ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

アホの使い魔-1

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「俺の名はペイジ」
    ドォッシュウウウ
「ジョーンズ」
    ボシュウッ
「プラント」
    ジュウウウウウウウ
「ボーンナム 血管s」
    デロリン
「ルン!ルン!ルン!」
    ゴシャァアッ
「ズラ!」
    ボシ───
「え!?…オレ?
 外に居たのは……おれだったァ──
 棺桶の中に居たはずなのにィ~~~~」
    ゾバゾバッ

爆音が響き、土煙を巻き上げて何かを呼び出す閃光。
そして、土煙が晴れる度に日光を浴びる度に呼び出した使い魔が溶けて消えていく。
それが今日の『ゼロのルイズ』の『サモン・サーヴァント』の晴舞台であった。

「おいおい、一体何回死なせるんだよ!」
「ゼロじゃなくて死神のルイズか!?」
「十回超えてるじゃねぇェかよぉぉお!
 なあ、帰っていいだろぉぉおお?
 なぁぁああ、こく……コルベールの先生よぉぉおお!」

爆発と召還と消滅の一連の動作を遠巻きに見ている外野もいい加減飽きてきたらしい。
最初は囃し立てるような大きな声で野次を飛ばしていたが、
今はもうささやきのようになっている。

「……ミス・ヴァリエール」

生徒に比べて比較的近く、しかし爆発に巻き込まれない絶妙な位置に立っていたハゲが
ルイズと呼ばれた少女に話しかける。

「予定時間を考えると今日は次で最後です。
 それで駄目だったら、翌日にしましょう。まだ猶予はありますからね」

声を掛けられた少女は、その言葉に一際表情を引き締めた。
ここで失敗したら明日は余計にバカにされると分かっているからだ。
人一倍プライドの高い彼女にとってそれだけは許してはならない事なのだ。

「どーせ駄目なんだからやるだけ無駄だって。
 なんせ『ゼロのルイズ』なんだからなァアア!」

最後、という言葉に勢いを取り戻した野次を無視し、
ルイズは呪文を口にし、意識を集中させていく。

「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ……
 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ
 私は心より求め、訴えるわ
 我が導きに……答えなさいッ!!」

ドッグォオオオン!

何度目か分からない呪文の後、
一際強い爆発と共に派手に土煙が上がった。


───────ゼロのメイジとアホの使い魔


「んだァ?こりゃあ?」

冬の寒さがいよいよ到来してきた頃、
仗助や康一と『トラザルディー』で昼飯を食っての帰路、
心身共に健康になった億泰は『ソレ』に眉を顰めて無い脳みそを回転させていた。

『ソレ』は家の扉の真ん前に出ていた『鏡』だった。
高さ2メートル、幅1メートルはありそうな楕円形で、しかも宙に浮いている。
スタンド使いならすぐさま警戒しそうな所だが、
吉良吉影が倒されて以来スタンド使いによる目立った事件が無かったために
億泰はすっかりと油断していた。
一般人でもやりそうな何かを投げつけるような行動もせず、いきなり鏡に触れた!
通らないと家に入れなかったため、さっさと潜り抜けようと思ったのだ。

バリィ!

「うっ、うおおおおおおおお~~~~~~~ッ!?」

かつて『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に地下ケーブルへと
引きずり込まれた時のようなショックを受け、
そのまま倒れこむようにして鏡へ飛び込んでしまった!
そして絶え間なく続く衝撃に意識を手放してしまう。
油断とはいえこの男、オツムが足りないのだろうか。

「っつ~~~~~~~~」
「あんた誰?」

誰かに呼びかけられた気がして、頭を抱えながら億泰は目覚めた。
まず、地方とはいえ五万三千の人口を抱える杜王町では
見る事のできないような澄んだ空が目に入った。
次に、ピンクが強く出たブロンドの髪をした少女が覗き込んでいる事に気がつく。
よく見ると黒いマントに杖を持っていて、
まるで昔兄貴に読んでもらった絵本に出てきた魔法使いのような格好だ。
遠くにはお城まで聳え立っている。

(おいおい~~~!俺は家の前に居た筈だよなァ~~~!
 なんだこの状況はよォ。外人さんに囲まれてんじゃねえかぁあ~~!)

「貴族を無視していいと思ってるの!
 私が誰かと尋ねてるの!さっさと答えなさい!」

珍しく思考に没頭する事となった億泰だったが、
その女の様子にプッツン由花子を連想してしまい、
ふくらんだ風船が萎んだような気分になった。
答えないのも面倒くさそーな気がして、投げやりに答える。

「俺は虹村億泰…だ」

起き上がりながら周囲を見渡すと、
ルイズと同じような格好をした少年少女と、ハゲ。
そしてその周りには……何体ものモンスターが!

「ニジムラオクヤス?変な名前ね。
 一体どこの平民n」
「ってなんだってェーーーーっ!!
 『ザ・ハンド』!」

ズギュン!

他の使い魔達を見て思わずスタンドを発現する。

「プッ!」
「アハハハハハ!流石『ゼロのルイズ』だ!」
「フッフッフッフハハハフフフフヘハハハハフホホアハハ」
「ウケッウケッウケコッウコケウコケ
 ウヒャホコケコケコケケケケケケケケコケコ」
「『サモン・サーヴァント』で平民を!
 それも頭の飛び切り悪そうなのを召喚したぞ!」
「いや、頭がおかしいんじゃないか!?
 いきなり叫んでるぞアイツ!」

その様子を見て周囲の生徒で笑いが巻き起こった。
確かに頭悪いのは事実だけどよォー、
としょんぼりしながらスタンドを解除する億泰。
どうやらこの中にはスタンド使いも敵もいないらしい。
その裏でルイズは億泰のスタンド発現に続き、
他の生徒の爆笑のせいで完全にセリフがぶった切られてプッツンしていた。

「ミ、ミミミミミスタ・コルベール!
 再召喚させてくだs」
「NO!NO!NO!NO!NO!
 君はこの儀式を愚弄するのかね!ミス・ヴァリエール!
 それも!今日の最後の猶予で!
 平民とはいえ成功したならやり直しは有り得ないィイイ!」

だが、更にセリフを潰されながら拒否されてしまった。

「でも平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」
「例外は認めないィィイイ!
 だから彼を君の使い魔にするんだ。早く続けなさい」

さらりと言われ、ルイズは諦めたように返事をした。

「………分かりました」

立ち尽くしている億泰へと改めて目を移す。
180サント近い背に、間の抜けた顔つき。
どうやったって好意的には見れないが、諦めたようにルイズは歩み寄りながら呪文を唱える。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。
 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

杖を億泰の頭に乗せ、力ずくでしゃがませて額に移す。

「イテ!イテェ!なにしやが…」

(さよなら、私のファーストキス)

ズキュウウウウウウウウン!

喚く億泰を無視して!心で涙を流しながらも強引にルイズはキスをした!
ただし、一瞬だけ。触れるなり思いっきり突き飛ばすように離れてだが!

「終わりました……」
「………」

ブワァァ!
と、急激に億泰が涙を流しだした。

「お、俺が…女の子から…チューされた…?」

スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃を身をもって味わい、
そんな事で幸せを噛み締めている億泰だったが…

「くぁ!?」

その余韻は左手に突如襲い掛かった熱にかき消された。
焼けた鉄板に押し付けるような熱さに思わず億泰は草原の上を転げまわる。

「あづ、あち、アチィイイ!」
「五月蝿いわね……使い魔のルーンが刻まれてるだけよ」

そう言いつつも、ルイズの心はやっと安堵できていた。
『サモン・サーヴァント』も『コントラクト・サーヴァント』も成功した。
だが、その一方で平民という事実がルイズに重くのしかかっている。
この男が今日召喚された使い魔の中で『最も恐ろしい』という事も知らずに……


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