ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は刺激的-2

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匿名ユーザー

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トリッシュ。父親に命を奪われかけ、そして間接的ではあるがその父親を殺した少女
 彼女は一人墓地に佇む。
 彼女は死んだ母親の墓に全てが終わったことを告げ、立ち去るその時だった。
「なにこれ?」
 彼女の行く手を遮るように現れた鏡のようなもの。それを見た彼女がまず考えたことは
「スタンドの攻撃?!」
 彼女の父親はかつてイタリア全土に広がるギャングを率いており、それを倒したのは
 彼女を救った組織の裏切者たちである。
 現在はその仲間の一人がそのギャングのボスとなり君臨しているが、組織を手に入れてから日が浅く
 未だ全てを手中にはしていなかった。
 そして、自分たちがしたように組織を手に入ようとする裏切り者が動くには組織が混乱している
 今が絶好の機会と言えた。
「スパイスガール!」
 先手必勝とばかりに自身のスタンドを発現させ、鏡に向けて拳を叩き込む!
 だが、鏡に触れた瞬間!鏡の内側に引きずり込まれるように彼女のスタンドがめり込んでいった!
『トリッシュ!トッテモマズイヨーナ気ガシマス!』 
「マズイようなじゃなくてマズイのよッ!」
 鏡の内側に引きずり込まれようとするスパイス・ガールと手を繋ぎ、トリッシュは墓にしがみつく。
『頑張ッテトリッシュ!負ケナイデモウ少シッ!』
「最後まで、は…ってこんな時になに言ってんのよ!」
 ギリギリと引っ張られトリッシュの腕に苦痛が走る。
「スパイス・ガール……」
『ドウシマシタ?!トリッシュ!』
「もうダメ、限界」
『OH MY GOD!』
 その後、見知らぬ男にキスされた所までを夢で見たトリッシュが眼を覚まして初めて見たものは
 中年のハゲと薔薇を胸に挿した男が自分の服を摘んで胸を覗き込んでいる光景だった。
「イヤアアアアアアア!!」

女性の叫び声で眼を覚ましたマリコルヌが初めて見たものは、天井に張り付けられた
 教師のコルベールと級友のギーシュの姿だった。
 そして次に見たものは物凄い形相で自分を見下ろす使い魔だった。
「ここどこ?アンタだれ?」
 言葉に詰まり思わずマリコルヌは起き上がろうとして身体がベッドに張り付いていることに気付き、
 使い魔の手に握られた釣り針と虫眼鏡を見て…それを見なかったことにして質問に答えた。
「ここはトリステイン魔法学院です。僕はマリコルヌと言います」
 冷や汗を流しながら機械的な言葉使いでマリコルヌは答えると、それを見た使い魔が顔を近づけ
 その赤い舌でぺロっと汗を舐めあげた。
「この味は嘘を付いていない味ね」
「そうともここはトリステイン魔法学院!わかったら早く僕を降ろしたまえ!」
「君は使い魔として召喚されたんだ!いい加減に私を降ろしてくれ!」
「アンタたちには聞いてないわよ!」
 二人に向けて使い魔が怒鳴り、ベッドの横の小物入れに置かれていた花瓶を天上に
 張り付けられた二人に向けて投げつけ、それがギーシュの顔に直撃し彼は気絶した。
「で、アンタ敵?味方?」
「ええと、味方、です。ハイ」
 その後、懇切丁寧かつ紳士的に状況を説明し何とか信じてもらえることに成功した。
 質問に答えるたびにほっぺたを舐められ何度も気絶しそうになった。
「ふ~ん、信じられないけど嘘は付いてないみたいね」
「そう言うことなんだ!だから僕を降ろしたまえ!」
「あ~もう一つ聞くの忘れてたわ、これはアンタには答えられないわね」
 使い魔がそう言ってどうやったかは判らないが、ベッドに張り付けられていた僕を立たせ
 部屋の外に追い出した後、部屋の中からやたら軽快な音楽と二人の悲鳴が響き渡った。

「しばらくはアンタの世話になるしかない訳ね」
「そそ、そう言うことにな、なるね」
 夜になりこれからのことを二人で話し合って、トリッシュは使い魔になることを承諾する。
「それで私はなにすれば言い訳?」
「ななナニって言われても…」
 『ナニ』と言う言葉に反応する股間を押さえつつ、マリコルヌは考えた。
 ハッキリ言って彼女を通常の使い魔と同列に扱うつもりは無かった。なにせ一目惚れである。
 それに現在感覚の共有もできなく、秘薬の材料を探すことも彼女には無理だろう。
 あとは身を守らせる事くらいだがそれは却下だ。好きな女の子を危険に晒すなどできない。
「と、とりあえず普通に生活してくれればいいよ。ウン」
「そう?ま、何かあったら言ってよ。ただで世話になるのもちょっとね」
 恩には恩を、仇には仇を。トリッシュの脳裡に恩人の顔がよぎった。
「わ、判ったよ、もう遅いし後のことは明日にしよう」
「そうね、ところで私はどこで寝ればいいの?」
 マリコルヌの部屋にはベッドが一つしかない。まさか二人一緒に寝るわけにもいかないと、 
 トリッシュはマリコルヌに尋ねた。

「いいよベッドを使ってもらって。ぼ、僕はここで寝るから」
 そう言って毛布を被りマリコルヌは床に寝転ぶ。
「ちょ、ちょっと!普通逆じゃない?!私が床でアンタがベッドじゃないの?」
「僕なら平気さ!床で寝るの好きなんだ!」
 そんな訳はないとトリッシュは思ったが、マリコルヌの好意に甘えることにした
「判ったわ、おやすみマリコルヌ」
「うん、おやすみ…そう言えば名前、聞いてなかった」
 ふとマリコルヌはまだ自分の使い魔の名前を聞いてなかったことに気付いた。
「…トリッシュ。トリッシュ・ウナよ」
「うん、おやすみトリッシュ」
 明かりが消え、暗闇の中でモゾモゾと動く気配をトリッシュは感じた。
 やはり床では寝にくいようだ。
(スパイス・ガール)
『ワカリマシタ』 
 スパイス・ガールの手がマリコルヌの寝る床に触る。
(あれ?床ってこんなに柔らかかったっけ?)
 急に柔らかくなった床に疑問を持ったが、疲れきっていたマリコルヌはすぐに寝てしまった。
(それにしても異世界か…とんでもない事になっちゃったわね。
 でも、このマリコルヌって人が良い人でよかったわ。ちょっと挙動不審だけど)
 元いた世界の仲間たちの事を思い浮かべながら、トリッシュの意識は暗闇へと落ちていった。


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