ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ディアボロの大冒険Ⅱ-15

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そして、アルヴィーズの食堂の大きなホールでフリッグの舞踏会が開催された。

着飾った生徒や教師達が、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで話している。
舞踏会なんぞ如何でも良かろうなのだー!なディアボロではあったが、豪勢な料理が出ると言う言葉に惹かれてやって来た。現金な物である。
相変わらず服装はそのままであり、貴族の連中から奇異の視線を浴びせられているが、馬耳東風な感じで料理を次々に平らげて行く。
補充より多い消費の速さに目を白黒させながらも働くメイド達。
途中で、黒いパーティードレスを着たタバサと早食いを競い合い、タバサの舌に苦い敗北を味合わせたりした。
そんなこんなで、めぼしい物は殆ど食べ尽くしてしまった事に息を吐くディアボロ。
舞踏会から抜け出て部屋に戻ろうか考えている最中。
ある男がやって来た。
「何の用だ……?」
その男は言葉に反応する事無く、ディアボロの超至近距離まで近付くと、何かを耳打ちする。
「……………」
「ふん?」
伝え終わるとそのままホールから抜け出して行った、女垂らしの彼には珍しい事である。
顎に手を当てて何かを考えていたディアボロだが。
そこに、このパーティー最後の主役であるルイズが姿を現した。

「ヴァルエーリ公爵が息女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~り~~!」
門に控えた呼び出しの衛士が仰々しく告げる。
で、問題のルイズと言うと、ぶっちゃけ美しいとしか言えない。
長い桃色の髪を纏めて、白のドレスに身を包んだ姿。
普段でも黙ってさえいれば感じられるルイズの高貴さみたいな物を効果的に演出し、小さな顔を輝かせている。

ロリが好きな人達には大人気だろうな。と適当にディアボロが考えながらも料理を口に運ぶ。
そして、ホールでは貴族達が優雅にダンスを踊り始めていた。
ルイズの周りにもその姿と美貌に驚いたロリコン達が群がり、盛んにダンスを申し込んだ。
しかし、ルイズはその申し込み全てを丁重にお断りしている。
「……楽しんでるみたいね」
皿に残っている料理の一欠けらさえも舐めるように食べ続けるディアボロを見て、皮肉気にルイズは言った。

「そうだな」
ディアボロは適当に相槌を打ちながらも、残っている料理があるかどうか周りを捜し続けている。
………意地汚いと言うレベルではない。
(豪勢と聞いていたが……味はともかく量が少ないな…)
などと考えているディアボロに、ルイズはスッ、と手を差し伸べて来た。
顔のパーツ全部を真っ赤にして、途切れ途切れな言葉を口にするルイズ。
「踊って、あ、あ、上げても、よよよ良くってよ?
 ……勘違いしないでよね!あんたと踊りたいわけじゃなくて、相手が居ないから仕方無くなのよ!」

少しでも気を抜けば憎まれ口を叩き出しそうになる舌を気合で押えたダンスの申し込み。
だが、肝心のディアボロはと言うと
(チッ…料理が見当たらん)
完全にスルーされて、プッツンきたルイズ
「なによなによ!ご主人様の頼みが聞けないわけ!?ちょっと!ディアボロ聞いてんの!?」
料理を探すのを止めて、高貴な貴族から何時ものルイズに戻るのを面白そうな顔で眺めているディアボロ。
肩で息をしているルイズ。罵倒の言葉が出尽くしたのだろう。
ふぅ、と溜息を一つ吐くと。

「まあ良いわ……あんたの言った事信じてあげる」
いきなりの言葉にディアボロは率直な疑問を言った。
「何の事だ?」
「別の世界から来たって言った事よ」
「証拠も無いのに信じるのか?」
「確かにそうだけど……あんた言ってたじゃない、使い魔を信じてみるものだって。」
そこまで言ってから、ルイズは少し俯いた。
「………元の世界に帰りたいと思ってる?」
元の世界には、ディアボロが居なくなった事を心配している者が居るかもしれない。
ディアボロも、待っている者の所に帰りたいかもしれない。
ルイズ自身も見も知らぬ別の世界に、いきなり召喚されたら帰りたいと思うのが普通だと思っている。
何時かディアボロは、自分の元から消えてしまうのではないかとの不安も込められた
その言葉にディアボロは
「いや……帰りたいとは思っていないな」
この世界に来てから起こった様々な出来事を思い返しながら喋った。
この世界への興味、それに、ルイズの成長を期待しているディアボロには帰ろうとする気は無い。
そもそも、元居た世界には彼を待っている者などは一人も存在しない。

予想外のディアボロの言葉に、顔が真っ赤になるのを感じたルイズは、バッと顔をうつむけた。
そして、熱が引くのを待ってから、顔を上げ今日一番言いたかった事を伝える。
「その、えっと……フーケのゴーレムから助けてくれて、あ、ありがとう」
そのまま恥ずかしそうに走り去って行くルイズ。
それを見たディアボロは苦笑しながらホールから出て行こうとした、その時。

服がくいくいと言うような調子で引っ張られた。
何だ?とディアボロが振り向くとその先にはタバサの姿。

「リベンジ」
その手が指差す方向にはサラダの山があった。
どうやら早食い勝負の再挑戦がしたいようである。
「ふん……良いだろう」
そんなに時間は掛からないだろうと思いディアボロは承諾。
面白そうな顔をして見守るキュルケが開始の合図をする事になった。

………この世界に来て日が浅いディアボロは知らない事だが。
サラダに入ってる野菜――――『はしばみ草』、それは毒物級の不味さを誇る、学院一嫌われている料理。
何も知らずに食べた女生徒が失神して、そのまま医務室に直行したと言う逸話さえもある程だ。
ディアボロの顔を見たタバサの顔に微妙な黒い物が浮かぶ。
(私の勝ち)
例えどんな早食いが出来ようとも、この不味さには耐えられないだろうと思い勝利を確信する。
何とも腹黒い。
「準備は良いわね?スタート!」
キュルケの号令と同時に、サラダにフォークを突き刺して口に運ぶタバサ
だが、一口食べ終えた所で
「私の勝ちだな」
予想外すぎる声が聞こえた
珍しくも慌てたタバサが急いで隣を見ると、そこには空っぽになった皿+涼しい顔をしてホールから抜け出るディアボロの姿。
何かイカサマをしたのではないかとキュルケに詰め寄るが。
「ディアボロはちゃんとサラダを食べたわよ?」
ディアボロがイカサマをやっていないと知って更に愕然とした。
言い知れぬ敗北感を感じながら、タバサはサラダの山と共に崩れ落ちた。

………知り合ってからまだ日が浅いタバサは知らない事だったが。
ディアボロは腐ったピッツァや消し炭と化した料理さえも食べ尽くせるのである。
苦いだけのサラダなど物の数ではない。むしろ食えるだけでもありがたやであった。



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