ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

一味違う使い魔-2

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「…ここはどこ?私はさっきまで飛行機に乗っていたはず…」


トリッシュはその日、ローマに乗る飛行機の中にいた。
多忙な中、久しぶりに時間の取れたジョルノとミスタとともにフットボールの試合を見るためだ。
トリッシュは飛行機の中で、空港で買ったファッション誌の最新号を読みながらいつの間にかまぶたを閉じ穏やかな眠りについた。

(それがどうだろう?今、私の周りにいるガキどもの格好…まるで映画でみた魔法使いのよう…。)

トリッシュが物思いにふけっていると、その『ガキども』のなかから桃色の髪をしたかわいらしい少女が自分に近づいてくるのがみえた。
トリッシュは、チラッと確認すると、すぐに興味をなくしたように目線を足元に下げ、思考を再開した。
実際、トリッシュは最初スタンド攻撃を疑ったが、それならば最初から飛行機の中で始末すべきだ、わざわざ私をここに連れてくる必要はないだろう。それにこの少女からは殺気や敵意と言ったものはほとんど感じられなかった。
なにより近づいてくる動作がまるで隙だらけだ。これならすぐ『やれる』。

(それとも………わたしを『拉致』するために………?いいえ、それならここにつれてくる間に私の意識を覚醒させないための手を打つはず………)

トリッシュが桃色の髪の少女を完全に『シカト』している間に少女はトリッシュに向かって何か言った後、トリッシュの肩をつかんで、いきなり『キス』をした……!!

「……!?……!!」

トリッシュは桃色の髪の少女を突き飛ばすと、自分の最も信頼するパートナーを呼び出す。
……すなわち『スタンド』をッ!!

「スパイス・ガール!!!」

トリッシュの目の前、すなわち桃色の髪の少女とトリッシュの間に『力を持ったビジョン』が現れる。

「トリッシュ、コノ痛ミハ、直接『スタンド』デアル、私ニ、アタエテイルッ…!!」

スパイス・ガールは、桃色の髪の少女に対して警戒しつつ、トリッシュに警告を与えた。

「トリッシュ、コノ少女ハ、スタンド使イ、カモシレナイッ!!トリッシュ、警戒ヲスルノデス!!」

トリッシュとスパイス・ガールが油断なくその桃色の髪の少女と周囲の人間たちに警戒していると、その少女はスパイス・ガールを見ると、驚いたような、いや、恐ろしいものを見たかのような表情をした後、短い悲鳴とともにバタンと倒れた。

「…………トリッシュ、コノ少女ハ、完全ニ意識ヲ失ッテイマス。通常、スタンド使イハ意識ヲウシナウト、スタンドヲ出スコトガデキマセン。
……ナニヨリ、コノ少女ハ、私ヲ見テ、驚キマシタ。トリッシュコノ少女ハスタンド使イカモシレナイガ……敵デハナイ『可能性』ガアリマス……」

トリッシュを狙う『刺客』は何度か来たことがあったが、そのすべてがトリッシュが『スタンド使い』であることを知っていた。
もちろん、知らされずに差し向けられた『可能性』もあるが『暗殺』の成功率を上げるためにはトリッシュがスタンド使いであることを教えておくべきだろう。それよりもたまたま巻きこまれただけの『スタンド使いの才能を持った少女』である可能性が大きい。

(ジョルノやミスタなら……いえ、他のパッショーネのメンバーなら間違いなく『始末』しているでしょうけど……私は、できるだけ無関係な一般人は傷つけたくない…)

トリッシュは警戒しながらもその少女を見つめていた。

「やっぱりゼロのルイズだな!使い魔との契約もまともにできないなんて!」
「ゼロのルイズは何をやってもだめだな!」

周囲の人間たちが何か言いながら指を刺して笑っているのが見えた。なぜかトリッシュはすごく『不愉快』な気分になった。

そんな中一人、頭の禿げ上がった男が自分たちに近づいてくるのが見えた。その男を警戒しながらも桃色の髪をした少女を守るかのようにトリッシュが『無意識』にわずかに動いたことをトリッシュ自身も気づいていなかった。

「ふむ……左手を抑えていたようですが…『使い魔のルーン』は刻まれていないようですね。どこか他の場所に……失礼!」

その男はトリッシュをじろじろ見た後、急に気づいたかのように顔を赤くしながら目をそらした。どうやら、この男には目の前にいるスタンドが見えていないようだ。

「…ゴホン!さて皆さん教室に戻りますよ!」

まるで『ゆでだこ』のように顔と頭を真っ赤にしながら、大声で周囲の人間に向かって叫ぶ。
周囲の人間たちは杖を振るうといっせいに宙に舞って城…いや、教室へと飛び立っていった。

「ミスヴァリエールと……その……失礼、使い魔くん名前はあるのかい?」

トリッシュのほうを見ながら、目はかなり上空をみているが、男は尋ねてきた。

「トリッシュ。トリッシュ・ウナよ」

おそらく自分のことを言っているのだろうとトリッシュは、トリッシュは自分が恐ろしく落ち着いていることに驚きながらも、短くこたえた。

「では、トリッシュ君、君のご主人様は私が連れて行くとしよう。
使い魔といえど女性に力仕事をさせては、仮にも貴族に名を連ねるものとして恥ずべきことだからね」

男は、そういって横たわっている少女に杖を振るうと、その少女を宙に浮かせた。

「トリッシュ君、君は道がわからないだろうから私も君と歩きながら学院に向かうとしよう。ついてきたまえ」

男はちらちらとトリッシュを見ながら、鼻の下を伸ばしながら、歩き出した。


「……トリッシュ、ドウヤラ…私達ハ、マタヤッカイナ事ニマキコマレタノカモシレマセン」
(そう……見たいね……どうするべきかしら、私達は……)
「マズハ情報ヲ集メルコトデス。情報ハ全テノ答エニダドリツクタメノミチシルベデス!」
(そうね……『情報』をあつめるべきね……!)

トリッシュはその男とあるきだした。まずはここがどこかを聞かなくては、そう思いながら。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー