ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

L・I・A 第12話

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第12話 イタリア人は金剛石がお好き

メメタァ!!
「あぎゃッ!」
何やら嫌な打撃音と共に、およそ淑女らしからぬ声を上げるルイズ。その身は破片に弾き飛ばされ、無惨にも床に転がる。
「あいたたたた・・・・・・・って、誰よアンタッ!?」
打ち付けたおかげで一発で目が覚めたルイズは、出入口に立っている闖入者に気付く。
そこに立っていたのは2メイル近くあるだろうか長身で大柄な男が立っていたのは。
質感の固そうな黒装束にハートマークを始めとした様々な紋をあしらったアクセサリー。胸が少々開いており、中から黒のインナーが見え隠れしている。
一見奇抜な格好ではあるがルイズは不思議と嫌悪感は持たなかった。どことなく『似合っている』とか『様になっている』と感じた。
「おいおい、昨日あんだけ騒いで忘れちまったのかァ~?ボケるには早ぇんじゃねェ~のかァ?」
仗助は溜め息をつきながら言う。ルイズは直ぐ様記憶を取り戻す。
「あっ!そうだったわね・・・・ッて!何するのよッ!痛いじゃないッ!ご主人様にこんな事していいと思ってるのッ!?」
自分の覚醒の原因であるあの衝撃はこの男の仕業だと断定し、問い詰める。しかし
「何いってんだオメェ~?俺は何もしてねーーーッスよ?」
「えッ!?」
その言葉に部屋を見回すルイズ。確か、何か扉の様な物が激突したような気がしないでもない。
だが、そんな破片すら見付からないし、無論、扉もキッチリあるべき場所にある。
「何か変な夢見て自分でひっくり返ったんじゃねェーーーのか?」
「ん~~~~~~」

それにしてもこの仗助、嘘っこきである。
この一連の怪奇劇の真相はこうである。

ガチャガチャ・・・・・ガチャ
朝になったら一応起こしてやるのも仕事だと言われ、絶妙なタイミングで来たらコレだ。扉が開かない。いくら扉を叩いても起きる気配もない。
「・・・・・・・・」
無言で扉を見詰める仗助。普通ならここで泣き寝入りだが、あいにく彼には『能力』がある。力の盛大な無駄遣いの様な気がしないでもないが、この際致し方無い。
周りを確認する。魔法使いが『見える』かどうかは分からないが、見知らぬ土地で自分の手の内を晒すような真似をする必要はない。気を付けるには越したことはない。
体からパワーを溢れさせる。瞬間ッ!その身から『ヒトの様なモノ』が現れるッ!
全身が限界までに鍛えこまれ、アーマーを纏ったような出で立ち。後頭部から背の間に管が伸び、どことなく無機質っぽさも醸し出す。頭部にはハートマーク。
そうッ!コレこそが彼の力ッ!彼の『精神のビジョン』!傍に立つものの意から『幽波紋(スタンド)』!
そしてその名はッ!
『クレイジー・ダイヤモンド』!!!
ドゴォォォォォッ!!!
戦士の拳が扉に打ち込まれる。それは容易く弾け飛び
メメタァ!!!
「あぎゃッ!」
            • 破片は部屋の主へと襲い掛かった。
「あ、やっべ」
しかし、うろたえないッ!東方仗助はうろたえないッ!
何故ならッ!彼の『能力』はッ!
「ドアを全部直すッ!!」
『壊れたモノを直す事』!!!
飛んだ破片が、まるでビデオを巻き戻しているかのように修復されていく。

そんな訳で彼はなに食わぬ顔で佇むのであった。
「まぁ、いいわ」
考えても仕方ないのでルイズは深く追求する事はしなかった。そして大きな欠伸をして一言。

「服」
「はぁ?」
訳が解らなかった。
「とって」
まぁ、丁度目の前の椅子に制服が掛けてあったからそれを渡してやる。
「下着」
「ハァーーーーーー!?」
コイツ、何を言ってやがる!?ま、まさか使い魔ってのを召し使いと勘違いしてねぇか!?
「クローゼットの一番下」
「何で俺がよォーーーんな事しなくちゃいけねェンだ?」
文句の一つでも言ってやる。
「いいから取りなさいよ」
OK。俺もチビッコのガキじゃあない。ここは1つ懐の広さを見せてやる。
適当なモノを掴んで投げてやる。それにしても女性の下着を掴むなど、心臓に悪いものである。
「服」
「渡したじゃあねェーか」
「着せて」
コレには仗助もプッツン来た。
「さっきからふざけやがってッ!テメェーは何も出来ないお子ちゃまかッ!?」
それに対しルイズは1つ溜め息をつき、
「平民のアンタは知らないだろうけど、貴族は下僕が居るときは自分で服なんて着ないのよ?」
なんなんだコイツはホントに。さっきから平民、平民と。ここの貴族と言うものは皆こうなのか?
理不尽さにストレスを蓄積していく仗助の頭にある言葉が浮かんだ。
『貴族』・・・そういえばよォ~貴族って言えばよぉ~~
ニヤリ
仗助のターン。反撃開始。「俺の親父は貴族だったがよォーーー周りに手伝ってくれるヤツが居ても自分でやれることは自分でやっていたゼェーー?」
そう、仗助の父、ジョセフ・ジョースターは元は高貴な英国貴族の生まれである。
家の権力自体は恐ろしいと言うほどでは無いもののかなり裕福な家系であった。
彼の祖母エリナから、紳士として教育を受けていたと聞くから誇り高い魂を持つ、地位と人格を備えた人々が居たのだろう。さすれば仗助も貴族の末裔。それを抜きにしても下僕なんぞとは呼ばれたくない。
仗助はそう思い、コレをネタに我が儘なルイズに一泡吹かせようとした。

「!?・・・へ、へぇ?で、でもあくまでもここはトリステインよ?アンタ魔法が使えないんでしょ?なら平民よッ!」
なんとかやったッ!といった感じでルイズが反論する。しかし意外な話題にかなり動揺している、
「でもよォ~高貴な人間って、下っ端を使うしか出来ねぇ人間なんスかねェーーー?」
皮肉って言ってやる。するとルイズは顔を赤くして
「分かったわよッ!」
そういって寝間着を、下着をぬごうと・・・
「ちょっと待てやコラァーーーーーーー!!」
仗助が待ったをかける。
「仮にも女なんだから隠せッ!」
杜王町ではかなりのモテモテだった仗助だが、うっとおしいのか誰かと付き合うような事はしなかった。故に女性の裸なんぞに耐性があるわけない。
「あら、使い魔相手に男とか女とかないでしょ?」
仗助の反応を見てしてやったりといった表情でお返しをするルイズ。
そしてまた仗助のストレスが蓄積されていく。するとどうだろうか、ルイズの裸も気にならなくなった。
「まぁ、そんな貧弱な体じゃあ、男も魅了出来ないッスもんねーーーーーー!!」
意地の悪い笑顔で言ってやる仗助。コンプレックスを的確に突かれたルイズは逆に意識してしまい、恥ずかしくなってしまった。
「ッ!!!出てけーーーーーーーッ!!!!」
「へいへ~い」
さっさと退散する仗助。部屋に1人残されたルイズは「はぁ~~~~」
空しい溜め息を吐くのだった。

「はぁー全くよォーー一筋縄ではいかねェゼェーーグレートだぜ、まったく」
己の人権確保の為の戦いで幾分か疲れた。
下を向いて一息ついていると、3つ並んだドアの1つから燃えるような髪の少女が現れた。
「グレート・・・・」
なんてこった、ルイズとは正反対だ。
即ちそれは、ボンッ!キュッ!ボンッ!のグンバツのボディーーーーーーー!!!

「あら?」
少女がこちらに気付く。
「あなた、どちら様?」
当然の如く問われる。
「まぁーなんかーー使い魔ッてヤツらしいッス」
その答えで少女は気付いたように笑う。
「あはははは!ホントに人間なのね!」
仗助の方はバツが悪そうに苦笑するだけだ。やはり人が召喚されると言うのは異端らしい。
「あら、ごめんなさい?あーそう、私はルイズのクラスメイトでキュルケ、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アルハンツ・ツェルプストーよ」
「俺ァ・・」
ガチャ
仗助が口を開こうとした時、背後の扉が開き、ルイズが出てくる。
「おはよう、ルイズ」
キュルケはルイズが現れるとニヤリと笑った。ルイズは顔をしかめ、嫌そうに返す。
「おはようキュルケ」
「すごいわね、平民を呼び出しちゃうなんて。流石はゼロのルイズ」
ルイズの頬に赤みがさす。「うるさいわね」
「私は一発で成功よ、誰かさんと違ってね?」
「あっ、そ」
「やっぱり使い魔にするなら、こういうのがいいわよね~フレイム~」
そうキュルケが言うと何か大きな生物がぬっ、と出てくる。真っ赤なトカゲである。
「グレート・・・・こいつぁ、いわゆるサラマンダーってヤツかい?」
「おほほ・・・そうよ。あら?もしかして初めて?」
「ああ、でもなんだか可愛いヤツっスねェ~」
そう言ってフレイムの方に手を伸ばしてみる。するとフレイムのほうも撫でられるように頭を近付けて来た。

「きゅるきゅる」
「あら、他の人になつくなんて・・・もしかしたら、いいお友達になれるかもね?」
「ならなくていいわよ」
ルイズがぶすっと言う。
「あら、なに?嫉妬?ふふふ、言っとくけど、フレイムは火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドよ?そんな子とお友達になるのも悪くないのではなくて?」
「はいはい、良かったわね」
「私の『微熱』に相応しい属性。ホントにピッタリだわ。」
「あんた火の属性だものね」
うんざりしたように言うルイズ。
「そうよ。微熱は情熱。アナタと違って男の子は皆イチコロなのですわ」
ルイズとキュルケで不毛な争いをしている間、仗助はフレイムとコンタクトをとってみた。
「きゅるきゅる」
チロチロと火を出して喜ぶフレイム。どうやら頭を撫でられるのは好きらしい。
同時に気付く。なんとなく相手の考えが分かるということである。
「(使い魔は使い魔どうしで意識疎通ができるってか?ますますグレートだゼ)」
「それであなた、お名前は?」
胸の張り合いが終わったのかこっちを見詰めてくるキュルケ。
「仗助、東方仗助ッス。珍しい苗字って言われるけど、あんま苗字では呼ばれねェーなーーー。仗助とかジョジョなんて呼ぶヤツもいるけどよォーー」
それを聞いてキュルケは目を見開く。特に苗字のくだりからだ。
「へぇ~もしかしてあなた貴族?」
「上流階級の末裔ってのは否定しねェーがよォ」
「あらそうなの?へぇ~~。あ、朝食の時間だわ。それじゃ、お先に失礼ルイズ、ジョジョ」
そう言うと、髪を書き上げ、フレイムと共に颯爽と去っていく。
そして後にルイズと仗助も食堂に向かう。無論、使い魔がどうだのと、仗助が小言言われたのはお約束である。

「グレート・・・こいつァデケェな。」
暫しの後に辿り着くは巨大な空間。ロフトの中階があれど悠々と広く、優に三百人は横に座れるであろう大きなテーブル。
あらゆる所に豪華絢爛な飾り付けがなされ、まさに豪華の一言に尽きる。
「学院で教えるのは魔法だけじゃないのよ。メイジのほとんどが貴族故に『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーの下、貴族足るべき教育を受けるのよ。もちろん食堂もそれに相応しいものでなければいけない」
驚いた様子の仗助に、胸を張って饒舌に語るルイズ。
「アンタの生まれが良くても、こんな食堂には入ったことないでしょ?」
まるで相手の答えが分かっているかの様な言い方である。
「ああ。こんなデケェ食堂は初めてだゼェーーー」
勿論、仗助にそんな経験が有るわけない。
「感謝しなさいよね。ホントなら貴族じゃなきゃこの『アルヴィーズの食堂』には入れないんだから」
「へいへい」
分かったよといった感じで両手を挙げる。
それにしても豪華な装飾である。席まで歩くがてら見渡してみる。聞けば周りにある像は夜になると踊り出すそうである。流石は魔法の世界。
「そんなことはいいから椅子を引いて頂戴。気が利かないわね」
腕を組んでルイズが言った。プッツンしてもしょうがない。レディーファーストとも言うし、ここは1つ聞いてやろう。
「すげェ料理だな」
自らも椅子に腰掛け仗助が言う。鳥のローストや鱒の形のパイなど無駄に豪華である。胃がもたれないのだろうか?
「ちょっと」
ルイズが仗助を突っつく。見ると彼女は床を指差している。その先には粗末なスープと固そうなパンが二切れ。

「アンタはそっち。床でね。使い魔なんだからホントなら外よ?感謝してよね」
「そっちのは?」
「貴族の食事。それに癖になるからダメ」
プッ、ツ~~~~ン
「んだとコラァーーーーーーー!!!」
最大級の抗議。こんな母親が忙しい時の手抜き料理にも劣る食事など理不尽、いや、あり得ない。
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよッ!?」
「俺はホームレスだってェのかァーーーーーー!?」
確かに人間の食事としては貧相すぎる。
しかし、ルイズには不機嫌の種、そして仗助には天の助けが降臨する。神は仗助を見捨ててはいなかったッ!!
『彼』だッ!食堂とは『厨房』からの料理が出される場所ッ!『食事』に関する場所であれば、すなわちそれは『彼の領域(テリトリー)』!!!!!
「仗助サン!!」
突然の仗助を呼ぶ声。実に流暢だが、どこか舌っ足らずな片言が混じる声。そう、仗助を懇意にしているのは『ヤツ』しかいないッ!!
「いい物ヲ、持って来まシタヨ?」
トニオ・トラサルディーーーーーーー!!!!
「トニオさんッ!!」
ガタッ!
仗助は期待の笑みを、ルイズは昨日のせいか、思わず身構える。
「そんな食事ではパワーも出マセンし、楽しくないデショウ?」
そう言ってカートに乗せてきたのは、
「軽い春野菜のサラダとトースト。それに、人参とブロッコリーのソテーに鳥のローストを付けてオキマシタ」
ニコッ
その笑顔は愛と焔の所持者最上位の熾天使セラピムか聖人イエス・キリストの如く仗助には見えた。

「今回はパール・ジャムは使ッテマセンから、そのままでいけマスヨ?さっ、ドーゾ」
そう言ってテーブルの上に置かれた物はどれも出来立てで、心なしか周りの物よりも手が込んでいる様に見える。
仗助は大喜びで空いている椅子につく。それにルイズが待ったをかけようとするも・・・・
「ちょっとルイズサンッ!」
「は、はひッ!」
尽くトニオに潰されるのであった。
「いくらなんでも床はナイデショウッ!?バイ菌が入ッテ病気にでもなったらドウスルンデスッ!?昨日教えたデショウ?」
昨日に続いて説教を受けるのであった・・・・・・・
後に彼女はこう語っている。
「ミスタ・トラサルディーは敵に回しちゃいけないわ。絶対に。」
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ(トニオさん)。今朝も(は)ささやかな(最高の)糧を(ウマイ飯を)我に(俺に)与えたもうことを(食わしてくれる事を)感謝致します。(感謝するゼェー、いただきます)」
祈りの?声が唱和される。暫くして、
「ウんんんッメェェェェェェッ!!!」

結局はトニオの力によって貴族以上の待遇を受ける仗助であった・・・・・・
「なんなのよッ!使い魔のクセにッ!!」

To Be Continued・・・・・

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