ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

一味違う使い魔-3

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匿名ユーザー

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ルイズは自分のベットの上で目を覚ました。

(私は…そう、使い魔召喚の儀式を…なんで、ここに…?」

ルイズは気を失う寸前に見た映像については記憶のかなたに吹き飛ばしているようだ。

「…目が覚めたようね」

ルイズが声が聞こえたほうへ顔を向けると、昼間自分が召喚した平民、いや、使い魔が足を組みながら椅子に座りながら本を読んでいた。
静かな部屋のなかでペラっとページをめくる音だけが響いた。

「…あんた、使い魔のくせにご主人様の前でそんな不遜な態度が許されると思っているの……!!」

ルイズの低い怒りを抑えた声に反応したのか、使い魔は顔を気だるげにやっと顔を上げた。

「トリッシュ・ウナ」
「……は?」
「もう一度言うわ。トリッシュ・ウナ私の名前よ」

トリッシュはそれだけいうともう一度読みかけのファッション誌に目を傾けた。
ルイズはかーっと頭に血が上るのを自覚した。

「ちょっとあんた!私は…」
「ああ、別にあなたは自己紹介してくれなくても結構よ。ルイズ・フランソワーズ・ル…なんだったかしら?確か最後はヴァリエールだったのは覚えているのだけれども…まぁ長いからルイズと呼ぶことにするわ」

ルイズは顔を真っ赤にさせながらトリッシュに向かって叫ぶ。

「こ、この使い魔のくせに!!なんて生意気なッ!!」

ルイズはベットから降りてトリッシュの読んでた雑誌を取り上げた。ほんとはびりびりに破り捨てたいところだが、わずかに残ったルイズの貴族としての矜持が高価なものである本を破り捨てることをためらわせた。
もしかしたら、ただ単純に貧乏性なのかもしれないが。

「なにかしらルイズ、その本が気になるのかしら?まだ読み終わってないから読み終わったら貸してあげるわよ。それとも…私に何か用かしら?」
「あんた!私の使い魔になったんだからね!そんな反抗的な態度が通用すると思っているの!!」

ルイズは今度こそ『ブチギレ』たッ!!
ルイズの沸点はとうに超えていたが、沸騰しすぎて限界突破したようだ。ルイズは持っていた本をトリッシュに向けてぶん投げたッ!

が、その本はトリッシュに当たる寸前でトリッシュのスタンドが掴み取った!

「こ、こいつは…!!あの時の……!!」

ルイズの記憶のかなたから契約の儀式でみた亜人がもう一度戻ってきた。

「やはり、あなたには見えているのね『スタンド』が」
「『スタンド』!?」

ルイズはゆっくり後ずさりするが、やがてベットにひざの裏が当たりその弾みで、こてん、とベットに座ることになった。

「そう『スタンド』よ。精神の力が形を成したビジョン。力を持ったビジョンよ。そして『スタンド』はスタンド使いにしか見ることはできない。
…安心しなさい。別にあなたをどうこうしようとは思っていないわ」

今の所はね、と胸の中でつぶやきながらトリッシュはスパイス・ガールからファッション誌を受け取った。ルイズはわなわなと唇を振るわせた。

「あなた、『メイジ』なの?そいつはあんたの『使い魔』なの」
「……みたいなものね」
「でも!でも!あんたは私と契約して!あんたは私の使い魔になったんだから!」
「……それはこれのことかしら?」

トリッシュは左手の甲をルイズに見えるように差し出した。

「『使い魔のルーン』…使い魔を使役するための契約を示した証……多少ミミズばれしているように赤くなっているけど……私には刻まれていないわ」
「あなたの『使い魔』!あなたのスタンドの左手に!刻まれているのをさっきみたわ!」
「ルイズ……、あなたが契約したのは、いえ、契約『しようとした』のは、私のスタンドではなく私自身ではなかったかしら?」

ルイズは悔しそうに下唇をかみしめながら、ぎゅっとトリッシュをにらみつけた。

(そう、そのとおりだ、私が、契約したのは…)

確かに理はトリッシュにある。私がキスしたのはトリッシュであって、そこにいる亜人にはキスをしていない。そんなことはルイズにもわかっていた。
頭ではトリッシュの言い分に負けそうになっているのを無理やり心が反論しようとした。
しかし、口をぱくぱく開くがまともな言葉はのどから出てこなかった。
ルイズの目に涙がじわり、じわりとたまっていく。しばしの沈黙の中、やがて耐え切れなくなったルイズは目から涙があふれだした!

「うっ…ひぐ…うく…ひっく…」

ルイズはできるだけ涙を出さないように声をもらさないようにしながらも、我慢できずにルイズの目からは涙があふれ出し口からはわずかに嗚咽が漏れ出した。
静かな部屋にルイズの嗚咽だけがこだまする。

「…なぜ…泣いているの?確かコルベール…さんの話では、例え今日使い魔召喚の儀式に失敗したとしても、別の日にもう一度やることもあるといっていたわ」

トリッシュはルイズを慰めるようなことを言った自分自身に驚きを感じていたが、ルイズが泣き出すとトリッシュの心に嫌なものがわきあがってきた。

「うっ…うるさいっ!あんたは!…私の使い魔じゃないんだったら!さっさとこの部屋から出て行ってよっ!」

ルイズは声を荒げてトリッシュを追い払うようなことを言った。ルイズにはトリッシュが慰めてくれていることが十分に理解できていたが、今は一人になりたいと思った。

「…いいから、私になぜ泣いているのか話してみなさい。話して楽になることも…あるわ」

トリッシュはルイズがただ単に使い魔召喚に失敗したから泣いていないのはわかった。
ルイズはその言葉を聴いてもただ泣き続け、トリッシュはじっとルイズが泣き止むのを待った。
10分だろうか?20分だろうか?長い間泣き続けたルイズはやがてぽつりぽつりと話し始めた。

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