ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

スケアリー・サーヴァント-1

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トリステイン王立トリステイン魔法学院。
その広場の一角で、春の使い魔召喚の儀が行われていた。
そして今、その召喚を行っているのは、由緒あるヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。
綺麗な桃色の髪と鳶色の目を持った美しい少女である。
しかしこの少女、先程から召喚を行っているのだが一向に何かが召喚されてくる気配はない。
呪文を唱える度に爆発が起こるだけ。爆発の回数はすでに両手の指では足りなくなっていた。

(なんでなのよ! なんで爆発だけなのよ! 何か来なさいよ!
もうこうなったら高望みはしないわ。なんだっていい。だから!
偉大なる始祖ブリミルよ! お願いします!!)
そう念じ、ルイズはもう何度目かもわからない召喚の呪文を唱える。
「宇宙の果てのどこかにいる私のシモベよ……神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!
私は心より求め、訴える! 我が導きに答えなさいッ!!」

しかし無情にもまた爆発が起きてしまった。
またなのか、もう駄目なのかしら、と落ち込むルイズ。
だが失意の彼女の目が煙の中の何かを捉えた!
(ひょっとしたらひょっとして、成功したのかしら……)
煙が薄くなっていくのと反比例して、彼女のそんな期待が膨れていく。

やがて、完全に煙が晴れたそこには、一人の男が倒れていた。

 * * *

爆発の中から現れたのは男の人間。つまりルイズが召喚したのは人間。
その場にいた者はあまりに非常識な事態にシ──ンとしてしまっていたが、やがて、
「プッ」
「ククク……アッハッハッハ!」
「フハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケノォホホノォホ」
「ギャアアハハハハハ!!」
爆笑の渦に変わった。
「おい! ルイズが平民を召喚やがったぞ!」
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
「こんなマネは『ゼロのルイズ』にしかできないな!」
それが収まると今度は嘲笑に変わった。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
ルイズがそんな反論をするが、周りの連中は全く聞く耳を持たない。
「ミスタ・コルベール!」
業を煮やしたルイズが怒鳴ると、人垣が割れ、黒ローブを纏った一人の男が歩み出てくる。
「あの、再召喚を──」
「駄目だ、ミス・ヴァリエール。使い魔召喚の儀は聖なる儀式。
これは伝統なんだ。呼び出したものが何であれ、例外は認められない。
わかったら、早く彼と契約を結びなさい」
その言葉に、ガックリと肩を落とすルイズ。
仕方ない、と彼女は呟く。
平民というのはあんまりだが、再召喚をしたとしても、次に成功するのはいつかわからない。
成功しないかもしれない。だから、仕方ない。
そう自分に言い聞かせ倒れている男の元に寄る。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
契約の為の呪文を唱え男の額に杖を当てる。
そこでルイズは男のかぶった帽子に、3つの文字らしき物がついているのに気付く。
(文字、よね? 多分。読めないけど。
それにしても、こいつ、よく見ればなかなかハンサムね。それが唯一の救いってとこかしら……)
そして一つ深呼吸をしたあと、ゆっくりと男にキスをした。

次の瞬間、倒れていた男が飛び起きた。
「ぐ……ウオオオオッ!?」
体の内から生まれた熱によって目覚めさせられたのだった。
(クソッ……なんだ? これはッ!?)
すぐに熱とそれによる痛みは治まったが、周りを見渡せば草原と人と城。
どう見てもさっきまでいた筈の場所とは違う。
(ここはどこなんだ……スタンドによるものか? もしくは『遺体』の……?)
検討もつかない。

そこへ黒ローブの男が寄ってきた。コルベールだ。
コルベールは男の左手を見て呟く。
「ふむ……珍しいルーンだな」
そこで初めて男は自分の左手に何かあるのに気づいた。
見れば模様のような文字のようなものが手の甲に刻まれている。

「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
コルベールが周りの人間にそう言うと、突然、宙に浮いた。
それに続けて周りの者達も宙に浮く。
そんな光景を男は、驚きつつも、冷静な瞳で眺めていた。
(やはりスタンドか?)
しかし、宙に浮いた者の放った言葉がその考えを改めさせる。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
スタンド能力にしてはおかしな発言だ。
いったい何がどうなっているのか、男は黙って考えていたが、
隣に残っていた少女によりそれは中断された。

「あんた誰よ!?」
「人に名前を尋ねる時は……自分から名乗るのが礼儀ってもんじゃあないのか?」
「なっ……平民が貴族に対してそんな口利いていいと思ってんの!?」
(貴族……か。貴族がハバを利かせているということは少なくともここはアメリカではないな)
「それは失礼した……だが……貴族だというなら、なおさら礼儀正しくあるべきなんじゃあないのか?」
「くっ……そうね……」
ルイズが悔しそうに言う。平民相手に礼儀も何もあるか、と思わないでもなかったが、
男の放つプレッシャーとでも言うべき何かが反論を許さなかった。
「私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。そんであんたの名前は?」
「オレの名は、Dio。ディエゴ・ブランドー。」

To Be Continued

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