ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

エンヤ婆-1

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匿名ユーザー

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「成功だわ!」

爆発で舞い上がった砂煙が薄れるとともに、何かの影が見えはじめていた。
地面に横たわるソレは小柄な人間のようだ。
頭部と思われる場所から触手状の何かが数本生え、ウジュルウジュルと蠢いていた。
(やった!見たこともないシルエットだし、未知の幻獣か何かに違いないわ)
早速『コントラクト・サーヴァント』を行わんと呼び出したモノに歩み寄るルイズだったが、異変に気付き足を止めた。
(……触手が消えていく………蒸発して……いる……?)
砂煙が薄まるにつれて頭部の触手が日の光に溶けるようにように消えていき、砂煙が治まった頃には完全に消え失せていた。

「おいおい、ゼロのルイズが平民を召還したぞ!」
爆発を警戒して距離を置いていた他の生徒から声が上がる。
「しかもあれバアさんじゃないか?しわくちゃだよ!」
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民呼び出してどうするの?」
誰かの一言で、周りを取り巻く生徒達がどっと笑った。

「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
反射的に叫び返してから気付いたが、どうやら触手が見えたのは近くにいたルイズだけのようだ。
(どういうこと?……あの触手は目の錯覚だったって言うの……?)

改めて見てみれば、あまり見慣れない服を着ているがどう見ても平民の老婆だ。
(平民の…それもこんなよぼよぼの年寄りが使い魔?この公爵家令嬢の使い魔?誇り高きヴァリエールの一族たるこのあたしの?)
「ミスタ・コルベール、もう一回召還させてください!」
「それはダメだ、ミス・ヴァリエール。これは伝統(ry」
再召喚を却下されたルイズはしぶしぶ老婆に近づき、使い魔の契約を行おうとして――動きを止めた。
老婆の両目が見開かれ、空を睨んでいた。

(な、なんだ起きてるんじゃないの……ピクリとも動かないから気絶でもしてるのかと思ってたのに)
「……のめが…」
老婆はどこか焦点の合わない目で空を見つめ、ブツブツと何かを呟いている。
「…くのめが……」
(ボケてるのかしら……ううっ、こんなのが使い魔だなんて最低だわ……)

ルイズは仰向けに寝転んでいる老婆の横に跪き、コントラクト・サーヴァント――契約のキスを交わした。
契約を終え、唇を離したルイズに老婆の呟きが届く。
「肉の芽が……肉の芽が消えおった…………」

ドジュゥーという音とともに老婆の手の甲にルーンが刻まれていく。
だが老婆は全く反応しない。
他の生徒が呼び出した使い魔はどんな幻獣であっても多かれ少なかれ刻印時の痛みに反応していた。
叫び声を上げるくらいはいい方で、あまりの激痛に転げまわる使い魔もいたほどだ。
だが老婆はそんな痛みなど気付いてすらいないようにひたすら呟き続けている。

「ふむ、珍しいルーンだな」
老婆の脇にコルベールが屈み込み、手の甲に浮き出たルーンを書き写している。
ルイズは何気なくルーンの刻まれた箇所を見、我が目を疑った。
ルーンは老婆の右手に刻まれている――――左肩から生えた『右手』に。
まるで間違い探しのようだ。

「さあ皆、教室に帰りますよ」
絶句して固まっているルイズを置き去りにコルベールが杖を振り、宙に浮き上がる。
続いて生徒達も次々に宙に浮き、近くの城のような建物に向かって飛び始めた。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「ルイズ、その平民あなたにお似合いよ!」
生徒達は口々に笑いながらそう言いつつ飛び去っていく。

全員が去り、残されたルイズは盛大に溜め息をついた。
次いで八つ当たりするように大声で老婆に怒鳴る。
「あんた、名前は!?」
「…DIO様がやつらに敗れたんじゃ……ありえないことじゃが…それしか考えられん……
……愛しい息子に続き…DIO様まで………わしの生き甲斐はすべてのうなった……」
「あのねえ、あんたの名前はって聞いてんのよ!答えなさい!!」

老婆は今気付いたかのようにジロリとルイズを見ると、ヨタヨタと起き上がり、自分の名を口にした。
「………エンヤじゃ…」

To Be Continued →

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