ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀な使い魔-10

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匿名ユーザー

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ポルナレフは二人にシルバー・チャリオッツとについて説明した。
ただ、剣針飛ばしや甲冑を外せる事等、伏せるべき事は伏せておいた。
味方だろうと、誰にも知られない方が奥の手として敵にも伝わりにくいからだ。
「で、結局その『銀の戦車』とやらはゴーレムじゃ無く、杖を使わずとも呼び出せ、しかも人間以上に素早く精密な動作までできるというのか?」
コルベールは終始驚きっぱなしだったが、オスマンは深刻な顔付きをしていた。
「君は…その力で何もする気は本当に無いのかね?
そのような魔法に対抗出来る力を持ったら平民の誰もがやましいことを考えてもおかしくないと思うがのぉ…」
確かにこの世界では魔法という力が平民の恐怖そのものだ。それを分かっているだけに、スタンドの存在をオスマンは恐れたのだ。
「俺にそのような気持ちは無い。今までチャリオッツを正しいと信じた事以外に使ったことは無い。」
ポルナレフはそう自らの意志を示した。
なるほど、マリコルヌを針串刺しにしたのは正しいと信じているらしい。
「…一先ず君を信じよう。まだ我々は君がそれを悪用しているのを見ておらんしの。」
オスマンがそう言った時、ロングビルが帰って来た。
「た…只今…ハァ、戻りました…ハァ。」
急いで戻って来たのか、ロングビルは息を切らしていた。
ポルナレフはそれを見てそろそろ頃合いかと思い、
「どうやら帰ってきたようだな。それではもう話すこともないので、私はこれで。」
と言って、席から立ち上がるとそのまま退室しようとした。が、
「ちょっと待ちたまえ、ポルナレフ君。」
オスマンに呼び止められた。

「まだ何か?」
ポルナレフは面倒臭そうに振り返った。
「君はどうやってそれを身につけた?それも思い返せば君はミスタ・グラモンとの決闘の途中までそれを使わなかった。
君が本当に闘いに美学を置いているなら、決闘の途中で手に入れたと見ていい…違うかね?」
ポルナレフは1番教えたくない点を言われ、一瞬ビクリとした。しかしすぐに冷静を装うと、
「鋭いな…。しかし、それに答える事は出来ない。」
と答えた
「ちょ、ちょっと!答えられないってそれは無いだろ!全部話すって言ったじゃないか!」
コルベールが思わず叫んだ。
「その通りじゃ。話したまえ。」
オスマンも同意する。
少し考えてポルナレフは閃いた。
「そうだ、こうしよう。先程私はミス・ロングビルが帰ってくる頃にはルイズも戻ってくるといった。これで賭けをしよう。」
「『賭け』?」
「もし、このドアの向こうにルイズが居なかったらどうやって手に入れたか話そう。」
「逆にいたら?」
「そうだな…500エキューぐらいもらおうか。」
「高ッ!」
コルベールが叫んだ。平民が一年は暮らしていける金額の数倍である。
「別にいいぞ。やらないなら話さないだけだ。最も、チャリオッツを使えばこの敷地から逃げ出すなんて訳は無いしな。」
ポルナレフは脅すように言った。
三人は額を寄せて話し合い、分はこっちにある、大体あの娘にそんなこと出来る訳無いだろ、と結論づけた。
「君の話に乗ろう。賭けようじゃないか。」
オスマンはポルナレフにそう誓った。
「GOOD!」
ポルナレフはそう言うと、ドアを思いっきり勢いをつけて開けた!


ドガァンッ!
「ガペシッ!」
またドアと何かがぶつかる音と珍妙な悲鳴がした。
そしてそこにはまた鼻柱をドアに打ち付け、後頭部を床にしたたかに打ち付けたルイズの姿があった。
「…」
三人共黙ってしまった。
「さて私の勝ちだな。約束通り貰おうか。500エキューをな…」
ポルナレフはニヤリと笑いながら手を突き出した。


「まったく、あんたご主人様を何だと思ってんの!?」
ルイズは部屋に戻る途中ポルナレフにキレ続けた。二回もドアに顔面を打ち付けられたのだ。キレてもしょうがない。
「盗み聞きしてる方が悪いと思うがな。」
ポルナレフは悪びれせずに言った。これを聞いて、ルイズはわなわなと震え出した。
「こここ、この犬のくせにご主人様になんて事を…!」
「聞きたいのなら別にあんな事しなくても、後で俺から話してやるというのに…」
ポルナレフは呆れたかの様に言った。
「ほ、本当!?」
ルイズは目を輝かせた。
「ただし100エキュー払うならな。」
「五月蝿い!やっぱりあんたの話なんて聞きたくないわ!」
こいつはプッツンしてて手に負えないな、とポルナレフは思うと、部屋に着くまで黙り通すことにした。

やがて二人と一匹は部屋の前に着いたのだが、ルイズと亀が入り、ポルナレフも入ろうとするとドアを閉められ、ガチャリと内部から小さな音がした。
しまった!と急いでノブをガチャガチャ回したが、開かなくなっていた。どうやら施錠したらしい。
「あんたなんてクビよ!使い魔は亀だけで十分だわ!!」
ドアの向こうからルイズが怒鳴った。
「おい、それは無いだろ!亀の中には色々大切な物が入っているんだ!貴様ごときに取られるわけにはいかん!開けろ!小娘!」
ポルナレフも叫んだのだが、返事は無かった。
いずれ地球に帰る時には亀と一緒に帰らなければならない。亀の中にはジョルノ達の『心』が納められているからだ。
それは去って行った仲間達から受け取った矢をはじめとした遺品の数々のことである。
だからポルナレフはなるべく亀と一緒にいる必要があった。もし自分だけ帰ったら殺されるだろうし。

「仕方があるまい…何処か寝れる場所を…」
と呟き、辺りを見渡すとキュルケのフレイムがこちらを見ているのに気付いた。
また見てるな…と思っていると、フレイムがこちらに近づいてきて、ズボンの端をくわえると引っ張り始めた。何処かへ連れていきたいらしい。
「こら、引っ張るな。ついていってやるから!」
そうポルナレフが言うと、理解したのか、フレイムは引っ張るのをやめきゅるきゅる鳴くと、ポルナレフを隣のキュルケの部屋へ引導していった。

キュルケの部屋の中は暗かった。フレイムの周りだけぼんやりと明るい。
「扉を閉めて?」
暗闇からキュルケの声がした。変に色っぽい気がしたが、一応言う通りに閉めた。
「こっちへいらっしゃいな。」
「話したいのは山々なんだが、暗くて部屋の中がよく分からんのでな…すまないが明かりをつけてくれないか?」
ポルナレフは嫌な気がして、ドアの近くからそう言った。
すると杖を振るような小さな音がして、蝋燭の一本一本に火が灯った。
その明かりに浮かび上がったのは下着姿のキュルケだった。
「これでいいかしら?そんな所に突っ立ってないでこちらにいらっしゃいな。」
誘惑するかのような声で話しかけてくる。おそらく並の男ならイチコロだろう。しかしポルナレフは違った。
まてまて、今の俺はこんなキャラじゃ無い。このキャラはエジプトで卒業したはずだ。
ポルナレフの脳内でそんな声がしたのだ。更に続けて
そうだ。今の俺はこんなキャラじゃ無い。逃げろ。逃げるんだよォーッ!スモーキィーーッ!!
と聞こえた気がした。
ポルナレフはジョースターさん?と思いつつも、この声に従いじりじり後退した。

その様子を見てキュルケは溜息をついた。
「貴方はあたしをはしたない女だとおもうでしょうね。」
ポルナレフはドン引きした。自覚してるなら恋人でもない男の前でそんな恰好するな。親が泣くぞ?そう思った。
「思われても仕方ないの。あたしの二つ名は『微熱』。」
ポルナレフは嫌でも分かった。ここは逃げるべきだと。もはやここから話を聞く余裕など無かった。
「~~~」
まだキュルケが何か言っている。もうとっとと逃げるべきだ。そう判断するとドアのノブを握った。
しかし、ドアは開かなかった。ハッと前を見た。キュルケが杖をドアに向けていた。
「あたしがこれだけ無視されるなんて初めてだわ…」
ヤバイ、俺はやっぱりこのキャラを卒業出来てなかったのか?トイレと女運は全て俺なのか?
「でも、ますます燃えてきたわ…貴方をどうやってでも振り向かせたい、あたしの虜にしたい…!」
やばい、ヤバすぎる。こうなったら仕方あるまい!
「チャリ…」
チャリオッツを呼び出そうとした時、ガシャガシャと窓が叩かれた。
見ると男子生徒が一人窓の外にいた。
「待ち合わせの時間に来ないから来てみれば…」
「ペリッソン!えぇと二時間後に!」
「約束が違う!」
キュルケはこちらに向けていた杖を窓の方に振ると、蝋燭の火がペリッソンをたたき落とした。
ギーシュと同じく二股しようとしていたらしい。貴族の風上にもおけない奴らである。
「まったく無粋なフクロウね」
「お前が言えるか。小娘」
「あら、嫉妬かしら?安心して。彼はただの友達よ。とにかく今、あたしが1番恋してるのはあなたよ。ジャン…」
キュルケはそう言うとするするとポルナレフの方へ近寄ってきたが、また誰かが窓を叩く音がした。
今度は先程のと違う男で、ポルナレフも見覚えがあった。名前は忘れていたが決闘を挑んで来た奴だ。
その彼も蝋燭の炎によって落とされた。

しかし、男はそれでおしまいでは無かった。
今度は三人が同時に来たのである。彼等は口々に何か言ったが、フレイムの吐く炎によって落とされた。
その間にもキュルケはポルナレフとの間を詰めて行った。
だが、ポルナレフは既に逃走経路を作っていた。チャリオッツを先程呼び出した時にドアを切り裂いておいたのだ。
ポルナレフはキュルケに背を向けるとキュルケが抱きつくより早くドアに突進した!

バッキャァーンッ!

ポルナレフは廊下に回転しながら着地した。しかし、彼の女運はまだ続いていた。
今度のそれはすぐ隣の部屋のドアを開けて出てきた少女、ポルナレフのご主人様であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールその人だった…


To Be Continued...

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