ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

愚者(ゼロ)の使い魔-11

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だれでも歓迎! 編集
俺の提案(部屋割り)は却下された。
結局男子と女子で一部屋づつになった。
ちなみにロリコンの処遇については何とかあのままにした。

朝になってベッドから起き、ギーシュが床で寝ているのを確認し、隣のベッドのデルフリンガーを背負う。
そしてベッドが二つしかない部屋から出ると、ロリコンが目の前にいた。

「おはよう。よく眠れたかい?」
「ああ、ベッドが良かったからな。そっちはどうだった?」
「おかげさまでよく眠れたよ」
「それは良かった。感謝しろよ」
気のせいかロリコンの顔が不自然だ。怒りを抑えているような気がする。
おれが何かしたのだろうか。
考えてみるが心当たりは無い、気のせいだな。

「そういえば君は『土くれのフーケ』を捕まえたらしいね」
「おう!スゲーだろ?」
「ちょっと君の力に興味があるんだ。手合わせをお願いできないかい?」
「手合わせ?おれと?本気で?」
「そうだよ」

大爆笑。

コイツ犬相手に手合わせなんか申し込んでるよ。
おれが爆笑しながらプライドとか無いのか?と聞いてみると
ロリコンはその事に気づき逃げていった。
ありゃ稀に見るバカだね。

朝食の後再び手合わせを申し込まれた。
他の連中もロリコンの正気を疑ったようだが
ロリコンの『フーケを捕まえたほどの実力なんだろ?だからだよ!』なんて必死の言い分を信じ、
『手合わせくらいやってやれよイギー』みたいな空気が出来上がっていた。

だがおれはそんな事やりたくないので
「なあ、ちょっとでいいからさ、頼むよ」
「イヤだ」
なんて事を延々と繰り返していた。

だが事態は昼食の後についに動いた。
「何でそんなに嫌がるんだい?」
この一言におれはつい答えてしまった。
「お前がロリコンだからだよ」

静寂。痛いくらいの静寂。

その静寂を破ったのはこの一言。たった一言。

「ロリコンの何が悪い?」
何か顔が怖いです。

「胸が無いからか?」
ゴメンナサイ。

「結局お前は胸が全てだと思っているのか?」
いえ、そんな事は無いです。

「巨乳には夢が詰まっているんだ!とか言うつもりか?」
もうやめてください。おれのライフはもうゼロです。

そのまま貧乳の魅力をずっと語られた。
その場の全員が。
机の上で貧乳こそが最高だ!等と演説してる姿はとても貴族には見えない。
大体おれが貶したのはロリコンだ。貧乳じゃあない。貧乳はおれも大好きなのに。
だがそんな事を言っても無駄だろうから黙っている。

「胸が小さいのは悲しみではない!その間違った悲しみを誇りに変えて、立てよ貧乳!」
なんだかなあ。

全員が『何でこんな事に…』って表情をしている。
おれ自身も辛そうで見ているだけで痛々しい、のでザ・フールで作った分身を解除し、そのまま散歩に出かけた。
ロリコンがあまりにもウザイので作っておいた分身。
まさかこんな形で役に立つとはな…
ちなみにおれは窓の外から様子を見ていた。
おっと、さっさと逃げないと連れ戻されるな。

おれは宿屋から少し遠く、見つかりそうに無い場所を見つけ、のんびり昼寝する事にした。

タバサの怒りはいつ収まるのかな。
そんな他愛も無い事を考えているとすぐに眠くなった。

目を覚ますともう夜だった。
宿屋の…もといタバサの様子を確認しようと思いふと宿屋を見ると

囲まれていた。何か物騒な連中に。

入り口から少し離れた所に巨大なゴーレムまでいる。
ゴーレムの肩には人が二人いて片方はフーケだった。
もう片方は分からない仮面を付けている事は何とか見える、おそらく新手のメイジだろう。

おれがどう動くか考える前に何かがこっちに来る気配がした。
その何かの方を見てみるとルイズとロリコンだった。

「あ!イギー!こんな所に!」
「何がどうなっているんだよ?」
とりあえず状況を聞いてみる。
「敵に襲われたんだ。これから僕らは桟橋に向かい船に乗り、アルビオンへ行く。他の人には囮になってもらった」
「船が出るのは明日じゃないのか?」
「そこは僕の風でなんとかするさ」
あ、今の笑顔ムカツク。
「アンタは私たちに付いてきなさい」
それっきゃねえか。宿にはタバサもいるしな。

文化の違いって言葉がある。
それはエジプトでの旅でポルナレフが何度か言っていた言葉であるが、今おれはそれを目の当たりにしていた。

巨大な樹とその枝にぶら下がっている船である。
今発進した船があるのだがそれは空を飛んでいた。要するに飛行船ってヤツである。
上には階段で行くらしい。

目当ての階段を見つけ上る。八十メイルくらい上った時、俺の鼻は敵の存在を感じた。
「ザ・フール!」
振り向きながらザ・フールで攻撃する。
が、避けられた。
フーケと一緒にいた白い仮面の男だった。
「「ライトニング・クラウド!」」
ロリコンと仮面の男が同時に同じ魔法を唱え、相殺される。実力が近いのか?いや、違う。

「ロリコン!接近戦に持ち込め!」
「僕はロリコンじゃあない!」
そう言いながら素直に接近戦に切り替える。

よし、ご褒美だ。受け取れ。
ザ・フールで攻撃。もちろん二人いっぺんに。それを喰らいロリコンは地に落ちた。

「なにやってるのよ!」
ルイズの怒鳴り声。ちょっと耳が痛くなったがそれに耐え説明する。
「臭いが同じだった。同一人物だぜ、ありゃ」
「………え?」
「ロリコンと白仮面は同じヤツなの。風の偏在ってのじゃねーの?」

ルイズに説明しながら目的地まで歩いた。

「もう一回言ってみて?」
「だーかーら!」
ルイズはしつこく食い下がる。
しつこい女は嫌われるぜ?

再び説明。
「それじゃ困るのよ!」
「仕方がないだろ、ルイズ」
「でも…」
「相棒の言うとおりだ、貴族の娘っ子。諦めろ」
デルフも同じ意見だ。これで二対一。

「アルビオン行きの船はまだ出せないんです、朝になるまで待ってください」
係員の事務的な言葉。相手が怒り心頭の貴族であれ、臆することないその姿勢はとても格好良い。
「一度引き返すぞ」
「そうするしかねーよ、娘っ子」

「…分かったわよ」

おれ達は一度宿屋に引き返す事にした。
『なんとかする』そう言っていたヤツがもういないため船が出せないのだ。
肩を落としながら歩くルイズはとても小さく見えた。


To Be Continued…

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