ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は刺激的-4

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「うわッ!なにコレ!メチャクチャ広いじゃない!」
「ここが『アルヴィーズの食堂』さ。みんなここで食事を取るんだ」
 マリコルヌの後について歩きながらトリッシュは周りを見渡した。
 絢爛豪華な装飾に眼を奪われつつ、マリコルヌから教師を含む貴族全員がこの場所で食事を取ると
 説明される。トリッシュはこんな場所で食事を取ったことなど一度も無く、内心ドキドキしていた。
「さ!ここに座って」
「あ…うん」
 マリコルヌが席を引きトリッシュを座らせると、その横の席にマリコルヌは座った。
 他の貴族たちも続々と集まってきているが、トリッシュを見ると怪訝そうな顔をしてボソボソと
 小さな声で周りの貴族と会話し、その内容がトリッシュにも聞こえていた。
「なんでメイドが座ってるんだ?」
「ほら、アレよ。昨日の儀式で……」
「平民なんだろ?…貴族と同じ席に座るなんて…」
 正直居心地が良いとは言えない。そんなトリッシュの様子を見たマリコルヌが
 トリッシュの眼を見つめ紳士的に微笑みながら、
「他の奴らが言う事なんて気にしちゃダメだよ」
 そう言ってトリッシュを慰める。マリコルヌはトリッシュの好みのタイプではけっして無いが 
 今まで自分の周りに居た男の中には無かった、その紳士的な態度にトリッシュは好感を覚えた。
「なんでメイドが…ああ、あなた確かマリコルヌの使い魔だったわね」
 ふと隣の席を見るとドリルのようなロール髪の少女が座っていた。

「やあ!おはようモンモランシー!今日はギーシュと一緒じゃないのかい?」
 モンモランシーと呼ばれた少女は不機嫌そうに口を尖らせマリコルヌを見ると、
「ギーシュは食事いらないって」
「へえ?ギーシュの奴どうしたんだろ?」
「昨日医務室にあなたの様子を見に行ってからずっと変なのよ。
 今日だって呼びに行ったら『僕のそばに近寄るなああーーーッ』って言って出てこないのよ
 ねえマリコルヌ何か知らない?」
「う、うん僕にも判らないな。なんだか大変だね。ア、アハハ…」
 二人の会話を聞いていたトリッシュは知らない振りを決め込むことにした。
「ところでどうして使い魔がここにいるのよ?外で待たせるんじゃないの?」
「え?ああ、ほら、使い魔と主人は一心同体って言うじゃないか」
 やはり、自分がここに居ることは変らしい。トラブルはマズイと感じたトリッシュは
 モンモランシーに語りかけた。
「あなた…モンモランシーって言ったわよね?私、やっぱりここに居ちゃマズイかしら?」
「別に良いんじゃないの?あなたの主人が良いって言ってるんだから。
 私の知ったことじゃないわ」
 そう言って、モンモランシーは頬杖をしならが溜息を吐きだした。
 おそらくは昨日胸を覗き込んでいた男のことで頭が一杯なのだろう。トリッシュの事などに
 構ってられないと言った感じである。
(それにしても、あのキザ男には何にもしてないのにそんなに怯えるなんてね。
 とんだ腰抜けだわ。マンモーニってヤツね。あのハゲ親父を少しは見習うべきだわ)
 昨日、ギーシュを縛り上げて猿轡を噛ませ、持っていた毛抜きでやめてくれと叫ぶコルベールの
 髪の毛を一本一本丁寧に抜いて額縁に飾っていった事を思い返しながら、トリッシュは
 食事の開始を待つことにした。

 豪華としか言いようの無い料理が運ばれトリッシュがたくさん並べられたフォークやナイフなどの
 使い方や食事のマナー等をマリコルヌに聞いていると前の席に一人の少女が現れた。
 桃色の髪の色をした小柄な少女である。その髪の色に父親を思い出し、トリッシュは
 少し不快になった。
(うわ…アレで斑点つければあの男にそっくりだわ…朝から最悪ね…)
「ほら、椅子を引きなさいよ。気の利かない使い魔ね」
 仕方ないといった感じで少女の後ろに控えた少年が椅子を引き、少女が腰掛ける。
(なんだか生意気そうな小娘ね。ムカつくわ。……今、使い魔って言ったわよね?)
『ソウデス。使イ魔とイイマシタネ』
 スパイス・ガールがトリッシュの心を読んだように疑問に答える。
 昨日の医務室でスパイス・ガールを発現してメイジにスタンドが見えないことは
 確認済みである。もっとも見えているのなら召喚されたときに騒ぎになっている筈なのだが
 その時は意識はあったが眼が覚めておらず、スタンドの防衛本能でスパイス・ガールが勝手に
 動いていたのでトリッシュの記憶には残っていなかった。
 ちなみにその時の事をスパイス・ガールは怒られるのが怖かったので黙っていた。
「すげえ料理だな!俺こんなに食えないよ!」
(同感ね。おなかは空いてるけど朝からコレじゃ逆に食欲無くすわ)
 目の前に座った少年に心の中で同意しながら料理を眺める。
 この量と内容はトリッシュの基準から言ってとても朝食には思えなかった。
「あのね?ほんとは使い魔は外なの。アンタはわたしの特別な計らいで、床」
 そう言って頬杖をつきながら桃色の髪の少女は少年に床に座るように命じる。
 その様子を見ていたトリッシュに少女が気付き不機嫌そうな顔で話しかけてきた。
「ちょっとアンタ。なんでメイドが座ってんのよ、さっさと椅子からどきなさい」
 桃色の髪と少女の態度にムカついたのでトリッシュは無視を決め込んだ。


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