ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀の使い魔-11

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匿名ユーザー

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(あー、私ったら本当にご主人様失格だわ…)
ポルナレフがキュルケの部屋で熱烈なアプローチを受けている時、ルイズは一人部屋で自責の念にかられていた。

あの時、亀とだけ契約したつもりが、何故かポルナレフも一緒に契約されルーンが刻まれてしまった。
とすれば直接契約していないとしてもポルナレフも亀同様に自分の使い魔のはずなのに自分はポルナレフだけを追い出した上にそのポルナレフに、使い魔は亀だけで良い、と言った。
実際本人も嫌々していたようだし、自分も平民付きより亀だけの方がずっと使い魔らしくていいと思う。
しかしポルナレフが言った大切な物が何かは知らないが、亀ごとそれを取り上げ、全く行く宛も無いのに追い出してしまうのは外道以外の何でもない。
それを本当にやってしまうとは自分はなんて最悪な御主人様なんだろうか。彼に謝って、亀を返そう…。

そう決意するとドアを開け、廊下に出た。
暗くなっていたので、とりあえず誰かに探すのを手伝って貰おうと考えたその時、キュルケの部屋のドアをぶち破って男が出て来た。

紫の眼帯、ハートが半分に割れたような金の耳飾り、そして立てた銀髪。
ルイズが探そうとしていたポルナレフ本人だった。
更に部屋の中に下着姿のキュルケが見えた。
そしてポルナレフもキュルケもほぼ同時にルイズに気付いた。

時が止まる。

「あああ、あんた達何やってんの…?」
ポルナレフは激しく後悔した。もっと早く逃げるべき、いや、そもそも入るべきじゃなかったと。
「こ…これはだな、その…俺がそこの小娘の使い魔に連れられてな、中で立ち話していただけだ。何もしていないぞ。な?」
ポルナレフはキュルケの方を向いて、弁護を要請したのだが、
「いやぁ、あんたの使い魔、中々情熱的だったわ。結構ガッシリした体つきしてるし期待してたけど、期待以上だったわ。また貸してね。」
キュルケはそう出鱈目を言うと、部屋に戻り服を着ると呆然としている二人を置いてどこかへ去っていった。おそらくドアの代わりになるものを探しに行ったのだろう。
「まさかとは思うが…あいつの言ったことを信じてないよな?俺はこう見えても30過ぎてて、あんな小娘の色仕掛けになんか…」
ポルナレフは必死になって弁明した。
「…もういいわ、見苦しい。言い訳なら部屋で聞く。」
そう言って踵を返し、部屋に戻って行った。明らかにキレていた。

それから二時間ほどルイズの部屋から、鞭が空気を裂く音、それをナイフで切り裂く音、ルイズの罵声、ポルナレフの悲鳴に似た叫びが響いてきた。
「ハァ……つ、つまりあんたは…ハァ…単に誘惑されてた…ハァ…だけって事?」
ようやくルイズは息を切らせながらも納得したかの様に言った。ちなみにルイズの周りには切られた鞭が散乱している。
「ハァ…ハァ…そういうことだ…。」
ポルナレフは憔悴しきった様子で言った。たとえガンダールヴでも二時間も切り合いしてたら疲れたらしい。(本人は知らないが)
「ハァ…ハァ…!それならいいわ。しかしツェルプストーめ…私の使い魔にまで手を出すつもり!?」
ルイズは苛々した様子で爪を噛んだ。
「やれやれ、なんだ?『まで』って?なんか前にもあったのか?」
ポルナレフはルイズに尋ねた。
ルイズはポルナレフに自分の実家ヴァリエール家とキュルケの実家ツェルプストー家の数世代に及ぶ奇妙な因縁を話した。
「…という訳よ。ただでさえ国境を挟んで隣あってるのに、そのせいでヴァリエール家とツェルプストー家は有り得ないぐらい仲が悪いの。」
「そのせいであんなに怒ったのか。てっきり独占欲かと思ったがな。ほら、飼い犬が他の人になつくとムカつくって奴だ。」
ポルナレフがうんうんと頷く。
「その通りよ。だからあんたも他の女だったらいいけど、ツェルプストーの女だけは駄目よ。あんたは私の使い魔なんだからね!」
ルイズはズビシッとポルナレフを指差した。
「分かった分かった。まあ、女遊びはもうとっくの昔に卒業したんだがな…」
ポルナレフは若い頃は遊びほうけていたが、ディアボロに追い詰められて以来隠者みたいな生活を送っていたため、欲をセーブ出来るようになっていた

「分かればいいのよ。」
ルイズはそう言うと大きな欠伸をし、ネグリジェに着替えだした。もう見慣れた光景なのでポルナレフは無視してとっとと寝ようと藁の方に近寄った。
「あ、そうそう。ポルナレフ、これ。」
ルイズが何かを投げて寄越した。それは亀の鍵だった。
「…どういう風の吹き回しだ?」
「あんたさっきその中に大切な物があるって言ったでしょ?だから返してあげるわ。
それと中で寝ることも許してあげる。そのかわり明日その藁を捨ててきなさい。」
「ああ…そういうことか。すまないな。」
もっとも鍵を取られていた理由がわからんがな、とポルナレフはひそかに思った。
「なんであんたが謝るのよ。むしろ…私こそ亀だけでいいとか言って…部屋から追い出して…その…ごめんなさい…」
ルイズは赤面しながらぼそぼそとだが、ポルナレフに謝った。
ポルナレフはそんなルイズの態度に一瞬ポカンとしたが、すぐに微笑んだ。
ルイズが恥ずかしがりながらも精一杯謝るその姿は、ポルナレフにはまるで妹か娘の様で実にほほえましかった。

そしてその晩、ポルナレフは久しぶりに亀の中のソファで熟睡した。


To Be Continued...

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