ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第三話 チャームポイントは泣きボクロ

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「町へ行くわよ。」
「は?」
ルイズの提案にびっくりするメローネ。
「急にどうしたんだ?」
「あんた、武器持ってないでしょ。その変な機械じゃあ不安だろうから武器を買ってあげようってのよ。」
「授業はどうしたんだ?」
「今日は『虚無の曜日』。授業は休み。」
「それなら別にいいが・・・マスター、金あるのか?」
「う、うるさいわね!使い魔がそんなこと心配してんじゃないわよ!」
メローネは彼の懐に豪邸が建つぐらいの金があることは黙っていた。
「で、どうやっていくんだ?」
「馬に乗って3時間ほどね。・・・そういや、あんた馬乗れるの?」
「おいおい、オレはまちゃちゅーせっちゅのばじゅちゅぶに入りたかった男だぜ?」
「・・・乗れるならいいわ。」

新ゼロの変態第三話 チャームポイントは泣きボクロ

「なぁ、ルイズ。いい武器ってのはどんなものだと思う?」
乗馬中、ルイズに話しかけるメローネ。余裕である。
ちなみに彼が乗っているのは学院一の暴れ馬ブラックローズ。
「急に何よ・・・。やっぱり鉄でも切っちゃうような奴じゃない?」
「それは剣に限った話じゃあないのか?オレは持ち主の意識を乗っ取るような奴だと思う。」
「それって・・・魔剣とか妖刀って奴じゃあないの?」
「そうかもな。でも意識を乗っ取るってのはかなりの精神力がいるだろ?
 そんな精神力を持ってる奴が魂が宿るほど使ってた武器だ。悪い武器であるはずがない。」
「ふーん。ま、そんなものはそうそう無いと思うけど?」
そのとき、ブラックローズの足下を白いネズミが横切った。

虚無の曜日。
タバサにとってはとても大事な日である。一日中本を読んで過ごせるのだから。
しかし、珍入者のおかげでその予定は狂わされるのである。
「タァァァァァァバァァァァァァサァァァァァァ!!」
絶叫しながらドアを蹴り飛ばして入ってきたのはキュルケである。
無駄だと思いながらタバサは呟いた。
「虚無の曜日。」
本を読みたいからとっとと失せろ、ということだがキュルケは聞く耳を持たない。
「(全略)!!!」
要約すると「私のメローネがルイズのヤローと馬で出かけやがった!ファッキン!
あのクソ女に追いつくためにはYOUのシルフィードじゃあないといけない。
だから乗せてって呉れYO!ちなみに異議は認めない。」ということである。
この状態のキュルケに何を言っても無駄だと言うことはタバサもわかっている。
しぶしぶタバサは街へ向かうことにした。

「全身が痛てぇ・・・」
「それだけですんだことに感謝なさいよ。」
「いや、ホント何だよあのネズ公。今度あったら溺死させてやる・・・。」
落馬して痛いですんだだけマシである。間違えて連れて行かれたら元も子もない。
「しっかし・・・狭い通りだな。」
幅5メートルほどの道に人がひしめいているのを見て、トーキョーの聖戦を思い出した。
「・・・で、武器屋はどこなんだ?」
「確かこの辺だったはずだけど・・・」
「あ、あれだな。ちゃんと書いてある。」
「よかった、ってあんたいつの間に文字読めるようになってたの?!」
「細かいことは気にするな。さっさと行くぞ。」
そう言うとメローネ達は小汚い武器屋に入っていった。

「邪魔するぞ。」
ルイズ達が入ってきて、店の主人は弁明するように言った。
「き、貴族様がこんな薄汚い武器屋に何のご用でございましょう?うちは何もやましいことはしていませんぜ。」
「勘違いしないで。武器を買いに来たのよ。そこの使い魔のね。」
「そうっすかw!いや~、最近は物騒ですからねぇw。『土くれ』のフーケって盗賊が暴れ回っているそうっすねw。
 従者に武器を持たせるのが流行りらしいっすよw。あと『魔竜軍団』ってのもいたっすねw。」
すっかり笑顔に戻った店主がたたみかける。メローネは全く別の所を向いている。
「これなんかどうっすかwゲルマニアの錬金術師シュペー卿が鍛えた業物っすよw
 魔法がかかっているから鉄でも一刀両断っすよwお値段2000エキューっすw」
「ちょっと!そんだけあれば庭付きの豪邸が建つじゃない!」
店主とメローネがもめていると、メローネが割り込んできた。
「オイ店主。こいつはいくらだ?」
それは武器と呼べるようなものではなかった。刃も付いていないし、重さもそれほどではない。
「それっすかwなんかいつのまにかあったヤツっすねw値段は決めてなかったっすw」
「ちょっと、それ何よメローネ?」
ルイズの問いにメロ-ネが答える。
「・・・『ラケット』。オレ達の世界の物だ。普通はテニスというスポーツをするときに使う。
 それにかなりの使い手が使っていたようだぞ」
「スポーツ用品なんて買ってどうすんのよ!!」
「話は最後まで聞くもんだ。・・・実はこれ、最強の武術『テニヌ』に使用する武器でもある・・・。」
「なにぃ!テニヌだとぉぉ!?」
店内に声が響いた。

店内に彼等以外の人影はない。
「何!?知っているのかデル公!」
店主が声に答えるように言う。

「帝弐濡(てにぬ)
 遙か昔、大軍を相手にするために考案された武術。
 その威力は最弱の者が使ってもも一個大隊を壊滅させるほどという。
 しかし、達人になれば一人で一国を滅ぼすほどの強さのためこの武術の伝承は禁止された。
 現在は庭球というスポーツを隠れ蓑にして伝えられているという。
 (民明書房刊『テニヌの帝王様』より)」

メローネは蘊蓄を語った声が乱雑に置かれている剣の中から聞こえたような気がした。
「現在その存在を知るものはほとんどいないとされているテニヌを知っているとは・・・
 おでれーた!お前、只者じゃあねぇな!よし、気に入った!このデルブリンガー様を買いやがれ!!」
「こらデル公!お客様に失礼な口聞くんじゃあねぇ!」
「うるせぇこのハゲ!おいあんた、テニヌ使いより剣士の方が格好いいって!な!な!」
「オレは現実主義者でな。少々無骨でも強い物を選ぶ。む・・・これは・・・」
メローネは喋る剣を放置して、ある刀を手に取った。体が軽くなったような気がする。
「店主!この刀は?」

「ああ、それですかい・・・やめといたほうがいいですぜ。」
元の口調に戻った店主が語る。
「そいつの名は『無限刃』。どっかの刀匠が造ったという殺人奇剣でさぁ。
 ・・・まぁ、この剣の恐ろしさはここからです。
 ある富豪がこの剣を買ったそうでさぁ。そして此奴を買ったその晩、その富豪の家が全焼したんです。
 その時一人のメイドが生き残っていたんですが、そいつが妙でねぇ。」
「というと?」
「片腕が切り落とされてたんです。腹も斬られていたそうでさぁ。おかしな話でしょう?
 しかし只の火事じゃあなかったようで。そのメイドの証言によれば、無限刃を持った主人が
 屋敷の者を斬り殺してまわって、どうやったかはしりませんが火を放ったそうです。
 そのメイドが最後に見たのは、炎の中、全身を焼かれて狂ったように笑っている主人の姿だったそうです。
 そのメイドは全身火傷ですぐに死にまして、無限刃は別の富豪の手に渡ったんです。」
「その後もコイツを手にした貴族に同様の不幸がおこった!コイツを買うとろくな事にならん!
 だからオレを買え!な!オレが居なかったらアレだよ!解説役いなくなるよ!」
メローネは無視してデルフリンガーを手に取った。また体が軽くなったような気がする。
「おでれーた!お前使い手か!なおさらオレを買え!オレ無かったら死ぬかもよ?これからキツイよ!」
「やめなさいよ、そんなうるさいインテリジェンスソード。」
ルイズが口を挟む。
「・・・お前はどう思う?」
メローネはそう呟くとデルフリンガーを眺めた。
「・・・おい、オッサン!こいつと俺様のラケット、合わせていくらだ?」
「あぁ、買ってくれるってんなら二つで100エキューでいいです。」
「ちょっとメローネ!それ買うつもり!?」
「メ・・・、あぁ、『こいつ』か。あたりまえだ。お前にはこれのすごさはわかんねーだろうがな。」
「な、なんですって!!」
「ん・・・え、あ、なんでもないんだ・・・。うん。早く買ってくれ!」
「・・・?」
微かな疑問を抱いたが、ルイズは渋々100エキュー払った。これで手持ちは『ゼロ』である。

一方こちらは店の外
「あぁぁぁぁぁの腐れペチャパイぃぃぃぃぃぃ!!!」
怒りの発信源はもちろんキュルケ。タバサも初めは覗いていたが今は本を読んでいる。
「プレゼント作戦なんてやってくれちゃって~!ダーリンの気を引こうと必死なの!?
 こうしちゃあいられない!あの大平原の小さな胸が買ったのは安そうなボロ剣に変なガラクタ!
 待っててダーリン!この私がアレより凄い業物を買ってあげるから!」
隠れながら小声でぶつくさ言っているキュルケ。どうみてもアブナイ人です本当に(ry
メローネ達が店から出てきたのを確認すると、キュルケは店に乗り込んだ。
その姿を見ながら、タバサは考えていた。
キュルケがガラクタと評したあの物体。あの形状には見覚えがある。
記憶をたどるタバサは、既視感を感じた理由を突き止めた。
      • あれは『破壊の杖』と似ている。しかしなぜこんな武器屋に?
思案にふけるタバサだったが、キュルケが店から出てきたので考えるのをやめた。
「どうだった?」
「やったわ!ナントカ卿が鍛えた業物とこの刀!セットで1500エキュー!
 さぁ!ダーリンを追うわよ!」
タバサは全速力で走るキュルケについて行った。

「ふぅ・・・いつでも人混みってのは慣れないな・・・」
メローネは街の広場で休憩していた。ルイズ?そこら辺にいるだろ。
そして彼の隣には・・・
「そうなのか・・・大変だね・・・」
ギーシュである。モンモランシーと街に来ていたらしい。
「お前よぉ、良かったじゃあねぇか。より戻せたんだろ?」
「あぁ。土下座は偉大だね。土下座しながら事情を説明したらわかってもらえたよ。」
「そうか・・・あんないい女だ。大事にしろよ。」
カオスの一件以後、ギーシュはかなり善人になった。一部では『聖人』のギーシュと呼ばれているらしい。
シエスタや他のメイド達も貴族に絡まれているところを何度か助けてもらったことがあるようだ。
「うん・・・ドットの僕なんかにはもったいない人さ・・・
 カオスに乗っ取られてからいくらか魔法が使えるようになったけど・・・
 僕なんかには・・・彼女は守れない。」
「おい、落ち込むなって。バカと魔法は使いようっていうだろ?
 ヤザンだってシャア押してたぜ。お前だっていけるさ。」
デルフリンガーが励ます。ちなみに彼はメローネが触れた際、彼の情報を得た。
つまり・・・解るな?
「そのとーりだ、同志デルフ。同志ギーシュ、お前の術は攻撃に防御と基本がそろってんじゃあねぇか。
 それにお前にはワルキューレがある。お前が思っているよりアレは強いぞ。
 とりあえずお前は陣形を学べ。」
「陣形?」
「まずは基本だ。
 よいかギーシュ。
 お前はインペリアルクロスという陣形で戦え。      図)             
 防御力の高いワルキューレAがお前の前に、            ●            
 両脇をワルキューレBとワルキュ-レCが固める。         ●○●                 
 お前はワルキューレDの前に立つ。                ●             
 お前のポジションがたぶん一番安全だ。                           
 安心して戦え。・・・ほかにもあるがとりあえずこれを読んで勉強しろ。」
そういうとメローネはギーシュにロマサガ2の攻略本を渡した。
「ありがとう、メローネ。これでだいぶ強くなれる気がするよ!

「そういや、お前の使い魔ってどんなのだ?」
ふと気になってメローネが尋ねる。
「こんなのさ。出ておいで!ヴェルダンデ!」
そう言うと足下に巨大なモグラが現れた。
「これが僕の美しい使い魔ヴェルダンデさ!宝石の匂いが好きなんだ。」
「へぇ・・・そうかい・・・確かにかわいいな・・・萌えるね・・・かわいいな・・・うん。」
メローネがしどろもどろになっているとき、背後から声が聞こえた。
「ダーーーーーリーーーーーーーン!!」
「おぉ、タバタンとキュルケじゃあないか。ってダーリンって何?」
ちなみにタバサはキュルケの遙か後方にいた。
「それよりダーリン。武器ほしかったんでしょ?はい。プ・レ・ゼ・ン・ト(はぁと」
「おいおい、無限刃と変な剣じゃあねぇか。悪いな。あとダーリンはやめろ。」
メローネは近づいてくるモンモンも見つけた。
「おい、お前さんの彼女が来たぜ。隣の恐竜は使い魔か?」
「いいや。彼女の使い魔は蛙だよ。それに恐竜って何さ?」
「へ。何って・・・あそこにいるじゃあねぇか・・・」
次の瞬間、モンモランシーが飛んできた。

「モンモランシィィィィィィィィィィ!!!」
「大丈夫。気絶してるけど外傷はない。」
「きぃぃぃぃぃさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!『グランセン』!!!!」
ギーシュの放った大岩が、ドラゴンらしき生物に直撃する。
「はぁ・・・はぁ・・・殺ったか!?」
「まだ。でも気絶してる。」
このやりとりの最中、ルイズがやってきた。
「ちょっと!へんなドラゴンが人を襲っているわ!!おかげで街は大混乱よ!なんなのよ一体!!」
「ヴェロキラプトル・・・」
メローネが呟くように答えた。
「オレ達の世界で昔栄えていたは虫類・・・恐竜の一種だ。ここにはいないのか?」
「そう。ここには存在しないらしい。ま、別にどうでもいいことだけどね。」
聞き慣れない声が答えた。

その男を見たとき、メローネはこう思った。
「・・・ギーシュ君のお兄様・・・?」
胸にはいくつもの薔薇。無駄に高そうなブローチをつけている。きっと盗品だろう。
まぁ、少なくともギーシュ並みのセンスである。
「だぁぁぁぁれだ貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」
カオス化しそうな勢いでギーシュが叫ぶ。知り合いでは無いらしい。
「まったく・・・。人の名前を聞くときは自分から名乗るのが礼儀だろう。『尊敬』を知らんアホ共め。
 まぁいい。私の名前はフェルディナンド。アメリカの地質学者だ。フェルディナンド博士と呼べ。」
「アメリカ・・・?まさか!ひょっとするとあんたスタンド使いか!?」
「む?スタンドを知っているとは・・・君もスタンド使いかね?」
「あぁ。これが俺のスタンドだ。」
そう言うとメローネはベイビィ・フェイスを発現させた。
「な・・・なんだそれは!スタンドにここまで明確なヴィジョンがあるものなのか!?
 それにその機械・・・いったい何だ!?」
「・・・ちょっとまて。話がかみ合わない。あんた、アメリカの今の大統領は?あとどうやってここへ来た?」
「第二十三代大統領ファニー・バレンタインだ!私は大陸横断レース『スティールボールラン』の際に
 ある任務を担っていたのだが失敗してクーガーに食い殺された・・・はずなんだ。
 気付いたらここにいた。原因と帰る方法は目下捜索中だ。」
「ねぇ、メローネ・・・。ひょっとしてあいつあんたの元いた世界の人間・・・?」
「違うね。」
メローネは即答した。
「オレの記憶によればアメリカ第二十三代大統領はベンジャミン・ハリソンだ。
 その時代に大レースなんて開かれた記録はない。しかもパソコンを知らない。
 おそらくコイツはオレとよく似た世界から来たんだ!!たぶん。」
「すげーぜ相棒!なんて洞察力だ!」
とりあえずデルフが褒める。
「ひとつ・・・聞いていいかしら?」
キュルケが尋ねる。
「あなた・・・どうしてこんな事をするの?」

「なぜか・・・。この世界の人間は『尊敬』を知らなすぎる。魔法が使えるからと言って威張り散らし
 人を敬うことをしない。あまつさえ平民と呼ばれる人間を奴隷扱いだ。
 まるで中世のヨーロッパだ。『因果応報』って知ってるかね?他人にした扱いは自分にいつか返ってくる。
 貴族共もじきに革命が起こって滅ぶだろうさ。いや、もう起こってるかな?
 それにね、人間を『尊敬』できない者がどうして大地を『尊敬』できる?
 恐竜たちは大地を尊敬しなかった!大地を冒涜すれば自らに返ってくると言うことが理解できなかった!
 こいつらは『尊敬』を知らぬアホ頭だから滅んだのだ!
 どうせここの民もすぐに滅ぶ!なら私がこの世界を征服して元の世界に帰る!
 その後我らが『合衆国(ステイツ)』の一部となればよい!魔法の技術もアメリカのものだ!
 そうすれば我が祖国は強大になり、永久にッ!無限にッ!『尊敬』されるのだ!!
 もちろん人権もある!今よりすばらしい世界になるぞ!さぁ!我が名を聞け!
 我が名はフェルディナンド!この人間を恐竜に変える力!『スケアリーモンスターズ』でこの世界を征服する者だ!」

「電波ゆんゆんのクソ長げぇイカレた演説ごくろーさま。タバタン、聞いてなかったんで三行で要約してくれ。」
「アメリカが
 最強だ
 崇めろボケ共」
「ありがとう。あいつの糞っぷりがよくわかった。」
「けっきょく只の変態ね。盗賊だった方がまだましだったわ。」
「そんなちゃちな能力でメイジがやられると思っているの!?」
「まったく、立派な事を言ってるように見えるけど無駄に長いだけだよね。」
次々に博士を罵るルイズ達。
「それに、お前は世界征服なんてできやしない。ここでオレ達に殺られるからな。」
「・・・少しは話がわかるかと思っていたが・・・。がっかりだ。
 まぁ、君達も恐竜の仲間入りができるんだ。喜びたまえ。」
「ありがとよ。お礼にボコボコにしてやんよ。」
「安心したまえ。命までは取らんよ。大事な戦力だからね。」

スタンド使いは引かれ合う
          ――間田敏和
この言葉通り、引かれ合った二人の戦士が今、世紀の戦いを始めた。

to be continued・・・

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