ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの来訪者-5

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トリスティン魔法学園のとある教室。
そこに2つの人影入ると、それまで雑談していた生徒達が一斉に好奇の視線を向ける。
朝食を終えたルイズと育郎である。
二人を確認するとくすくすと笑い出す生徒達を、無視して席に座ろうとするルイズに
一人の生徒が声をかける。
「あらルイズ、貴方本当に平民が使い魔なのね」
燃えるような赤い髪に豊満な肉体、褐色の肌を持つその生徒を、ルイズは苦々しく見た。
「キュルケ…なによ、何か用なの?」
「用事って程じゃないわよ、貴方の噂の使い魔を見たくてね。へ~」
そういって育郎をじろじろと見る。
「中々いい男じゃない…でも、やっぱり使い魔って言ったらこういうのじゃないと」
キュルケの横から、真っ赤な巨大トカゲがのっそりと身を乗り出してくる。
「これって、サラマンダーじゃない…」
「そうよー、火トカゲよー。見てこの尻尾!」
悔しげにサラマンダーを見ながら、キュルケの自慢話を聞くルイズを横目に、一人育郎は
眼の前のサラマンダーと、周りにいる使い魔たちを感心して見ていた。
(本当に漫画やゲームの世界だな…あれはキメラ、いやマンティコアだっけ?)
「ルイズ…あの浮いている目玉はなんて言うんだい?」
「鈴木土下座衛門って…ちょっとあんた、恥ずかしいからキョロキョロしないでよ!」
「いいじゃない。貴方、私の使い魔はどう?素敵でしょ」
と言われても、育郎にサラマンダーの良し悪しなど判るはずもない。

大きさを褒めるべきなんだろうか?
それとも色?
そういえば昔、沙羅曼蛇ってゲームがあったっけ?
小学校で同じクラスになった花京院君はゲームが上手かったな…
禁止と言っても毒ガスを放つドイツ超人を必ず使うから嫌われてたっけ
彼は今どうしているのだろう?

「はいはい、みなさん席に座って」
そうこう考えてるうちに先生が入ってきたようだ。
助かったと思い、席に座ろうとするが「使い魔は椅子に座っちゃ駄目!」とルイズに
言われた為、仕方なく教室の後ろの壁に背を預ける。

ふくよかな頬から優しい印象を受けるミセス・シュヴルーズは土の魔法の先生らしい。
授業は始めてと言う事もあって、実にわかりやすい。
(それにしても…火、水、土、風はわかるけど虚無か)
属性の説明を聞きながら育郎は考える。
失われた属性と言われる虚無。
他の事柄は、それこそ漫画やゲームの知識のままだが、虚無と言うのは異質に感じる。
「では…ミス・ヴァリエール、この石を『錬金』で金属に変えてみてください」
その声で考えを中断して、ルイズの方を見る。
するといつも元気なルイズが、困ったようにもじもじしているではないか。
周りの様子もおかしい。

「なんて事だッ!『ゼロのルイズ』に魔法を使わせる事になってしまったッ!
 ラ・ヴァリエール家が生み出した、恐るべき暴発兵器『ゼロのルイズ』をッ!」
「『ゼロのルイズ』に魔法を使わせることは核爆発させる事と同じだッ!」

等と叫ぶ生徒もいれば、急いで机の下に隠れる生徒もいる。キュルケも顔面蒼白だ。
それとは対照的に、前に出たルイズににっこりと微笑むミセス・シュヴルーズ。
「ミス・ヴァリエールッ! あなたは必ず錬金を成功できるッ!もっと!もっと!
 石ころを金属に変えれるとおもいなさいッ!空気を吸って吐くことのように!
 HBの鉛筆をベキッ!とへし折ることと同じようにッ!出来て当然と思うのですッ!
 大切なのは『認識』することですッ!
 魔法を操ると言う事は、出来て当然と思う精神力なのですッ!」
ミセス・シュヴルーズのアドバイスに意を決して杖を掲げる、ルイズ。
精一杯頑張っていますと、全身からオーラを出すルイズを見て、育郎は思わず微笑んだ。
そしてルイズが勢いよく杖を振り下ろした次の瞬間…机の上の石ころが爆発した。

ルイズは自分の魔法の失敗で生まれた爆風を受けながら考えていた。
またやってしまった…また失敗してしまった…
そして自分につけられた二つ名を嫌でも思い出す。

ゼロのルイズ

魔法の成功率ゼロ
落ちこぼれの証

泣きたくなるほど情けなくなるが、彼女の人一倍高いプライドがそれを許さなかった。
とりあえず何かを言って誤魔化さなければならない。

失敗しちゃった(テヘ)

等と言うわけにはいかないのだ。何か良い言葉は無いか…

また、つまらぬ物を爆発させてしまった…

こんなのはどうだろう?
いいぞ、なんかそこはかとなく格好良い気がする。
意を決して口を開こうとした時、誰かが自分を揺さぶっている事に気付いた。
「ルイズ、大丈夫かッ!?」
「はえ?」

「よかった…怪我はない………先生!先生、大丈夫ですか!?」
ルイズに大した怪我が無い事を確認した育郎が、今度はミセス・シュヴルーズを介抱する。
「おお…一体何が…」
「わかりません…急に爆発が起きて…」
「そんな!ミス・ヴァリエールは?生徒達は大丈夫ですか!?」
「ええ、心配ありません。みんな無事です」
「ああ…よかった…本当に良かった…」
安心して泣き崩れるミセス・シュヴルーズ。
その光景を呆然としながらみつめる生徒達とルイズ。
「君、お医者さんか保険の先生を!」
「あ、うん…」
普段なら「平民如きが貴族に命令するんじゃない!」と怒るところだが、
状況についていけないその少年は素直に従う。

「な…なにこれ?彼は何をしているの!?」
キュルケが信じられないと言うようにつぶやく。
「いや、これが『普通』なんだ…」
「え?」
誰と無く言った言葉に、医務室から先生を連れてきた少年が答える
「僕達も最初はああだった…でもいつのまにか慣れてしまったんだ…
 彼は、僕達に忘れていた大切な何かを思い出させてくれたんだよ…」
「ていうかあなた誰?」
「な!?マリコルヌ!風上のマリコルヌだよ!去年も一緒だったろ!?」
「そうだっけ?」
「ひどい!?」


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