタバサだったか・・・。」
スタンッ!とタバサがシルフィードから綺麗に降り立つ。
「この間は ごめんなさい。」
タバサは淡白に言う。
「・・・いや、読書中に話しかけるのも悪いと思ってな。」
そう言い終わった時、タバサが近くにいる事に気がついた。
持ってた紙袋の中のいくつかの本の中から一冊を取り出す。

「これ、よかったら読んで。」
それは『初心者の言語学習 イラスト付き』だった。
「これ・・。買ったのか?」
タバサは何も答えず言う。
「詳しく教えるのは明日。」
「・・・感謝する。」
タバサはその後学院にさっそうと帰った。
「きゅいきゅい。」
残った風竜がこちらを見ている。ブチャラティはまた人懐っこい竜の頭を撫でてやる。
「きゅい♪」
「そろそろ遅い時間か・・。ルイズも待っているだろうし今日は帰ろう。じゃあな。」
ブチャラティはヴェルダンテとフレイムのほうに言って帰る事にした。
「今日もまた何事もなく平和に終わった・・。」

だがそう思っていたブチャラティの身にちょっとしたハプニングが降りかかる。
その事にまだブチャラティは気づかない・・・。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・。

「きゅるきゅる。(そろそろ追跡を始めるか・・・・。)」

To Be Continued =>

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