ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

L・I・A 第11話

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第11話 全ては想定の範囲内


「すぅ・・・ん・・・・」
夜、こ洒落たアンティークな調度品で彩られた部屋に少女の寝息が聞こえる。時刻は丑三つ時も過ぎ、人は深い眠りによって体を癒し、記憶を整理するのだ。
「ん・・・・」
少女は夢を見ていた。なんてことは無い、先程あった出来事が思い出されているだけだった。
ルイズは皆の監視のもと、厨房全域を掃除させられた。侯爵家の三女であり、貴族として裕福な生活をしていた彼女にとっては精々自室の掃除程度が関の山。こんな徹底的なモノは全くもって初めての経験だ。
ヘトヘトになりながらも、ようやく掃除が終わったルイズを待っていたのは、オスマン、コルベール、そして仗助であった。
四人で別室に集まり今後について話し合った。始め、仗助に魔法学的知識が無く、他の使い魔とは勝手が違うという事を説明されるとルイズは「全く何でこんな平民が」と不満の声を上げた。
それに関して仗助は実はエルフの住まいし地の遥か東方のロバ・アル・カリイエの出身だと説明される。
勿論コルベールの存在を考慮してのオスマンのハッタリであったのだが、学院長の言葉となれば二人共あっさり信じた。
ちなみにトニオに関しても同じ出身で、二人は同郷の知人と言うことにしてある。
それで、念願の、とはいってもルイズにしてみれば相手がとんでもなく不本意ではあるが、契約となった。

「ンで?その契約ッつーのはどうすりゃいいんだァ?」
渋々ながら椅子から腰を上げた仗助が気だるそうに言う。
「ふむ・・・仗助君。少々目を瞑って、座っていて貰えんかのぉ?」
「こんなモンでいいっスかぁ~?」
目を閉じ、椅子に座り直す仗助。
「さぁ、ミス・ヴァリエール。契約をなさい」
オスマンがルイズの方に向き直り、『契約』を促す。
「しかし・・・聞いたことがありません・・人と・・平民と契約するなど・・・」
『初めて』なのが嫌なのか、貴族のプライドが許さないのか躊躇するルイズ。彼女の言う平民とは違った存在である仗助だが、彼女からしてみれば魔法を使えなければ平民なのだ。
「ミス・ヴァリエール。あくまでもこれは神聖な儀式なのですよ?残念ながらやり直しなど聞けませんよ?」
コルベールが釘を刺すように言う。トドメとばかりにオスマンも便乗してくる。
「そうじゃぞ?還す魔法なんぞありゃせんから君が契約しなければ仗助君が路頭に迷う事になるのじゃぞ?それに単位も認められんぞ?」
後者少々あるが、前者は大嘘である。すでにトニオの活躍によってある程度の生活は確保されている。
「・・・・・・わかりました」
憮然とした表情で仗助の前に立つルイズ。
「感謝しなさいよね。貴族にこんな事させるなんて」仗助にしてみればルイズの言っていることは訳が分からない。何せ目を瞑っているのだから。
「なんだか良く分からねーけどよーーーさっさとやっちゃってくれや」
勿論返事も素っ気なくなるものだ。
「ッ!誰がご主人様かキチンと解らせる必要が有るわね」
「あんたァ~もしかして・・・いや、知らないなら構わねーンだ」
オスマンとの話で出てきたモノであるがどうやらこの少女は聞いていないらしい。
「?、意味分かんない事言ってんじゃないわよ。まあいいわ」
ルイズは杖を構え仗助の顔の前で振った。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

呪文と共に杖を仗助の額に触れさせ、そして顔を近付けていく・・・・・・

ズキュウウウウウウウウゥン!!!!!!!!

キスだ。口付けだ、接吻だ。
ついばむような触れるだけのキス。だがッ!この音は何なのかッ!
盛大な効果音をあげて終わった契約。
「ッ!」
ガバッ!
目を見開き、飛び退く仗助。
「オメェ~~~~なにしやがるだーーーーーーー!!!」
突然の行為に叫ぶ。
「仕方ないじゃないッ!そういう決まりなんだものッ!そもそも誰が契約はキスなんて決めたのよォォォ!初めてだったのよォォォォォォ!?」
「知るかァァァァッ!俺だってはじ・・痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
これが聞いていた契約のルーンかよォーーーーこの痛みはハンパねェ~~グレートだゼェーー。
「ふ、ふんッ!みっともないわねッ!」
してやったりといった感じでルイズがふんぞり返る。「はぁ、はぁ・・・・」
やがて痛みが収まったのか肩で息をしながらも安堵の表情を浮かべる仗助。
傍らにはコルベールが待機しており仗助のルーンの浮かんだ左手を取る。
「ふむ・・・やはりなんというか人を、しかも東方の人間を呼び出してしまったと思っていたらルーンも変わっているものなのですかな?」
そう言ってルーンの写しをとり、一同に一通りの挨拶をした後、その場を去っていった。
「さて、もう夜も更けてきた。ミス・ヴァリエール、仗助君に特に話すことはあるかね?」
「いえ、特に。取り敢えず寝て、折り入った話は明日にしようかと思っています」
これから連れて戻る使い魔にこれ以上話はあるかなど学院長は何をおっしゃっているのだろう?まぁいい。取り敢えず眠り、明日からこの平民を躾てやるとしよう。
「ほらッ!行くわよッ!クズグズしてられないんだからねッ!?私だって眠いんだからッ!」

もう、踏んだり蹴ったりとばかりに荒々しくこの場を後にしようとするルイズ。そこにオスマンが待ったをかける。
「あ~。ミス・ヴァリエール。仗助君の事なんじゃがのぅ」
「何でしょう?」
「取り敢えず仗助君は別の部屋をとって生活してもらう事になるのぅ」
ルイズにとって衝撃的なセリフである。
「な、な、何故ですかッ!?使い魔だというのにッ!?」
当然彼女は食って掛かる。そりゃもう驚愕と幾分かの怒りを含んだ表情で。
それに対し、オスマンはバツの悪そうな顔で訊ねる。
「それじゃあのぉ~、彼の寝所は?ベッドはどうするのかのぅ?」
「有るわけ無いじゃありませんか。あくまでも使い魔なんですから」
それだけでオスマンには十分だった。この少女は貴族ながらまともに魔法が使えないと聞く。周りからゼロと呼ばれ、プライドも傷付いていることだろう。
しかも、使い魔召喚で現れたのは、彼女の視点からしてみれば平民。先程の態度からして無下にに扱われるであろう事は容易に想像できる。
しかしッ!それはマズイッ!何故ならこの青年は『トニオ・トラサルディーの友人』なのだからッ!異世界に飛ばされ右も左も分からない状態でたった1人の知人なのだッ!
それこそ彼は飄々としているものの、見知らぬ土地での生活はストレスも有るだろうッ!
『トニオを敵にするわけにはいかないッ!』
自分にとっても、この学院にとってもッ!

・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
そんなわけで部屋に居るのはルイズだけであった。
あの後、仗助とトニオに余っていた二人部屋があてがわれ、彼女の使い魔は今、そこで寝ているハズである。


ルイズは納得がいかなかったが、基本的な仕事はしてくれるとの事。しかし、やっぱり納得がいかない。

夜の空はあけはじめやがて太陽が顔を出す。次第に人も動きだし、起きるには丁度の時刻になってくる。
しかし、やはり昨日の出来事のせいかそれとも何時もの事なのか、ルイズは一向に目を覚ます気配が無い。
トンットンッ
扉がノックされるがルイズは起きない。
ドンッドンッ
扉が幾分か大きくノックされるがルイズは起きない。ドゴンッ!ドゴンッ!
まるでどこぞのヤミ金の取り立ての如く扉がノックされるがルイズは起きない。
ガチャガチャ・・・ガチャ
ノックしている当人も痺れを切らしたのかドアノブを乱暴に押したり引いたりしている。
・・・・・・・・・・
そして、一瞬の静寂の後、
「ドラァァァァァァ!!!」
ボッゴォォォォォォンッ!!
叫び声と共に、扉が弾け飛んだ。
盛大に破壊された扉はその部屋の主へと直行し、
メメタァ!!
「あぎゃッ!」

To Be Continued・・・・・・

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