ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は刺激的-5

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匿名ユーザー

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「ちょっと聞いてるの!さっさとどきなさい!!」
(うるさいわね。そもそも私はメイドじゃないわ)
「ルイズ、彼女は僕の使い魔なんだ。どう扱おうが君には関係ない」
 無視されて業を煮やした少女がトリッシュに掴みかかろうとした時、代わりにマリコルヌが答えた。
「アンタの使い魔ですって?ああ、確かそうだったわね風邪っぴきさん」
「ミス・ヴァリエール、僕は『風上』だ。何度も言わせないでもらいたい」
 いつもと様子の違うマリコルヌを気味悪がりながらも、ルイズは声を上げてマリコルヌと口論するが
 食事前の祈りの時間になったので、トリッシュとマリコルヌを睨みつつルイズは抗議を止めた。
「「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうた事を感謝いたします」」
 祈りの声が唱和される中、トリッシュは一人だけ皮肉気な笑みを浮かべながら並べられた料理を見る。
 世の中舐めてんの?とマジで言いたくなった。
(これが『ささやか』ねぇ。コイツらにとってのご馳走ってどんなのかしら?
 私なんて朝はいつもコーンフレークだって~のに。やっぱり貴族ってムカつくわ)
 祈りの時間らしいが別に神を信じてもいないので、とりあえず死んだ母と仲間たちの心の平穏と、
 ついでにクソッたれなゲス親父が死んでも苦しみますようにと祈っておいた。

祈りが終わり食事が始まった。グラスにはワインが注がれ周りの貴族たちが食事を開始するが
 トリッシュは一人だけ手をつけずに料理を見ているだけだった。
(アル中じゃあるまいし朝っぱらからワインなんて飲めないわ。鳥のロースト?
 こんな重いもの起き抜けに食べれるわけないじゃない)
 盛り付けられた見たことがないフルーツを皿にとって食べてみる。思っていたよりも甘く瑞々しい。
(まあまあね。冷えてないのが気に食わないけど。この果物なんて名前なのかしら?)
「ねぇマリコルヌ。この果物ってなんて名前なの?」
 耳聡くトリッシュの質問を聞きつけたルイズが、先ほど無視されたお返しとばかりにトリッシュを蔑んだ眼で
 見ながら馬鹿にしたように喋りかける。
「あら、平民はそんなことも知らないの?だったら高貴な私が教えてあげるわ。その果物は…」
「それは桃りんごって言うんだよ」
「へえ~桃リンゴォって言うんだ」    
 桃のような瑞々しさと、りんごの張りが同居してるんだ。と、マリコルヌがそう答える。
「ふんっ!これはアンタたち平民が私たちの為に作ってるんじゃない。そんなことも知らないなんて
 アンタ、平民以下ね。風邪っぴきの使い魔にふさわしいわ」
(桃リンゴォね。こんな果物は向こうにはなかったわ。じゃあひょっとしてメロンチェリーだとか
 椰子バナナとかもあるのかしら?……うわ、キモチわる)
「アンタのみっともないご主人様に感謝することね!アンタみたいな平民がこの『アルヴィーズの食堂』に
 入るなんて本当なら一生ないんだから!」
 トリッシュはワインの代わりに喉を潤せるものがないかテーブルを探すが、水の入ったボトル一つなく
 困っていたときに黒髪のメイドがこちらに来るのが見えたので聞いてみることにした。

「すいません。お茶かジュースはないかしら?水でもいいわ。私、喉が渇いているの」
 呼び止められたメイドはトリッシュをきょとんとした眼で見ると、何かを合点したように頷く。
「かしこまりました。ただいまお持ち致します」
 メイドはしばらく動かずに、マリコルヌとトリッシュを交互に見比べるとお辞儀をして厨房に向かう。
 そのメイドの様子が気に掛かったトリッシュがもう一度呼び止めようとしたとき、マリコルヌが
 ワイングラスを持ちながら問いかけてきた。
「トリッシュ。君はお酒が飲めないのかな?」
 諦めの悪いルイズが、トリッシュをやり込めようとまたも突っかかる。
「あらあら、やっぱり平民ね。あなたにはワインよりも井戸水がお似合いだわ」
 朝から酒を飲むほうが変だとトリッシュは言おうとしたが、マリコルヌにはこれから色々と
 お世話になるのでやんわりと伝えることにした。
「そもそも平民が貴族のワインを飲もうなんて身の程知らずも良いとこだわ!反省なさい!!」
「母が言っていたの。朝から酒を飲むような人間にはなるなって。
 それから、そんなヤツとは絶対に付き合うなとも言ってたわ、結婚なんて持っての他ともね」
 先ほどのメイドが紅茶を持って現れ、陶磁製のティーカップにそれを注ぎテーブルに置く。
 お辞儀をして立ち去ろうとするメイドをマリコルヌが呼び止めた。
「シエスタ、ワインを下げてくれ。それから僕にも紅茶を頼む」
「かしこまりました。ミスタ・グランドプレ」
 今度はマリコルヌにお辞儀をして、メイドは立ち去った。そしてトリッシュに疑問が生じる。
(どうしてマリコルヌがメイドの名前を知ってるのかしら?凄く変だわ)
 他の貴族たちの振る舞いを見ているとメイドを一人の人間として扱っている訳でなく、あくまで
 『メイド』と言う名の奉仕者としか見ていない。マリコルヌが特別かとも思ったが、トリッシュの思考は
 少しでも疑問を感じると解消せねば気が済まないように、かつての戦いを通じて変化していた。

「マリコルヌ。一つ質問があるんだけど良い?」
「なんだいトリッシュ?何でも聞いてくれよ」
 マリコルヌはトリッシュに向き直りさわやかに微笑む。
「さっきのメイドなんだけど、どうして名前を知ってるの?凄く気になるわ」
(ひょ、ひょっとしてトリッシュは……嫉妬…してるんじゃあないのか?)
 無視され続けたルイズはどうにかしてトリッシュに振り向いてもらおうと憎まれ口を叩く
「平民のことはアンタが一番良く知ってるでしょ!そうだったわ、あなた桃りんごも知らなかったわね。
 ごめんなさいね。私ったら、あなたが無知で無能だってこと忘れてたわ」
 トリッシュの質問を、マリコルヌはトリッシュがシエスタに嫉妬していると盛大に勘違いし、トリッシュは
 自分に気があると有頂天になった。勿論、今のキレイなマリコルヌはその感情を表には出さなかったが。
「それはねトリッシュ。君の着ている服を彼女に頼んで用立ててもらったんだよ。
 そのとき初めてシエスタの名前を知ったんだ。これからも色々と世話になるしね
 名前を知っとかないと困るだろう?」
(だから、シエスタに嫉妬しなくていいんだよ僕のいとしいしと「my Preciouss」)
 などと心の中で加え、トリッシュの質問にマリコルヌは顔を何とか引き締めて答えた。

「そう、そう言うことね。てっきりアンタの趣味だと思ってたんだけど。でも変ね?
 この服サイズがピッタリだわ。その…シエスタさん?私と同じスタイルなのかしら?」
「アンタたちいい加減に人の話を聞きなさいッ!何時まで私を無視する気よ!私怒るわよ!!」
 トリッシュの疑問に『自分の独壇場だ!』と、マリコルヌは心の中でガッツポーズを取った。
「その服は着る人間のサイズに合うように魔法が掛かってるんだよ。彼女に備品庫から持ってきてもらったんだ。僕も前から目をつけてたんだよ」
「ふ~ん。随分とベンリなのね……ちょっと待って!アンタ今なんて言ったの?!
 『僕も前から目をつけてたんだよ』って言ったわよね!確かに聞いたわ!!
 それにアンタ彼女いないって昨日言ってたわよね!…マリコルヌ…まさか……」
(ドジこいたーーッ。薀蓄たれて好感度UPするつもりが、こいつはいかーん!
 変態って思われる!この『失言』を誤魔化すしかない!チクショーーー!!)
「食事の後は授業があるんだ。トリッシュはどうする?外で待っててもいいんだけど」
「私の質問に答えろッ!!マリコルヌーーーー!!!」
「やっぱり授業を一緒に聞いたほうが良いかな?珍しいものも見れるだろうし」
「ねぇ~おねがいだから~~こっちをみてぇ~~わたしをむししないでぇ~~~」
 マリコルヌはしばらくトリッシュに問い詰められたが、何とかシラを切り通した。
 ルイズ?誰それ?


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