ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

報告! そして微妙に変化した日常へ

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報告! そして微妙に変化した日常へ

シルフィードに乗ってトリステインの王宮に着陸したルイズ達は、不審者として衛士に捕らえられかけたが、ルイズがアンリエッタの密命を受けていた事や、その場にアンリエッタが現れルイズを迎えたため事なきをえた。
ルイズと承太郎は報告のためアンリエッタの部屋に通され、ギーシュとキュルケとタバサは謁見待合室に残される事になった。
報告は――とてもつらいものだったが、ルイズは一部始終を話した。
そしてルイズから手紙を返されたアンリエッタは、泣いた。

裏切り者を使者に選んだ自分を責め、愛するウェールズの戦死を悼む。
死を確認した訳ではないが、片腕で戦場に赴いたのなら結果は見えている。
ルイズがウェールズに亡命を勧めたのではないかとアンリエッタに問うと、アンリエッタは泣きながらうなずいて肯定した。
「わたくしより、名誉をお選びになられたのですね……あの方は……」
「それは違うぜ」
承太郎が口を挟む。
「皇太子は、亡命した先に迷惑をかける訳にはいかないと言っていた。
 ……他国に戦禍を広げる訳にはいかないと……。
 それが愛する者の国だったとしたら、なおさらだろう……」
「しかし、残されたわたくしはどうすればいいのでしょう……」
ルイズはポケットから、水のルビーと風のルビーを取り出す。
「姫様、これを」
「これは……風のルビーではありませんか」
「ウェールズ皇太子よりお預かりして参りました。
 …………最期に……これを姫様に渡すよう、命じられました」
ルイズは嘘をついた。その嘘でアンリエッタの悲しみが少しでも癒えるように。
アンリエッタは風のルビーを受け取り、水のルビーをルイズに握らせる。


「忠誠には、報いねばなりません。水のルビーはあなたがお持ちになって」
ルイズは戸惑いながらも、水のルビーを自分のポケットの中に戻す。
そしてすべての報告を終えたルイズと承太郎は退室し、待ちくたびれていたギーシュ達と合流した。
いったい何の任務だったのかキュルケは興味津々だったが、承太郎が「国家機密を聞き出そうというからには覚悟はあるんだろうな?」と、とても怖い顔と口調で凄んできたためキュルケはあっさり引き下がった。
さらに、ギーシュは手紙の内容までは知らなかったものの、キュルケ達に比べれば結構任務の内容を知っていたので、ルイズと承太郎から厳重に釘を刺され誰にも話さないと約束させられた。
その事に関しては特に文句のないギーシュだったが、しつこくひとつの事を確認してきた。
「ところで、姫殿下は僕の事を噂しなかったかね?
 頼もしいとか、よくやったとか、恩賞を与えるとか、密会の約束とか」
ルイズと承太郎は完璧な無視を決め込む。
こうして王宮での用事をすました彼等は、シルフィードに乗って学院へと帰還した。

そして三日後、正式にトリステイン王国王女アンリエッタと、帝政ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世との婚姻が発表された。
式は一ヵ月後に行われる運びとなり、それに先立ち軍事同盟が締結される事となった。
その翌日、新政府樹立の公布をなしたアルビオンから特使が派遣され、不可侵条約の締結を打診してきた。
こうしてハルケギニアに表面上の平和が訪れた。
政治家達にとっては夜も眠れぬ一触即発の日々が続いたが、普通の貴族や平民にとってはいつもと変わらぬ日々が待っていた。
それはトリステイン魔法学院も同様である。
しかしルイズと承太郎の日常は、ちょっぴり変化していたり。


承太郎の喫煙量が増えた。
以前コルベールに頼んでおいた紙タバコが完成したからだ。
コルベールの手作りのためあまり大量には生産できないが、これでこの世界でタバコが吸えなくなる事態は無くなったといえる。
しかもキュルケが協力して、工場で大量生産する話も持ち上がっている。
この世界に特許とか印税とかがあるのかは知らないが、もし紙タバコがハルケギニアに普及したら、コルベールとツェルプストー家は大儲けできるだろう。
キュルケは新しい紙タバコの銘柄を日夜考えている。
先日などは直接どの名前がいいか、などと名前一覧を見せられた。
だいたいこんな感じだった。

『ジョータロー・スモーク』
『ジョータロー・ラブ・ハート』
『ジョータロー・クールビューティー』
『ジョータロー・キャンディー』
『ジョータロー・クリムゾン』
『ジョータロー・イン・ヘブン』
『ツェルプストー・ヴォルケイノ』
『ツェルプストー・ファイヤー』
『ツェルプストー・サラマンダー』
『ツェルプストー・フレイム』
『オインゴ・ボインゴ』
『マジシャンズ・レッド』
『シャイニングフィンガー』
『ヘル・アンド・ヘヴン』
『ストナーサンシャイン』


承太郎はとりあえず『ジョータロー』と名づけられている名前を却下した。
続いて『マジシャンズ・レッド』も却下させた。
「ところでこの『オインゴ・ボインゴ』ってのはどういう意味だ?
 他の名前と違ってこれだけ意味がさっぱり解らねー」
「あら、こんな名前書いたかしら? 徹夜してたせいで寝惚けてたみたい」
こうして『オインゴ・ボインゴ』も却下となった。

そしてルイズの方にも変化があった。
どう変化したかというと、あまり承太郎に突っかからなくなった。
以前は「あんたは私の使い魔でしょ!」とか言って威張っていたのに、最近は一応承太郎を自分の使い魔として認めさせようという態度は取るが、喚き散らすような真似は一切しなくなった。
ルイズが留守のうちに、承太郎が部屋の中で堂々とタバコを吸っていた事があった。
ところが突然ルイズが帰ってきてそれを目撃。
当然承太郎はルイズが「外で吸いなさい!」とか、
もしくは「タバコなんか健康と発育に悪いんだから~」とか言うと思った。
しかし、ルイズは顔をしかめてこう言った。
「タバコ吸うなら窓を開けなさいよ。煙がこもるでしょ?」
こうして承太郎は条件つきとはいえ、何と室内での喫煙を許可されたのだ。
逆に突っかかるようになった部分といえば、着替えだ。
今までは承太郎が部屋にいようが平気で服を着替えていたが、なぜか承太郎を部屋から追い出してから着替えるようになっていた。
ちなみに今までの承太郎はルイズの着替えをパーフェクトに無視していた。
具体的にはルイズが着替えを始めると別の方向へ視線を向けていたのだ。
この変化を――承太郎はこう受け取った。

――ようやくルイズも淑女の恥じらいというものを身につけたか。

明らかにツンデレのデレが発現しているというのに、そのへんの理解力が少ない承太郎は勘違いしていた。


ちなみにキュルケはコルベールと行うタバコ関連の打ち合わせを除けば普段通り。
タバサは最近なぜかはしばみ草をおいしく食べられる料理を研究しているそうだ。
「きゅいきゅい! お姉様は好きな食べ物をあのクールな彼に食べてもらいたいのね!」
と、誰かさんがタバサをからかって怒られたりした。

ギーシュはといえば、モンモランシーにまた誤解を受けていた。
「ゼロのルイズと泊りがけなんて、素敵な休暇だったようねギーシュ」
「誤解だよモンモランシー! ジョータローやキュルケやタバサも一緒だったんだから!」
「まあ。キュルケやタバサとも一緒だったの。
 盛りのついた犬は、もう、ほんとどうしょうもないわね」
「違うんだ! 僕はただ……ちょっと人に言えないような重大な仕事を……」
「ひひひ、人に言えないような事を、ルイズやキュルケとですって?」
こんな調子でピンチに陥ったところに、ルイズと承太郎がやって来た。
「ハッ! ジョータロー! 頼む、僕達が授業を休んで何をしていたのか説明を!」
しかし答えたのはルイズだった。
「ギーシュ。あんまり口が軽いと、姫様に嫌われるわよ。それはもう軽蔑の極みよ」
「ゲェーッ! そ、それは困る……。ダメだ、これじゃあ誤解を解けないィッ!」
こうしてギーシュはモンモランシーから平手打ちを食らうハメになるのだった。

教室で席についたルイズは、生徒用の席に堂々と座る承太郎を怒りもせず訊ねた。
「ところでジョータロー。あんた最近よく授業を見にくるわね?」
「まあ……な。どんな魔法があるか覚えておいて損はねえ。
 詠唱が解れば相手が魔法を使う前に対処できるしな……」
「……そうね」
仮に戦争になっても、まだ生徒である自分達が戦う機会は無いだろう。
でもルイズは、ふと予感した。自分と承太郎はまた戦いに巻き込まれるのではと。
かなうなら――戦争はもちろん、自分達が戦いに巻き込まれる事などなければいい。
ルイズがそう思っていると、授業が始まった。
その時間の授業はちょっと特殊だった。コルベールが変な道具を持ってきたからだ。

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